二重人格のプロデューサー   作:遊妙精進

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今回で一章は終了です
名探偵コナン11人目のストライカーを話の題材にしました


16話 最期の瞬間

「はぁ……」

 僕は教室で大きなため息をつきます。

「お、レントがため息なんか珍しいな。嫌なことでもあったのか?」

 いつものように福井さんが絡んできました。

「あはは、そうですね。少し……」

 理由は誰にも話せません。

 事の発端は昨日、早めに仕事を終わらせ家に帰る途中、兄さんから電話がありました。

 内容は、僕たちが色々な軍隊から狙われていることです。本当はカーターさんが話していた『幻想の殺し屋』ですが、彼と顔が全く同じ僕たちは間違われて狙われる可能性があるそうです。FBIのジョディ先生たちは味方をしてくれるようですが……

 兄さんから聞いた話によると彼、『幻想の殺し屋』さんは、アメリカの大企業の社長の依頼によって日本に来ているらしいです。目的は日本の警察を潰すことで、警視庁を襲うのが目的みたいですが、当然馬鹿らしいと思います。

 まあ、『幻想の殺し屋』さんのお陰で間違いで殺されるかもしれないってことです。

「お、そういや明日のサッカー観に行かねえか? ペアチケットが当たったんだよ」

「明日のサッカーって、東都スタジアムで行われる東京スピリッツとガンバ大阪の?」

「おう! それだよ。観に行かね?」

「無理です。女の子でも誘ったらどうですか?」

 まぁ、僕も行くんですけど。仕事で。

「女の子、女の子……優香ちゃんとかどうだ!?」

「鬼崎さんですか……サッカーには興味がないと思います。そもそも仲が良いんですか?」

「告白したけど振られたぜ」

「…………」

 この人は…… 

「んじゃ、レイナちゃんは?」

「断られると思います」

「んー、じゃあシーナちゃん!」

「知りません。聞いてください」

 面倒。

 

 

 

                  ☆

 

 

 

 土曜日、僕は兄さんから車を借りて、亜美さん真美さん高槻さんを車に乗せ、東都スタジアムへと向かいます。

 え? 高校生なのに車の免許は? もちろん持っています。ま、この歳で免許を取るためには世界から認められる必要があり、アメリカで国連の試験を受ける必要がありますが。

「兄ちゃんの車っていくらー?」

「座席がふわふわです~」

 うん、車の選択を間違いました。二千万しましたとは言えません。

「亜美知ってるよ。ハンドルが左にある車は高いんだって」

 なにそれ、初めて知りました。

「兄ちゃんってもしかしてお金持ち?」

「そうなんですか、プロデューサー?」

「親の車ですから、傷つけないでくださいね」

 本当は兄さんの車ですが。まあ、兄さんの事ですから、例えこの車をスクラップにしても怒らないと思います。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「ああ、もうちょっとだったのにー」

「心臓がバクバクです~」

「サッカーがただで観れるなんてラッキーだね、兄ちゃん」

「…………」

 何故か僕たちは、今行われている東京スピリッツVSガンバ大阪の試合を席に座って観ています。

 本当は、三人の役割が終わりましたらすぐに帰る予定だったのですが、亜美真美さんがサッカーを観たいと僕に抗議。僕は責任者に親の名前を出して、運良く余っていたS席を無料で使えることに。高槻さんも無料という言葉に反応し、この三人に東京スピリッツのユニフォームを買ってあげて今に至ります。

「兄ちゃん、スーツだと目立ちまくりだよ」

「わかっています」

 S席にスーツを着た男はあまり見ないんじゃないでしょうか。自分でもわかっていますが、どちらとも応援していないのでどちらのユニフォームを着たくありません。

「いやー、それにしてもいい写真が撮れたよ」

「ありがとうございます。善澤さん」

 カメラを持った眼鏡で帽子を被っているこの人は、善澤記者。ときどき事務所に社長と話に来ており、今日はフリーなところを、高木社長に頼まれてこの三人が踊っているところを写真に納めてくれました。

「それにしても悪いね。私までサッカーを観させてもらって」

「いえいえ。」

「はぁ」

 つまらないなと、僕はふと上を見ます。

「…………え?」  

 見間違いと思い、目を凝らして見ます。

「……」

 見間違いではありませんでした。

 スタジアムの上の鉄骨。その鉄骨の上をスケートボードで移動するメガネを掛けた小学一年生ほど子供がいました。しかも、その男の子は僕の知り合いです。

「コナンくんが……」

 彼の名前は江戸川コナン。小学生とは思えないほどの頭脳を持っており怪しい人物です。

 そんな子供が鉄骨上を移動して、ホーム側へと向かっています。

 ……絶対何かがあります。

「ごめんなさい、ちょっとトイレに行ってきます!」

「はーい」

「「いってらー」」

 僕は走ってホーム側の席へと移動します。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「もしもし!? コナンくんですか!?」

 ホーム側の席に着き、僕はコナンくんへと電話を掛けました。

〈レ、レント兄ちゃん? どうしたの?〉

 コナンくんの声です。

「さっき、コナンくんが急いでホーム側に移動していくのを見ました。何があったんですか?」

〈レント兄ちゃんここに?〉

「ええ。何かとんでもないことが起きようとしているのでしょう?」

 コナンくんといると、大体とんでもないことが起こります。

〈実は、電工掲示板を吊るす柱にいくつもの爆弾が取り付けられているんだ。ボクが――〉

「わかりました!」

 僕は電話を切って、電工掲示板の裏へと向かいます。

 着くと、柱にとんでもない数の黒い物体が取り付けられています。これが爆弾でしょう。

 上の方を見ると、コナンくんがぶら下がって爆弾を解除しているのが見えました。小学生で爆弾を解除するなんてやはりすごい子供です。

 僕の携帯に電話がきました。

「はい!」

〈レント! オレは一番大切な柱の爆弾の解除をするから、近場の爆弾を解除してくれ! 頼んだ!〉

 と言われて切られました。小学生の態度とは思えません。

 何故ここに爆弾が仕掛けられているのか、誰が仕掛けたのか、そもそもどうやって仕掛けたのか全てが不明ですが、このまま爆弾が爆発すれば、観客に莫大な被害が出ることは間違いないです。

 僕はカーターさんから頂いたナイフをスーツの内側から取りだし、爆弾の解除に移ります。

 例によって僕は爆弾の解除方法も習っていますので、手につく爆弾を片っ端から解除していきます。

 

 

 

                   ☆

 

 

 

 あれから二十分ほどが経ちました。

 ホーム側やその近くの観客席の人々は避難のため、グラウンド内に入っています。

「コナンくん!」

 爆弾のタイマーは、あと四十秒と表示されていました。

 コナンくんは鉄骨に伸縮自在のベルトを付けて下りてきました。

「あとはこのベルトをあの柱に付けるだけだ!」

 なるほど。爆発して電光掲示板が観客席を潰しながら落ちていっても、グラウンドに届かないようにするようです。

 まぁ、気休め程度にしかなりませんが。

「あと三秒!」

 結局爆弾を全部解除することは出来ませんでした。あとは祈るだけです。

 

 

 大爆破が起こりました。熱風が吹き荒れ、電光掲示板を吊るしている柱をどんどん破壊していきます。

 僕はコナンくんを爆風や飛んでくる瓦礫から守るため抱き締めて背中で防ぎます。

「あっ」

 ゴッと、頭に硬いものがぶつかり、僕の意識は途切れました。

 

 

 

「レント、レント!!」

 体が揺さぶられます。コナンくんの声が聞こえてきますが、意識がはっきりとしません。

 バキバキと、耳に響く音がしてきました。鉄骨が折れる音でしょうか。

「まずい!! 逃げろーー!!」

 コナンくんの叫び声と共にガラガラと何かが崩れていく音。電光掲示板が観客席を巻き込み、グラウンドに下っているようです。

「うぐぐ」

 僕は意識がはっきりとしないまま立ち上がります。

「レント! まずい、柱が!」

 見ると、電光掲示板は、グラウンドに少し入って、斜めっていて止まっていました。しかし、それベルトでを繋ぎ止めている柱は、電光掲示板の重さに耐えきれず今にも壊れそうでした。

 もし、この柱が壊れたとしたら電光掲示板はグラウンド側へと落下します。 

 柱はビキビキと音を立てています。

 このままではやばい。

 そう思うと、既に体が動いていました。

 俺は観客席を走って下る。   

 グラウンドを見ると、ほとんどのやつが止まっていて呆然としている。

 グラウンドに降り立った直後、柱が壊れる音がした。

「くそ!!」

 電光掲示板はグラウンドへ倒れてきている。しかし、皆パニクって動いていない。

 電光掲示板が落ちてくる範囲には、まだ十人の人間が残っていた。掲示板が落ちてくるまであと三秒もない。

「うおおおおおー!!」

 俺は全力で走り、電光掲示板の下にいるやつらを掴んで落ちる範囲外までぶん投げる。

「うらぁぁ!」

 これじゃ全員救えない。

 手荒だが、残りは殴って蹴って吹き飛ばす。

 ラスト一人、というところで、電光掲示板が地面に落下するまであと二メートルほどになっていた。

「クソがぁぁぁ!!」

 残りは茶髪で頭にサングラスを掛けた女だけ。俺と女の距離は五メートルほど。俺の体はもう動けないと悲鳴をあげている。

 ああ、この女を助けても俺は助からないだろうな。

 俺は自分が出せる力すべてを発揮し、女の服を掴んでぶん投げる。

 グラウンドを見ると、あいつら三人の姿が見えた気がした。あいつらさえ無事ならいいや。

 次の瞬間、電光掲示板は俺の体を容赦なく潰した。

 

 

 

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一章……長かった
二章は来年以降になります
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