雪は全てを包み込む   作:紅葉 秋

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どうも紅葉 秋です!

良いタイトルが思い付かなくて簡単なタイトルになってます。

タイトル通りサンダースの三人が登場します。

では、どうぞ!


第11話 サンダース 前編

「サンダースとの練習試合ですか?」

 

俺たちの学年が一つ上がり、新入生が入学してきて数週間が経った。

俺とノンナの交際も順調である。

ま、やってることは付き合う前と対して変わってないけど。一緒にご飯食べて、一緒に帰ったり、休みの日は出掛けたり俺の部屋で一日を過ごしたり。ま、充実している。

ついでに言うと俺たちの関係はカチューシャしか知らない。隠してはいないけど話してもいないからこうなったんだけどね

 

で、今日は隊長にブリーフィングに呼ばれた。

おそらくだけどどっかと練習試合をするんだろう

 

「ええ、一年の練習試合の後に、ベストメンバーで二十対二十の殲滅戦をやることになったわ」

 

「珍しいですね。一年の練習試合の後にもう一試合やるなんて」

 

普通はどっちかだけなのに珍しい

 

「向こうの要望なのよ。ま、私たちも一年の練習試合が出来て、一年に私たちの試合を見せられるから」

 

「まあ、そうですね」

 

自分達が先に試合をすることで俺たち上級生の実力もより分かるだろう。それに優勝候補の実力も生で見た方がいいしな

 

「それで連戦になって申し訳ないけど、西住にはどっちにも出てもらうわ」

 

「別に構いませんけど、順番的に言えば俺以外では?」

 

俺は去年隊長としてダージリンと試合したから次は他の人ではと思ったんだが

 

「サンダース側からの要望よ。西住の腕を生で多くでも見たいそうよ」

 

へえー、サンダースからプラウダの中で一番興味を持たれるほどになったか…………俺も出世したな

 

「メンバーと車輌はもうこっちで決めてるから。もちろん西住に求めてるのは勝利よ」

 

「了解です。じゃあ俺は打ち合わせしてきます」

 

サンダースか…………面白い試合になりそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユキ!このカチューシャ様が見てるんだから勝ちなさいよ!」

 

「ああ。無論負けるつもりはないよ」

 

サンダースとの練習試合当日。

最初は一年の試合なので、プラウダの観客席に座っているカチューシャからの激励を受ける。

カチューシャの鉄板の激励だな。もう少しボキャブラリーを増やす努力した方がいいぞ

 

「頑張ってくださいユキ」

 

「ありがとうノンナ。スターリンは出来るだけ傷つけないようにするよ」

 

ノンナの頭を撫でてから一年生たちがいる待機場所に向かう。

ノンナ成分は摂取したからな、今日も調子は問題ない

 

それにしても俺がIS-2に乗ることになるとはな……。

 

隊長たち三年生の話だと、俺かノンナのどちらかに乗せようか迷っていて今日の練習試合で決めたいらしい。

だから一年の試合は俺が乗って、ベストメンバーの時はノンナが乗るらしい

 

IS-2の主砲の威力は最高なんだけど、俺やノンナくらい背が高いと狭いし、砲弾があんまり積めないから俺的にはT-34/85で良いんだけど

ノンナはどっちが良いんだろう?

 

 

「あ、西住副隊長!丁度良かったです」

 

待機場所に着くと、一人の一年生が俺の顔を見て安堵している。

その近くにサンダースのジャケットを着た人がいた。

 

ああ、試合前の挨拶に来てくれたのか

 

「悪い遅くなった。君は自分の戦車に戻ってて」

 

すると勢いよく頭を下げると自分の戦車へ走っていく一年生。

そんなに緊張してるのか?

 

ま、いいや。それより今はこっちか

 

「遅れて申し訳ない。プラウダ高校、副隊長の西住雪穂です」

 

「気にしなくていいわよ、私たちも来たばっかりだから。私はケイ、サンダースで副隊長をやってるわ。よろしくね雪穂」

 

流石サンダースというべきか、本当にフレンドリーな人が多い。

 

俺は差し出されたケイの右手を握り握手する。

 

「それでそっちの二人は一年生?」

 

ケイの後ろにいる二人の女子の方に顔を向ける。

 

「そうよ、紹介するわね。こっちのがナオミ、ウチの期待の砲手よ!今日はファイヤフライの砲手を任せたわ」

 

かなり自慢げに紹介されて、ちょっとボーイッシュな女が俺に軽く一礼する。

へぇ、一年でファイヤフライの砲手を任されるってことはそれだけ実力があり期待されてるんだろうな

羨ましい限りだ。プラウダ校の今年の一年は良くも悪くも普通が多いからな

 

「それでこっちのがアリサ。今年の一年のリーダーよ」

 

ナオミと呼ばれた子の隣にいた子が一礼する。

 

こっちの子は指揮官タイプなのね……人材が豊富なことで

 

「ちなみにナオミは雪穂に会うのを楽しみにしてたのよ」

 

「……どこかで会ったことあったけ?」

 

相手に申し訳ないが記憶にないんだが……。

 

「ああ、違う違う。ナオミは雪穂のファンなのよ!」

 

そういうことね。それにしても俺にもファンが出来るようになったか…………なんか凄いな

 

「去年の決勝戦での一撃、とても凄かったです。今日は貴方を倒させてもらいます」

 

ほう、一年の癖に宣戦布告するとは良い度胸じゃないか。でも嫌いじゃないぞそういうの

 

「まずは俺に本気を出させてみなよ。一応一年の試合だから、ピンチにならない限り本気出さないよ」

 

「本気じゃなかったからなんて言われても困りますから、きちんとピンチを作ってあげますよ」

 

「楽しみにしてるよ。ちなみにこの試合はIS-2に乗ってるから」

 

「ファイヤフライの主砲で沈めてあげます」

 

俺の実力を知りながらも自分の実力の方が上と言ってくる。余程自信があるようだ

 

どれだけのものか見せてもらおうじゃないか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、今回は一年の試合ということなので、基本は俺は指示を出さないから。サンダースは一対複数という戦法がスタンスなので少数で行動しないこと。仲間とはぐれて一人ぼっちになったら死んだと思え。ま、ヤバくなったら俺も頑張るから、緊張し過ぎないで頑張れ。以上!各自戦車に乗り込め!」

 

『『『урааааааааа!!』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジかよ…………」

 

六輌目のT-34が撃破されたと報告が入る。

 

試合は、最初にプラウダ校がシャーマン二輌を撃破するという幸先の良いスタートをきったが、向こうの巧みな作戦により孤立した味方が各個撃破されていった。

 

こっちの一年の隊長も頑張ったんだけど、向こうの方が一枚も上手だ。

それにファイヤフライに乗ってるナオミもなかなか良い腕をしてる。六輌の内二輌も落としてる

確かにあれならファイヤフライの砲手に任されるわ

 

さて、そろそろ俺も本気でやんなきゃダメだよな

 

「こちら西住、これより俺が指揮を取る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調子は良いみたいねナオミ。次も頼むわよ」

 

『イエス、マム』

 

それにしてもおかしい。あっさりとし過ぎてる。

いくらナオミとアリサが向こうの一年より優秀だからって、簡単すぎる。

まだ本気は出してないから?ならここからは今一度気を引き締めないと

 

「順調ですね副隊長」

 

「そうね、でも雪穂のIS-2がまだ私たちの脅威になってないわ」

 

雪穂の実績を考えてこのまま終わるわけがない。

 

「八対四でウチが勝ってるけど油断しないように、いいわね?」

 

「「「イエス、マム!」」」

 

全員のコンディション、士気は問題ない。

後はいつ向こうが仕掛けてくるかよね

 

『こちら七号車!急襲を受けて撃破されました!相手はIS-2かと思われます!』

 

「きたわね、各車輌IS-2を優先的に狙って!」

 

「「「イエス、マム!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「準備は出来たか?」

 

『後数分で完了します』

 

「了解、出来たら教えて。このまま相手との距離を保ちつつ時間を稼いで」

 

「はい!」

 

今はシャーマンたちの射程外の距離を保ち、ギリギリ入った瞬間に撃ち落とす。

ファイヤフライにさえ気を付ければシャーマンよりIS-2の方が射程は長いから、こんな単純な作戦でも効果はある。

 

ま、シャーマンが二輌ほど見当たらないから、囲まれないように気を付けて逃げよう。

 

「あ、シャーマン一輌撃破。装填も急がなくていいからね」

 

さて、向こうがどう対処してくるか楽しみだ

 

 

『副隊長!まもなく準備完了です!』

 

お、もっと時間がかかると思った。嬉しい誤算だ

 

「了解。今から行くから心の準備はしておいて」

 

『はい!』

 

「このままD-33地点まで移動。間違っても敵に近づかないでね」

 

操縦手が一年だからってそんなことはしないと思うけど、一応ね。ここで俺が撃墜されたら笑えないし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「罠……よね?」

 

『おそらくその可能性が高いかと』

 

私の意見にアリサも同意する。

 

突然雪穂のIS-2が止まる。そこは左右を茂みに囲まれていて、奇襲するには絶好の場所

 

「アリサとナオミはどう思う?」

 

『私なら、射程に入る為に近寄ってきた私たちを、茂みに隠しておいた他の車輌に奇襲させます』

 

『ついでに言えば、その混乱に乗じてファイヤフライを落とします』

 

「やっぱりそう思うわよね」

 

私もそう思う。

雪穂は優秀な砲手というのは戦車道をやってる人なら誰でも知ってる。だが、優秀な車長とはあまり聞いたことがない。

 

ま、それより先に雪穂を撃破出来るかもしれないけどね

 

「もう行ける?」

 

『はい!IS-2の後ろにいます!』

 

「OK !全車、Go ahead!」

 

『『『イエス、マム!』』』

 

全車で一斉に動けば、雪穂の視線は完全に前にいる私たちに釘付けになる。そこを後ろからつけば雪穂は倒せる!後は左右に隠れているだろう車輌を倒せば私たちの勝ち!

 

 

 

「甘いよ」

 

 

かなり離れてる場所で戦車のエンジン音が響いて聞こえるはずのない雪穂の声が聞こえた。

 

まさか……

 

『『ジーザス!』』

 

『なっ!IS-2後方に展開した二輌が、隠れてたT-34に撃破されました』

 

「Why!?」

 

まさか最初から狙っていたのは、奇襲するであろう二輌だったてわけ?

やられたわ!でも面白いじゃない!

 

「全車、これで奇襲は無くなったわ!正面から突撃して勝つわよ!」

 

『『『イエス、マム!』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦が狙い通り決まってくれた。いやマジで良かった。

 

この作戦には目的が三つあった。

一つは、作戦が敵に気づかれない。普通なら本隊を狙った方が有利に立てるから、この作戦は気づかれないと思った。

 

二つ目は、一年に確実に撃破させて自信をつけさせる為。今回は相手が上手過ぎてやられてばかりだったので、一年だけで撃破させてやりたかった。

 

最後は、この状況を作り出す為。四対四という対等の車輌に戻して勝つことでこの後の試合の士気が上がれば良いなと思って

 

作戦は成功した。後は勝つだけ

 

「全車、ファイヤフライは俺が引き受けるから、他のシャーマンを頼んだ」

 

『『『了解!』』』

 

俺のIS-2以外の戦車がシャーマンに向かって前進する。

 

ファイヤフライとの距離は約4000mぐらいか?

……いけるな

 

お互いの主砲はお互いに向いている。お互いに装填する時間は充分にあった。

 

装甲はIS-2の方が上、貫通力はファイヤフライが上。条件はちょっと違うが両方脆い部分に当たったら終わり……。

さぁ、どっちが優れているか決めようじゃないか

 

 

「発射」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エキサイティングな試合だったわ!」

 

試合が終わった後、ケイがニヤっと笑うと抱きついてくる。

……サンダースの校風ってことで良いんだよな?

 

「やっぱり雪穂は噂通りだったわ!」

 

抱きついたまま嬉しそうな声で喋るケイ

…………そろそろ離れてほしいな、いろんな意味で

 

「期待を裏切らなくて良かったよ」

 

「プラウダ校は強いわね。もっと練習しないとね」

 

「いや、この試合は俺たちが勝ったけど、勝負ではケイたちの勝ちだよ」

 

試合では俺がファイヤフライを落として、一年が倒しきれなかったケイたちのシャーマンも撃破して勝った。

いや、惜しかったと思うよ。ファイヤフライの砲弾はIS-2の横をかすっただけとは言えあの距離でIS-2に当てたのだから。

ただこれは一年の試合。

この試合で俺が撃破した車輌は四輌。俺の作戦で二輌。

一年だけで撃破したのは最初と最後の合わせて四輌。

対してサンダースは八輌を一年だけで撃破した。

一年の成績だけで見たら、俺らの惨敗。俺が活躍しても意味がない。

 

「じゃあ午後の試合で決着を付けましょう!」

 

「そうだな、次は試合でも勝負でも勝つ。…………それでいつまでこうしてるの?」

 

背中の方から視線を感じるからいい加減に離れてください。こんなことで怒りはしないだろうけど、ちょっと怖いので

 

「あ、忘れてた」

 

ケイはごめんごめんと謝りながら離れてくれる。

 

「そういう校風って言ってもあんまり男に抱きつかない方がいいよ。勘違いされると大変だよ、ケイは可愛いから」

 

「あはは、可愛いだなんてありがとうね。気を付けておくわ」

 

笑いながら軽く流すケイ。いや、別にいいけど本当に気を付けた方がいいぞ

 

「じゃあ俺は戻るな」

 

歩き始めようと自分の陣営の方に行こうとしたら、ナオミが近寄ってきた。

 

「……次は負けません」

 

「悪いが今度も負けないよ」

 

俺は一言を返して再び歩き始める。

 

はぁ…………本当に向こうは頼もしい戦力が増えて羨ましいよ。

帰ったら本格的に練習方を考えないとな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「御苦労様。……西住を選んで正解だったわ」

 

「向こうの一年が想像以上に強かったですからね」

 

「…………二年後はサンダースが一番の脅威になるかもしれないわね」

 

「そうですね」

 

「ま、午後もあれぐらいの活躍を期待してるわ」

 

「了解」

 

隊長に報告を終えてどこかにいるノンナを探す。

一応一緒にご飯を食べる予定なんだけどな

 

「ユキ」

 

「あ、ノンナ」

 

向こうから探しに来てくれたようだ。

ノンナは俺の方へはや歩きで来ると、俺の腕を掴んでどこかに連れていこうとする。

 

「の、ノンナ?」

 

「………………」

 

呼び掛けても反応しないノンナ。

……やっぱり抱きつかれたのが問題だった?

 

一分くらい歩いて連れてこられた場所は人気がないが、太陽が丁度当たる場所にベンチがある。俺らみたいなカップルがこっそりご飯を食べるには丁度良い場所だった。

 

「ノンナ……?」

 

俺が呼び掛けるとノンナは腕を離して抱きついてくる。

 

「…………ケイさんに抱きつかれてました」

 

俺の胸に顔を埋めているノンナがやっと喋ってくれた。

 

「そうだね、サンダースだから抱きつくのも挨拶の発展くらいと俺は思った」

 

「…………ケイさんに抱きつかれて、ユキは嬉しそうでした」

 

「そうだった?美少女に抱きつかれて嫌な気分にはならないからね。でも、嫌な気分にさせたなら謝る」

 

ふるふると頭を横に動かすノンナ。

 

「ケイには悪いけど、やっぱり俺はノンナの方が気分が良いっていうか落ち着く」

 

俺はノンナの頭を撫でながる

うん、シャンプーの良い香りがする。

 

「それなら良かったです」

 

そういうと俺の背中に手を回してさらに強く抱きしめてくるノンナ

……流石と言うべきかすごく柔らかいよね。知り合いの中で一番大きいじゃない?

 

「ふふふ」

 

突然ノンナが手を離して笑いだす。

なんだ、なんか面白いことでもあったか?

 

「どうしたの急に笑って?」

 

「いえ、私の方が良いって言うのが本当だと分かったので。ユキが分かりやすくて」

 

なるほどね……ちょっと恥ずかしいじゃんか

 

「それより早くご飯食べよ。ノンナが作ってくれたお弁当を楽しみにしてるんだから」

 

「嬉しいことを言ってくれますね。作ったかいがあります」

 

そういってノンナが作ってくれたお弁当を二人で食べた。

 

味?聞くまでもないだろう、美味しいに決まってるじゃないか

 

 




読んでいただきありがとうございます!

もちろん最後の美味しいところはノンナが取っていきます。

次回は一週間以内に更新する予定です!

感想や評価を心よりお待ちしております。
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