二重人格のプロデューサー   作:遊妙精進

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久しぶりの投稿です


8話 怪我

「ん? あ……れ?」

 僕は目を覚まします。

 えっと? なぜ僕は眠っていたのでしょうか?

「うわっ!?」

 立ち上がろうとすると、体がぐらつきました。

「うっ!」

 全身が痛いことに気付きます。

 だんだん思い出してきました。

「は!? カーターさんは!?」

 全てを思いだし、辺りを見渡します。

 すると、ほとんどの目の前にカーターさんが倒れていました。

「え?」

 あれ? 気絶したのは僕の方だと思っていましたが、あれれ?

 血の出しすぎで、記憶が曖昧になっているかもしれません。本当は相討ちだったのでしょうか?

 僕はカーターさんに近寄り、様子を見ます。

 カーターさんは目は虚ろで、口から泡を吹いて倒れていました。首の部分はまるで手で絞めたかのように赤くなっています。

 体はピクピクと動いているので一応、生きてはいます。

「とりあえず人目の付かないところに……」

 僕は脱ぎ捨てていたスーツを着て、カーターさんの足を引っ張って路地裏へと運びました。

 そしてカーターさんの服の中に手を入れて持ち物検査を行います。

「…………」 

 カーターさんが持っていたのは、ベレッタ社の拳銃、サプレッサー、ナイフ五本(落ちていたのも含めて)、止血剤、包帯、消毒液。

 とりあえず手に包帯を巻きます。血はなぜかほとんど止まっているので、止血剤は必要ありません。

「…………う~ん」

 ベレッタのマガジンを見てみると、ちゃんと弾が入っており、本物だとわかりました。

 もしもカーターさんが僕にナイフを刺さないで、銃で撃っていれば、僕は既に死んでいたでしょう。

 カーターさんが何者なのかすっご~く気になりますが、まずは買い物を終わらせなければなりません。明日、学校でちゃんと話しましょう。警察に通報したほうが良いのですが、カーターさんが言っていた『幻想の殺し屋』。僕をその人と間違えるぐらいです。その正体は兄さんしか考えつきません。兄さんはよくテロリストや犯罪者と戦っていますので、カーターさんに何かのうずくまった。恨みを買われたのかも

 僕は、銃、サプレッサーをスーツの内ポケットに、ナイフをベルトとズボンの間に差し込みます。

 明日、カーターさんがまた襲い掛かってきたら容赦なくこの銃で撃つことにしましょう。死にたくありませんので。

 僕はコンビニへと足を急がせます。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「すみません! 遅くなりました!」

 僕は勢いよく事務所のドアを開けました。

「ちょっと! 遅すぎよ、レント! ひっ!?」

「プロデューサーさん、おにぎり買ってきてくれた? て、きゃあ!?」

 みんなが僕の顔を見て、驚愕の表情をしています。

「? 僕の顔に何か?」

「プ、プロデューサー、不良に絡まれたんですか?」

 と、秋月さん。

「え?」

 僕は、とりあえず立て掛けられている鏡で自分の顔を見ます。

 鏡には、顔中血だらけで傷だらけの僕の顔が写っていました。

 完全に血を拭くのを忘れてました。コンビニ店員が怯えていた理由はこれですか。

「じ、実はそうなんですよ! 不良に絡まれてしまって! 頭をバットで殴られてしまったんですよ~、ははは」

 うわ、言ってから思いましたけど、完全に警察沙汰になる事件じゃないですか。

「プロデューサー、とりあえず手当てを」

 僕は、秋月さんから治療を受けました。

 受け終わると、

「で、どうしてプロデューサーはこんなことに?」

 と、当然の質問が。

「コンビニまで行く途中で、不良数人から絡まれてしまいまして、怪我を負わされるも何とか撃退して買い物を済ませて帰ってきました」

 うん、東京なら普通にありそうな話です。   

「いやいや~、兄ちゃんのそのひょろひょろな腕じゃ撃退なんて無理っしょ~」

「そうですぞ~、見えを張ろうとしてますな~」

「亜美と真美は黙ってなさい。プロデューサー、あなたが警察に行かなかったのは公にしたくないからと?」

「は、はい。彼女たちにも迷惑をかけたくないですし」

 彼女たちとはもちろん765プロのみんながのことです。

「私としては警察に行ってもらいたいです。この怪我じゃ相手も本気でしたろうし」

 確かに本気でしたね。

 警察に行って、病院で治療を受けるのが普通です。不良に襲われたことにすれば、警察が徘徊するくらいですむでしょうが、病院で治療する場合、手の傷も見られてしまいます。手がナイフで貫通されているので殺人未遂になることは間違いありません。というかそもそもポケットと腰に、凶器があるのですが。これ見られたらヤバイです。

 う~んと考えたところ、すっごく良い案が思い付きました。

「秋月さん、実は不良に襲われたなんて嘘です」

「え?」

「階段から落ちました」

「それ、本気で言ってます?」

 秋月さんの睨み付けが僕の心を襲います。

「はい、階段で転んだなんて恥ずかしくて、だから嘘を付いたんです」

 

『………………』

 

 

 数秒の沈黙が流れ…… 

「わかりました。そういうことにしておきましょう。転ばないように気を付けてください」

 そう言って秋月さんは机の方に戻っていきました。

 はあ、完全に気付かれていますが、見逃してくれたことに感謝しましょう。

「プロデューサーさん!」

 天海さんが近づいてきました。

「転ぶことなんて恥ずかしいことじゃありませんよ! 私だって一日に何回も転んでしましますし」

 それはそれでヤバイのでは?  

「そうだぞ。まあ春香は転んでもプロデューサーみたいに怪我なんかしないけどな」

 と我那覇さん。

「兄ちゃんは鍛えたら? そして亜美たちをボディーガードみたいに守ってくれるみたいなことしてみてよ」

 普通の不良から守れる自信はありますが。

 そろそろ帰る時間になりました。

 まずはこの手の手当てをしませんと。

 

 

 

                   ☆

 

 

 

「それでここに来たと?」

「はい、すみません、メグミさん」

 僕が今いるのは、神奈川県にある理化学研究所の中。そして僕の目の前にいる白衣を着た黒髪の短髪の女性は、黒瀬メグミ。僕たちの家に住んでいて、メグルくんのお姉さんです。メグミさんは夜に仕事に行って朝に帰ってきます。僕たちが学校に行っている間はメグミさんが祖父の面倒を診てくれています。   

「少年がこんな大怪我を負うってことは相当な相手のようだな」

「はい、女の子でしたが、今まで戦ってきた人たちよりも強かったです」 

 僕は手の包帯を取り、メグミさんに見せます。

「うわ~、これは痛そうだな。血は止まっているようだが」

「はい、気絶から目が覚めたら血は止まってました」

「少し痛いぞ」

 傷口がメグミさんに触られます。痛いなんてもんじゃありません。叫びたいぐらいです。よくこの状態で戦っていましたね。不思議です。

「ふむ、第三中手骨と第四中手骨の隙間に刺さっていたようだな。レントゲン撮るぞ」

 メグミさんはこんな感じで手慣れています。今までも、病院には行けない怪我をここで治してもらいました。メグミさんにはとても感謝しています。

 レントゲンも撮り終わりました。

「みたところ骨に異常はない。普通なら手術をするところだが、しばらく包帯のままでいてくれないか?」

「え? 大丈夫なんでしょうか?」

「少し様子を見てみたい。まあ……多分大丈夫」

「…………」

 信用出来ないんですが。

「もちろん雑菌が入らないように常に包帯を付けとけ。水に浸けるなよ。痛みで気絶しちゃうかも」

 うひゃあ、大変そう。

「二日後、また見せに来てくれ。もし私の予想が違ったらその時に手術をするよ」

「はい」

 予想とは何でしょう? もしかして傷が治ってるとか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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