第5護衛隊群出撃録 〜17 wake till the end〜   作:しがみの

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どうも。Aobaです。今回から作品名を変えさせていただきました。
後、資料にある艦名の命名がおかしいとの意見がありましたが、それは、一応理由があります。まだ言えませんがね・・・。


第13話 会談

城本統括提督が操船するタグボートは、停泊している潜水艦や輸送艦、補給艦の横をすり抜け、旗艦〝しょうかく〟の舷梯に接舷し、舷梯の階段を上り、〝しょうかく〟艦内に入った。そこには沖波司令や、各護衛隊司令、各艦の艦長(一部副長)、各艦の艦娘、〝しょうかく〟副長兼砲雷長、船務長、航海長が敬礼し、整列していた。城本提督や吹雪は、沖波司令の前に立ち、敬礼した。

 

「横須賀鎮守府統括提督、城本海将です。」

 

「秘書艦の吹雪です。」

 

「第5護衛隊群司令、沖波海将補です。」

 

「遠洋、ご苦労さまでした。」

 

「は。ありがとうございます。」

 

沖波司令は、城本提督にお礼を言うと、「こちらです。」と言い、城本提督と吹雪をブリーフィングルームに案内し始めた。それに続き、各艦隊司令や、艦長、艦娘がブリーフィングルームに向かい始めたが、〝しょうかく〟船務長が同艦副長兼砲雷長の漣にあることを聞き、航海長と共にブリーフィングルームとは逆の方向に走り始めたのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、〝しょうかく〟艦内厨房では、園守(そのがみ)士長と拝島(はいじま)一士がブリーフィングルームに持っていくコーヒーと茶菓子を用意していた時、一人の士官が飛び込んできた。

 

「園守士長!!!」

 

「どうしたんですか!?船務長。」

 

艦内厨房に飛び込んできたのは川口三佐。息を荒らげながらブリーフィングルームにコーヒーを持っていく役を俺にもやらせてくれと園守士長にせがんだのだ。園守士長は、所属部署が違うから無理だと川口三佐に言ったが、副長や当直士官に許可は取ったと言い、さらに床に土下座までして頼み込んだのだ。土下座までされたので、園守士長は、同じ給養科の拝島一士と相談をし、拝島一士が持っていく分を川口三佐が持っていくという事で合意に至った。川口三佐は満面の笑みで 給養服着替えていたが、それと同時に2人の乗組員から惹かれていたことには気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海上自衛隊の錨のマークが入ったマグカップに入れたコーヒーや茶菓子をステンレス製のお盆に載せ、園守士長と川口三佐が厨房からブリーフィングルームに向けて歩き出すと、〝しょうかく〟航海長の佐賀山(さがやま) 志郎(しろう)三佐が川口三佐の横に小走りで近づいてきた。佐賀山三佐は、本当に川口三佐がコーヒーを持っていくとは思っていなかったのか、 を持つ川口三佐を見た瞬間、マジかよ・・・。と言う顔をしていたが、そんな顔をした事を川口三佐に気づかれないように佐賀山三佐は、直ぐに表情を戻し、彼にとっては最大の疑問であったことを質問した。それは、あの芋っぽい子って、本当に戦時中に戦ったのか?という川口三佐にとっては簡単な質問だった。

 

「ああ。そりゃもう!!!戦時中、沈没まで目立った戦歴はないが、全世界の海軍を驚愕させた特型駆逐艦、吹雪型のネームシップとして登場した(ふね)だ。陽炎型や夕雲型などの新型の駆逐艦の登場により、旧式の駆逐艦になってしまったが、艦これ内では、5人の初期艦の内の1人になったり、アニメや映画では、主人公にまで抜擢されたんだ。」

 

「ふーん。そんな風には見えないけどなぁ・・・。」

 

川口三佐は、口に火がついたように佐賀山三佐に説明し始めた。川口三佐は、自分の得意分野の話しなら一日中話していることもある。佐賀山三佐はそんな川口三佐と防大卒業は同期、しかも、寮では同室だったので、話を強制的に終わらせることも可能だった。佐賀山三佐は、ブリーフィングルームに到着したと同時に、川口三佐の話を切るようにまあ、頑張れや。と声をかけのだった。話を強制的に切られた川口三佐は、笑顔で緩んでいた表情を引き締めると、

 

「ああ、行ってくる。」

 

と、言いながらブリーフィングルームのドアに右手を出した。

 

 

コンコンコンと、3回ドアをノックし、「士官室係、入ります!!!」と、言うと、ゆっくりとドアを開け、中に入った。

 

ブリーフィングルーム内は、長机が並べられており、入って右側には海上自衛隊の自衛官と艦娘全員、左側には城本提督と吹雪が座っていた。川口三佐が城本提督、沖波司令の順にコーヒーと茶菓子を置き始めると、沈黙していた空間で、沖波司令が口を開いた。

 

沖波司令が城本提督に提案した条件は、補給、乗員の上陸、そして、本艦隊が攻撃を受け、損傷した時の入渠。という事だった。沖波司令が城本提督を旗艦〝しょうかく〟に呼んだのは、生存権を確約しようとしたからだ。。この世界の日本は、この護衛隊群からすると他国に等しいからだ。沖波司令はこの世界の日本海軍から安全の保証を取り付けたかったのだ。もし、何らかの攻撃が護衛隊群に向けられた場合、護衛隊群は自衛権を発動し、護衛隊群との戦闘になってしまう。沖波司令はそれを避けたいのだ。

 

城本提督は、そんな沖波司令の意見を聞くと、コーヒーを1口飲み、善処しましょうと、答えた。

 

 

 

 

 

 

 

城本提督がそう答えた時、護衛隊群の周りには警備艦、艦娘が多数接近していた。恐らく、城本提督が艦内で拉致されて人質にされるということが起きないように国防海軍が護衛隊群に圧力を掛けようとしているのだ。

 

「警備艦、艦娘、多数接近中!!!」

 

〝しょうかく〟CICのレーダ画面上では、港内に停泊中の艦艇が一斉に動き出し、さらに横須賀鎮守府らしき場所からも艦艇らしき反応が次々と出てきていた。

 

漣は、これで港内の警備体制が全て掴めると思い、CICのレーダ画面の上にある艦内電話の受話器を取り、ブリーフィングルームに繋げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリーフィングルームの電話機がプルルルルという特有の電子音を鳴り響かせた。秋津艦長は、失礼しますと沖波司令や城本提督に断った後、席を立ち、受話器を取り、CICに居る漣から現状況を聞いた。ある程度状況が分かると、こちらから手を出す必要は無いと答え、受話器をフックに戻し、元いた場所に戻った。

 

 

城本提督が秋津艦長が席に戻ったのを確認すると、持参していた黒鞄から一冊の本を出し、貴方がたの受け入れのことに関してですが、我々からも条件を提示させていただきます。と、答えた。

 

「こちらの日本海軍の指揮下に入れと・・・?」

 

「いえ、国防海軍ではなく、我々、横須賀鎮守府の指揮下に入って頂きたい。」

 

「それは、城本統括提督の指揮下に入るという事ですか?」

 

「書類上のみと言うことですがね・・・。作戦前には、各艦隊の司令に作戦参加の希望を取ります。まあ、私の指揮下では、横須賀鎮守府のドック、1つしか使用できませんが、艦隊指揮の自由は確保します。」

 

「ということは、外洋で損傷した場合は、その場では修復は不能となる事ですか?」

 

「はい。私と同期がいる佐世保、ショートランド、ラバウルならば入渠できるかも知れませんが、聞いてみなければ分かりません。」

 

沖波司令は、城本提督が今まで話してきた事に疑問を感じ、「何故、そういう決断をされるのですか?」との質問をちょっとコンビニに行ってくるみたいな感覚で城本提督に投げかけていた。

 

「貴方がたの上に指揮する者が居れば、安心できるでしょう?それに、海上自衛隊で居れば、貴方がたは貴方がたのままで居られる。貴方がたが望んでいることでしょう?」

 

「まあ・・・、そうですが・・・。」

 

沖波司令は、帰ってきた答えになんて返せば良いのか分からなく、曖昧な答えを出しながら城本提督と秘書艦の吹雪を交互に見回した。城本提督は、コーヒーにしか手をつけてなかったが、吹雪は、茶菓子にも手をつけていたらしく、空になった小分け袋がテーブルの上に積み上げられていた。

 

「・・・。何袋目なんですか?」

 

沖波司令が吹雪に指摘すると、吹雪は、ハッとし、恥ずかしさ故にか、直ぐに顔を真っ赤に変えた。

 

「え!?いや、その・・・、美味しくて・・・。」

 

「吹雪。」

 

「は、はいっ!?」

 

吹雪は、城本提督に叱られると思ったのか、ビクビクし始めたが、城本提督は、「俺にもくれないか?」と言い出し、吹雪は、「え?あ、はい。」と、拍子抜けしたような感じで答えた。

 

「このお菓子の名前は?」

 

野沢艦長は、急に城本提督から問いかけられたので、カ〇トリーマアムです。と、答えると、カントリー〇アムか・・・。美味しいな・・・と、言いながら次々と袋を開け、食べていった。

 

しばらくしてから吹雪は、ハッとしたように提督、飛龍は?と、問いかけると、城本提督は、ハッとして、ああ、忘れてた。と言いながら、残りのカント〇ーマアムを口に投げ込んだ。

 

 

城本提督は、口の中に投げ込んだカントリーマア〇を完全に飲み込み、さらに、コーヒーを1口飲むと、顎の前で手を組むゲンドウポーズをすると、沖波海将補。貴艦隊で保護している飛龍はどうしているのですか?と、言い出した。

 

「はい。今現在、護衛艦〝あけぼの〟に収容し、治療しております。あと、1ヶ月と2週間で全快すると思われます。今は(飛行甲板)を使用した時のみ、歩けるようにはなりました。今からでも御本人をお呼びするか、御本人に会いに行くことのどちらかができますが・・・。」

 

「艦内視察のついでに会いに行ってもよろしいですか?」

 

「あ、はい。」

 

沖波司令のその言葉で会談は終了した。城本提督と秘書艦の吹雪は、曙二佐に先導され、〝しょうかく〟艦内の案内を始めた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!!!」」

 

ピッ

 

「「!!!!!!」」

 

ガコン

 

「どうぞ。」

 

1人の一曹の自衛官は自販機から出てきた缶サイダーを驚いた顔をした城本提督、吹雪に渡した。2人は驚き、顔を見合わせながら缶を開け、中に入っているサイダーを口に入れた。

 

「これは・・・。」

「冷えています・・・。」

 

「この機械は?」

 

「アイスクリームが売っています。」

 

「何!?アイスクリームも売っているだと!?」

 

城本提督や、吹雪が自動販売機に驚いていた。〝しょうかく〟艦内を案内していた曙は、会談が始まってすぐに城本提督に1978年であると言われた事を思い出し、この時代は既に自動販売機があると思うのですが・・・。と、問いかけると、城本提督は、火力発電を頼っている日本は、深海棲艦の影響で石油の輸送費などがかかり、それにより、電気料金まで高くなり、自動化は国鉄の近距離切符の券売機程しか進んでおらず、飲料水やアイスクリームの自動販売機は、開発はされたが、普及はしていないと語っていた。

 

 

 

その次には科員食堂。曙は、テレビモニターの説明や、出てくる料理の説明などをした。普通の人ならば、出てくる料理に興味を持つのだが、城本提督や、吹雪は棒Pa〇asonic製の超薄型のテレビモニターや、10本程の映画が入っている数本のUSBメモリに興味津々だった。

 

 

 

 

 

その後も、〝しょうかく〟艦内を案内した後、護衛艦〝あけぼの〟と〝しょうかく〟の2隻を渡している舷梯まで移動した。

 

「この先が飛龍さんを収容している、護衛艦〝あけぼの〟です。足元に気をつけてください。」

 

曙は、城本提督や、吹雪にそう声をかけると、2隻を掛けている舷梯の上を渡って行った。

 

艦内に入ってすぐ、曙は、後ろから着いてくる2人を見たあと、この先の資料室に居ます。と言い、艦内の奥へ奥へと進み、『資料室』と、書かれたプレートが付いているドアのドアノブを握ろうとした。すると、内側からカチリと、ドアのストッパーが外される音が聞こえた。ドアが曙の前でゆっくりと開き、向こう側にいる飛龍の全身がはっきりと見えた。そう、飛龍がドアを開けたのだ。

 

 

 

「提督!!!吹雪ちゃん!!!」

「飛龍!!!」

「飛龍さん!!!」

飛龍、城本提督、吹雪の3人はは、ドアを解放した直後にそう叫んだ。曙の後ろには城本提督と吹雪が立っていたが、飛龍の姿を見た瞬間、曙を押しのけて飛龍に抱き着いたのだ。感動の再会だった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの間、泣きながら3人は抱き合っていたが、曙は城本提督と吹雪には目もくれず、ずっと睨みながら飛龍を見つめていた。そう。曙は気づいていたのだ。飛龍の目の色が資料室に入る前と変わっていたということを・・・。

 

 

 

 

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