二重人格のプロデューサー   作:遊妙精進

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最近肌寒くなってきましたね


3話 スカウト

次の日。

 まだ入学して二日なので、一時間目から四時間目まで色々なオリエンテーションが行われます。

 今も先生の説明があっていますが、とても気になることがあります。

 それは、後ろの方の席からの視線です。

 一時間目からずっと見られているような気がして、ソワソワしてしまいます。

 道を歩くと、よく女の子に見られることはあるのですが、どうにもこの視線は、いつものと違うような。

 前に銃撃戦をしたことがあるのですが、そのときの感覚に似ています。殺気……というものでしょうか? 

 しかしそうなれば、僕を見ている人は僕に恨みがあったりするのでしょか? 高校生から恨みを持たれることはしてないはずですが。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 四時間目も終わり、長谷くんは何やら用事があるということで、僕は一人で帰ることになりました。

「ん?」

 駅に行く途中、僕はふと、たるき亭という飲食店の窓に貼られた紙を見ました。

『プロデューサー募集!! 興味がある人は三階の事務所まで』

 とその紙に書かれてありました。

 ビルの三階を見ますと、『765』と窓にガムテープのようなもので書かれてありました。

 『765』は恐らく『ナムコ』と呼ぶのでしょう。

「ん? 君、興味あるのかい?」

 急に後ろから声をかけられ、ちょっとビックリしました。

 振り返ると、茶色のスーツを着た男性がいました。年齢は五十代後半ほどでしょうか?

「ただ目に映ったので、見てみただけです」

 この男性は広告の事務所の関係者でしょうか?

「ふむ。そうか。突然だが君、我が765プロダクションでプロデューサーをやってみないかい?」

「…………はい?」

 突然すぎて頭が追い付きません。

「あの、理由をお聞きしても?」

「その面構えにティンときたからさ」

 ……よくわからないのですけど。

「そもそも何のプロデューサーですか?」

「ほう! やっぱり気になるのかい?」

「まぁ、一応は」

「フフフ、ズバリ! アイドルだよ!」

「すいません。お断りします」

「えぇ!?」

 アイドルのプロデューサーなんて普通に無理ですね。僕、しゃべるほうではないですし、そもそも、

「未成年ですし」

 僕みたいな高校生がプロデューサーなんて出来るわけがありません。

「年なんて関係ないのだよ。うちに一人、女性のプロデューサーがいるが、その子も未成年なのだよ」

 なんだが、どんどん追い込まれているような気がしてきました。

「すいみません! 考えておきます!」

 これ以上ここにいたら、絶対に引き込まれてしまいます。

 僕は逃げるように走り出しました。

「我が765プロはいつでも君を待っているぞー!」

 ……こわいです。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 走るのをやめ、歩いて駅の近くまで行くと、駅の近くのファーストフード店から福井さんが出てきました。

「おー! レントじゃん! 奇遇だなぁ!」

「や、やぁ、福井さん」

 福井さん……苦手です。全部が苦手です。

「今帰りか? いっしょ帰ろうぜ。レントもあの駅だろ?」

「は、はぁ」

 どうやら福井さんと一緒の駅だったようです。今まで駅で会わなかったのは単に乗る時間が違ったということでしょう。

「レントって一人暮らしか?」

「いえ、家族と住んでいます」

 家族と言っても、両親や兄とは別々ですが。

「へぇ、オレは一人暮らしだ。家族は遠いところにいてな。高校生になって一人でこっちに来たんだよ」

「福井さんは料理が出来ないのですか?」

「え? なんでわかったんだ?」

「そういう風には見えませんので」

「うわ、ひど!」

 多分、さっきみたいにファーストフード店やどこかの飲食店で昼や夜を過ごしているのでしょう。

『我が765プロはいつでも君を待っているぞー!』

「…………」

 さっきの男性の言葉が頭から離れません。

 ちょうど知り合いの人もいるので聞いて判断の材料にしましょう。

「あの、福井さん」

「んー?」

「もしも、もしもですよ? いきなりアイドルのプロデューサーになりませんかと言われたらどうしますか?」

 何この変な質問。自分でもおかしいと思います。

「そりゃやるよ!」

 と即答。

「どうしてですか?」

「んー? そりゃ女の子に囲まれたら男はみんな嬉しいだろ? もしかしたらアイドルとプロデューサー、禁断の恋! みたいなことにもなるかもしれないじゃないか!」

 はい、全然、判断材料になりませんでした。そもそもアイドルは女の子限定ではないのですが。

 まぁ、聞く人が間違っていましたね。

 




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