二重人格のプロデューサー   作:遊妙精進

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今回から一章終了まで毎日投稿します


10話 撮影

 僕は担任の先生に適当に嘘をついて早退し、事務所まで向かいました。

「プロデューサー! こんにちは!」

 事務所に入ると、765プロの所属アイドル、菊地 真(きくち まこと)さんが駆け寄ってきました。

 菊地さんは、ボーイッシュな女の子で今までは男ものの服を着ていましたが、今日は制服姿でした。

「? プロデューサー、どうしたんですか?」

「あ、いえ、菊地さん、こんにちは」

 いつもはイケメンだなと思いしらされていますが、制服姿を見ると、女の子なんだなと実感させられます。思いの外似合ってますし。

「他の皆さんは?」

「貴音はそこでお茶を飲んでいますよ」

 見てみると、四条 貴音(しじょう たかね)さんがソファーに座ってお茶を飲んでいました。

「四条さん、こんにちは」

「あなた様、ご機嫌麗しゅう」

「は、はあ」

 四条さんは、銀髪の美女なのですが、古風な物言いでどこかミステリアスな雰囲気をかもしだす765のアイドルです。

「あれ? 四条さんは早めに学校を早退したんですか?」

 菊地さんは制服姿に対し四条さんは私服姿でした。   

「いえ、私は学校には行っておりません。古都で暮らしているときは行っていたのですが」

「え」

 古都というと京都や奈良とかのその辺りかな。それにしても高校に通っていないだなんて……

「こーんにちはー!!」

 ドアの方から元気いっぱいの声がしました。

「プロデューサー、こんにちはー!」

 高槻 やよいさんは僕の前で止まり九十度頭を下げ元気いっぱいに挨拶しました。

「高槻さん、こんにちは」

「プロデューサー、こんにちは」

 高槻さんの後ろには、萩原さんがいました。

「萩原さん、こんにちは」

 二人とも制服姿なので、僕と同じように学校を早退してきたようです。

「そういえば雪歩が男の人を怖がらないなんてすごいね。雪歩は男の人が苦手なんですよ」

 菊地さんが言いました。

「そうなのですか? 全然そんな気はしなかったのですが」

「えっと、プロデューサーなら大丈夫です。私でもわからないけど……」

「もしかしたらプロデューサーが女の子っぽいからかもしれませんね」

「嬉しくないような……」

 そういえばそんなことを福井さんも言ってました。僕ってそんなに女の子っぽいでしょうか。

「あ、もうみんなそろっていますね。それでは向かいましょうか」

 後ろから秋月さんがやってきてそう言いました。

「わかりました。電車に乗って移動しましょう」

「うっうー、わかりました~」

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「うわ~、大きいですぅ」

 有名な雑誌ということもあってか撮影スタジオは大きいです。

「どんな可愛い衣装が着れるかな~」

 菊地さんは嬉しそうな顔で言いました。

 僕の予想だと……いえ、やめときましょう。

「プロデューサー、挨拶を忘れないでくださいね」

「はい!」

 今回は初めてなので秋月さんがついてきてくれていますが、次回からはついてきてはくれません。しっかりとマナーを覚えておきませんと。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「プロデューサー! この服似合ってますか!」

 撮影場で仕事の人たちに挨拶をし終わった直後、高槻さんがやってきました。

「似合ってますよ、とっても可愛いです」

「プロデューサー! この服どういうことですか!」

 次に菊地さんが飛び込んできました。

 菊地さんの服は完全に男用です。しかし、持ち前の顔でイケメンさが増しています。

「しょうがありませんよ。要望してきたのはボーイッシュなのでそういう服になるのは当たり前です」

「確かにそうですけど……ボク、キャピキャピの可愛い衣装が着れると思ってました」

「そういうの、着たいんですか?」

「当たり前ですよ! ボクだって女の子なんですから」

 この姿だと男の子にしか見えないんですが。

「わかりました。次はそういう仕事を持ってきます」

「絶対ですからね!」

 菊地さんがやりたい仕事を持ってくるのがちゃんとしたプロデュースです。でも菊地さんは男用の服を着た方が人気が出ると思います。あれ? ということは菊地さんが人気が出る仕事を持ってくるのが本当のプロデュース? 

「菊地さん、その約束は無しで」

「えぇ!? 早すぎですよ!」

 プロデューサーの僕が見ても、菊地さんは男性服の方が似合ってます。キャピキャピの女の子服を着ているのを想像すると……うへぇ。

「プ、プロデューサー、ここ服どうですか?」

 萩原さんは上も下も白を強調された服を着ています。

「想像以上に可愛いですよ。萩原さん、撮影頑張ってくださいね」

「は、はい」

「高槻さんから撮影しまーす。高槻さん、準備してくださーい」

 と、カメラマンから呼び出しが。

「高槻さん、頑張ってきてください」

「うっうー、がんばりますー」

 高槻さんは走ってカメラマンの方まで行きました。

「あれ? 四条さんは?」

 四条さんの姿が見当たりません。まだメイクか着替えが終わってないのでしょうか。

「あ、貴音なら今来ましたよ」 

 扉の方を見てみると、 

「ぶはっ!!」

 吹き出してしましました。

 四条さんの服は、胸のサイズが合っておらずぴっちぴちでした。

「貴音、それしかなかったの?」

「はい。ですがそれだけで仕事を断ることは恥ずかしきことなのでこのままで受けることにしました」

 それだと僕たち男性陣ダメージが……。いや、この雑誌を読む人は大抵男の人ですから人気が出るかも。男の人は胸が大きい人が好きだと聞きますし。

「四条さん、あんなに胸が……。私なんてひんにゅーなのに……」

「…………」

 大いに撤回させたいですが、それを言ったら変態でしょうか? 

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「いや~だいぶ良かったよ。あの娘たちがもっと人気が出たらまた会う機会があるだろう。そんときは宜しくネ」

「はい! そのときはぜひ!」

 最後の挨拶を済ませ、僕たちは駅へと向かいました。

 撮影が終わりもう夜なので僕たちは駅で解散することになりました。

「プロデューサー! どこかで食べていきませんか?」

「え? 僕!?」

「はい!」

「うーん」

 プロデューサーが女の子アイドルと夕食を食べていいのでしょうか。  

「秋月さん、良いんですか?」

「良いに決まってますよ。見ず知らずの男性だったらダメですけどあなたはプロデューサーなんですから」

「はい。では皆さん、食べに行きましょう。僕の奢りで」

「ほんとですか~!? ご飯代が浮きます~」

「あなた様、どこに行きますか? 私のおすすめではらあめんが……」

「えっと、私は軽いもので」

 うーん、どこか良いところは…… 

「プロデューサー、ご飯を食べに行くのはいいですけど……」

 秋月さんはぐいと顔を僕に近づけて、

「口説いてそのままホテルに……ということはやめてくださいね」

「はは、そんなことしませんよ」

 そもそも僕は女の子を口説けるようなイケメンレベルではないですし。

「て、秋月さんは一緒に行かないんですか?」

「はい。私は余っている仕事があるので」

「そうですか」

 僕も手伝った方が良いのかな。でも今は食べに行く雰囲気だし。

「ほら、プロデューサー、行ってください。彼女たちが待ってますよ」

「はい。お言葉に甘えて」

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「プロデューサー、美味しかったです~!」

「ご馳走さまでした」

「お金の方は大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です」

 でも少し後悔。見栄をはって値段が高めの店に行ったのが間違いでした。僕を含めて五人ぶんの食事代ですし、四条さんがとんでもない量を食べてしまったので、五万と少しの金が吹き飛びました。近々銀行に行かないと。

 皆と話ながら駅まで向かいます。  

「プロデューサーって何歳なんですか?」

「えっと、秘密で」

「え~、でもプロデューサー若いですよね。ボクより年下に見えます」

 うごっ!? 痛いところを突いてきますね。

「雪歩は何歳くらいに見える?」

「え!? 私は……十五歳くらい?」

 ぐは!! なんでわかるのでしょう。身長は高めだと思うのですが。

「おいおい、かわいこちゃんがいるじゃねえかよ」

「ほんとだ。しかも三人も」

 とムカつく声がすぐそこから聞こえました。てかその三人の中に菊地さんも入れてください。

 見ると不良と思われる男が五人、僕たちの前に立ちはだかりました。

「アニキ、かわいこちゃんはもう一人ですぜ。ほら、あいつ女の制服着てやがる」

 やっと気付きましたか。いや、ほんと、何でこんなに治安が悪いのでしょう。

「ひゃぁ」

 萩原さんは菊地さんの後ろに隠れました。そういえば男性が苦手とか。

「お、隠れないでよ~。俺たち何もしねぇからさ」

「あの、退いてくれませんか」

「アン!? なんだテメェ。やんのかあ?」

 いや、なんでそうなった。  

「もしかしたらこいつもそこのやつと一緒で女かもしれませんよ」

「ひゃは、そうかもな!」

 男たちはゲラゲラと笑う。

「さっさと退いてください」

 平和的解決をしたいものですが。さすがに四人を守ってこの人数と戦うのは無茶があります。

「あぁ!? おいおい、俺は女だろうが怪我人だろうが容赦はしないぜ?」

 あ、そういえば僕、怪我をしていました。

「めんどくせえ。ぶん殴って連れていきましょうぜ」

 それ、誘拐。

「プロデューサー、下がってください」

「ここは私と真にお任せを」

 菊地さんと四条さんが前に出ます。

「いや、でも」

「プロデューサーは怪我をしてるじゃないですか」

 それは確かにそうですけど。でも女の子を戦わせるわけには。

「プロデューサーって君たちまさかアイドルだったり? 良いねぇ、アイドルに初めて会ったよ」

 ああ、なんかムカついてきた。 

「かわいこちゃんに殴られるなら良いかも」

 こいつらぶん殴りたいなぁ。

「ぎゃはは、お前Mかよ」

 てか、殺したい。

 そう思った直後、僕の体は既に動いていました。

「え?」

 僕は男の顔を思いっきり殴ります。

「ぎゃば!?」

 男は地面を転がり、電柱にぶつかりました。

「な、なんだこいつ!?」

「プロデューサー!?」

 ああ、もっと。

「テメェ!」

 不良の一人が殴りかかってきましたが、それを難なく避け、顔にカウンターを決めます。

「ぶべ!」

「コイツ!」

 別のやつが殴りかかってきました。が、手のひらで受け止めました。

「な!?」

 そのまま胸ぐらを掴み、背負い投げで地面に叩きつけます。

「ぐえ!」  

 僕はその男から手を離さず、一番近くにいた男に投げつけます。

「ぼえ!」

 あと一人。しかし正面にはいません。

「プロデューサー! 後ろ!」

 萩原さんの声。後ろを見ると、最後の男がナイフを持って突進してくる最中でした。

「死ねぇ!」

 ああ、この距離じゃあ――

「せい!」

 避けきれないと思いましたが、菊地さんが男に飛び蹴りを放ちました。

 男は少し後退します。その後ろには―― 

「貴音、やっちまえ!」

「はあぁ」

 四条さんが男を体を掴み、地面に投げました。

「…………」

 この二人、強い! 

「プロデューサー、すごいですね。あっという間に四人を倒しちゃうんですから」

「はい。合気道や柔道をやっていました」

「ボクは空手をやっていました」

「私は古都で少々」

 四条さんのさっきの技を見る限り合気道かな。

「でもプロデューサー危なかったですね。もう少しでナイフが刺さりそうでした」

「そうだよ、プロデューサー、ボクと貴音に感謝してよ」

「はい、ありがとうございました」

 確かに菊地さんの飛び蹴りがなければ今頃背中にはナイフが刺さっていました。この僕が不良相手に油断をするだなんて。 

「…………」

「ん? どうしたのですか、高槻さん」

 高槻さんが僕の顔をまじまじと見てきます。

「プロデューサーの髪が白っぽくなったように見えましたけど、気のせいだったみたいです」

「面妖な……」

「それ、光の加減じゃない? そこに街灯あるしね」

 髪が白く? カーターさんも同じことを……

「プロデューサー、早く行きましょう。この人たちが目覚めちゃいます」

「は、はい」

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「みんな、お別れだね」

 僕たちは駅に着きました。

「みなさん、家まで送っていかなくて大丈夫ですか? タクシー代も出しますよ」

「さすがにそこまでプロデューサーに迷惑かけられないよ。それに大丈夫、雪歩はボクが送るから」

「では私はやよいを」

「はぁ」

 確かにこの二人に任せておけば安全かもしれません。

「じゃあね、プロデューサー。それとさっきはすごくカッコよかった」

 何だか照れてしまいます。

「じゃあみなさん、気をつけて」

 僕は電車に乗って家に帰りました。                      

 

 

 

 

 




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