第5護衛隊群出撃録 〜17 wake till the end〜   作:しがみの

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モロジパングだこれ。


第14話 交流

しばらくの間、城本提督、吹雪、飛龍の3人は泣きながら抱き合っていた。しばらくすると、飛龍は、城本提督に思い出した様に言い出した。

 

「提督。一つ具申したいことがあります。」

 

「なんだ?」

 

「ヒジロ島にある、ヒジロ警備府はご存知ですか?」

 

「ああ。」

 

「そこに居る提督、並びに艦娘、計121人、そして、守備隊1000人の事についてです。曙二佐。」

 

曙は、飛龍に急に話を振られたが、しばらく飛龍を睨んでいるのに必死だった為、呼びかけに気づかなかった。

 

「曙二佐?」

 

「曙二佐ー。おーい。」

 

曙は、飛龍に2回程呼びかけられてからようやく気づき、えっ?何?と、少々驚きながら飛龍に聞くと、飛龍は、若干呆れながらヒジロ警備府に居る提督、並びに艦娘、守備隊の約1000人の事についてよ。と答えた。

 

「貴女は知っていますよね?ヒジロ警備府の提督、艦娘の最後を・・・。」

 

「まさか・・・。飛龍!!!貴女!!!」

 

曙は、飛龍が(飛行甲板)を使わずに歩いている事すら気にかけず、驚いた表情で飛龍を見つめていた。

 

「この世界の行く末は私達の手の中にあるわ。そう思わない?曙。」

 

「貴女・・・。神にでもなったつもり!?」

 

「神じゃない。人間だから変えるのよ。」

 

「面白い!!!どう変える!!!どんな未来がお望みだ!!!」

 

「副長!!!」

「曙!!!」

 

曙が城本提督と吹雪を押しのけ、飛龍の胸ぐらを掴んで、壁に叩きつけると、野沢艦長や、数人の曹士が曙を止めに入った。

 

「冷静になって、曙。沈みゆく水偵機に飛び込み、私を助け出した貴女が、ヒジロ警備府の提督と艦娘達を見殺しにするはずがない。何故なら、貴女も神ではなく、今生きている者だからだ!!!」

 

飛龍が叫び気味に言った瞬間、曙は、飛龍の胸ぐらをつかむ力を強めた。船務士が野沢艦長を呼び、艦長が曙が静止させるまで曙は、胸ぐらをつかみ続けていた。

 

「司令がお呼びだ。」

 

「はい・・・。」

 

怒っているのか、不機嫌そうな野沢艦長に付き添われ、曙は、旗艦の司令室まで移動した。司令室では、沖波司令が腕を組んで、曙を待っていた。曙が入室すると、小一時間ほど説教を受け、その後、飛龍の言ったことについて曙に問いかけ、曙が怒ったことについての理由を聞いた。飛龍の言ったことについて曙が司令に言うと、沖波司令は「なるほどな・・・。ヒジロ島・・・。彼女はそう言ったんだな・・・。」と言いながら席を立った。

 

(ふね)と違って人間ってのは厄介な者だ。錨を打てずに、潮流に身を任せてそのまま流されるか、流れに逆らって進み続けるか・・・。そして、目的の無い航海を続けられる程人間は強くない。」

 

「司令。守るべきものを持たずに生きていくのが辛いのです。我々の力を有効に使うべきだと思います。この世界の人達のために、そして、私達自身のために・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曙への説教が終わったあと、沖波司令は、次の作戦を全乗組員に伝えるため、艦内マイクを各艦に繋げた。

 

『達する。群司令の沖波だ。皆のお陰で無事に横須賀に戻って来れた事を感謝したい。これから我々は艦隊を一時二分し、作戦行動を行う。作戦に参加する艦は〝あけぼの〟と〝あおば〟だ。新たなる作戦海域は・・・。』

 

『ソロモン諸島からほど近い、トミトラ諸島最南端、ヒジロ島周辺海域である。』

 

「戦・・・場・・・!!!」

 

沖波司令がそい言った時、艦内がざわつき始めた。

 

『トミトラ諸島とは、艦これの世界に存在する架空の諸島であり、今現在、国防海軍の警備府が置かれている。来月8月7日、深海棲艦が諸島奪取の為に強行上陸を行う。それ以降、人類と深海棲艦との破裂な消耗戦が行われ、人類側が飢えにより全滅する事となっている。我が艦隊の目的は、この戦闘を未然に防ぎ、1人でも多く救助する事となる。以上!!!』

 

沖波司令の艦内放送が終了した直後の艦内は、「俺達が・・・」「世界を変えるのか・・・!?」「俺達が試される時が来たぞ!!!」「はい!!!」などの声が聞こえ始め、ヒジロ警備府の提督、艦娘達を助けようと意気込み始めたのだった・・・。

 

 

 

 

「ブリーフィングを行う!!!本作戦における最善の策を導き出す!!!」

 

「はっ!!!」

 

沖波司令達による、ヒジロ警備府救出作戦は、始まったばかりだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、旗艦〝しょうかく〟以下、僚艦の〝あけぼの〟〝あおば〟の3隻が猿島沖から抜錨し、横須賀鎮守府に向かい、航行をしていた。その途中、横須賀鎮守府からある地点で一時停船して欲しいとの電文が入った。

 

「両舷停止。」

 

「両舷てーし!!!」

 

3隻がある地点で停船すると、5分程で6人の軽巡艦娘が編隊を組んで近づいて来た。先頭に居る薄い桃色の髪をポニーテールにし、先をリボンで巻いている軽巡艦娘が赤と白の旗を何処からか出し、3隻に向かって2つの旗を振り始めた。

 

「軽巡艦娘より手旗信号!!!」

 

「『我が艦隊が貴艦隊を埠頭まで曳航す。曳航の許可を求む。』」

 

ウイング要員が手旗信号の内容を読むと、沖波司令は、すぐさま了承し、「手旗信号で『了解した。』と、返してくれ。」と伝えた。ウイング要員が手旗信号を送り、甲板にいる自衛官数人が曳航索を括りつけ、軽巡艦娘達に手渡した。

 

 

 

 

数人の軽巡艦娘は、3隻を曳航索を艤装に結んでから横須賀鎮守府に向かってゆっくりと曳航し始めた。

 

 

横須賀鎮守府第1埠頭に3隻接舷され、曳航索は、軽巡艦娘が艤装から外し、甲板に居る自衛官達に渡した。それに続き、違う自衛官達も埠頭にサンドレッドを投げる。埠頭に落ちたサンドレッドを駆逐艦娘や重巡艦娘が、引っ張り、接舷作業を完了した後、埠頭に括り付けた。

 

 

「機械、舵よろし。」

 

舷悌が埠頭に降ろされると自衛官達は埠頭に置かれている食糧、飲み物類、生活必需品などのチエックを行い始めた。その横では、給油艦が〝あけぼの〟及び〝あおば〟に給油をし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ、どこに置けば良いっぽい?」

 

「そこに居る高見二士に聞いてください。」

 

「分かったぽいー。」

 

補給作業は横須賀鎮守府の艦娘達も手伝いながらではあったが、順調に進んでいた。「日本語を話してるけど、妙に西洋人ぽい・・・。」などと補給作業を手伝っていた艦娘達の一部が語っていたらしい。補給作業の途中、コシヒカリじゃなくてゆめぴりかが食べたいと言っていた自衛官がいたが、この時代にはゆめぴりかはありません。可哀想に。

 

 

 

補給作業は順調に進み、夕方頃にはすべて積み込みが終わった。〝あけぼの〟と埠頭を繋いでいる舷悌付近の甲板には、飛行服姿であり黒髪をポニーテールにしている一人の女性が船体に寄りかかり、夕日で影を作り出していた。飛行服を着ている女性は、〝しょうかく〟舷悌から漣が埠頭に降りてきたのを見つけた為、彼女も漣を追うように埠頭に降りた。

 

 

「あ、副長・・・。どちらへ?」

 

「おお。矢矧一尉。何やってんの?こんな所で。」

 

そこに居たのは343航空隊所属の矢矧(やはぎ) (かえで)一等海尉だった。矢矧一尉は、漣が右手に酒瓶を持っているのを確認し、表敬訪問でもするのではないのかとすぐに感ずいた。

 

「貴女こそ・・・。国防海軍に表敬訪問でも?」

 

「向こうも視察したんだ。漣達もお返しすべきじゃない?」

 

「彼女達の正体も知らないんです。危険です。」

 

「あの人たちがどう考えてるか知りたくない?貴女も一緒に来な。」

 

「待ってください副長。」

 

「彼女達に本当の事を教えに行くんですね?」

 

「この世界はゲームの中だと。この戦争には意味がないと!!!」

 

矢矧は、埠頭を鎮守府方向に歩いていく漣の腕を掴んだが、直ぐに漣に解かれた。

 

「そんな軽率な事はしないさ。前線の兵がそれを知ったからって逃げ出せる?少なくとも、数十年以上、もしくは永遠にこの戦争は続く。」

 

漣は矢矧に終わらないと知って戦うこと、貴女に出来る?と、尋ねられると、矢矧ははっと感づいた様な顔をし、下を向いた。

 

「色々知りたいのは漣の方なの。」

 

「気になるでしょ?自分が好きだったキャラがどんなのか。」

 

漣はそう言い、鎮守府に向かって歩いて行った。矢矧一尉も顔を上げると、漣の後を続き、鎮守府方向に歩き始めた。

 

赤レンガで出来ている横須賀鎮守府の本庁舎と、輸送船が泊まっている港の横を通り、駆逐艦寮と書かれた金属製の棒状の案内板が立っている場所の前に来た瞬間、漣の背中に銃を突きつけられた感触がした。

 

「誰か。」

 

カチリと言う金属音とともに幼いが、凛々しい声が後ろから聞こえた。漣は、「降伏しよう」と、矢矧に目でサインを送り、矢矧と共に手を上げて後ろをゆっくりと向いた。後ろには、黒髪ストレートの小学生くらいの少女が片手に銃を構え、立っていた。その姿を見た漣は、こう言った。

 

「怪しいもんじゃないよ。」

 

と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府内にある引退した軽空母艦娘が経営をしている料亭の中にある座敷にて駆逐艦娘や軽巡艦娘が遠征終わりの宴会を行っていた。4つの座敷の内、出入口に近い2つの座敷を隔てている襖は無く、少々広い部屋になっていた。ある者はジュースを飲み、またある者はビールやワインなどを飲む。至って普通の宴会なのだが、宴会をしている人々の見た目が幼いのが少しミスマッチだった。先程、漣達と出会った駆逐艦娘は、「入りますよ。」と小声で漣達に合図し、襖を3回叩き、「朝潮、入ります。」と言いながら襖を開けた。

 

座敷に居る駆逐艦娘と軽巡艦娘は朝潮と言った駆逐艦娘の後ろに、見慣れない2人、つまり、自衛官である漣と矢矧が居たので、「何!?アンタら!!!」と、声を荒らげながら立ち上がり始めた。こちらの世界の国防海軍と、漣達の居た世界の海自の作業着は全く違うのだからそう言うのも無理は無い。え?階級章で分かるって?それ以上いけない。

 

「〝しょうかく〟副長、斉藤 漣二等海佐!!!」

 

「〝あけぼの〟343航空隊所属、矢矧 楓一等海尉。」

 

漣と矢矧が自己紹介をすると、座敷中がざわめき始めた。漣は、駆逐艦娘である漣と。矢矧は、軽巡艦娘である矢矧に姿が似ている。駆逐艦娘の漣と違い、人間である漣と違う部位は、どことは言わないが、潮よりは小さいが、朧並、もしくはそれ以上の装甲を持っている。漣や矢矧の見た目は若々しいのだが、三十路であり、漣は、もうすぐで四十路になるくらいなのだ。

 

「二佐!?」

 

「佐官クラスってこと!?」

 

座敷に居る軽巡艦娘や、駆逐艦娘達が一斉に立ち上がり、2人に敬礼をした。漣達も敬礼をし、室内を見わたした。茶髪の髪型をしており、後頭部に緑のリボンを付けている軽巡艦娘一人だけが座敷の奥に座っていた。

 

「私は神通。横須賀鎮守府の軽巡、駆逐艦の総統括と第2水雷戦隊の旗艦をしています。何の御用で?」

 

神通は、何しに来たんだと言わんばかりの目をしながら言っていた。

 

「我が艦隊の補給作業を手伝ってくれたお礼として、皆さんと1杯やりたくて。皆さんも座って。ね。漣は博多の出身でね。堅苦しいのは苦手なの。」

 

漣は、背中から酒瓶を出し、座卓の上に置くと、座布団に座った。矢矧や、艦娘達も漣に続き、座り出した。それを見ていた神通は、ふっと笑い、「グラスを出して。」と、横にいた狐色のセミロングの髪の毛をツインテールにしている駆逐艦娘に指示を出した。

 

「はっ。」

 

駆逐艦娘が厨房から持って来た全員分のグラスに酒が注がれると、酒瓶の中は空になった。漣は、酒瓶を持ち帰ると言ったが、神通がこちらで処理すると言ったので、漣は、酒瓶の処理を神通に任せた。

 

 

「斉藤二佐にお聞きします。二佐達が別世界から来たと言う噂って、本当ですか?」

 

グラスを出した駆逐艦娘が1口酒を飲んだ後、漣の方を向き、信じられないと言わんばかりの顔をしながら見ていた。暫くその空間には静寂の空気が漂ったが、質問された漣が口を開いた事で静寂は破られた。

 

「呑んで言うと真実味が薄れるけど、本当よ。」

 

「「!!!」」

 

漣の一言だけで、艦娘達は驚きの声をあげた。当たり前だ。彼女達は、話を聞いただけだけで、本当の事だと信じられなかったからだ。百聞は一見に如かずとはまさにこの事。

 

「米軍や、中国がコソコソ作った軍艦か、新手の欺瞞工作だと思った・・・。」

 

「空想小説で読んだことがあるけど、異世界転移ってヤツ?」

 

「漣達もさっぱり分からないのよ。小笠原沖で低気圧に巻き込まれ、落雷にあい、気がついたら、この世界に居た。」

 

「家族を、残したままで?」

 

「ええ。」

 

「お聞きしたいことがあります。」

 

質問を投げかけてきたのは、漣の横に座っていた朝潮だった。

 

「噂できいたのですが、この世界がデータの海に作られた世界だと言うことは本当ですか?」

 

朝潮がその事を問いかけた瞬間、座敷の目線が一斉に漣達の方向を向いた。漣は、一瞬だけ黙り込んだ。

 

「どうなんですか?」

 

朝潮に問い詰められた漣は、一つしか答えを見つけられなかった。

 

「大丈夫。データの世界では無いよ。だって、向こうの世界にも漣が居るんだから。私達の世界でも艦娘は居るよ。私がその艦娘の娘なんだから。」

 

漣は、嘘をついた。艦娘が存在しない世界に居ると言ってしまった。

 

「本当ね?」

 

漣の顔を見ながらずっと話を聞いといた神通は、薄々感づいていたかもしれない。

 

「よし、景気づけに一曲歌おう!!!」

 

「良いですね!!!」

 

「いっちょやりましょう!!!」

 

「しけた軍歌なんて歌わないでよ。深雪、貴女の十八番をやりなさい。」

 

座敷は艦娘達の歌声で包まれた。しばらく漣と矢矧は、座敷に座っていたが、夜遅くなってしまうと、艦に迷惑がかかる為、一時間程で座敷を出た。矢矧が舷悌をのぼっている時、漣は、神通に呼び止められ、埠頭に立っていた。

 

「貴女、いい人ね。」

 

「え?」

 

埠頭にぼーっと立っていたところ、急に話しかけられたため、漣は素っ頓狂な声を出してしまった。

 

「この世界がゲームの世界だと知ってても、わざと言わなかった。世界が違っても、同じ軍人だと知って、嬉しかった。」

 

「斉藤二佐、部下達へのご配慮、感謝する。」

 

「・・・この世界は・・・」

 

「何。心配していませんよ。実は先程、飛龍さんが言ってたんですけど、貴女達が現れた事で全てが変わるってね。」

 

漣は、神通のその言葉を聞くと、ニヤッとした。

 

「神通さん。やりますか。」

 

「何を?」

 

「腕相撲。」

 

「フフッ。お相手しましょう。」

 

神通は、埠頭に放置されていた空の木箱にクッションを置き、埠頭の真ん中に移動した。

 

「私は海軍では負け無しでね。」

 

「自衛隊を舐めちゃいけませんよ。」

 

「ところで二佐、合図は誰が?」

 

「あっ・・・。」

 

 

曙と飛龍はその光景をあけぼのから見つめていた。

 

「困ったもんだけど、漣らしいね。漣なら、どの時代でも生きて行ける。」

 

「こうして進行していく歴史がこの世界にとって素晴らしい物だったら、貴女は元いた世界に戻りたい?」

 

「生まれ故郷は、一つだからね。」

 

飛龍は、曙のその言葉を聞くと、フッと笑い、月を見上げた。




トミトラ諸島のデータについては後ほど記載致します。
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