GATE クリティカルロマン砲に何故か転生した件   作:シアンコイン

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どうも、シアンコインです。
気が付けばもう11月も終わりですね…………。

UA数90000突破

ありがとうございます、旅行からも無事帰還しましたのでまたボチボチと更新していきますのでよろしくお願いします。

あ、タグ追加しました。


「平和だねぇ(話進まねぇ……)」

 

 

 

 

 

「………………。違和感は……無いか…。」

 

一人、幾千もの星が散らばる夜空の下でビリーはスコープを覗きながら言葉を漏らす。

彼が今居るのは門を超えた向こうの世界、視界に広がるは門を囲むように火を灯し数万は居るであろう異世界の軍勢。

 

伊丹達、自衛隊との進行をして数分経たずに門の向こうに達していたビリーたち。

その門を潜った瞬間、ビリーの意識が何故か途絶え万理に慌てて起こされ。二人車両に残されたことを知るとビリーは万理を抱え門の上へ飛び乗った。

 

その際に自衛隊から勝手に拝借したライフルを持ち、伊丹の動向を見守りながら自分の身体の違和感を探っているのが現状である。

スコープ越しに自衛隊の隊員たちの配置を一通り見定め、次に敵戦力を流し見て行く。

 

(……何で意識が一瞬途切れた…? 感覚にしては現界した時に近かったけど……この世界の知識でも入ったのか…?)

 

そう一人思案顔で考えこむビリー、彼がそう考えた理由は当然、自身が転生者であり神という存在が少なからず自分に何らかの補助。ビリーからすれば余計な事をしていると思ったからである。

目先の戦闘は自衛隊に任せれば向こう側に被害があろうと、こちらの被害は最小で済む。自分が出る必要もない、そう彼は考えている。

 

「おじさん大丈夫かな……。」

 

そんな彼に彼の後ろで屈んで自衛隊の方角をボンヤリ見ていた万理が声をかける。

不安そうに先を見つめるその瞳を横目にビリーはスコープから顔を離した。

 

「大丈夫さ、マスター。今、敵は遠くに離れているからね。あのまま突進して来ても彼ら自衛隊に蜂の巣にされるだけだよ。」

 

「…うん。あの、ビリーさん、あの影はまた出てくると思う?」

 

不安にさせないようにと明るく振る舞うビリーは、にこやかにほほ笑んで構えていたライフルを下に向け万理に質問に彼は答え始めた。

 

「………どうだろうねぇ、ボクのクラスは『アーチャー』なのは分かるよね? この前出て来た奴等の元のクラスはマスターも分かるでしょ?」

 

「えっと、『バーサーカー』『アサシン』『セイバー』だよね?」

 

「その通り。もし、この世界で聖杯戦争が行われて居るならば既に三人のサーヴァントを撃破したことになる。」

 

くどい言い回しになっているが、これでもビリーはそれなりに分かりやすく話しているつもりである。

実際の聖杯戦争では七つのクラスが存在し、例外が無ければ六人が敗退すれば聖杯戦争は終結するのだ。

 

この辺の事もしっかり説明するべきかとビリーは考えたが、伊丹の教え込みが上手くいったのか。

それとも単純に彼女の地頭が良かったのかは分からないが万理は理解したようだった。

 

「残りは三人………でもビリーさん言ってたよね。あの影は『成り損ない』だって。」

 

「良い所を突くねマスター。そう、アイツらは『成り損ない』。だからクラスがあるのかも定かじゃないんだ、もしかしたら別でまた現れる可能性もあるよ。」

 

思案顔から平然と疑問点をぶつけてくる万理に、ビリーは笑顔で人差し指を彼女に向けた。

ビリーの脳裏では以前、自身がプレイしていたFGOの第一章。所謂序章のシナリオが思い出されている。

 

序章にとある理由で登場したシャドウサーヴァント達はそれぞれに自我が存在し、クラスを有していた。

だが今回出現したシャドウサーヴァントは自我を持ってはいなかった、その事を加味すると奴等がクラスを有していた可能性はかなり低い。

 

それはそれで面倒な事には変わりなかった、もしただのシャドウサーヴァントならばどこかに存在する歪み。シャドウサーヴァントを生み出している存在がある限り生まれ続けるだろう。

その頻度があまりにも多ければ自身がこの場を離れる事は叶わない。悪ければ物量に負け自身が消滅する可能性も無いわけでもないのだ。

 

できれば、と彼はこのまま暫くは現れる事無く時が過ぎる事を祈っていた。

 

(……もし、仮に。何かが起これば()()がある。もしもの時は……。)

 

吹き抜ける風に髪を揺られながらビリーはそっと胸の裏ポケットの辺りに触れて、まっすぐとその先の暗闇を見据える。

その隣に座りこんだ万理は時折聞こえ始めた銃声に耳を塞いで瞳を閉じていた。

 

刻み始めた時の歯車は本来の筋書きよりもより速く回り始め、物語は更に歪む。

必然の出来事は偶然に変わり、この先の未来をビリーは見据えられなくなった。

 

自身の服、ビリーの胸の辺りが微かに光を帯びていた事にも彼らは気づいて居ない………。

 

 

 

 

       ◇

 

 

 

 

「んー……。はぁ、清々しいほど穏やかな空だねぇ。」

 

門の向こうへと向かったその日のから早くも一週間、状況は自衛隊による武力行使により帝国軍と思われる軍勢は数えきれないほどの犠牲を持って撤退していた。

現状は門の周辺に自衛隊が陣地を築き、その簡易の宿舎でビリーと万理はシャドウサーヴァント及びこの世界の事を探っていた。

 

探るといってもビリーが門の周辺に気を配り不審な影が無いか警戒するほどで、元々魔術の心得が無い万理はビリーに付き添って周辺を見て回るだけだった。

チラホラと訓練している自衛隊員や、警備に当たっている隊員に笑顔で挨拶するのが二人の日課になりつつあった。

 

「そうだねぇ。空気もおいしいし……アーチャーはもう何も感じないんでしょ?」

 

「うん。今のところは何の気配も感じない、もしアサシンクラスが居るならとっくに何か行動に移すだろうしね。」

 

当然のように万理に『アーチャー』と呼ばれたビリーは言葉を返す。今までビリーと呼んでいた彼女だが伊丹とビリーによる判断で第三者が居る場所では彼の事は『アーチャー』と呼ぶようにしたのだ。

門の向こう、"特地"では別段と意味のある事ではないが。何も知らない隊員にも素性を知られる事はあまり望ましくない。思いがけない場所から情報が漏れる危険性を顧みての事だった。

 

「良かった。このまま現れないといいね。」

 

「そう? ボクとしてはスリルが欲しかったり――あぁ、ウソウソ。冗談だよマスター。」

 

だから怖い顔をしないでくれ、そう困ったように告げるビリーに万理はフイッと顔を背けて拗ねてしまった。常日頃から共に居ると言っても過言にはならない関係になった二人。

万理自身も、ビリーの軽口には慣れているし。理解もしているが彼のこういう発言はあまり好ましく思ってなかったのだ。

 

「私、アーチャーのそういう冗談は好きじゃない……。」

 

「ごめんよマスター、だからそう膨れないでよ。――でもその言い方だとそれ以外はボクの事好きなのかい?」

 

そうぶっきらぼうに答えた万理の言葉にビリーは困ったように微笑み謝罪をするが、それと同時にあげ足を取ってニンマリと笑う。

瞬間、万理の顔はトマトの如く赤く染まり両手の拳が強く握られ振りかぶられた。

 

「――――ッ!!!!!!!」

 

「へ……?」

 

その速さは油断していたとはいえビリーの予想を超えた行動、ビリーの失敗の原因は穏やかで優しく暴力の類を好まない彼女は()()()行動には出ないだろうという驕り。

そもそも彼からすればちょっとからかっただけの事にそこまで過敏に反応するとは思っていなかった浅はかさ。

 

(ラブコメか………)

 

(若いねぇ……)

 

(あれが……帽子の男……?)

 

主人と使い魔という関係で回路が繋がっている彼らは身体を通した主人の照れ隠し(スキンシップ)も可能だったのだ。

警備または任務中の自衛隊員が横目でその場に蹲るビリーに内心、合掌しながら歩みを進めていき。

 

(リア充爆発しろ)

 

(妬ましい、ああ、妬ましい)

 

その光景に一部からは嫉妬の怨念が向けられている事を気づきもしなかった。

 

 

 

 

         ◇

 

 

 

 

「アーチャー、お前の意見が聞きたい。ちょっと付いて来てくれないか?」

 

「…あ…あぁ……。分かったけどイタミ……ボクちょっと肩がすごく痛くて………。」

 

「自業自得だろ。万理ちゃんは優しい子だけど、暴走すると手におえないんだ。マスターの事は把握しとけ。」

 

ビリーがマスターから両肩にダメージを受けて数刻、どうやらその一連の流れを見ていたらしい伊丹に声を掛けられたビリーは辛そうに声を返した。

万理に至ってはその場に居る事も恥ずかしくなったのか、それともバツが悪くなったのか走り去ってしまっている。

 

「マスターの腕力って……実はAくらいあったりしない?」

 

「俺の従妹を英霊と一緒にするな、それに万理ちゃんはそんなに力持ちじゃない。」

 

「だよね……。」

 

「……今回の進行で俺達自衛隊の拠点はもう一通り準備が出来た。そろそろ調査隊を編成してそれぞれこの特地を調べる意向が出ていてな。」

 

伊丹の後ろをゆっくりと付いていくビリーに彼から今後どうするべきか、そういう意見を聞きたくて呼びに来たとの報告を受ける。

 

「どう思う? 現状他のサーヴァント、シャドウサーヴァントは確認できていない。お前の話だと気配も無いってことだが……。」

 

「賛成って言いたい所だけど、あまり気乗りはしないなぁ……。」

 

微笑みながらも若干言い淀むビリーの様子に伊丹は何かを察したように溜息をついて空を仰ぐ。

 

「そりゃあ、そうだよな。お前にとっちゃ万理ちゃんを護るのが役目で、しかも門の事も気にしてるんだもんな。」

 

「流石にボクだって人が一方的に蹂躙されるのはイヤだからね。それとイタミ、溜息ばかりついてると幸せが逃げるってマスターが言っていたよ。」

 

ビリーの言葉に、誰のせいだよと苦笑して目的の場所に着いたのか立ち止まり拠点の中では比較的大きいテントの入り口を開く。

先に中に入った伊丹に促されビリーも後に続き中に入ったところでビリーは感づいた。

 

(あっ、これ、また偉い人と話す奴だ………。)

 

時すでに遅し、彼の視界の先には何やら机に座った眼鏡の男性と話をしている伊丹がおり傍らで作業している方々からも視線が飛んできている。

伊丹に手招きされ彼の隣に立つと眼鏡の男に訝しげに見られるビリーだが、慣れたもので笑顔は崩さないでいた。

 

改めて男性から説明を受け、この地の地理、宗教、政治形態、産業の調査をする為に六つの部隊を編成し各地に散らばり情報を集めるとの事。

その事にあたり、例外のビリーの意見を聞かせてほしいとのことだった。

 

「…………行くなら一部隊だね、それ以上行くのはボクは賛成できない。」

 

数秒、考えたビリーはそう答えた。ここまでは彼の知っている物語と遜色は無い、言うなれば自衛隊が進出する時期がずれている事と自分という異例が居るという事だが。この際その事は除外して判断を下す。そして、この場で拠点から動くのはやめておいた方が良いと意見も出来たがこれは彼なりの考えからの言葉だった。

現状、この国の軍勢は撤退しこの丘への進行は止んだ。それでも危険が解消されたわけではない、新たにシャドウサーヴァントが現れないという可能性は何処にもない。

 

もし自分がこの場を離れ、拠点にシャドウサーヴァントが現れれば抵抗も虚しく突破されるのは目に見えている。

かといって彼がこの場に留まり続けても状況は好転しない、この世界がどうなっているのかをせめて確かめる必要があった。

 

その為に、部隊の数を一つに限定し自分がそれに同行するという考えを彼は導き出した。他の誰かを犠牲にするという考えは彼の中に存在しない。()()()ビリーならば仕方ないと切り捨てるかもしれないが、()()ビリーは誰かの命までも惜しんでいたのだ。

そして一部隊ならば襲撃を受けても自分が対応できる、最悪の場合を考えて車両のどれかにオートバイを乗せてもらえればこの拠点に戻る事も可能だと。

 

「一部隊か……だが、それでは効率が下がる。」

 

「効率が下がるって言うなら、無理に出撃させてあの影に遭遇すれば彼らは死ぬよ? それこそ、その先の効率に影響するんじゃない?」

 

返された言葉にビリーは冷淡に答える、いつになく微笑みを消したビリーはその場で思考を更に巡らせた。

 

「仮に、他の部隊が居たとしてもボクが同行できるのは一組だ。他の部隊が影、シャドウサーヴァントに遭遇すればまず戦闘は避けられない。そんな状況でボクが救援に向かうとしても新たに他の部隊の前にシャドウサーヴァントが現れないという確信もない。たらればの話をしていたらどうしようもないけど、選択肢は二つに絞りたいんだ。」

 

一つは部隊の護衛を継続する、もう一つは拠点に出現したシャドウサーヴァントの撃破。

部隊を分けるにしてもこの身一つでは対処ができないと改めて実感し、条件を限定する。これが却下されればそれまでだが是が非でも伊丹の部隊に同行するという意思を彼は見せた。

 

「どうだい? ボクの頭でもそれなりにいい答えが出せたと思うけど?」

 

真剣な顔から切り替えてニッコリ微笑み、ビリーは隣の伊丹に話を振る。彼の頭の中はすでにパンク寸前。

元々楽観的な性格だが、ここに来て問題が山積みな現状と思った以上に居るであろう『敵』の動きが見えない事で彼は心の何処かで余裕をなくしていた。

 

身体は霊体、人ならざる者だとしても中身は一般人でしかない。見え隠れする自分の焦りを拭い払うようにビリーは笑顔の仮面を張り続ける。

状況が好転する見込みは何処にもないが、それでも行動を起こし変化が起きることを彼は祈った。

 

 

 

 

 

 

 

――――そして、何処までも人間な使い魔は気づかない

 

 

 

 

――――もし、他に理性の存在する使い魔が存在し、好機を伺っているとすれば

 

 

 

 

――――もし、戦闘能力としてビリーの特徴を知っている存在だとすれば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………貴女……誰?」

 

「警戒しないで欲しいのだけれど……。貴女と貴方の使い魔(サーヴァント)に話があるの。危害は加えないわ、どうやら知り合いみたいだから。」

 

 

辺りには眠らされた警備兵、自衛隊が転がるその場で、警戒した様子の尾賀万理の前に小柄な人影と小さな人形が佇んでいた。

 

 






寒いときは布団をかぶると幸せになりますよね。
本読んでもいいし、ゲームしても良いし。

あぁ、エクステラ楽しいんじゃぁ………。




ジャンヌ・オルタ・サンタ・リリィ………?

fgoのイベント始まったら皆さん頑張って下さいね、作者も頑張って周回s(ry

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