二重人格のプロデューサー   作:遊妙精進

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この話まで来るのに一か月以上かかってしまいました
更新ペース……早くしたいです……



4話 765プロ 前編

 昼休みになり僕と長谷くんは屋上で弁当を食べます。

「――ということがあったのですが、どうすれば良いと思いますか?」

 僕は昨日の帰りに起こったことを、長谷くんにありのままで話しました。

「俺ならやるな」 

 予想外の答えが返ってきました。

「どうしてですか?」

「俺のことだからその事務所のアイドルはみんな人気が出るに決まっているだろ? そしたらアイドルたちを使って色んな会社に恩を売るんだよ。将来のことを考えたら絶対にやるね」

 流石は長谷くん。すごい自信です。

 長谷くんは将来、長谷くんのお父さんが重役をしている会社を乗っ取る夢があるのです。

「それならその事務所に案内しましょうか? やりたいのでしょう?」

 長谷くんがプロデューサーになれば、長谷くんの言う通り、その事務所のアイドルは、人気が出ること間違いないでしょう。

「断らせてもらうよ」

 またもや予想外の答えが返ってきました。

「え? どうしてですか? さっきは……」

「ああ、やりたいって言った。でも誘われたのはレント、お前だ。その誘ってきた人もお前にやってもらいたいと思ったから、誘ったんだ。俺が出る幕じゃないよ」

「えぇ……じゃあ僕はどうしたら……」

「プロデューサーになってみれば良いだろ? アイドルのプロデューサーなんてそうそうなれるもんじゃないぜ」

 確かにそうですが。

「でもやれる自信なんてないですし、というかまだ高校生ですし」

 あの事務所に所属しているアイドルは同級生や年上の方もいるでしょう。なめられるのが普通です。

「だからさ、その誘ってきた人もそこら辺のことわかっているに決まってるだろ? 全部考えて誘ったんだと俺は思うぜ」

「そ、そうかな?」

「ああ。とりあえずやってみればいい。無理だったら辞めればいいんだからさ」

「ええ!? 無責任じゃ……」

「お前の本業は高校生だからな」

 なんだかどんどん僕がプロデューサーをやる方向に向かっているような。

 いえ、でもせっかくの珍しいチャンスです。

 長谷くんの言う通り、将来のため。色んな会社に恩を売ることも出来ますし、その業界の勉強にもなります。 

「長谷くん、ありがとうございます。プロデューサー、やってみます」

「ああ、その意気だ」

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「うう、緊張します」

 僕の目の前には、あの事務所のある雑居ビルの入口が構えています。

 やると言いましたが、いざ! となると勇気がでません。本当に僕がやってもいいのでしょうか?

「そこのスーツさん。事務所に何か用なの?」

「うわぁ!?」

 いきなり話しかけられて体が飛び上がるほど驚きました。

 スーツさんというのは僕のことでしょう。

 僕は今、スーツを着ています。理由はというと、出来るだけ高校生というのを隠そうかとしているからです。年が近いとなめられそうです。僕の思い過ごしかもしれませんが。

 声の正体を知るために振り向くと、女の子がいました。

 金髪のロングヘア、頭のてっぺんにはアホ毛、そして美しいスタイル。誰が見ても美少女と言えるほどの女の子。

「? どうしたの?」

「あっ、すいません」

 うう、あまりにも可愛かったから見とれてしまいました。

「あの、この事務所の責任者に会いたいのですが」

「そうなの? じゃあミキが案内するの」

 ミキさんという方は、やっぱりこの事務所のアイドルでしょうか?

「あ、ありがとうございます」

 階段を昇り三階へ向かいます。

「ここが事務所なの」

 ミキさんはドアを開け、僕を中に入れさせます。

 外からも見てわかっていたのですが、やはり相当小さい事務所です。346プロは例外ですが、他の事務所よりも小さいことは明らかです。

「この部屋にいると思うの」

 事務所に入ってすぐ左手の部屋。プレートに社長室と書かれてあります。

「…………」 

 確かに責任者と言いましたが、いきなり社長に会うことになってしまいました。

 緊張度が最高まで上がってきました。

「社長ー、お客さんなのー」

 ミキさんはドアをノックしました。

「ん? 入って来てくれたまえ」

「はい。案内ありがとうございます」

 ミキさんに礼を言い、僕は社長室に入ります。

 社長と思われし人が椅子に座っていました。

「おお!? 昨日の子じゃないか!」

「…………」

 声で大体予想はついたのですが、この事務所の社長、昨日僕をプロデューサーに誘った本人でした。

「あ、あの」

「ほら、ここじゃゆっくりできないから座れるところに移動しようか」

「は、はぁ」

 僕と社長は部屋の外に出て、ソファーがあるところに移動しました。

「どうぞ」

 机にお茶とお菓子が置かれました。

 おもてなしをしてくれた女性を見ます。

 緑の髪の女性の女性。服装から考察するに、事務員でしょうか? アイドルをやれそうな美しさはあるのですが。

「ここに来てくれたということは、昨日の件、引き受けてくれるということかな?」

「はい」

「決心した理由を聞いてもいいかな?」

「はい。友達から薦められたということもあるのですが、一番は自分の将来のためだと思っています。この業界のことも色々勉強出来そうですし」

 ここで嘘をついてもしょうがないので、僕は本当のことを言いました。

「はっはっは、やはり面白いね。君を誘ってみて正解だったよ」

「では……」

「ああ、君を我が765プロダクションのプロデューサーに任命しよう。歓迎するよ」

「あ、ありがとうございます!」

 意外に早く決まりました。もっと質問やプロデューサーになるためのテストを受けさせられると思っていたのですが。

「では、この書類の項目を埋めてくれないかな。それとなけれいいのだが、経歴書があれば私としても助かる」

 えぇ……経歴書はなければダメだと思うのですが。

「こちらを」

 僕はバッグから、家で大急ぎで作った経歴書を取り出します。

「ふむ。では……」

 社長は僕の経歴書を見ます。

「ほほう! ふむふむ。なるほどなるほど」

「…………」

 この反応は良い反応なのでしょうか。

「君のことは大体わかった。やはり私の勘は当たっていたね」

「は、はぁ」

 僕は出された書類に手をつけます。

「なになに? お客さん?」

「けっこう若い人だぞ」

「お、男の人ですか?」

「う~ん。顔は女の人っぽいけど男用のスーツを着ているから男じゃないかな」

「…………」

 女の子たちが集まって来ました。この人たちが765プロのアイドル。僕がプロデュースしなければならない人たち。

 そう思うと静まっていた心臓の鼓動が再び激しくなってきました。

「あの、書き終わりました」

「ふむ。必要な書類はまだあるが、それは後日でも良いだろう。おめでとう! これで君は正式に765プロダクションのプロデューサーだ!」

 もう……後戻りは出来ません。

 

 

 




後編は自己紹介に入ります

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