二重人格のプロデューサー   作:遊妙精進

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今回は下手な戦闘シーンが繰り広げられます
自分も読んでいてなんだこりゃとなりました。


7話 戦闘

「あ……あぁ……」

 遅れて僕の左手に激痛が走ります。

 左手に刺さっているのはダガーナイフでした。

 何でこんなことに……?

 思い返しますが、全くもって心あたりがありません。

「がぁああ!!」

 痛みをこらえ、左手からナイフを抜きました。

「くぅ……」

 ナイフを抜いた途端、手のひらから血が大量に滴り落ちていきます。

 僕は抜いたナイフを右手で構え、辺りを警戒します。

 ナイフを投擲して僕の左手に刺したということは、すぐ近くに敵対する人物がいるということです。しかもこんな人通りの少ない中、気配を感じなかったということは相当手練れです。

「ふ、貴様なら避けると思ったがな。勘が鈍ったんじゃないか?」 

「……え?」

 聞き覚えのある声でした。

 僕は声のした方を見ます。

「え? え? 何で……」

 そこには白人の女の人が立っていました。紫の長髪に僕と同じくらいの身長。

「何でカーターさんが……」

 女性の正体は、クラスメイトであるシーナ・カーターさんでした。いつもと違うのは、学校の制服ではなく、 真っ黒の戦闘服のようなものを着ているところでしょうか。

「ふふ、久しぶりだな、『幻想の殺し屋(ファントムキラー)』。貴様に会いたかったぞ」

 『幻想の殺し屋』? 彼女は何を言っているのでしょう。

「あの、何か勘違いをしているのでは?」

 左手の激痛を我慢して指摘します。

「とぼけるつもりか?」

「あの、本当に、カーターさんに会ったのは高校生になってからですし、こんなことをされる記憶もないのですが」

「貴様……貴様が覚える価値もないほどの人間と私に言いたいのか?」

「いや、そうではなくて――」 

 本当に知らないと言おうとすると、カーターさんがポケットからダガーナイフを取りだし、僕の顔に向けて投げました。

「わっ!?」

 頭を左に傾けて避けます。ですが、かすってしまい頬に一筋の傷が出来、血が垂れ流れます。

「今のを避けるほど動体視力、反応。これでもうとぼけられないな」

 カーターさんは本当に僕を殺したいようです。

「…………」

 とりあえずここはカーターさんと戦いましょう。逃げても背中を狙われてしまします。それに鎮圧したあとに話を聞いた方が良さそうです。グダグダしてる間に殺されたくありません。

 僕はナイフを構え直します。

「やっと殺る気になったか」

「カーターさんの言っていることは本当にわかりません。ですが、自分の身を守るためにも戦わせてせてもらいます」

「は、言ってろ!」

 カーターさんはそう言い放ち、一気に距離を詰めて、僕の顔に殴り掛かってきます。

 今のところは素手。しかし、ナイフはまだ隠し持っているでしょう。

「はっ」 

 僕は左へステップして避けましたが、彼女は、避けることに気づいていたかのように僕の腹目掛けて蹴りを放ちました。

「がっ!?」

 右手でギリギリ防ぎますが、まるで大男に突進されたような衝撃が体を襲いました。

「せい!」

 ナイフを彼女の首目掛けて振りますが、後ろにステップされて避けられます。

 やはり相当の手練れのようです。一筋縄ではいきません。

 そもそも僕は力では彼女に勝てません。身体能力は平均以下。今までの敵は合気道で倒してきましたが、戦闘のプロにはあまり通用しませんでした。彼女にも通用しない可能性が大です。そもそも合気道自体が強いダメージを与えるものではありません。でもまずはやってみます。

 カーターさんはまたもや殴り掛かってきましたが、それを避け、片手を右手で掴み顔に左肘を喰らわせます。

「くっ」

 あまり効果はないようなので、腕を掴んだまま左手で肩も掴みます。

「うっ!」

 左手に激痛が走りますが無視をして、カーターさんの足を引っ掛け、地面に倒させます。

「観念してください!」

 カーターさんの首筋にナイフを当て降参を求めますが、彼女は体をくるりと回転させ、僕を蹴りあげながら何事もなかったかのように立ちました。

「合気道か。初めて体験したよ」

 余裕の顔で彼女はそう言いました。

「良い体験が出来ました、ね!!」

 僕は手に持っていたナイフをカーターさんに投擲すると同時に走り出します。

「ふん」

 カーターさんは避けるという行為をすることなく、ナイフを素手で弾きました。

 僕はその瞬間を狙い、ジャンプして腕で彼女の頭を抱え込み後ろにたおして地面に叩きつけます。

「がっ!?」

 少しは効いたようですが、するりとまた立ち上がりました。

「合気道ばっかりを使っているが腕は落ちていないようだな。では私も本気でいかせて貰おう」

 カーターさんは後ろに両手を後ろに回し、刃物を取り出しました。黒塗りのサバイバルナイフを二本構えます。

 完全に不味い状態です。

 僕はスーツがナイフでズタボロにされないように脱ぎ捨てました。防御はガクッと下がってしまいましたが、しょうがありません。あのスーツ結構高いので。

 僕とカーターさんはにらみ合います。カーターさんはサバイバルナイフを持っているので僕よりもリーチが十センチほど長く、こちらから行くのは安全ではありません。

「来ないのならこちらから行くぞ!」

 彼女は二本のナイフを交互に振ってきて、僕はギリギリで後ろに下がりながら避けます。いえ、完全には避けられていません。ナイフの刃が僕の身体にかすり続けています。反撃したいですが、ナイフを振るスピードが速く腕を掴むチャンスがありません。

 後ろに下がり続けると、背中が何かにぶつかりました。

「え?」

 後ろを見ると、ビルの壁がありました。

「死ね」

 ナイフで顔を刺そうとしてきましたが、間一髪で首を傾け避けます。

 ナイフは壁に深々と刺さっていて、取れないのか彼女はナイフを離し、僕の顔を殴り付けました。

「がっ!?」

 あまりの衝撃に僕の身体は吹っ飛び、地面をゴロゴロと転ります。

「あぁ……」

 口の中が鉄の味で満たされ、ドロドロした液体が喉の奥から出続けます。

 彼女の攻撃は一撃一撃が重く、まともに喰らうと大ダメージを受けてしまいます。さっきの一撃は気絶していてもいいぐらいです。

「もう終わりか?」

 と、カーターさんから挑発の言葉。しかし、さっきの一撃で身体が思うように動けません。

 ――こいつを殺す。

「……本当に『幻想の殺し屋』か疑うほどだな」

 最初から違うと言ってましたが……

 ――ぶっ殺す。

「まぁ貴様が弱くなったところで復讐は果たすが」

 カーターさんはナイフを腰にしまい、僕の両肩を掴んで膝で腹を蹴りあげました。

「アが!?」

 それが五度続き、胸ぐらを掴まれ放り投げられます。

 ゴンッと、投げられた先は電柱だったようで頭を強く打ちました。

「…………あ」

 目の前が真っ赤になりました。どういうことだろうと目を擦って見ると、手には、赤い液体が付着しています。頭からも血が出てきたようです。

「ゴホッゴホッ!」

 急に咳がこみあげてきて、地面に大量の血をビチャビチャと吐き出します。

 頭はもうふらふらで視界が揺らぎます。血を流しすぎたようです。

 ここで眠ったら死んでしまう……。この女を殺シタカッタけど、それは果たせそうにありません。

 え? 殺すのではなく制圧が目的だったのですが。……まあいいでしょう。今は殺シタイ気持ちでいっぱいいっぱいなのですから。 

 何とか意識を保とうとしましたが、僕の意識は途切れてしまいました。

「…………気絶したか」

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 ん? お?

 頬が冷たい。どうやら俺は地面に倒れているようだ。

「…………」

 指を動かす、瞬きをする、目を動かす。俺は自分の身体を動かしている。

 なるほど、弱い方の俺が気絶したから意識が入れ替わったのか。 

 あ~、身体中が痛いな。気分もくそ悪いし。ほんと、俺の身体は弱すぎて嫌になるぜ。

 地面に寝てると顔が冷たいので俺は起き上がることにした。

「よっと」

 何で地面に倒れていたのかは生中継で見ていたので理解している。

 オンナを見ると、驚愕の表情で俺を凝視した。

「な、貴様……それは一体……」

 ? オンナは何に驚いているんだ? 俺の顔に何か付いてんの?

 俺はビルの窓ガラスを見る。窓ガラスには、俺が写っていることは確かなんだが、髪の色が違っていた。

「おっお……お?」

 俺の髪の毛と眉毛は黒から白へと変わっていた。真っ白の髪の毛。何か病気のやつみたいだ。 

 何で髪の色が変わったのかは知らんが、別にどうでも良い。

「おい、オンナ。俺、ずっと暇してたんだよ。良い相手になってくれるだろうな?」 

「どういう手品を使ったかは知らないが、意識ははっきりとしているようだな。行かせてもらう!」   

 オンナは俺の顔を殴ろうとしたが、俺は左手で受け止める。 

「なっ!?」

「あ~、いて~」

 そういや、左手はナイフで貫かれてるんだった。まぁいいや。

 俺はオンナの手を握り潰す。

「ああっ!?」

 バキバキと指の骨がが折れる音がした。オンナは俺の腹を蹴って手を離させる。

「おいおい、痛いじゃん」

 腹が蹴られて痛かったので、オンナの腹を思いっきり殴る。

「カ……ハ……」

 腹を貫く気で殴ったのだが、貫けてないし、意識はまだある。

 右手で首を絞め持ち上げる。

「ア……ア」

 それだけでオンナは目をグリンと回し口から泡を吐いた。

 どうやら腹を殴られたことが相当だったようだ。

「さあ、どうぶっ殺そうかな」

 このまま首の骨を折って終わらすのはつまらない。道具はナイフだけで十分だ。目を抉り取ったり鼻や耳を削いだり指を切り落としたりなど様々なことが出来る。

 色々と考えていると、身体が急に重くなるのを感じた。

「な、何だよ……」

 意識がふらつく。身体中が痛い。

「くそ、制限時間があんのか……」

 あっちの俺が気絶したときに入れ替わったから俺が気絶する際にまた入れ替わると思ってたが、どうやら数分という制限時間が掛けられているようだ。

「あとは……精々うまくやれよ」

 俺の意識はここで途切れた。

 

 

  

 

 

 




7話目にしてようやく二重人格要素がでてきましたね
『幻想の殺し屋』さんは『とある妖刀使いの物語』の12話依頼 に登場していますので気になる方は見てください
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