GATE クリティカルロマン砲に何故か転生した件   作:シアンコイン

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…………………あ、シアンコインです。どうも。
寝れないのでサイト開いて絶句したシアンコインです。

何で赤評価……………?

あ、いえいえ。すごく嬉しいです、本当です。
ただ怖いなぁ……なんて…(本心)

これからもじわじわと続けていくつもりです。

感想や評価も本当にありがたく思います。
これからもどうぞよろしく………。





「笑えないなぁ(うせやろ……)」

「それでは最後です、貴方は本当に使い魔(サーヴァント)と呼ばれる存在なのですか?」

 

「しつこいなぁ。その通りだって、ボクは使い魔。この問答を何回繰り返したと思ってるの?」

 

ウンザリとした表情でビリーは椅子の背もたれに寄りかかり天井を見上げる。

政府の役人による事情聴取、これはもうマスターの万理と同様に毎日と繰り返されており。これでもう一週間近く経っていた。

 

「申し訳ありません、何分こちらもまだ不明瞭だらけなものでして。」

 

「だったらいっそ、『Fate』シリーズを調べてみればいいじゃない。」

 

「貴方が異例の存在だというのはこちらも重々承知ですが、あくまで空想上の事を信じるわけにも………。」

 

政府の人間は苦笑して不満そうなビリーに言葉を返す。仕方ないとはいえ一対一で化け物同然の人物と話をしているのだ、それなりに彼の言葉は丁寧なものだ。

対してビリーの内心はかなり不満らしく笑みは剥がれ、頬杖をついて大きなため息をついている。因みに取り調べを受けているのは万理や伊丹達と滞在しているホテルの一室である。

 

(いい加減しつこいよ……まったく……。メタな事言っちゃったけど、どうせ調べればいくらでも出てくる情報なんだから、ソコから理解してもらえば一番手っ取り早いし。)

 

依然、門には変化もなくこのまま行けば何も問題なく自衛隊は門の向こう側へ足を進めるだろう。それは物語の進行上、正しい事でそれで終わればビリーも万理も役目を終える形になる。

それでも何らかの制約はつくのだろうとビリーは一人考え、舌打ちするが口には出さず堪える。

 

「それで、この取り調べってやつも終わりでいい?」

 

「えぇ、今日はもう結構です。お時間をありがとうございました。」

 

徐にビリーは立ち上がると役人に視線を向ける、了承の意を受け取って一言、じゃあねと言葉を残してその場から姿を消した。

その光景を見た役人は言葉を失い瞳を擦るがそこには誰も居なかった。

 

(ハァ……。ビリーの事を誤魔化すのも限界がきてるな……。)

 

霊体と呼ばれる誰にも姿を捉える事も、危害を加える事も出来ない状態になった彼は一人ビルの壁をすり抜けて屋上へ飛び出す。

少年であった彼は現状、英霊ビリー・ザ・キッドの戦闘技術と技能、スキルを継承し扱う事は出来ているが。

 

その実、記憶や性格、感情などは継承されておらずビリーについて詳しく聞かれると事前に知っていたこと以外は誤魔化すしかないのだ。

何もかもが予想外の続きで彼はまた疲れを感じており、最近は霊体の状態で誰かの目に触れる事も避けはじめていた。

 

(………………本当にこのまま何も起きずに終わるのか……? ………嫌な胸騒ぎがする…。)

 

英霊になった事により、より敏感になった第六感がビリーに警鐘を鳴らし始めている。彼がビルの屋上から眺めている街並みの先には封鎖され自衛隊らが警備をしている門がある。

それに鋭い視線を向けていた彼は一瞬にしてある事に気づきその場を飛び出した。

 

 

 

 

 

   ◇

 

 

 

 

 

「…………つかれたぁ…。」

 

「お帰り万理ちゃん、今日は早く終わったね。」

 

ホテルの一室、ドアから顔を出したビリーのマスター。万理は言葉通り疲れた様子で力なく扉をくぐると溜息を吐いた。

その声に気づいた待機中の伊丹が声をかけて微笑む。彼の手元にはノートパソコンが開かれており、何かの作業中に見えた。

 

「うん。……おじさんは仕事?」

 

「あぁー……。仕事というか書類処理と最近テレビでもビリーの事が取り上げる事が多いからさ、ネットではどうなってるか確認したくてね。」

 

頬をポリポリと掻いて伊丹は手元を動かした、上着を脱いだ万理もその隣に座り画面を覗きこむ。

そこには某掲示板やらまとめサイトやらが開かれていた。

 

「いっぱいあるんだね。」

 

「そりゃあねぇ、あの事件からまだ一か月も経ってないから。」

 

画面いっぱいに表示される項目はタグで『帽子の男』『銀座の英雄』『もう一人の英雄』やら様々であり、中には伊丹の事を書いたページもある。

その中でも彼らの目を引いたのは――――

 

『―――帽子の男は英霊の可能性が微レ存』

 

そんなスレッドの名前であった。その書き込みを覗くことにした伊丹はスレッドを開く。

流石に今世間を騒がせている門関係の事だけあって書き込みの量は凄まじい、呆気に取られる伊丹と万理だがゆっくりと書き込みを読み進めていった。

 

『そもそも何で英霊? ただのコスプレじゃねぇの?』

 

『英霊がいるんだったらセイバーを召喚できるという事か!?』

 

『身体にアヴァロン入れてから出直して来い。』

 

『聖杯がこの世界に存在する?』

 

『社長と茸さんは魔術師だったのか!?』

 

『そういえば、社長さんと茸のSNSが凍結されてるんだが……。』

 

話が脱線して何を語っているのか分からなくなってきた二人に、一つの書き込みが映し出される。

 

『武器は拳銃、金髪に赤いマフラー。自分が見た限りFGOのビリーで、現れたその時も地面に魔法陣みたいなのが見えた。』

 

「………これ、あの時にあの場に居た人の書き込みか…?」

 

「…分かんないけど、ビリーさんが出てきてくれた時に一瞬目の前が真っ白になったのは本当。」

 

その書き込みの後には特に気にするような事は書かれていない、それでも世間の目がビリーや伊丹に向いている事は確かに分かった。

伊丹はそのコメントを流しながら見ていき、それとなくビリーがビリーであると少なからず思われ始めている事に冷や汗をかく。

 

(これ……このまま広まったら…本当に国際問題になるぞ……。)

 

ただでさえ架空の存在で扱いにも困っているのに、このまま世界に彼の存在が広まれば間違いなく政府にあらゆる方面から圧力がかかる。

ましてや本当に英霊であればその存在は脅威でしかない、空想上であれその身体はあらゆる近代兵器を無効化しその武器にもよるがそれぞれが街一つを滅ぼしかねない力を持つ。

 

対抗策は彼と同じ英霊を呼び出し戦うか、魔力を帯びた武器、あるいは魔術で倒すしかない。だが魔術というモノが存在しないこの世界ではそれすら実行に移せないだろう。

現状、魔術師(マスター)である万理の言う事を聞いているビリーには害意は見て取れず、このまま何も起きなければ彼女にもビリーにも問題は起きないだろう。

 

それでも悪意は何処にも蔓延っている、ビリーの存在を知ればその力を欲し手に入れようとする奴らが現れるだろうし。

その場合、狙われるのはビリーと契約を交わしてしまった万理であり。ビリーの力の源である魔力を供給しているのは彼女。

 

その供給源を握られてしまえば英霊である以上、従うしか道はない。

 

次に彼女がその手に宿している令呪と呼ばれる刻印は英霊であるビリーとの契約の証であり。

魔術師(マスター)から使い魔(サーヴァント)に対して絶対的な命令を下す事が出来る服従の証でもある。

 

それを使われてしまうと英霊はその命令に従わざる負えない、想像したくもないがビリーが悪用される可能性も少なくないのだ。

 

「……。おじさん、テレビつけるね。何か飲む?」

 

「ん、あぁ。ごめん、ありがとう。麦茶あったらくれるかな。」

 

考え込んでいた伊丹を見ておずおずと、言葉を発した万理はリモコンを片手にテレビをつけて冷蔵庫へ向かう。

偶々ついたチャンネルでは昼のニュースと称して生中継で門の前にニュースキャスターがコメントをしている。

 

「…なんであの門はこんな所に現れたんだろうなぁ……。」

 

「………。……はい…お茶。」

 

「ありがとう。」

 

呟いた伊丹に万理はそっとコップを差し出した。それを受けとっと彼の隣に再び座った彼女はそういえばと思い部屋の中を見渡すが目当ての人物が何処にもいない事に今更気づいた。

 

「あれ?……ビリーさんはまだ帰ってきてないの?」

 

「うん。いつもならまた笑ってテレビ見てるんだけどな。」

 

帰りが遅い自身の使い魔の事を気にしているマスターは手元のコップをボーっと見つめていた。心ここに在らず、まだ受け入れがたい現実に戸惑っている彼女は一人また考え込む。

そんな時だった―――

 

――――ガンッ!!

 

「ぴっ!?」

 

とんでもない音がテレビ越しに彼女らの部屋に響く、口に含んだ麦茶を思わず噴き出した伊丹と変な悲鳴を上げる万理達の視線の先にはテレビ越しに見える巨大な門を封鎖する為に作られたシェルターの扉が歪んでいた。

その扉がどれほど大がかりな物か理解していた伊丹は目を見開き、万理はあわあわといった様子で震えている。

 

二、三回と続いた扉を何かで殴打するような音が止まると瞬く間に、金属音が届く。

その瞬間、一瞬にして言葉の如く切り裂かれた扉は崩れその中からは真っ黒な人影(・・・・・・)が複数、姿を現した。

 

ニュースキャスターの悲鳴を皮切りにその場を警備していた自衛隊、警察官が容赦なくその人影に向けて発砲する。

だがソレはそんなものと嘲笑うように銃弾の雨の中を歩き出す、当たれば致命傷は避けられない近代兵器が通用しない、避けようともしない。

 

そんな光景が映し出され伊丹は戦慄し、万理はその場で顔を隠した。

 

『も、門の向こうから黒い姿の人物が現れて現在、自衛隊と交戦を始めました!! ですが、自衛隊の攻撃は効いていないようでッ――』

 

『―――呑気に話してる暇なんてない!! 死にたくなけりゃ逃げろ!!』

 

それでも報道を続けているカメラマンとニュースキャスター、彼女らの言葉に誰かが割って入った。カメラマンが後ろのにカメラを向けるとそこには尋常ではない速さでその場を駆け抜ける帽子の男が映る。

 

『あ、貴方はあの帽子の『逃げろって言ってるんだ!! 死にたいのか!!』』

 

その声音に反応した万理が見たのは帽子の男こと、ビリーその人で今まで見せたこともないほど必死な形相でニュースキャスター達に声をかけて銃を抜き放った。

銃口が向けれられたのはそのカメラ、カメラマンの悲鳴が聞こえたかと思えば放たれた銃弾は彼らの真後ろに向かい的を射ぬく。

 

慌ててカメラマンが後ろにカメラを向ければナニカが居たのであろう、黒い塊が離散していく光景が写った。

 

「何で……門の向こうからアレが……」

 

「……おじさん…、ビリーさんが戦ってる…。」

 

その手の事を知っている伊丹は驚愕の表情を再度浮かべた後に、万理の言葉で苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

 

 

 

 

     ◇

 

 

 

 

 

再び訪れた災厄、門の向こう側から再度現れたのは人間ではなくむしろもっと不味い存在。

 

シャドウサーヴァント。

 

英霊ならぬ英霊、英霊に何らかの理由でなれなかった出来損ないの存在。

あらゆるものに害意を振るい、その力は本来のサーヴァントと相違は殆どない。

 

この場に置いて最悪な事は、奴らには近代兵器が通用せず、奴らの頭の中には破壊衝動しか残されておらず、その強さが一騎当千の化け物だという事。そしてこの場が街中であるという最悪な状況である。

 

第六感をもってその存在を少なからず理解していたビリーは、ビルからビルを飛んで門まで駆けつけたが時すでに遅し。

もう既に門を覆っていたシェルターは破壊され、無数のシャドウサーヴァントが進軍を進めている。

 

警備にあたっていた自衛隊が抵抗してはいるがそれもスズメの涙、全くの意味も成さず倒れていく自衛隊を目にビリーはホルスターから銃を引き抜き迷いなく引き金を絞る。見事命中した弾丸は黒い人影を貫きその影は離散する。

この辺にまだ残っていた報道陣や一般人はこの状況に恐怖を感じて逃げ出している、だがそれに目を当てられるほどビリーには余裕はなかった。

 

(……クソッ…。今度は門の向こうからシャドウサーヴァントだって!?)

 

以前は敵なれど、人間を相手にしていた彼からすればこの状況をは望ましくない。守るべき存在がまだいる中で今度は出来損ないとはいえ同じ存在、サーヴァントを一人で相手することになってしまった。

落ち着いてはいられない。それでも自分がやらなければコイツ等はこの都市を滅ぼしかねない。そんなことはさせられないとビリーは奥歯を噛み締め狙いを定める。

 

(シャドウサーヴァントの数は…三体……。一人は恐らくカリギュラ、もう一人はカエサル、もう一人はハサンか……。)

 

その黒い霧のようなモノに身を包みんだ敵をシルエットで誰かビリーは判断していく。先ほどニュースキャスター達に襲い掛かった影を見るに先に見えるあのハサンは百の貌のハサンと呼ばれるサーヴァントだろう。

百の貌のハサンはその人格を他の個体として存在させる事ができるサーヴァント、その数は名の通り百体。

 

自身に自我があるとはいえ、先ほど倒した二体を削っても一対百。圧倒的な数の差に逃げ出したくもなったビリーだが踏みとどまる。

 

「門の向こうからこんにちわってね、ここからはボクが相手するよ。」

 

自身でも無謀だと思うが逃げる道を消したビリーはやけくそ気味に笑顔を作り、銃を構える。

目前でこちらを見据えていた三体のうちの一人、カリギュラと思える影がとてつもない速さで肉薄し拳を振り抜く。

 

「ッ!!」

 

紙一重で体を逸らしその腕をつかみビリーは銃口を敵に向けるが、その刹那には何処から飛んできたか黒いナイフが迫ってきている。声も上げられずにそれを避けようとして顔を逸らせばその隙に腹部をカリギュラにより強打される。

 

「ガッ!?」

 

とんでもない衝撃が彼を貫き体を吹き飛ばす、そのままビルの壁に叩きつけられたビリーは内心でほくそ笑んだ。

 

(やっぱり多勢に無勢かなぁ………。偽物とはいえサーヴァントだもんなぁ……。)

 

まがい物にも実力が届いていないのかと落ち込む半面、ここで終わりなのかと諦め始める心に喝を入れ彼は立ち上がる。

 

(それでも。こいつ等をこのままにするわけにはいかない。)

 

口から吹き出した血をぬぐい、追撃を加えようとするカリギュラを目前に据えビリーは両手で銃を持ち構える。

出し惜しみはしない。そう彼は決めた。

 

「ファイア!!」

 

カリギュラの拳が迫る中でビリーは宝具を放つ、必中の三連射撃がカリギュラに直撃しその体は黒い霧と共に茶色の何か(・・・・・)を残して離散した。

その拍子に無数のダークと呼ばれる刃物が彼に迫り、ビリーはその場を飛びのき回避を試みたが数本が彼の体に突き刺さる。

 

(…………本当に……キツイ……。)

 

腕と足に突き刺さったダークを引き抜き、傷口を抑えながら内心でそう呟くビリーの戦いは始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





評価の話は振りじゃなかったんです……。
どちらかというと不安だったといいますか……。

作者は小心者、ハッキリ分んだね!!

なんかごめんなさい!!

なんでも(ry

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