テイルズオブベルセリア 世にも珍しい樹の聖隷   作:メガネ愛好者

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どうも、メガネ愛好者です

ようやくアイゼンが出せるひゃっほう
後、何気にロクロウよりもダイルの方が出番が多い気がしてならない……
別にロクロウは嫌いじゃないですよ? むしろ好きです。ただルィーンと絡む状況が共に心水を飲むことしか思いつかないという……ね?

因みに原作とは異なる変化があります。主にフィー(二号)関係で

それでは


八話 聖寮の次は海賊ですか

 

 

 二号の心の枷を解いてから数分後、ルィーン達の元にベルベットが戻ってきた

 皆の様子はどうだったかを問いかけてみれば、概ね予想通りの返答が返ってくる

 ロクロウとダイルはやはり一人で作業するには手が足りないと口々に述べ、マギルゥは一人のんびりと海を眺めていたという

 その話の中でルィーンは気になることがあった

 

 

 それは、ダイルがミッドガンドまでの航路の事で何か考えていたことだ

 

 

 話の流れから人員の事だろうと考えたベルベットは特に気にしなかったようだが、ルィーンはダイルの含みのある言葉に”ある施設”を思い出していた

 その事で一度ダイルに話を聞くことにしたルィーンは、ベルベットに二号の相手を任せて一旦ダイルの元に行くことにした

 その時にベルベットが「なんで私が……」などと不満げな呟きを漏らしていたが、その時のベルベットの表情はそこまで嫌そうな感じはしなかったので問題はないだろう

 どちらかと言えば「どう接したらいいかわからない」といったような感じだろうか? 少なくとも、二号に危害を加えるような気配は感じないので任せても構わないはずだ

 それにダイルの元に向かう途中で見えたのだが、ベルベットと二号は羅針盤を通して何やら話を交えていた。案外馬が合うのだろうか?

 

 

 

 

 

 そうこうしているうちにダイルの元に辿り着くルィーン。そういえばまだ自己紹介を交わしていなかったと思い出し、手始めに名乗ることから話し始めることにしたのであった

 

 「どうもダイルさん。ルィーンです」

 

 「ん? おう、お前さんか。そういやまだ名乗ってなかったな。俺はダイル、下手に言葉を見繕うことはないぜ? 気軽に話してくれや」

 

 「そっか。んじゃ、これからよろしくなダイル」

 

 「ああ、よろしく頼むぜルィーン。……ところで、俺に何か用でもあったのか?」

 

 「うん。まだ名乗ってなかったってのもあるけど、それよりも気になったことがあってさ?」

 

 「気になったことだぁ?」

 

 「さっきベルベットがダイルと話してた時に出てきた内容だよ」

 

 ルィーンはダイルと名を交わし終えると早速本題に入る

 そんなルィーンの言葉にいまいちピンと来ていないのか、首を傾げてルィーンの言葉を待つダイル

 因みに船の舵を取っているダイル以外は周りにいない。ベルベット達は下の甲板にいるし、ロクロウは横でせっせと働いている為か二人の話が耳に入っていない。つまり、今この場の話を知ることが出来るのは二人だけだということだ。まあ別に隠れて話し合おうとしている訳ではないのだが

 

 「さっきダイルはベルベットに”この先には”って感じの話をしなかった? それって……”ヴォーティガン”の事でいいか?」

 

 「あぁ、お前さんは知ってたか。そうだ、ベルベットの目的地であるミッドガンドに行くにはあそこをくぐらなきゃいけねぇ。船を動かす人員が足りない以上、外洋を大回りしていくなんてあまりにも無謀だからな。……だが」

 

 「うん。あそこは王国海軍の”要塞”だ。ヘラヴィーサを燃やした主犯を乗せる船を通すわけがない……こっちを確認次第迎撃してくるぞ?」

 

 「だよなぁ……」

 

 そう、ルィーンはこのことを確認したかったのだ

 

 ”海門要塞ヴォーティガン”

 

 ノーズガンド領とウエストガンド領の間にある海峡に建設された要塞であり、無許可の船の進行を妨げるかのようにそびえ立つ大きな門が海峡を塞いでいる

 そこには王国の警備団体が常駐している。手練れの兵士はどんな襲撃にも堪えず、隙が無く統率の取れた警備にはその要塞の鉄壁さを物語っていた

 少なくとも王国の警備兵は対魔士ではないから業魔の相手をすることは出来ない。あくまで海を荒らす海賊達や”理”に合わない密航船の進行を阻むことを目的としている

 一応業魔対策に聖寮から対魔士が数名派遣されてはいるだろう。しかし、人相手であれば警備兵でも事足りるのだ

 

 「遠回りになるけど、一旦レニードに向かって船員を確保した方がいいんじゃねーの?」

 

 「そうは言うけどよ……よくよく考えれば、まともな人間が誰一人いないこの船に乗るような物好きがいると思うか?」

 

 「……ノーコメントで」

 

 このままヴォーティガンに向かったところで結果は見えている。いくらこちらに業魔がいたとしても、船を沈められればそれで終わりだ

 故にルィーンは一番近場である港を持つ村”レニード”に向かうことをダイルに提案するのだった

 レニードは外洋航海の寄港地も兼ねているし、そこで人員を雇う事も出来るだろう

 

 しかし、その考えもダイルの言葉で希望が薄くなってしまう

 何せこの船の乗務員は業魔が三人、聖隷二人に魔女一人。とてもじゃないがまともな人間が……というか人間いないのだ。……遠くで「儂は人間じゃぞ!?」という声が聞こえた気がするが幻聴だろう

 とりあえずまだ進路を変更することは出来る為、この後どうするかを悩み始める二人であった

 ……いや、一人と一匹か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ——ドゴオオオオォォォォォン!!

 

 「うひゃっ!? い、いきなりなんだよもう! ビックリするじゃないか!」

 

 今後の方針を考えていた時、突如として背後から船を揺らすほどの衝撃と騒音がルィーン達を襲った。甲板にいるベルベット達も船が揺れるほどの衝撃によって海に放り出されるようなことはなかったものの、明らかに混乱しているのが遠目からでもわかる

 そしてルィーンは驚きつつも後方を確認する。その瞬間近くにいたロクロウが大きな声で状況を伝えたのだった

 

 「後方からの砲撃だ! 海賊船が来てるぞ!」

 

 そのロクロウの言葉を元にルィーンは後方から迫ってくるその……普通の貨物船とは異なるシルエットを持つ大型船を目にするのだった

 続いてダイルも後方の大型船を確認し、目を疑うようにして驚きの声を上げるのだった

 

 「あの旗は……まさか『アイフリード海賊団』か!?」

 

 「アイフリード海賊団……あの船が?」

 

 「間違いねえ!! そもそも聖寮や王国の船にあんな奇抜な帆を張る奴らがいるかっての!!」

 

 「……そうか」

 

 次々に砲撃を浴びせてくるアイフリード海賊団に、ダイルが焦りと共に舵を切る

 

 そんなダイルとは裏腹に、ルィーンは酷く冷静でいた

 ダイルが”アイフリード”と口にした瞬間、ルィーンが一瞬だけ表情を変えたのだ

 その表情が何を意味するのかは分からない。しかし、何かしら思うことはあるようで、周囲が慌ただしくなっている一方で一人落ち着いていたのだった

 ルィーンがおとなしくしていると、いつの間にかに近くまで来ていたマギルゥが海賊船を見て口を開いた

 

 「バッチリ狙いをつけられとるぞー。海の上でやりあうのは、ちとこちらが不利そうじゃ。何せこの船は貨物船、大砲などありはせんからのう」

 

 「くっ!! ダイル!! 近くに上陸出来るところがあればすぐに向かって!! 陸で向かい打つ!!」

 

 「おう! 任せろ!」

 

 マギルゥからの報告、そして飛んできた砲弾が固定していた積み荷に着弾したことで、ベルベットも状況の不味さを理解する

 そんなベルベットはすぐさまダイルに上陸を促し、陸にて迎え撃つことで海賊を蹴散らそうと考えた

 海賊とはいっても所詮は人間だ。業魔の自分達に敵う筈はないとベルベットは踏んだのだろう

 そしてベルベットの指示にダイルはすぐさま了承し、近くにある陸に航路を向けるのであった

 

 「船の進み具合を考えると……西側のラバン洞穴辺りが近いか?」

 

 「そうだな。確かあそこには()()()()()()()海岸があったはずだ。そこに向かう」

 

 「……」

 

 「どうしたルィーン? 何か不味いことでもあるのか?」

 

 「……いや、そんなんじゃないけど……」

 

 ダイルに行き先を確認するルィーン。彼女の表情は何処か優れなかった

 別に行き先は問題ない。”西ラバン洞穴”はルィーンも行った事がある為、その内部構造もある程度は把握している

 その為、洞穴を抜けた先に()()()()()()()()()()()()()()()()()()事も知っているのだ

 

 ——それは一度考えた方針だった

 奇しくも西ラバン洞穴に行こうという選択肢を、ルィーンは選択肢の一つとして考えていた

 海から攻めても陸から攻めても守りが鉄壁なヴォーティガン。しかしそれは、人間に対してのみ当てはまる事だった

 対魔士でなければ業魔は止められない。警備兵は数多くいるだろうが、対魔士でなければ業魔の敵になりはしない

 対魔士もいるにはいるだろう。しかし、こちらにはヘラヴィーサにて蹂躙の限りを尽くしたベルベットとロクロウがいるのだ。生半可な実力者じゃ相手になりはしないだろう

 つまりヴォーティガンを陸から攻めることで門を開き、船を通らせることも可能かもしれないのだ。そうすればレニード経由で大回りする必要も無い

 

 

 ——だからこそ、ルィーンは海賊達の動きに何かが引っかかるのだった

 

 

 (あの海賊達……なんでこのタイミングで攻撃を仕掛けて来たんだ? 巷で有名になるぐらいには大きな海賊団がラバン洞穴の事を知らない訳がないだろうし……)

 

 ルィーンはアイフリード海賊団が襲撃してきたタイミングに疑惑を抱いていた

 マギルゥは言った。「バッチリ狙いをつけている」と

 それはつまり、簡単に言えば”船の被害を鑑みていない”ということだ。ルィーンから見ても、あちらはただ船を沈める為に砲撃しているように感じていた

 更に海賊達はこの船と一定の距離を保っている。明らかにあちらの船の方が速度が出るような造りをしているにも関わらず、それをしないどころかこちらに乗り移ろうという気配も全く見せないのだ

 

 そんな理由でこちらの人間や物資を奪う目的で襲撃している訳じゃないことが察せられた

 なら何故襲撃しているのか? 船を奪う訳でもなく、ただただ砲撃を討ち続けている。あれでは砲弾を無駄に使っているようなもんだ

 砲弾を無駄に使ってまで沈めたいのか? ……いいや違う。なんとなくだが、無駄なことをしているような感じもしない

 

 

 なら——

 

 

 (……誘っている? こっちが陸に上がることを? 一体何のために……)

 

 ルィーンは一人思考する

 相手の狙いを……そして、この後に予想される海賊達の対策を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——西ラバン洞穴・洞穴外の海岸——

 

 

 

 アイフリード海賊団に襲撃されて以降、ルィーン達は船の積み荷に着弾した以外は被害もなく無事にラバン洞穴の海岸に上陸した

 ……その時、ベルベットがヘラヴィーサで聖寮を相手にしていた時以上の殺気を纏っていたことに疑問と同時に恐怖を覚えたルィーンであった。一体ベルベットに何があったのだろうか?(スキットEX5にて)

 

 そんなルィーン達に続いてアイフリード海賊団の船からも次々と上陸してくる

 ルィーン達はすぐさま陸で迎え撃つよう待ち構え、海賊達は各々武器を携え彼女達を囲むような陣形で敵意を向けてきた

 一応業魔という利点でベルベット達が有利ではあるものの油断はできない

 上陸前、ルィーンは自身の疑惑をベルベット達に話していた

 「誘われてる。罠かもしれない」というルィーンの言葉にベルベット達は警戒を強めることに

 ……ただ一人、ベルベットに関しては「喰らう理由が増えて好都合」などと悪人面で物騒なことを言っていたが……とりあえずルィーン達は忘れることにした。”触らぬ神に祟りなし”である

 

 そうして両陣営が睨み合う中、海賊側の一人がお気楽な声ではしゃぎ立て始めたのだった

 

 「うっはー! 本当に業魔の集団だ。これは使えるかもな……」

 

 「業魔と知った上で襲撃したのか? 対魔士でもないのに業魔に挑むとは随分いかれた連中だな」

 

 頭にシルフモドキの雛鳥を乗せている男の言葉から、少なくともこちらが業魔だと知った上で襲撃したことが見て取れた

 やはりルィーンの考え通り、ベルベット達は誘い込まれたようだ。目的はまだはっきりしないものの、業魔に挑まなければいけない理由があるのは間違いない

 そして雛鳥を乗せた男の言葉にロクロウが海賊達に正気かどうかを問いかけたところで……一人の男が海賊船から現れた

 

 

 

 「いかれていて結構……だが、業魔を倒すことが出来るのが対魔士だけとは限らない」

 

 

 

 雛鳥を乗せた男の背後から一人の長身の男が現れる

 目つきが鋭く、眉間にしわを寄せる強面の顔は見る者を圧倒する。それに加え、身に羽織る黒色のコートが余計に威圧感を醸し出していた

 悠然と歩いてきた強面の男はベルベット達に視線を送る。業魔に対して一切物怖じしない態度からなかなかの手練れだと感じたベルベット達は警戒を強め始めた

 

 「……二号。思う存分蹴散らしていいわよ」

 

 「わかった……」

 

 業魔だからと油断はできない。そう感じたベルベットは二号に強面の男を攻撃するよう指示を出す。強敵を前に流石のベルベットも冷静になったようだ

 

 心が育ち始めたとはいえ、未だ自身の判断で動くことが困難である二号は誰かの指示に従うしかなかった。ルィーンもそれはわかっているのだが、どうにも指示する立場にはなれずにいる

 ルィーンは指示することも、されることも好きではないのだ。指示によって自身の意思を通せないなどルィーンには我慢ならないから……

 

 そして二号はベルベットの指示の元、強面の男に向けて何かを投げつけた

 ルィーンがその何かを確認する為に目を凝らしてみると、それは何の変哲もない無地の紙葉だった

 しかし投げられた紙葉は風を切りながらまっすぐと目標に飛んでいる

 地形上、海風が吹くこの場で紙がまっすぐ飛ぶなどありえない。風に飛ばされるか、直ぐに空気抵抗で落下を始めるのが常識だ

 それでもまっすぐ飛んでいるのは、おそらく二号が霊力で硬化させたからなのだろう

 それはまるでナイフのように飛び、空気を切る音が微かに聞こえるほど鋭さを帯びた紙葉は殺傷力に優れるだろう。投げナイフよりも断然軽く、荷物にかさばらないのは利点である

 そんなナイフ同然の紙葉は——

 

 

  ——ガガァンッ!!

 

 

 ——男の目の前に突き出した岩によって防がれるのだった

 その突き出てきた岩を前に男は全く動じない。そもそも男の足元で輝いた魔法陣からして彼が発動させた術なのだろう

 つまりそれが意味することは——

 

 

 「あんた、まさか聖隷!?」

 

 

 男はどうやら聖隷のようだ。それなら先程の発言も合点がいく

 対魔士以外に業魔の相手が出来る者、それは同じ業魔か……霊力を操る聖隷だけだ

 業魔に効果的なダメージを与えるには自然界に溢れる霊力を使わなければいけない。だからこそ霊力を操れない普通の人間には業魔は傷つけられないのだ

 その逆に、霊力さえ扱えれば業魔にダメージを与えることが可能なのだ。故に対魔士は聖隷を通して霊力を操っている

 

 そして、目の前の男の周囲には聖隷が見当たらない。術の発動もルィーンのときと酷似しており、彼が聖隷だということは間違いないだろう

 これにベルベット達は驚愕する

 無理もない。まさか聖隷が海賊をやっているなどと考えもしなかったのだ

 感情を持っていることに関してはルィーンという前例があるため動揺も少なかったが、それ以上に海賊達が聖隷を受け入れているという事実が信じられなかった

 

 そんなベルベット達の反応を見た男は——

 

 

 

 「いいや……”死神”だ」

 

 

 

 ——自身を聖隷ではなく死神だと否定したのだった

 否定はすれど、彼が聖隷であることには間違いないだろう

 死神とは何なのか? 少なくとも……それを知るにはこの場を乗り切らなければいけなかった

 

 どうやら話し合いは終わりのようで、男は己が構えでベルベット達に戦意を向ける

 そもそも二号が攻撃した時から始まっていたのかもしれない。とにかく今は目の前の男を倒さなければ進まない

 

 

 

 周囲に不幸を撒き散らす死神が今、ルィーン達の前に立ち塞がったのだった……

 

 




スキットEX5 育ち始める心



ルィーンに二号を任されたベルベット

 ベルベット
「…………」

 聖隷二号
「…………」

 ベルベット
「……ねぇ、あんたの名前ってなんていうの?」

 聖隷二号
「……? ……二号」

 ベルベット
「それは名前じゃないでしょ。本当の名前を聞いてるのよ」

 聖隷二号
「本当の……名前……?」

 ベルベット
「っ……もういいわよ……」

 ベルベット・聖隷二号
「「…………」」

 ベルベット
「……ね——」

 ロクロウ
「おーいベルベットー! 今の方角であってるかー!」

 ベルベット
「——え? あ、えっと……」

羅針盤で方角を確認しようとするがうまく見れないベルベット

 聖隷二号
「……持ち方」

 ベルベット
「……え?」

 聖隷二号
「持ち方が、違うよ。下の台座を持って、上から覗き込む」

 ベルベット
「……ふぅん」

 ロクロウ
「ベルベットー! 聞こえてるのかー!」

 ベルベット
「問題ないわよ! 今の方角であってるわ!」

 ロクロウ
「そうか。そのまま確認頼むぞー!」

 ベルベット
「わかってるわよ! ……」

 聖隷二号
「…………」

 ベルベット
「……助かったわ」

 聖隷二号
「……?」

 ベルベット
「教えてくれたことに感謝したのよ……」

 聖隷二号
「……うん」

 ベルベット
「はぁ、全く……ん?」

 聖隷二号 
「…………」

羅針盤を凝視する二号

 ベルベット
「……持つ?」

 聖隷二号
「……え?」

 ベルベット
「触りたいから見てたんじゃないの?」

 聖隷二号
「えっと……」

 ベルベット
「はぁ……触りたい? 触りたくない? どっちか答えなさい」

 聖隷二号
「それは……命令?」

 ベルベット
「命令じゃない。あんたがどうしたいか、それだけよ」

 聖隷二号
「命令じゃない……僕が、どう……したいか……」

 聖隷二号
「…………」

 聖隷二号
「……触り……た……い」

 ベルベット
「……そう」

二号の小さな返答に、ベルベットは微かに微笑みながら羅針盤を渡そうとする

 ——ドゴオオオオォォォォォン!!

 ベルベット
「何!?」

 聖隷二号
「っ!?」

しかし砲撃の衝撃でベルベットがよろめき、渡す瞬間に手から羅針盤が離れてしまう
そして羅針盤はそのまま海に転がり落ちてしまった

 ベルベット・聖隷二号
「「あ……」」

 ベルベット
「えっと……」

 聖隷二号
「……ぐすっ……うぅ……」

 ベルベット
(……何、この罪悪感。私悪くないわよね? これで私が悪かったら理不尽すぎるでしょ……)

 ロクロウ
「後方からの砲撃だ! 海賊船が来てるぞ!」

 ベルベット
「……へぇ……海賊、ねぇ……」










 ベルベット
「海賊なら……加減しなくていいわ。ふふ……」

 聖隷二号
「ひっ……」

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