皆様のおかけで評価の色がギリギリですがオレンジになりました!
ありがとうございます!
聖グロリアーナとの練習試合を行ってから数ヵ月。
本格的に新体制になり、練習試合ではかなり良い成績を出し、これなら黒森峰にも勝てるのでは?と言う期待が周りから聞こえてくるようになりました。
私はというと……ユキへの気持ちは結局はっきりしないまま月日が経ち、この日を迎えてしまいました。
2月14日
世間一般ではバレンタインと呼ばれる日。
私たちプラウダ校でも例外なくバレンタインがあります。
「西住くん、これ!」
「私も!」
「ありがとう」
朝、ユキが登校すると早速クラスメイトにチョコを渡されてます。その手にはここに来る前に貰ったと思われるチョコがたくさんあります。
……ここに来る前から大量のチョコを貰ったみたいですね
「おはよう、ノンナ」
大量のチョコを持ったユキが私に挨拶すると自分の席に着く。
……ユキみたいなカッコいい人にはとても関わりのあるイベントですものねバレンタインデーは
「おはようございます、ユキ。……モテモテみたいですね」
「プラウダ校に男子が少ないから、普通より集中しているだけだと思うよ。ま、それ以外の理由なら…………俺の人徳ってところかな?」
確かにプラウダ校は戦車道や女子の部活が有名で女子生徒が多く、男子がやる部活が少なくあまり有名ではないので、クラスに五人程度しか男子は居ません。
確かに男子が少ないからというのもあるかもしれませんが、それ以上にユキが男性として魅力的だからだと思います。
顔立ちも良く性格も良い、さらには優しく文武両道。ユキがモテるのは当然だと思います。
ま、本人はモテることを否定するに決まってますから
「そういうことにしておきます」
モテるということは否定しつつも謙遜し過ぎないユキ。
こういうところが男子からもそこまでの反感を買わない理由なんでしょうね
「ん…………」
自分の机の中を見ると微妙な顔をして固まってしまうユキ。
どうかしたのでしょうか?
「どうしました、ユキ?」
私が問いかけるとユキは無言で私に自分の机の中が見えるように動かします。
「これは…………」
ユキの机の中には大量のチョコが入っていました。
漫画などでしか見れないと思いましたが、流石はユキと言ったところでしょうか
それにしても……ユキの教科書たちはどこにいったのでしょうか?
普段ユキはあまり使わない教科書は机の中に置いてあるのですが……。
「俺の教科書…………」
ユキは辺りを見渡しながら自分の教科書を探します。
「ロッカーなどに置いてはいないのですか?」
「無い」
今日早く来た女子たちがユキの机にチョコを入れてる過程で、どこかにいってしまったのでしょうね。
……全く勝手な人たち。恋は盲目と言いますが、相手に迷惑をかけるのは悪いことです。
「すまん、ノンナ。今日、教科書見せてくれないか?」
「ええ、いいですよ」
今日のはユキに全く非がないことですし……ユキの頼みですから断る理由がありません
「ありがとうノンナ、助かるよ」
私に礼を言うとユキは貰ったチョコを食べ始める。
それにしても……これ全部食べるんでしょうか?
「ん……ああ、全部食べるよ。一応、貰った物だから」
チョコを食べながらなにげなく答えるユキ。
……私、声に出してましたか?
「昔からバレンタインの日にチョコを食べてるとさっきのノンナみたいな顔して聞かれるから」
なるほど、経験則からですか。
それにしても毎年どれだけのチョコを貰ってるんでしょうね……この色男は
「西住流の門下生は俺以外が女性だからね。それで皆義理でくれるんだよ」
ま、それだけ貰うとお返しが大変なんだけど。っと苦笑いを浮かべながら答えるユキ
「これも昔から聞かれているのですか?」
「いや、これは聞かれてない。ただ、ノンナが聞きたそうにしてたから。やっとノンナの思ってることが少しだけ分かってきたから」
「っ!?」
私は無表情とよく言われるので、付き合いが長いカチューシャぐらいしか分かってもらえなかったのですが…………誰かに分かってもらえてるのは嬉しいです
「お、これは嬉しくて照れてるな。少し頬が赤いから分かりやすいな」
微笑ましい笑みを浮かべて私を見つめるユキ。
……理解され過ぎてからかわれるのはちょっとムカつきます
「……そういえば、戦車道を取ってる人たちは放課後に渡すようですよ」
「え…………本当に?」
「はい」
ユキが貰ったチョコは今のところ大体100あるかないか
我がプラウダ校は戦車道を取ってる生徒は約200人。ユキはみんなからかなり好かれてるいるので、バレンタインに興味ない人達以外からは、かなりの確率で貰えるはずです。おそらく100人くらいからは貰えるんじゃないでしょうか?
ユキはこれで全部だと思っていたようですが、まだ半分くらいですよ
「……紙袋ってあったっけ?」
「購買部にありますよ」
「ちょっと貰ってくる」
「はい、いってらっしゃい」
小走りで教室を出たユキが数分後、教室に戻ってきた時にチョコが10個程増えてた時は流石に苦笑いしてしまいました。
…………さて、私はどうしましょう?
私は自分の鞄の中にある『二つ』の手作りチョコが無事なことを確認します。
毎年はカチューシャに渡す一つでいいんですが
……異性に渡す初めてのチョコ…………難しいです。
でも、こうやって悩むのは…………嫌ではないです
「それでノンナ。ユキにはチョコを渡せたの?」
「な、なぜカチューシャが知ってるんですか?」
戦車道の休憩時間。
突然、カチューシャからの質問に動揺してしまいます。
カチューシャにはユキの分のチョコのことは言っていないはずなんですけど
「このカチューシャ様が、ノンナのことで分からないことがあるわけないじゃない。今日のノンナはユキを見てる時間が多いから、なんかあると思ったのよ。今日なんかあるとすればバレンタインしかないじゃない」
鋭い。こういう時のカチューシャの観察眼には驚かされます。流石ですね
「それでユキには渡せたの?」
「……いえ、まだ。今日のユキはずっとあんな感じなので」
ユキの方を見ると、先輩たちに囲まれて楽しそうに喋っている。
もちろんユキの手には先輩たちから貰ったチョコがあります。
「そんなの関係ないわよ。なんで渡してないの?」
「……異性に渡すのは初めてなので渡すタイミングが…………それにあんなに貰ってるのに、私なんかのチョコを喜んでくれるのか……と思って」
「バカじゃないの。ノンナ、貴女そんなことで悩んでいたの?」
カチューシャが呆れた顔で私に言います。
私にとってはそんなことじゃないです……。チョコを私なら嫌と言うほど貰ったユキに、私がさらにチョコを渡したら嫌ではないでしょうか?……初めて渡す相手に嫌がられるくらいなら渡したくないです。どうせなら喜んでもらいたいです。
「いい、ノンナ。ユキは絶対にノンナからのチョコを喜んでくれるわ
―――このカチューシャ様が保証してあげる。だから安心して渡してきなさい」
昔から私が決断できない時は、カチューシャの言葉に背中を押してもらってましたね。
だから私はカチューシャの側でカチューシャを支えたいと思うんです。
「はい、ありがとうございますカチューシャ」
「大したことはしてないわよ………頑張りなさい」
「……悪いなノンナ」
「いえ、このくらい別に構いませんよ」
放課後。
戦車道が終わった後、何とかユキと二人っきりになりたくて、紙袋をたくさん持って帰ろうとしているユキの荷物持ちという形でユキの家に行くことにしました。
ユキは悪いからいいよ、っと言って拒否していたのですが、カチューシャの援護もありユキが折れる形で決着しました。
二人っきりならいつでもチョコを渡すタイミングが出来るのでありがたい話です。
これをお膳立てしてくれたカチューシャに感謝です。
「とりあえずお茶でもいれるな」
「あ、お構い無く」
学校から近くにあるマンションの一部屋に住んでるユキ。
本来なら学生寮があるのでマンションを借りなくても良いのですが、女子しかいないので入寮を止めたそうです。
それにしても流石は西住と言うべきでしょうか、部屋の一つ一つが広いです。
ユキも、ここまで広くなくても良かったのに……。何部屋か余ってるっと言ってましたし。
ユキの家に着いた私はとりあえずリビングに招かれます。ユキはお茶を準備してくれてます。
ここには何度か訪れたことがありますが、ユキと二人っきりになるのは初めてです。
……異性の家で二人っきりは緊張しますね
「はい、紅茶な」
「ありがとうございます」
私の前に出された紅茶を頂きます。
……うん、美味しい
「ノンナ……緊張してる?」
「いえ、そんなことは」
…………ちょっとだけ心臓の鼓動が早いだけです
「そう?それならいいや。あ、でもここは俺の家だから楽にして大丈夫だよ」
……貴方の家だから余計に落ち着かないんです。
そしてユキは気づいているのでしょうか……今二人っきりと言うことに。
「そういえばユキも今日は調子が悪かったのですか?的の中心に数発当たってなかったようですが」
普通の人なら問題ないですが、ユキの場合は違います。
いつものユキは的の中心を外したことがないので、数センチずれてるだけで不調と思ってしまう。
「んー、不調っていうより今日は集中出来てなかったかな」
「ユキがですか?」
「君は俺を何だと思ってるんだ?俺だって人間なんだから集中できない時もあるよ。…………誰かさんが誰にあげるのか気になってな」
少しむすっとした顔でユキが答える。最後の方に何かを呟いたみたいですけど、声が小さくてよく聞こえませんでした。
それにしてもユキ程の人物が集中できない理由…………。
今日はバレンタイン…………気になる人がいる?
その子からチョコを……いや、そんな雰囲気ではないです。
では、その子からチョコを貰えなかった……?
ユキが気にするほどの女子……一体誰なんでしょう?
…………分からない。ユキはたくさんの知り合いがいるので、私の知らない所で好意を持った人がいるかもしれないです。
……羨ましい
「それでさ……ノンナは誰かにあげたのか?」
「え……私ですか?」
「そう。ノンナ程の可愛い女の子はどんな人に贈ったのか気になって」
もしかして、ユキが集中できない程気にしてる相手は…………私?
もし、それが本当に私のことだとしたら……どうしましょう。
―――嬉しくて笑みを我慢できないです。
「あの~ノンナさん、お互いに鈍くないから言葉の意味を理解してると思うけど、そこまで笑顔になられると……こっちも少し恥ずかしいんだが」
照れくさそうに頬をかくユキ。
頬が赤いのでかなり照れているようです。
可愛いらしいです
「それで!誰にあげたの?」
私の視線に耐えられなくなったユキが無理矢理話を戻します。
もう少し照れてるユキを見ていたかったですね
さて、私も覚悟を決めましょう
「私はカチューシャに渡しましたが、まだ一つ渡してません」
私はずっと鞄に入れて持ち歩いていたチョコを取り出します。
「ユキ……いえ、『雪穂』」
突然、本名で呼ばれて雪穂がびっくと反応します。
雪穂をユキと呼ぶ人が雪穂と呼ぶときは、大事な場面の時だけです。
「手作りチョコです、受け取ってくれませんか雪穂?」
チョコが入った箱を両手で雪穂の前に出します。
「……ありがとう。食べて良い?」
「はい」
綺麗に箱の包みを取ると、今日たくさん食べたにも関わらずなんの躊躇いもなく、箱に入ってるチョコを一つ掴んで口の中に入れる。
「―――うん、美味しい」
嬉しそうにニコッと笑う雪穂。
やっと……やっと見れました。
今日どうしても見たかった、喜んでくれる雪穂の姿を
「ノンナ、ありがとう。すごく嬉しい」
「喜んで頂けて嬉しいです」
もう一つ私が作ったチョコを口に入れ、美味しそうに食べる雪穂。
その時…………偶々雪穂と目が合います。
いつもなら何でもないこと……。
でも、今は…………雪穂の瞳から目が離せないです。
「ノンナ」
私の名前を突然雪穂が呼ぶと私に近づき―――
「好きだよノンナ」
頬にキスをしてニコッと笑った雪穂は、私に爆弾を落としていきます。
「あ、え……そ、それは……」
「可愛い反応するな、ノンナは」
優しく微笑んでる雪穂が私の頭に手を置き、ポンポンと叩く。
「ゆ、雪穂、今のは……?」
「さぁ~、どういう意味だろうね?」
「……意地悪しないで教えてください」
「自分で考えてください」
だって私の頭の中でまとまった答えは……………とても自分に都合の良い結果になってしまったんですから
「あ、ノンナ、そういえば時間は大丈夫?確か、寮って申請しておかないと駄目なんだよな?」
「あ、そうでした……」
「じゃあ寮まで送るよ」
……門限が無かったらまだここに居て、雪穂の気持ちを深く聞きたかったのですが…………。
「もう少し待ってくれたら、きちんと教えてあげるから」
突然真剣な顔で私の顔を見つめる雪穂。
そんな顔で見つめられたら……待つしかないじゃないですか
「……分かりました」
「ありがとう」
微笑みながら私の歩幅に合わせて隣を歩き出す。
…………今日の私は頑張ったと思います。少しくらいご褒美があっても良いですよね……?
そっと隣にいるユキの手を触れます。
ユキは突然のことで驚いたのかびっくと反応するとする。そしてしばらくして私の指を自分の指に絡めます。
恋人繋ぎ
ユキが私を受け入れてくれた証拠。
…………家を出てからお互いに終始無言でした。
ちらっとユキの顔を見たときに顔が赤かったです。
寮に帰ると同時に電話が鳴りました。
―――その一本の電話から私の幸せな日常は壊れました。
読んでいただきありがとうございます!
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