GATE クリティカルロマン砲に何故か転生した件   作:シアンコイン

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どうも、シアンコインです。
早めに投稿できるかと思ったんですが時間がかかってしまいました……。

感想覧にて自分の発言が皆様を不快にさせてしまうとの意見を頂きました。
この事について不快にさせてしまった方々にお詫び申し上げます。

ここまで評価を頂き驚いていただけなのであまりに気にしないでください。

UAも70000を超えて
お気に入り数も2000突破。

非常にありがたいです、これからも良ければよろしくお願いします。



「暇だなぁ…(何この状況)」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

静寂、いやほぼ無音とも言える状況がその場に広がっていた。

場所は某議事堂の一室。その場に居るのはビリー、伊丹、万理、総理大臣、防衛大臣、他、ボディーガードの皆さんである。

 

「………あのさー。黙ってても話進まないんじゃない?」

 

誰も何も言えない状況とはある意味、すごく珍しい事で別にそれぞれが気まずいと感じているわけではない。

どちらかと言えば政府のお二人に関しては目の前で女性の隣に座り、落ち着かない様子の帽子の男。ビリーが気になって仕方ない様子だ。

 

だがその二人に向かい会って座っているビリーを除く二人は気が気じゃない様子、万理に至ってはまだ何も話をしていなかったのにも関わらず頭が真っ白。

伊丹に関しては帰りたくて仕方のないようだ。

 

沈黙を破ったビリーはすごく申し訳なさそうに片手を上げただけだが、周りの反応は過敏だった。

彼らの後ろに控えていたボディーガードが即座に銃を構え、ビリーに銃口を向ける。周知の事実故に彼らの警戒心は極限までに高くなっていた。。

 

「あ、撃ちたいなら撃ってもいいよ? ボクの方が早いけど。」

 

(………総理大臣、閣下……アカン、アカンよこれ。)

 

標的であるビリーは微笑みを浮かべたまま横目でボディーガードの一人を見据えると、一瞥して片手をヒラヒラと振って興味なさそうに振る舞った。

表面上は、だが。元一市民である少年の内心はただビビッていた。

 

「……いい…。確かに彼の言う通りだな。」

 

総理大臣が片手をあげボディーガードを止め、隣にいた防衛大臣も大きくため息を吐いた。

 

(お、おじさん……。お偉いさんって……なんで……総理大臣!?)

 

(……いやぁ…閣下……、嘉納さんからは嘉納さんと他の人だけって俺も聞いていたんだけど…。)

 

そんな最中にビリーの隣で萎縮気味の万理が伊丹に耳打ちして、抗議をしていた。

実際、総理大臣と防衛大臣、その二人が公務員とは言え一般の人間と、ごく一般市民を相手にするかと言われれば答えは言わずとも知れるだろう。

 

それをひっくり返したのは言わずもがなビリーの存在だった。銀座のあの事件から姿を現した正体不明、驚異的な戦闘能力を有すると言われその風貌から『帽子の男』と安直すぎる通り名を着けられた存在。

一度の出現なれば言葉を濁すなり、正体不明と言い張るなりで時が経てばビリーの事もなりを潜めるだろうと政府の人間は少なからず期待していたのだ。

 

事実、その場でその帽子の男の主人なる女性を保護という名目で言い方は悪いが拘束でき。騒ぎの元、正体不明の人物も成り行きで政府の監視下に収めることが出来ていた。

が、度重なる門による騒動にてビリーは誰の制止も受けぬまま再び公の場に不可抗力とはいえ姿を晒してしまった。

 

これにより規制を掛け、新たな情報を晒すことなく自然に話題を消すという手段は崩れ。偶然にも最悪のタイミングで生中継していたテレビ局の放送からビリーの存在を隠す事は不可能となった。

ぶっちゃけ『門から詳細不明の軍団が現れて、それをどうにかする為に日本のゲーム原作の過去の偉人が英霊っていう存在になって出現したよ!!』

 

なんて、一般人が聞けば病院に行くことを薦められそうな話を国の実質トップが言う訳にもいかず。こうしてトップ自ら帽子の男に話を聞く事にしたのだ。

因みにその際に一番手っ取り早くコンタクトを取れる方法として、現防衛大臣、嘉納太郎の知り合いである伊丹に連絡が入ったのだ。

 

かなり緊張気味の彼ら三人を置いて総理大臣、防衛大臣は挨拶をし、ビリー以外の二人はぎこちない素振りで挨拶を返した。

緊張の糸が少しだけ緩んだのかその場の空気はやや落ち着いてきた。

 

「話は嘉納さんから聞いている、ビリーさん。貴方はゲームの中の人物という事で銀座の門と関係は無いというのは本当ですか?」

 

「うん。それで間違いないよ、ごめんね、先に断わっておくけれど丁寧な受け答えはあまり得意じゃないんだ。」

 

総理大臣の言葉を最初に本題に入った彼ら、総理大臣の質問に対しビリーは帽子を手に取り困ったように微笑みながら頭を掻いて先に謝罪をした。

それは彼が内心で盛大に焦りを見せているからで本来のビリーがこのような対応をするかとか、そんな事は微塵も考えていないのは確かだ。

 

穏やかな表情でその事を受け止めた総理にビリーは安堵し会話が再開される。

 

「では、何故貴方はあの場に、あのタイミングで現れたのかを聞かせていただきたい。」

 

「んー。素直に言えば偶然あの場に召喚されたとしか言えない………それがボクの答えかな。」

 

「…偶然……?」

 

「その通り、本来ボクらサーヴァントは魔術がある世界で聖杯という願いを叶えられる存在を賭けて争う。」

 

「だけどこの世界にはボクらサーヴァントの目的である聖杯の気配がない、もっと言えばボクを召喚するに必要な条件がこの世界に無いんだ。」

 

この時のビリーの言葉に嘘はあっても、悪意はない。自分の状況を話した所で何も話が進まなければ、意味も成さない。

むしろ他の人間を混乱させるだけと本当の事は呑み込んで、自分が知りえた情報から推測を口に出していく。

 

「その条件、というのは?」

 

「大本は確か、地球そのものが現在の世界が破壊されないために呼ぶ……えっと…?「ビリー、抑止力の事か?」あっそうそう。それ!!」

 

ビリーの中の少年が知り得ている情報を思い起こしてビリーが言葉を繋ぐ中で、隣の伊丹が答えを出してくれた。

嬉しそうに伊丹に指を向けたビリーその後に続いて防衛大臣から、言葉を掛けられる。

 

「……よく分からない単語も多いが、伊丹、その抑止力が何と関係しているんだ?」

 

「元々は英霊、ビリーのような存在を呼び出すには先ほどの『聖杯』があって成り立つ事で。その他の方法で呼び出すとすれば、地球が現在のこの世界が何らかの方法で破壊されない様に呼び出すしかないんです。」

 

ここに来て役に立つアニメ知識、本人もこんな場面で役に立つとは思わなかったのかやや苦笑気味でとんでもない事実を口にしている。

次いで言えば、ビリーと伊丹に挟まれて座っている万理は何となく話を理解し自分の存在が忘れられている気がしていた。

 

「だから、偶然なのかどうなのかボクには把握出来てないの。」

 

「まぁ、でもボクが呼び出されたのはきっと。門の向こう側に『聖杯』があってボクは偶然召喚されたのか。門の向こうにある脅威に抵抗する為に呼び出されたか、のどっちかだね。」

 

ビリーの発言にその場の誰しもが口を閉じる、非現実的な事が度重なり起きたこの現状にビリーの言葉に現実味が無くとも確信をもって否定できるものなど誰もいない。

ありえない事がありえない、そんな状況なのだ。

 

「門との直接的な関係はないけれど、間接的にはあるかもしれない。実際、二度目に現れたあの黒い影はボクら英霊に成り損ねた偽物。奴らが現れたなら門の向こうには『聖杯』があってもおかしくないんだ。」

 

だから門を封鎖する事も、破壊してしまう事も得策ではないという事を伝えてビリーは話に区切りをつけた。

 

「……大本の原因を探らない限り、危険は常にあるという事か……。」

 

「やはりこのまま門の向こうに行く事に……?」

 

考え込むように瞳を閉じた総理大臣、その様子に伊丹は恐る恐るといった表情で防衛大臣に声をかけた。

薄々と予想はしていたのもあって伊丹はあまり驚かないでいたが、やはり気が重いのだろう。

 

沈黙が募り始めた個室、静かに出されたお茶を飲んでいた万理は一人。天井を見上げた。

 

(マスターでも……私、空気……。)

 

 

 

 

 

 

     ◇

 

 

 

 

 

 

総理大臣との会合から一週間余り、あの場にてビリーと伊丹は二人に対し、自分の危険性と起きうる問題点を話し現状は門の向こうに行く際。

再び現れかねないシャドウサーヴァントの対抗策としてマスター、尾賀万理。サーヴァント、ビリーザキッドの同行を要請され。

 

ビリーが目的に据えている聖杯の存在の把握も相まって彼は了承、一人取り残されれば何があるか分からない事に気づいた万理もこれを了承。

ついては次にシャドウサーヴァントが現れる前に門の向こうへの進行を進める為に、自衛隊の派遣をする為に急ピッチで準備を進めていた。

 

現在ではビリーに関する映像や写真などの規制が厳しくされ、掲示板などには書き込みが増えるもののそれ以上の賑わいを見せないようになっていた。

 

そして現状、渦中のサーヴァント、ビリー。共に尾賀万理は緑色の防護服と銃器を持った人たちと共に車の中に座っていた。

急ピッチで準備は進められた結果、早い段階での門の向こうへ進むことになり、今日がその日。

 

そんな中、ビリーはつまらなさそうに帽子を取って消してしまい胸元のスカーフも光に溶かしてしまう。

チラチラと視線を向け、その光景を目の当たりにした自衛隊員は口を開けて呆然とし隣の万理は不思議そうに首を傾げた。

 

「帽子、いらないの?」

 

「うん。ボクの事を知っていて逃げ出した奴が向こうに居るかもしれないから、目立つ物はしまっておくよ。」

 

「便利でいいなぁ……。」

 

「そう? ボクとしてはあのテレビで見た青い猫のポケットの方が便利だと思うよ?」

 

緊張感の欠片もない彼ら二人の会話を耳にして自衛隊員の一同は面食らい、伊丹は溜息をついた。

マスターとサーヴァントという関係だからか、最近の二人の仲は良好だった。

 

万理に関してはビリーに命を助けられたという事実と、彼が隣に居るという現実が不安を掻き消し。

ビリーもこの状況で一人にならず誰かと一緒に居られるという事に安らぎを感じている。

 

(………まだ…他の魔力は感じない……気配も無い。………アサシンクラスはこの前倒したけれど…また出てくる可能性もある…。)

 

それでもビリーは顔に笑みを張り付けたまま、警戒心を高める。自身の感覚を集中させてすぐにでも動けるように。

首相による演説が終わり進行が開始された。動き出した先頭の戦車の後続として彼らの車両は進み始める。

 

「…………。」

 

そんな時にビリーは万理の仕草に目が行く。動きやすい格好という事でジーンズにワイシャツと上着、もしものことを考えて防弾チョッキを着ている彼女が心なしか震えてるように見えた。

何て事の無い会話で誤魔化していた恐怖から来る震えを、胸元に片手を寄せて自分自身を落ち着かせているようにも見えた。

 

「……大丈夫、マスターはボクが守るよ安心して。」

 

素直に率直にビリーは万理の頭に触れて言葉をかけた。突然の事に万理は触れられた瞬間大きく震えたがビリーを見て落ち着きを取り戻したよう、だが。

 

「………ッ!?」

 

すぐに万理は気づく、この場は何処か。自分の座っている場所は――――

 

「―――――え、ラブコメっすか?」

 

自衛隊員が集まっている車両の中だという事に。

 

そう気づいた万理は伊丹の知り合いである倉田陸曹からの一言に、恥ずかしさからか顔を真っ赤にして気絶し。慌ててビリーは万理を抱きとめる。

先ほどよりも大きくため息を吐いた伊丹からは哀愁が漂っていたとか。

 

 

 




真面目な話は前書きで終わりとして。
前回に続きまして、私生活でマジで旅に出る事になりましたので次回投稿は先になるかもしれません。
ご了承ください。

ところで、今回のハロウィンイベントのエリちゃんの宝具が『コン・〇トラーV』の超電磁スピンに見えたのは私だけ…………?



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