ソードアート・オンライン 紅鬼と白悪魔   作:grey

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もっと、上手く表現したかった。ナイトの長セリフ、結構頑張ったんですけどねぇ。何か、いい方法とかないでしょうか。
ラフコフが本格始動し、それに対する議論が交わされます。こんな事、あったかもなぁ、と思い書いてみました。

追記
【DATA】のナイトの片手剣の固有名を《デスペレイション》から《トワイライト》に変更しました。理由は、《暗黒剣》のソードスキルと被っていた事に気付いたからです。


08.かけられた疑惑

「またLA掻っ攫って行きやがったな、黒ずくめ(ブラッキー)先生。しかもLAって片手直剣なんだろ。いいよなぁ」

 

 50層のボス攻略が数時間前に終わった。クォーターポイントという事もあり、苦戦が予想された。実際、苦戦を強いられ、一時はレイドが半壊した。しかし、《血盟騎士団》団長 《ヒースクリフ》の持つエクストラスキル《神聖剣》(後に、《ユニークスキル》と判明)により、立て直しに成功。その間に援軍が到着し、形勢逆転。最後はキリトさんがダメージを与え、二度目のクォーターポイントは数人の犠牲者が出たものの無事修理屋した。

 

 そして今、ナイトがキリトさんから、LAボーナスをもらおうと交渉している。100%無理だろうな。

 

「いいじゃんか。お前、LAは山程取ってんだろ。今回ぐらいはさ」

 

「バカ言うな。今までとは比べ物にならないよ。片手直剣なら、俺だって使ってる。しかも、その性能が魔剣クラスと知ったら手放せるか!」

 

「キリトさん。俺らにも見せてくださいよ、そのLAボーナス」

 

「いいぜ」

 

 キリトさんが左手でナイトを抑えながら、右手でウィンドウを操作する。そして、オブジェクト化される。そして、それを俺に持たせてくれた。

 

「重っ!」

 

 俺のの手に収まっているのは装飾のないシンプルなデザインの黒い直剣。

 

「名前は《エリュシデータ》。意味は……“解明者”って所ですかね。それにしても重いですね……」

 

 おそらく、攻略組でこれが使えるプレイヤーと言ったらキリトさんだけだろう。ナイトはどちらかというとAGIに偏ってるから、今からだと、かなりSTRを上げないといけない。俺やクラインさんは刀を使うため、STRよりAGIに振ってるし、アスナさんはAGI優先。アクアさんやレモンさんはいけそうだけど……。

 

「なぁ、アクア、レモン。お前らも欲しいだろ、《エリュシデータ》。みんなでバトルロイヤルでもして、誰のにするか決めようぜ」

 

「僕はいらないよ。《片手剣》、上げてないし」

 

「ウチもいいかな? その剣、重そうで素敵だけど、ちょっと細いかな。ウチの場合、大剣使うのはボス戦だけだし。もったいない気がする」

 

 残念。ナイトの目論見は該当者が欲しいわけではないので、未遂に終わった。

 

 

 現在、アインクラッドで一番大きいプレイヤー経営のレストランで50層のボス攻略の成功を祝っていた。まぁ、これぐらいはいいだろう。

 

「キリトさん、ナイトさん、スカーレットさん、レモンさん、クラインさん。少しお時間いいですか?」

 

 話しかけて来たのは、《血盟騎士団》のプレイヤーだ。気づけば、アクアはいなくなっていた。

 

 俺たちは彼の言葉をに従い、《血盟騎士団》のギルドホームに向かう。

 

 

「ヒースクリフ団長、一体何の用ですか? 《神聖剣》の自慢話なら、聞きませんよ」

 

 そう言ったのは、食事の途中で引っ張って来られて機嫌の悪いナイト。

 

「いや、そういうわけではないよ、ナイト君。

 攻略組の各ギルドリーダーと有力なソロプレイヤーの諸君、祝いの途中で申し訳ない。集まってもらったのは他でもない。先日、結成が宣言されたレッドギルド、《ラフィン・コフィン》についてだ。アスナ君、アクア君、ここからは任せてもいいか?」

 

 最初の挨拶だけして、ヒースクリフは椅子に腰掛け、自分には話す意思がないとアピール。この人はホント、アスナさんとアクアさんに任せてる所が多い。

 

「分かりました。

 では、続けます。そのラフコフの動きが収まる気配はありません。拠点の捜査も、アルゴさんとレモンさんを中心に行ってもらっています。しかし、未だ発見には至ってはいません。彼らが、今後攻略の障害になる事は間違いありません。そのためにも、何か、意見はありませんか?」

 

 最後だけ、随分とアバウトだ。しかし、それは仕方ない。彼らの目的が分からない以上、こちらからのアプローチの方法は0に等しいのだ。

 

「少し、補足させてもらいます。ラフコフのメンバーについてです。リーダーがPoH。サブリーダーがヴァイス。幹部にはザザやジョニー・ブラックなどがいます。彼らは僕ら、攻略組にはレベルでは劣るものの、プレイヤースキルが凄まじいです。僕らでも、1vs1なら、苦戦が予想されます。他のメンバーは現在確認出来ているだけでも、20人を超えていると報告されています。その他必要があれば、その都度補足します。以上です」

 

 ここで求めているのは、ラフコフについての何かしらの情報。つまり、俺はその情報がある。言わない方が、攻略組にはいいのかもしれない。でも、俺にはそんな事は出来ない。

 

「じゃあ、俺からいいですか?」

 

「もちろんよ、レット君」

 

 アスナさんから許可をもらい、発言する。少し、ナイトの方を見て、心の中で謝りながら話し始める。

 

「えっと、ソロのスカーレットです。情報と言えるかあれなんですけど……。俺は、例のフラグボスが出た日、ラフコフのサブリーダー、ヴァイスと戦いました」

 

 その発言で、部屋が少し騒つく。それもそうだろう。ヴァイスは誰であろうと殺すとさえ言われているレッドプレイヤーなのだ。俺が生き残った事に驚いているのだろう。

 

「もちろん、俺は負けました。完敗です。ですが、だからこそ、分かった事があります。装備は大体情報通りです。白のローブに左手に《クリムゾン・ヴァイス》。ローブの下はよく見えませんでしたが、多分白だったと思います」

 

 その言葉を聞き、集まった人々は皆、ナイトを見る。

 

「で、でも! ギルドアイコンがあった気がします。あいつとの戦いに夢中であの時は気づきませんでしたけど、多分あれはラフコフのマークです」

 

 すると、今度は全員がホッとする。

 

「ですが……ヴァイスは、《ヴォーパル・ストライク》を使って来ました」

 

 つまり、それはその時点で《片手剣》スキルが950に達していたという事。攻略組でさえ、キリトやナイトぐらいしか使える者はいなかった。したがって、再びナイトに注目が集まる(キリトは黒いから除外)。

 

「何、申し訳なさそうな顔してやがる。レット、別に疑いたきゃ疑えばいい」

 

「だけど、あいつは仮面を被ってて、声もアイテムか何かの効果で変わってたんだ」

 

「それなら、むしろ俺が怪しいだろ」

 

「それは……」

 

 ナイトは自ら自分を怪しいと言う。ナイトはヴァイスではない。そう言いたいが、現時点で出ている証拠では、ナイトが最も怪しい。

 

「というわけで、俺も発言いいだろ、アスナ、アクア」

 

「いいわよ」「もちろんだ」

 

「今のレットの発言からだと、どう考えても、俺が怪しい。ギルドアイコンがなくても、攻略の時だけ脱退すればいい。LAを積極的に狙うのも、ギルドの強化と言われればそれまでだ。オレンジになっても、回復させればいい」

 

 再び部屋が騒つく。しかし、それは先程よりも大きい。

 

「でも、それは誰だって出来る。スキルの熟練度は、嘘をつく事だって可能だ。まぁ、どれも俺が犯人じゃないという理由にはならないけどな」

 

 疑われてるにも関わらず、堂々としている。流石と言うべきか、慣れていると言うべきか。

 

「なぁ、ナイト。僕たちはお前を疑いたくはない。1層からずっと攻略に参加してるしな。そんなお前を信用して聞く。どうすれば、ラフコフを止められると思う?」

 

「アジトを叩くのが早いだろうな。ただ叩くのではなく、幹部以上の奴等を捕らえるんだ。だが、それが出来れば苦労しない。だからこそ、俺はこう考える。《ヴォーパル・ストライク》が使えるという事は、9割方、攻略組、またはそこからドロップアウトした者がヴァイスであり、ラフコフにいるという事だ。それに、ヴァイス以外にも攻略組関係の奴がいるかもしれない」

 

 自分たちの中に裏切り者がいると言うのだ。よくもまぁ、そんな事をギルドリーダーたちの前で言えるなぁ。

 

「候補はいくつかある。まずはソロプレイヤー。コイツらに自分がラフコフではないという証拠は出せない。次に大規模ギルド。コイツらは大きいが故に、隅々まで管理が行き届いていない。逆に、小規模ギルドは、そのギルドそのものがラフコフ、または繋がりがある可能性がある。最後にドロップアウト組。これは、さっきと同じだ」

 

 ナイトがうんと長いセリフを言い終えた。お疲れ様。

 

「要するに、今俺が言った事を一度ギルドに持って帰って、議論しろ。その後の対策は各ギルドに任せる。今は、それしかできないだろうな」

 

 パチパチパチパチ

 

 思わず皆、拍手をする。ナイトにこういう事をさせたら凄い。あっという間に皆をまとめ上げてしまう。

 

「ナイト君、素晴らしい話だったよ。これは、我々《血盟騎士団》でも、議論しないわけにはいかないな。アクア君。祝いの席がお開きになったらすぐ、ここに団員を集めてくれ。早速議論をしよう」

 

「了解です」

 

「というわけで、各ギルド、各プレイヤーで対策を考えてください。ドロップアウトしたプレイヤーについては、各ギルドに任せます。レモンちゃんはアルゴさんに連絡して、引き続きお願いします」

 

「了解です!」

 

「では、解散!」

 

 

 帰り道。俺は現在、家のある《リンダース》に帰るべく、転移門に向かっていた。そして、各自家や宿に帰る、ソロプレイヤーのキリトさんとナイトも一緒だ。プラス、本人は偶然と言っていたがアルゴさんがギルド本部の前にいたので、レモンさんと彼女もいる。

 

「それにしても、ナイト、凄かったな!」

 

「まぁな。でも、正直、俺が疑われたのは焦った。どうしようかと思ったぜ」

 

「俺は信用してるからな」

 

「ありがとよ、キリト」

 

「ナー君は昔から危なっかしいからナ」

 

「そーそー。ウチも焦ったよ。だって、全然否定しないんだもん」

 

 そんな感じで会話は進み、転移門の前まで来た。

 

「でも、ナー君がそんなにまとめるのが上手いなら、ギルドでも作ってみたらどうダ?」

 

「いいじゃん、それ! ウチは入るよ」

 

「じゃあ、オイラも入らないわけにはいかないナ。キー坊はどうするんダ?」

 

「お、俺? 俺は……」

 

 キリトさんは迷う。まぁそうだろうな。でも、ナイトがリーダーなら面白いそうだ。でも……、

 

「何で俺抜きで話してんだよ。俺はリーダーはやんねぇぞ。面倒くせぇ」

 

「確かに。ナイトはリーダーには向いてなさそうだな。だって、とんでもない事をいきなり言い出すからさ」

 

「はァ? レット、テメェも偉くなったなぁ。んな事言うのかよ」

 

「わ、悪いかよ。ていうか、いいとこ、お前はサブリーダーが限界だろ!」

 

「激しく同意」

 

 ナイトが同意してくれた。全く、何が言いたいんだ。

 

「着いたぜ。じゃあ俺は行くな」

 

「じゃあオイラたちも行くカ、レモン」

 

「はい!」

 

「じゃあ、俺も」

 

「じゃあな!」

 

 それぞれ自分のいる場所に帰って行った。

 

 

「いやぁ、それにしてもナイトはすごかったぁ。あいつが、ヴァイスなんて事、あるわけないよな。よしっ! 絶対に、ナイトを超えてやる!」

 

 俺は、もう一度気持ちを新たにした。必ず、約束を果たすんだ。




【DATA】

・ナイト(「08」時点のデータ)
レベル:73
二つ名:《純白の騎士》
武器:《トワイライト》…49層のLAボーナス。白い片手剣。
主なスキル:《片手剣》、《索敵》、《隠蔽》、《武器防御》、《戦闘時回復》、《体術》、《投剣》etc


次回もお楽しみに!
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