雪は全てを包み込む   作:紅葉 秋

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どうも、紅葉 秋です。

評価をたくさんしていただきありがとうございます!
特に高評価を貰った時はとても嬉しく画面を眺めてます。

少し日にちが空いたのに、今回はちょっと内容が薄いかもしれないです。

では、どうぞ!




第3話 1年の実力

「よく来てくれたわね、西住」

 

十月に入り、俺らのプラウダ校の戦車道も新体制になろうとしている。

俺は隊長にブリーフィングルームに呼び出しを受けて部屋に行くと、部屋には隊長以下幹部が全員集合していた。

大事な話……幹部に昇格の話かな?

 

「今日は貴方に伝えることがあるの」

 

「はい」

 

「貴方を『副隊長』に任命します」

 

「…………はい?」

 

ちょっと予想外の昇格過ぎて驚きを隠せない

幹部あたりだと思ってたんだけどな

 

「意外だった?ここに居るメンバーと新隊長ともう一人の新副隊長、全員の満場一致よ」

 

隊長が子供を見るような優しい笑みを浮かべる。

 

正直なれるとは思わなかった。

戦車道は未だに女子の競技というイメージが強く、隊長格を男がする学校はほとんど……いや、無い。だから無理だと思ってけど…………プラウダ校はそういう差別が無くて本当にありがたい。

田舎の方だから皆が優しいからかな。田舎をバカにしてる訳ではないからね

 

「喜んで承ります。クロエ隊長、俺はプラウダ校に来て良かったです」

 

「私も貴方と一緒に戦車道を出来て良かったわ」

 

 

 

コンコン

 

丁度話の区切りが良いところでドアをノックする音が聞こえる。

 

「あ、丁度良いところで来たわね。入って!」

 

隊長の許可をもらい、二年の先輩とノンナが入ってきた。

そして既に中に居た副隊長と幹部の先輩が立ち上がり、入ってきた二人と一緒に横に並ぶ

 

「じゃあ紹介するね。新隊長の『エリ』新副隊長の『ノゾミ』それに新副隊長の西住。そして幹部に二年の『ヒカリ』と一年の『ノンナ』よ」

 

ノンナも幹部入りか……流石だな。

 

「それで西住。早速だけど貴方には副隊長としての初任務を与えるわ」

 

いきなりですか?

 

「毎年一年生だけで他校との試合をするんだけど、それには隊長か副隊長を一人同行させてるの。それに一年の隊長として試合をしてきて」

 

一年だけの部隊で練習試合に行ってこいと

 

「メンバーと車輌、練習試合の相手は?」

 

「メンバーは西住の自由、車輌はT-34のみ。練習試合の相手は聖グロリアーナ女学院。もちろん我がプラウダ校の勝利の報告を待ってるわ」

 

一年だけの練習試合でも敗北は許さない……面白い

 

「了解しました。ノンナ、手伝ってもらっていいか?」

 

「はい、私で良いなら」

 

さて、メンバーの編成でも考えるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖グロリアーナ女学院との練習試合、聖グロ側で試合をするために船で神奈川までやって来た。

 

編成は俺とノンナが車長兼砲手のT-34/85が二輌、カチューシャと他二人のT-34/76が三輌。油断するわけではないが負ける見込みは少ない。

 

 

「あら、今大会のMVPを取った西住さんではないですか」

 

お嬢様のような雰囲気を纏った金髪の女性がこちらに近づいてくる。

赤いジャケットを着てるってことは聖グロの人か

 

「どうも、プラウダ校副隊長の西住雪穂です。今回の試合は隊長を勤めさせてもらいます」

 

「ご丁寧にありがとう。聖グロリアーナ女学院副隊長のダージリンですわ。私も今回の試合の隊長を勤めさせてもらいますわ」

 

「よろしく」

 

「ええ、こちらは大会MVPの貴方の胸を借りるつもりでいきますわ」

 

お互いに握手を交わしてから自分たちの陣営に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ作戦を伝える」

 

車長全員を集めて俺の考えた作戦を伝える。

 

「俺と四号車と五号車で敵を引き付けて、ノンナとカチューシャで奇襲、その後全勢力で敵を殲滅する。質問ある人いる?」

 

「……ちょっと雑ではありませんか?」

 

ノンナの指摘に他の全員も頷く。

 

それはそうだよな、敵を舐めてると思われるような作戦内容だからな

 

「さっき相手の戦車を見たけどチャーチルとマチルダしか無かった。チャーチルはともかくマチルダは接近されない限りT-34の装甲は抜かれない。だから作戦無しでも良かったんだけど、それはダメかなって」

 

「普通に作戦立てちゃ駄目なの?」

 

カチューシャがまともな意見を出す

 

「聖グロは巧妙な作戦をたてて勝ってる学校だ。その学校の一年で副隊長になるほどの実力を持ってるってことは頭がそうとう回ると思う。もし作戦を読まれて裏をかかれたら勝てるものも勝てなくなる。だから、たとえ作戦を読まれても地力で勝てる簡単な作戦でいくことにした。それとも他に良い案ある?」

 

誰も何も言わないと言うことは問題ないってことだよな

 

「ま、油断しなければ勝てるばすだから、いつも通り頼むよ」

 

「「はい!」」

 

「カチューシャが油断なんてするわけないでしょ」

 

「はい、頑張りましょう」

 

大会にも出たメンバーが多いからか緊張してる奴はいない。隊長車であろうチャーチルさえ先に落とせば勝てる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖グロリアーナとの試合は、やはりダージリンには作戦を読まれたが自力で押し通し勝利した。

 

それでもT-34が二輌も撃破されるなんてちょっと意外だった。作戦を読まれた上、二輌撃破か…………帰ったら反省会長くなりそうだな

 

「雪穂さん」

 

試合終了後、ダージリンさんと金髪の女性が二人でこちらに来た。

 

「あ、ダージリンさん。今日はありがとうございました」

 

「こちらこそ楽しい試合でしたわ。それでこの後はお時間がありまして?」

 

「ありますよ」

 

「では、私たちのお茶会に来ませんこと?皆、西住さんとお話したいと言ってまして」

 

「まぁ、構いませんけど」

 

丁度一年しかいないから今のうちに交遊関係を作っておくのも良いだろう。

ノンナとカチューシャを連れていけばとりあえず良いだろう

 

「ノンナ!カチューシャ!ちょっとお茶会に行くよ!」

 

少し離れた場所に居るノンナとカチューシャに声をかける。

 

「あの二人も一緒で構いませんよね?交流が目的なので」

 

「ええ、こちらは構いませんわ。私に着いてきてくださいな」

 

俺たちはダージリンさんの後ろを着いていく。

 

「ねぇユキ、なんで私とノンナも着いていく必要があるの?」

 

カチューシャにはこのメンバーを見ても分からないか

 

「俺たちが三年になった時、おそらくこの三人の中の誰が隊長になると思ったからこのメンバー。練習試合とかするときに仲が良い方がいいだろう」

 

「「っ!?」」

 

「え、そんな驚くこと?」

 

俺の予想以上にノンナとカチューシャが驚く。

カチューシャは百歩くらい譲って分かるが、ノンナは一年で幹部入りなんだから隊長の可能性だってあるでしょ

 

「隊長は西住さんがなるのではないのですか?」

 

俺らの話が聞こえたようでダージリンさんが話に入ってくる。

 

俺が隊長ね…………

 

「なんでそう思われたんですか?」

 

「今回の大会であれだけの活躍を見せ、副隊長に昇進、そして西住流。これだけの材料があれば誰でも隊長になるのは貴方だと思いますわ」

 

「あー、確かに…………でも俺は無いと思いますよ」

 

「なぜですの?」

 

「……全国の隊長クラスと渡り合えるほどの作戦は立てられませんから」

 

隊長として致命的な欠点。自分だけが強くても戦車道は勝てない

 

ま、他にも色々理由はあるけどわざわざ言う必要ないだろう

 

「こんな言葉を知ってる?『すべてを知り尽くしたなんて決して思わないことね』」

 

……そっくりそのままダージリンさんに返すよ。俺の何を知ってる?

 

「貴方の背負ってる『西住』がどれだけ重いのかは私には分かりませんけど、まだ十六歳なのに自分に見切りをつけるのは早いんじゃなくて?それに、何かに立ち向かってる殿方は魅力的ですわよ」

 

魅力的な笑みを浮かべるダージリンさん。

 

 

ああ、どうしょう……こんな人に会ったのは初めてだ。

 

 

「そっか……、ありがとうダージリン」

 

「私は何もしてませんわよ」

 

ふふふとお嬢様のように気品に溢れた雰囲気を出しながら笑うダージリン。

 

あ、ダージリンはお嬢様か

 

「ちょっとユキ!なに敵と仲良くなってるのよ!?」

 

ノンナに肩車してもらってるカチューシャが上から怒ってる。

いつのまに肩車してもらってんだ?

 

「何怒ってるのカチューシャ?お腹空いてるならこれあげるから我慢してくれ」

 

「あ、ありがとう……じゃなくて!何会ってすぐの敵と仲良くなってるのっていってるの!」

 

俺の飴はしっかり受け取りながらも再び怒られる俺

 

うん、飴だけじゃ誤魔化せなかったか

 

「普通にダージリンのことを気に入っただけだよ。それに今から一応交流を目的にお茶会に行くんだから。あと俺の勘だけどカチューシャも仲良くなれると思うよ」

 

むすっとしたままのカチューシャ。たぶん普通に喋ればカチューシャとダージリンの相性よさそうだから長い付き合いになると思うけどな

 

「彼女は貴方が私とすぐに仲良くなったからやきもちを妬いているんですわよ」

 

「な、何を言ってるのよ!的外れも良いところよ!」

 

へぇ、そうなんだ。反応を見る限り図星みたいだし

 

「カチューシャ、プラウダに帰ったらノンナも一緒にケーキでも食べに行こう、俺が奢るから」

 

「……ふん、良いわよ。特別にカチューシャ様が一緒に行ってあげる」

 

「ノンナも良いか?」

 

「はい、ご馳走になります」

 

カチューシャもケーキで満足してくれたようで助かった

 

「羨ましいこと。私は誘ってくれませんの?」

 

「会ったばかりの淑女をデートに誘う度胸はないよ」

 

「あら、残念。着きましたよ、好きな席に座ってくださいな」

 

喋ってる間に聖グロリアーナの陣営に着いた。

聖グロのユニフォームの赤いジャケットを着た生徒たちがテーブルや椅子を用意してティーセットを広げていた。

 

ま、普通に楽しもうかな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「西住さんは何歳頃から、戦車道をおやりになっているので?」

 

「三歳頃から戦車に乗ってますよ。本格的に学び始めたのは六歳頃からです」

 

「どんな戦車に乗ってきたんですの?」

 

「やっぱりドイツの戦車が多いですね、それにプラウダ校にある戦車に……あ、チャーチルやセンチュリオンにも乗りましたね」

 

紅茶を優雅に飲みながら聖グロリアーナの生徒たちの質問に答えているユキ。

 

ユキは紳士的ですから聖グロリアーナの生徒には好まれやすいですし、紅茶を飲んでいる姿も絵になってます。

本当にユキは『女子』に人気ですよね……。

 

 

「雪穂さんは人気ですわね」

 

「っ!?」

 

いつの間にか隣に来ていたダージリンさんが、私に声をかけてきます。

 

私たちの側には誰もいません。

ほとんどの聖グロの生徒はユキの方へ行ってますし、カチューシャはお菓子に夢中になってます。可愛らしいです、カチューシャ

 

「雪穂さんが女性に囲まれるのは嫌ですか?」

 

「……いえ、そういう訳ではないですが」

 

女性に囲まれてるのはプラウダ校でもよく見ますから

 

「それじゃあ私が雪穂さんと仲良くなったのが気に入らなかったのかしら?」

 

……それは少しあります。私とは仲良くなるのに時間がかかったのに、会ってすぐのダージリンさんが少し会話しただけで名前で呼び会う仲に……。

 

「ま、詮索するのは良くないわね。でも、これだけは言っておきますわね」

 

ダージリンさんは私の耳元まで近づき

 

 

「私、雪穂さんのことを気に入りましたわ。何もしないなら私がもらってしまいますわよ」

 

 

妙に色気付いた声で私に告げると、私が反応を返す前に離れてにっこりと笑うとユキの隣に行き、楽しそうに会話をしている。

 

 

私がとやかく言う権利はないですが、ユキと誰が付き合うと考えるだけで…………嫌な気分になります。

 

 

私はユキのことをどう思ってるんでしょう?

 

 

 




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