第5護衛隊群出撃録 〜17 wake till the end〜 作:しがみの
「消えた?どういうこと?」
曙は驚きながら艦内電話で通じている大垣1尉に言った。
『私物の整理で目を離したすきに・・・。飛行甲板らしきものと弓、着物、短剣を持って出たようです。』
曙はその言葉を聞くと、受話器の送話口に手を被せ、沖波司令の方を向き、言った。
「司令、収容していた女性が脱走しました!!!」
「意識が・・・、回復したのか・・・?」
船務長が驚きながら言った。
「短剣は早めに処分すべきだったな・・・。自決という手段もありえる。」
野沢艦長がそう答えると、曙は、艦内電話のフックを下げ、ボタンを押した。
「CIC。全区画のモニターをチェックして。脱走した負傷者が彷徨いている。」
曙は、そう言うと、もう1回フックを下げ、艦内電話を艦内スピーカーに繋いだ。
『達する。全乗員に告ぐ。短剣を持った負傷者が移動中。接触は避けよ!!!』
「とっ捕まえてきます!!!」
曙は受話器をフックに置き、通路に飛び出した。砲雷長もそれに続く。
「副長、士官室から拳銃を取ってきますか?」
「そんな物要らないわ。相手は怪我人よ。ラッタルを登る力も無い。この甲板の何処かにいるわ。」
曙と相模が艦内を走っていると、上甲板に繋がる扉の前に大垣1尉が立っていた。
「副長。」
「見つけた?」
「はい。あそこです。」
大垣1尉が指を指した方向を見ると、フェンスに片手をつき、護衛艦〝しょうかく〟や〝あやなみ〟を眺めていた女性がいた。
「この艦隊の艦は美しい・・・。帝国海軍のものでも無いし、国防海軍の物でも、深海棲艦でもない。」
「急死に一生を得た身で何をする気?」
「このまま横須賀まで泳いで任務を遂行します。力尽きたら諦め、そのまま沈みます。」
曙が問いかけると、女性はずっと艦隊の艦ばかり見ていたが、呟くように言った。
「貴女を救助したのはこの人だぞ。1人で飛び込んで・・・。」
大垣1尉が女性にそう言うと、女性は驚きながら曙を見た。
「のつもりだったんですけど、潮風に当たったら思い出しました。艦娘でありながら泳ぎが苦手だった事を・・・。ははっ・・・。」
女性はそう言いながら少し笑うと、曙の方を見た。
「この艦隊の所属と航行目的を教えてください。」
「残念だけど、無理よ。何の為にここに存在し、何処に向かうべきなのか、私達も知りたいの。」
女性の問いかけに対し、曙はそう答えると、女性は
「じゃあ、味方ですか?それとも敵ですか?」
と、尋ねた。
「ただ一つだけ答えられるのは、私は日本人という事よ。私は曙 祐希。」
曙がそう答えると、女性は身体を曙の方に完全に向けた。
「航空母艦、飛龍です。助けていただき、ありがとうございます。」
その女性、飛龍はそう言うと、曙に一礼した。
「航空母艦 飛龍か・・・。そう名乗った・・・。ん。ご苦労。もうすぐでIFポイントだ。その場で待機していてくれ。」
CICに居る野沢艦長は艦内電話で曙達に指示を出し、受話器をフックに置いた。
「何が起こるかな・・・。来た時の異様な低気圧は観測されていない・・・。元の世界に戻ったら、1横須賀に帰投した艦隊が消え、艦娘達にも何らかの変調があるかも知れない。」
野沢艦長の横にいる第15護衛隊司令の
「よし、両舷停止。主機も停止せよ。」
と言った。すると、〝あけぼの〟はゆっくり、ゆっくりと停船した。〝あけぼの〟だけでなく、〝しょうかく〟などの全艦も・・・。
「ん?止まった・・・まま?」
飛龍は止まった艦隊を見渡す。
「これが何を意味しているの?」
曙や大垣1尉、砲雷長は月を眺めている。飛龍も月を眺めるが、何も起こらず、なぜ眺めているのかと、疑問に思うだけだった。
5分すると、艦内が騒がしくなり始め、10人くらいの自衛官と、護衛艦〝あけぼの〟の艦娘、〝あけぼの〟が艦内から上甲板に出て来て、月を見た。
「何故、何故何も起こらん!!!雲はどうした!!!低気圧は来ないのか!?」
武整長の柳原1尉は月に向かってそう叫んでからあることに気づいた。
「来た時と何かが違うんだ・・・。」
「何が?武整長。」
柳原がそう呟くと、あけぼのは柳原に尋ねる。
「アイツだよ。あの艦娘は、来る時には居なかった!!!条件が違うんだ!!!だから俺達は入口に入れないんだ!!!」
あけぼのに尋ねられた柳原は飛龍を指さしながら叫んだ。
「でも、人間ひとりで・・・。」
「それ以外考えられるか?俺達がここに居るのは何かの間違いなんだよ。」
あけぼのがそう言うと、柳原はあけぼのとは否定的な意見を言った。
「どうしたの柳原。非番なら自室に帰りなさい。休むのも仕事のうちよ。」
曙は飛龍に指さしている柳原の前にそう言いながら出る。
「その前に、その女性に話があるんです。」
「何言ってるんだ。この人は重病人。艦長命令で面会謝絶だぞ。」
「艦長と副長の命令が聞けないのは誰?あ?」
柳原が曙を避けて飛龍に近づこうとすると、大垣1尉、砲雷長が曙の後ろの進路を塞いだ。
「良いでしょう。聞きます。」
飛龍はそう言いながら柳原に近づいた。
「ああ。言ってやる!!!アンタは俺達の世界には存在しない、ただの〝艦これ〟の世界の中にいる軍艦をモデルにした架空のキャラクターで、しかも、あのまま死んでいるハズの架空の人間なんだ!!!」
「艦これ・・・、架空・・・?」
飛龍は柳原が叫びながら言ったことを聞いたのだが、内容が分からず、頭を傾げた。しかし、言ってはいけない事だったと言うのは分かった。それは・・・、
「止すのよ柳原!!!」
柳原は曙に胸ぐらを掴まれたからだ。
「だってそうじゃないですか!!!この世界に本艦隊は居なかった。あんたが生きているのが何かの間違いなんだ!!!あんたが居るせいで俺達は戻れないんだ!!!」
柳原は飛龍に向かってそう叫んだ。
「貴方達は確かに日本人だけど、提督と同じ、日本人ではない。この艦隊の艦は、帝国海軍の物でも、深海棲艦の物でも、国防海軍の物でもないわ。別種の精神から作り出された物よ。貴方達はどこから来た日本人なの?」
柳原の叫んだ事を聞いていた飛龍は曙にそう尋ねる。
「それを聞いて貴女は信じるの?」
「信じるも何も、今この状態で信じるしかないでしょ?」
飛龍がそう言うと、曙は、胸に手を当て
「私は・・・
別世界の、しかも、深海棲艦のいない21世紀の日本からやって来たのよ。」
と、答えた。
「深海棲艦のいない世界にも、日本があるのね・・・。」
「ええ。」
曙は、飛龍に自信満々にそう言った。
メガネをかけている重巡の艦娘が島影から見えた艦隊があった。それは空母を中心とした輪形陣の艦隊、第5護衛隊群だ。
「あれ?あんな所に艦隊が・・・。しかも、見たことの無い艦種ね・・・。一応、攻撃準備だけして近づきましょう。」
その艦娘は僚艦の艦娘達を連れて、第5護衛隊群にどんどん近づいていった。
アンケートを取っています。新キャラを出します。その女性の本気モードの時の喋り方以下から決めて欲しいです。沖縄弁、博多弁、宮崎弁、大阪弁、京都弁、津軽弁の中から選んでください。締切は11月30日までです。あ、性格や見た目、声は某軽巡のだらしないネームシップです。