「あ、兄ちゃんだ!」
「ほんとだ!」
いつものように仕事を探していると、道で双海真美さんと双海亜美さんと出会いました。
「こんにちは、真美さん、亜美さん」
「「はろはろー」」
彼女たちは一卵性の双子で顔も性格も非常に似ています。
「兄ちゃんは仕事~?」
「はい。仕事を探している最中です」
予想通りにはいってませんが。
「がんばりやさんだね~」
「そんな兄ちゃんにはご褒美をあげないとね」
「そうだね~、買い物に付き合ってもらおうか」
それだとご褒美なりませんし、仕事中……
「あの、仕事中……」
「「し~らいない!」」
僕は亜美さんと真美さんの引っ張られてどこかに連れていかれました。
「兄ちゃん、着いたよ!」
連れていかれた先はどこかの服屋さんでした。
「あの、僕は何をすれば?」
「亜美たちね~、色んな服を着るから兄ちゃんに選んでもらいたいの」
「僕が!?」
責任重大です。女の子二人を服を僕が選ぶなんて……。兄さんに代わってもらいたいです。
☆
「兄ちゃーん、結局どうなの?」
「ちゃんと選んでよー」
「二人が全部似合ってるから選べないんですよ!」
一時間ほど付き合わされていますが、亜美さんも真美さんも着たもの全部が似合っていて決められません。
「んっふっふ~、亜美たちが魅力的すぎるんじゃないの?」
「そうかー、兄ちゃんはロリコンなんだな~」
「断じて違います!」
……断じて違うと思います。
「じゃあ兄ちゃんが全部買ってよー」
「お、亜美ナイスアイデア!」
「そうですね、そうします」
「え!? 亜美たち冗談で言ったんだよ!?」
「いえ、選びきれない僕が悪いんですよ」
僕は全部の服やアクセサリーをレジへ持っていきます。
「お会計、十四万九千二百六十円になります」
「…………」
財布の中を見ます。
「…………」
残金八万円……
「お客様?」
ああ、やばいよーやばいよーカネがー。
と諦めかけましたが、
「クレジットカードで」
「はい、かしこまりました」
危なかったです。クレジットカードの存在を忘れちゃうんですよね。というかクレジットカードを使ったのが今回が初めてかもしれません。
☆
「兄ちゃんありがとー」
「兄ちゃんってやっぱりロリコンなんじゃないのー?」
「違います」
全部で五万ぐらいかと思ってましたが、まさかあんなに高いとは……。最近の服は高いですね。
「兄ちゃん!」
僕の左腕に真美さんが抱きついてきました。
「えっ!? ちょ!」
「じゃあ亜美もー!」
亜美さんが右腕に抱きつきます。
「服をおごってもらったお礼!」
「そうそう! 男の人はこうされると嬉しいんでしょ?」
確かにそうですが。
「両手に花ってやつっしょ」
確かに!! ですが……
「アイドルがこんなことやっちゃいけません!」
と一喝します。
「律っちゃんみたーい」
「似てるー!」
「…………」
笑われる始末。
というか周りの目線が痛い。警察から逮捕されませんかね? 中学生と高校生なら大丈夫?
「よーし、このまま買い物再会だー!」
「えぇ!?」
☆
「はぁ」
結局夜まで二人に連れ回され、今はレストランで食事をしています。
「いや~、こんなに奢ってくれるなんて兄ちゃんは良い人ですなー」
「そうそう、たくさん奢ってくれましたなー」
「そ、れ、は! 二人とも財布を持ってきていなかったからでしょ!」
奢るのはあの服だけにしようと思っていましたが、二人とも財布を忘れたことが発覚。僕が全部払わせられることになりました。周りから見ればエンコーだと思われかねません。
「言っておきますけど、ちゃんと返してもらいますからね」
「か、身体で!?」
「いやん、兄ちゃんのエッチ~」
色気が全然足りません。
「仕事の成果で、ですよ! これを見てください」
僕はバッグから資料を取り出します。
「これってもしかして真美たちに仕事!?」
「ええ。今日の午前に貰ってきました」
内容は、東都スタジアムで行われるサッカー試合の前にチアをやってもらうというもの。
「亜美たちがこんな仕事を!?」
「ええ。一般から募集をしていたのですが急に三人分の穴が空いてしまって、それを取ってきたんです。要望は元気ということでしたから亜美さん、真美さん、高槻さんにお願いしようとしていましたが……受けていただきますか?」
「もちのろんだよ兄ちゃん!」
「こんな大きい仕事初めてだよ!」
それはそれで心配です。
「言っておきますけど、Jリーグの大きな大会ですから観る人も多いでしょうし、他の人たちと遅れている分練習もきついと思いますよ?」
「大丈夫だよ兄ちゃん!」
「そう! 亜美と真美にやれないことはないよ!」
「それなら良いのですが」
色々と心配です。