GATE クリティカルロマン砲に何故か転生した件   作:シアンコイン

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どうも。
前話を投稿して一日後にランキング一覧を見て盛大に吹き出したシアンコインです。

えっと………何でこんなに伸びてるんです? え……コワい(本心)。

あ、あと感想と評価を沢山いただきましてありがとうございます。
嬉しくて励みになります!!

精一杯頑張ります。

だ、駄文注意(本音)





「よろしく、マスター(転生でサーヴァントってどうよ……)」

 

 

 

 

 

 

「え、何この模様。」

 

女性がその手に浮かび上がる模様を見て呟いた、見れば彼女の目の前の帽子の男は引きつった笑みで硬直して。後ろで警戒体制の自衛隊やら機動部隊は何が起こったか理解できていないようだ。

手の甲に浮かび上がる赤い文様は三つに分かれておりそれぞれが翼の形を模している。

 

「……ごめん、少し見せてもらってもいいかな?」

 

「え? あっ、はい…。」

 

その模様を見つめていた彼女に帽子の男、ビリーは話しかける、その表情には笑みはなく真剣であった。

彼が女性に一歩踏み出した瞬間―――

 

「―――動くなッ!!」

 

再度、自衛隊の警告が飛ぶ。その大声に一瞬女性は身体をビクつかせ、ビリーは珍しくめんどくさそうに顔を歪めるとその手に持った銃を掲げ文字通り、消して見せた(・・・・・・)

 

「「「……………!?」」」

 

「これで満足かな? ちょっと取り込み中だから後にして。」

 

一同がその光景に口をあけて驚いているとビリーはそう告げて彼女の手の甲を見つめ始めた。

 

(…………この模様は見た事ないけど、明らかに令呪だよな……これ。体でさっき使った分の魔力が少しだけ補給されてるのが分かる……。)

 

(……てか、これでボクはサーヴァント決定なのね!? あの神様、転生させるって言ってたのにサーヴァントじゃ死人と変わらないから!! やっぱ喧嘩売ってるよあのコンチクショウ!!!)

 

「あ、あのー。これが何かわかるんですか?」

 

数秒の後に女性からおずおずといった感じで声をかけられたビリーは笑みを戻して、一息つくと覚悟を決めた。

 

「うん。分かるよ、君はボクのご主人様(マスター)だって事がね。」

 

「…………はえ?」

 

ビリーの言葉にその場の誰もが言葉を失い、当の彼女はやや放心気味に首を傾けて間抜けな声を出した。

この後、門の前で動けずに居た兵士、亜人達は機動部隊、自衛隊により捕縛されこの空に残っていたワイバーンは自衛隊の戦闘機により撃ち落とされた。

 

もちろんこの二人も――――

 

「―――ご同行願います。」

 

「えっ………、わ、私もですか!?」

 

(あっはははぁ………。知ってたけど、ボクの平穏な人生オワタ……。)

 

 

 

 

 

 

 

      ◇

 

 

 

 

 

 

 

「貴女のお名前をお聞かせください。」

 

尾賀 万理(おが まり)……です。」

 

事情聴収、薄暗い部屋の中でやや脅え気味のビリーに助けられた女性、尾賀 万理は口を開いた。彼女の目の前ではペンを持ち紙に何やら書いている男性。

その背後には扉があり警察官が立っている。左隣にはマジックミラーらしきものが壁一面に張ってあって向こう側から誰か見てるんだろうな、と彼女は感じていた。

 

「貴女は何故、あの場に?」

 

「………仕事の休憩時間で小物を買いに出てた所でした。」

 

「ご職業は?」

 

「小さな会社の事務員です……。」

 

「なるほど………。それでは本題に入りますが…。」

 

「はい。」

 

「帽子の男との関係は?」

 

警察が彼女の聞きたい事、それは正体不明、銃器を携帯した人間離れの能力を持つ男の事だった。その姿はさながら西部劇に出てくるであろうガンマンでその射撃は的確にして凶悪。

実際、ビリーがした事は世間一般からすれば大量殺人以外の何物でもないのだ。

 

「よく、分かりません………。」

 

「…………。その場にいた警察官、自衛隊員からの情報によれば彼は貴女をご主人様(マスター)と呼んでいたそうですが?」

 

「それはあの人が勝手に………。話をする前にココに連れられて来たので、分からないんです。」

 

「…………あの男には別の部屋で調書を取らせているので、時期に事実が分かると思いますが、本当の事は最初に言っておいたほうが身のためですよ?」

 

警察官の冷たい視線に充てられて彼女心臓は激しく鼓動を刻む、今までの人生で彼女は大きな問題を起こす事無く優秀な成績を残してきた。

揉め事、荒事とは無縁な人生を歩んできた彼女にとってその視線と言葉はナイフのように深く突き刺さった。

 

(………私、何もしてないのに……。)

 

心の中で必死に自分を保つ、突如現れた門から出て来た軍勢に周りの人が殺されていき。気が付けば目の前には凶器を持って笑う男と切り殺された男性。

血に染まった地面、もう死ぬと感じた瞬間に現れたビリーに彼女は助けられただけなのだ。

 

「あまりご主人様(マスター)を虐めないでくれないかな?」

 

その瞬間、彼女の隣から軽快な声が聞こえた。自然と俯いていた顔を上げて隣を見ると初めて会った時と同じ笑顔をしているビリーがそこにいた。

調書を取っていた警察官は目を剥いて驚き、扉の前に立っていた警察官も慌てて扉を確認するがあいた形跡はない。

 

「一体……何処から!?」

 

「ボクにとっては容易い事だよ。それよりマスター、大丈夫かい?」

 

驚いた表情のままビリーに尋ねる警察官、その言葉を興味なさそうに返すとビリーは万理に声をかけた。

 

「…はい………あの、貴方は何で私をご主人様(マスター)って呼ぶの?」

 

最初に出会った時もその場に最初から居たかのように現れたのを知ってる彼女は、驚くことなくビリーに質問を投げかけた。

その質問にビリーはキョトンとすると、また微笑み彼女の手の甲を指差した。

 

「その模様、令呪がその証だからさ。」

 

「令……呪…? これ……?」

 

「うん、そう。それはボクと君が契約を交わした証、詳しい話はまた二人でしたいから今度ね。ただ言える事はボクは人間じゃない(・・・・・・・)

 

「え………それってどういう「すみませんが、その話はあとにしてもらえますか?」……。」

 

万理の言葉が遮られ眼鏡の警察官が腹立たしそうにビリーを睨んでいた。その表情に圧されてしまった彼女は口を紡ぎ、ビリーはまた薄っぺらい笑みを浮かべている。

 

(あー、めんどくさい。こういうインテリ気質の警察官。)

 

内心毒ついたビリーを他所に警察官は机の上に置かれていたファイルに手を出した。

 

「自分が人間ではないとはご冗談が得意なようですね、ですが今は真面目に話をしています。貴方はどうやって取調室から抜け出してここに入ってきたのですか?」

 

「冗談なんか言ってないさ、それにさっき言っただろう? ボクにとっては容易い事だって。」

 

「答えになっていません、正直に答えて下さい。事と次第によっては刑罰が重くなりますよ?」

 

威圧するように”刑罰”という言葉を使い、ファイルから画像の荒い写真を取り出してビリーに見せつける警察官。その写真にはビリーらしき人影が銃を片手に兵士を撃ち殺す瞬間が写っていた。

 

「それで、何が言いたいの?」

 

「貴方は一体何処の誰で、何故あの場に居たか。そして何故拳銃を所持していたか。全てを吐いてください。」

 

「お生憎様、それは全てボクの企業秘密だから教えられないなぁ。」

 

「…………どうやら自分が置かれた立場が理解できていないらしいな。」

 

飄々と軽い口調で警察官の言葉を返していくビリー。傍から見れば相手を挑発しているとも取れる口調と笑顔に耐えかねたのか警察官は眼鏡を一回外してレンズを拭いている。

ビリーはといえば笑みを崩さない所かより挑発的な笑みを顔に浮かべていた。

 

(………しゅ、修羅場の予感……。)

 

並々ならぬ二人の威圧感に押しつぶされそうな万理は密かに戦慄するも、既に蚊帳の外。最早警察官の視界の中には軽薄な笑みを浮かべた軽い男しか映っていなかった。

 

「お前はもう既に、銃刀法違反、大量殺人、器物破損、往来妨害罪などの罪を犯している事を理解しているのか?」

 

痺れを切らしたかのように声を荒げる警察官の口から出た言葉は、お世辞にも軽犯罪と呼べるものはどこにもない。一歩間違えば情状酌量の余地もなしと見なされ一生牢屋の中か、死刑に処されるだろう。

そんな事実にビリーはほとんど無関心の様子でこう答えた。

 

「うん、それで? 何? ボクをその法に乗っ取って処罰するって?」

 

「その通りだ、言い逃れはできないと思え。」

 

「別に言い逃れなんてしないさ、ボクは確かにあの場で人を殺していたからね。だけど――――」

 

俄然、表情を変えず警察官とのやり取りをするビリー。余裕の態度で接してくるビリーにまた警察官はいら立ちを覚えた。

 

「だけどなんだ!!」

 

「―――――この国では死人(・・)を法で裁くのかい?」

 

いつの間にか目の前に立っていたビリーが警察官の背後に立って肩に手を置く。目前から一瞬で消えて自身の肩に気に入らない若造が手を置いている。

思考が一時止まるが男のありえない動きと言葉が警察官の思考を更に鈍らせる。

 

「死人………だと!?」

 

「ボクの名はヘンリー・マッカーティ・ジュニア、人呼んでビリー・ザ・キッド。よろしく、マスター。それと強面の保安官(・・・)さん。」

 

被っていた帽子を取り片手で持って、わざとらしく立ち上がったビリーは万理にニッコリと笑みを向け。警察官には皮肉を飛ばした。

 

「な、なにを「警部!! 大変です、あの殺人犯が取調室から突如消えましたっ…………て…。な、なんで!!」」

 

警部と呼ばれた警察官の言葉を遮るようにして取調室に入ってきた若手の警察官、その慌てようと言葉から警察官は思ってしまった。

この男は本当に、生きている人間ではないのかもしれないと。

 

それを証明するには証拠が有り余る、数十人の自衛隊、特殊部隊の前で構えていた銃を光に溶かすように消してしまったという証言。この完全に閉鎖された空間に自分たちに気づかれる事無く現れた事。

一瞬にして姿を消して自分の背後に回り込んでいた事実。確かではないがほぼ一人で数百人は居たであろう軍勢と竜を拳銃一丁で撃退していたという報告、画質が荒かったがこれは映像でも確認できた、その異常な身体能力も。

 

今更、彼には恐怖に近い感情が生まれた。自分が今対話している男は笑みを崩さない。その笑みがさらに警察官を追い詰める。立場を理解していなかったのは此方の方だった。

考えてみれば拳銃一つで武器は劣れど軍勢を相手とって勝利を勝ち取った帽子の男、そんな男が大人しく着いて来たのは恐らく自分が尋問していた女性が連行されたからで、想像をしたくないがもしこの女性が男に命令すれば場合によって自分は風穴だらけになってしまうと。

 

そんな思考が警察官の中でフル回転している時のビリーといえば。

 

(あぁぁぁ………。何でこうビリーの口調だと相手を挑発しちゃうんだぁぁぁ!!)

 

身体はうまく扱えても、口調をコントロールできないことに苦悩していた。

 

(早く帰りたいなぁ………。)

 

そして今回の一番の被害者である尾賀 万理はこの状況に涙目で小さくため息をこぼしていた。

 

 

 

 

 

 

       ◇

 

 

 

 

 

 

「早く行かないとッ………!!」

 

警察署の廊下で一人の長身の男がそう呟いた、身なりを黒いスーツで整え、慌て気味な足取りの男はお世辞にも顔は良いとは言えないが凛とした表情でその場を歩いてた。

名を伊丹 耀司といい現役の自衛隊員で今回の騒動、『銀座事件』に置いてその場に居合わせ冷静な判断と機転で逃げ惑う一般人を避難させた所謂英雄である。

 

実際に彼の行動はあらゆるメディアに取り上げられ銀座の英雄、二重橋の英雄を持て囃されていた。もう既に昇進も決まっており彼には並々ならぬ期待があらゆる方面から寄せられていた、が。

実際の彼は――――

 

(――――同人即売会に行けなかったし………親戚が大変な事になってしかも昇進って……。もう平穏な人生は歩めないのかなぁ…。)

 

かなり消極的なオタクであった。今回彼がこの場を訪れたのも彼の親戚が銀座事件に巻き込まれて何の因果か、重要参考人として警察に身柄を拘束されているという事で上司から書類を渡され身柄を受け取ってくる事になったのだ。

抜擢されたのは親戚ならば相手に負担をかけずにつれて来れるという点からだった。

 

(いやいや、そんな泣き言も言ってられない。彼女が大変なんだ、きっと今頃半泣きで脅えてるに違いない。)

 

気を持ち直し目的の人物が居るとされている取調室の前までやってきた彼は、二回ノックしてドアを開けた。

 

「失礼します、こちらに尾賀 万理さんが身柄を拘束されているとの事で伺ったのです……が。」

 

「………あっ……。耀司おじさん!?」

 

「おっ、マスターの知り合い?」

 

そこに居たのは滝のように汗を流している警察官と、瞳に光を灯していない親戚の万理の姿。そして自分の頭部にリボルバーを突きつけている金髪、蒼眼の男の姿だった。

 

(何この状況………。何か見た事あるコスプレの人いるし………。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 







という訳で尾賀 万理さんがマスター決定しましたー。
モデル?もちろんgoのあの人です。

さて、平均下がるかな……(ネガティブ思考)

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