ソードアート・オンライン 紅鬼と白悪魔   作:grey

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 お待たせしました。全世界待望?のリズベットのリズベットによるリズベットファンのため?の神回(嘘)の投稿です。……深夜テンションでおかしくなっております。
 危ない危ない。シノンの誕生日すら越える所だった……。

 そういえば先週、友人と一緒にヒロアカの映画を観てきました。どハマりして、漫画を大人買いする計画を立てております。二次創作してみたいと思いつつ、苦手なバトル描写中心なので迷ってます。そもそもこれも完結してないし。

 遅くなりましたが、【後編】の投稿です。文才のない私の小説が、リズの可愛さでどこまで補えるのか、必見です。

-追記-
 前回の更新分、初めてランキング入りする事が出来ました。私が確認出来た時点で、最高61位でした。今まで応援してくださった読者の皆様、ありがとうございます。今後も【SAO SO&WD】をよろしくお願いします!


番外編4 リズとアクアの休日inアインクラッド【後編】

「じゃあ、次はあっちに行ってみましょ!」

 

 始めこそ、緊張のあまりアクアに手を引かれるままに歩いていたあたしだが、いつの間にかその立場は逆転していた。初めて見る景色でもないのに眼に映るもの全てが輝いて見えて、思わず子供のようにはしゃいでしまう。

 

 そもそもSAOでデートと言えば、ほぼ満場一致で47層が選ばれるのではないだろうか。ここは《フラワーガーデン》とも呼ばれ、主住区の《フローリア》を中心に色鮮やかな花が咲き誇る。そこはあたし達が住む《リンダース》の1つ下なのだが、その様子はまるで違う。昼夜問わず圏内には人が──特にカップルが溢れ、SAO屈指のデートスポットとして認知されている。

 しかし、あたし達がいるのはそこではない。あたし達がいるのは、更にそこから3つ登った所にある50層の主住区《アルゲード》。秋葉原などの電気街を彷彿とさせる無秩序な街。《フローリア》とはまた違った意味で賑やかで、こういう雑然とした雰囲気を好むプレイヤー──例えばキリトのようなソロプレイヤー──が多く闊歩している。あたしやアクアがよくお世話になっているエギルも、ここに自身の店を構えている。

 

 ではなぜこんな色気のない場所でデートなんかしているのか。それは単純に、この幸せな空間を誰にも邪魔されたくないからだ。

 アクアはという男は、優れた容姿と、穏やかで優しい性格、KoBに所属する攻略組というブランド力、この3つを兼ね備え、アスナと同様に異性のプレイヤーから絶大な人気を誇る。囲まれて動けなくなる、みたいな現実の有名人のようには流石にならないだろうが、後日噂になるなどの事態は避けたい。

 要するに、「初デートぐらい2人でゆっくりさせろ!」という事だ。

 

 そんなわけで今日はアクアと一緒に、《アルゲード》での路地裏ショッピングデートだ。

 以前アスナから、「《アルゲード》は見た目通り、掘り出し物が多いのよ」なんて聞いていた通り、ここは隠れた名店やレアアイテム、ランクの高い装備品で溢れていた。

 

「へえ、すごい。こんな物まで作れるのね」

 

 ここは、主にアクセサリー類を扱うプレイヤー経営のお店。そこでまずあたしの目に留まったのは、黄色の花弁をモチーフにした髪飾り。現実にあるようなものとそっくりで、本当に精巧な作りをしている。主張し過ぎず、目立たな過ぎず、アクセサリーとして完璧と言えるほどの完成度だ。

 ウィンドウを開いてプロパティをチェックすると、敏捷+5だけでなく、ほんの僅かだがHPリジェネの効果まで付いている。これほどの効果があれば攻略組も重宝し、最前線でも十分に通用するだろう。同じ生産職として負けていられないと、あたしの心に火がついた。

 

「リズ……。ストップ、ストップ」

「へ?」

 

 あたしが手に取った髪飾りを軽く叩いて耐久値を実際に確認していると、アクアがそれを止める。そしてげんなりした様子でこちらを見て、わざとらしく溜息を吐いた。

 

「今、鍛冶師の顔になってるよ……」

「ほ、ホント⁉︎」

「ホント、ホント」

「……職業病ね」

 

 せっかく仕事を休んでデートをしてるのに、ついつい鍛冶師としての仕草が出てしまう。良く言えば仕事熱心、悪く言えば切り替えが出来ない。どう考えてもデートに誘ってくれたアクアに失礼だ。そんなちょっとした自己嫌悪に陥りながら、手に持っていた髪飾りを元の場所に戻す。

 

 そんなあたしに気づいているのかいないのか、アクアは楽しそうな表情でこちらを向いた。

 

「そんな顔するなって。ほらリズ、こっち向いて」

「えっ?」

「そのまま。そのまま動かないで」

 

 そう言うと、あたしの頰に軽く触れてから、ベビーピンクに染まった髪に手を伸ばした。そして愛用のシンプルなヘアピンを外し、アクアは手に持っていた別のを慣れた手つきで付け直した。そして手櫛で軽く髪を整えて、ポンとあたしの両肩を叩く。次に、あたしの身体を店の奥に向けて回転させた。

 

「向こうの鏡で見てみなよ。どう? 僕的には、結構似合ってると思うんだけど」

 

 背中を押され、鏡の前に立たされる。そこに映っていたのは、新しいヘアピンを付けたあたしの姿。ベビーピンクの髪に良く合う淡い水色のヘアピン。さっきの髪飾り同様、花がモチーフにされているようだ。

 

「どう? いいでしょ。さっきのもすごく素敵だったけど、こっちの方がさりげない感じでら普段付けるならいいかなって」

「……う、うん」

 

 そう言って、肩越しに覗き込んでくるアクア。その顔は実に満足そうだ。「うんうん、思った通り可愛い」なんて耳元で言ってくるもんだから、くすぐったさと恥ずかしさで体温が上がる。

 

「……ああもうっ。離れなさいよ、アクア。くすぐったくて仕方ないわ」

「知ってる。だからやってるの」

 

 どうやら確信犯だったらしい。そんなイタズラっ子みたいな顔もいいな、なんて思いつつも、あたしにはそんな余裕はなくて、実際はあまりの恥ずかしさで何も言えなくなっている。

 アクアからはどう見えてるのか。きっとSAO特有のオーバーリアクションで顔は真っ赤なのだろう。そしてそれを彼は見て楽しんでる。そこまで想像してまた顔が火照る。こうなったらもう抜け出せない。顔を赤くしては俯き、想像してはまた赤くなって俯く……、その繰り返し。そんなスパイラルに陥るのさえアクアの計画通り。悔しいけど、あたしには効果覿面だ。

 

「──っ」

「……リズ、それ反則」

「……ほぇ?」

「……だから、それだって」

 

 何を言っているのかは分からないが、これでアクアの意地悪は終わりらしい。ポンと頭を軽くて撫でてから離れると、この様子を微笑ましく見守っていた店主であるお姉さんの元に向かった。

 

「えっと、じゃあアレお願いします」

「──ちょっ、ちょっと待ってよ。別にこれ、あたし欲しいなんて……」

「いらないの?」

 

 不思議そうに聞き返してくる。支払い用のウィンドウを展開させながら、アクアはこちらを見る。すると、「あ、そうか……」なんて言って、お姉さんに一言謝って売り場の方へ戻る。

 

「さっきのは少し大きめだから、ハンマーを振る時に邪魔かと思ったけど、ちょうど今は夏だし浴衣とか水着とかと合わせたらいいかも。君の言う通り、どっちも捨て難いよね。うーん、迷うなぁ」

「あ、アクア……」

 

 どうやら何も理解していなかったようだ。あたしが最初に手に取った黄色の髪飾りを、実際に髪に当てて見て確かめている。あたしのため、だとは分かってるんだけど恥ずかしい。

 

「い、いいから……っ。この水色のがいい。せっかくさ、アクアが選んでくれたから……」

 

 結局、そう言ってあたしが折れた。アクアはすぐに購入ボタンを押し、お姉さんに「お騒がせしました」と頭を下げる。あたしもそれに倣って下げた。

 

 その後、もう少しだけ物色してからこのお店を出た。去り際お姉さんが近づいて来て、

 

「素敵な旦那さんじゃない」

 

 なんて言ってきてびっくりした。思わず肩がビクッとなり、反射的に振り向いた。

 

「あなた幸せ者よ。だってあんなに大切に思ってもらえてるんだもの」

「あはは……。そうですかね」

「そうよ。あーあ、あたしも彼みたいな彼氏が欲しいわ。もし別れたら教えてね」

「い、言いませんし、別れませんから──っ」

「うんうん、それでよし。じゃっ、幸せにね」

 

 それは、店内であれだけイチャイチャしていた事に対する仕返し──もといイタズラだったのかもしれない。そう考えると少しあたしもやり返したくなったので、店の前で待っていたアクアの横に行き、見せつけるように手を繋いでやった。同時にアクアの驚いた顔が見れたのでより満足だ。

 

 

 

 それからいくつかの店を見て回りつつ、食べ歩きをしてお腹を満たしていた。そんな時、あたしの目に懐かしのあの文字が飛び込んで来た。

 

「アクアっ! あれ、あれ食べましょ!」

「あれ? ……く、クレープ?」

「そう!」

 

 食べれると思っていなかったクレープを発見した、テンションが上がってしまう。ウィンドウを見ていたアクアの手を半ば無理矢理引いて、その出店の方へ向かう。2人分、それぞれ違うのを注文して受け取った。

 

「……クレープかぁ。恐ろしく《アルゲード》の雰囲気と合わないな」

 

 ぼそっと呟かれたその言葉に同意する。が、味はほぼクレープだ。少々甘さがクドい気もするが、他は完璧。2人共ほぼ同時に一口。

 

「んー、美味しいっ。ねえ、アクア」

「確かに。ほとんど現実と変わらないし、生地も悪くない」

 

 つい材料を聞きたくなるが、その気持ちは堪えなければならない。なぜならSAOで現実の味を再現してる時、使われているのはまともな材料ばかりではないのだ。あたしはそれを、アスナとレットによる再現料理の試食で身をもって味わっている。

 

「リズ、そっちも一口もらっていい?」

「ええ、いいわよ」

 

 と返してから、それが間接キスである事に気付いた。だが、それを指摘するには遅過ぎた。既にアクアはあたしのクレープを一口齧っていた。さらに、自分のをこちらを差し出している。

 

「どう? リズも一口」

「……えっ、と……、その……」

 

 あたしが戸惑っていると、流石にアクアも気づいたらしい。そして照れ臭そうに笑った。

 

「あー、ごめん。……気づかなかった」

 

 そう言ってクレープを引っ込める。でも、あたしが腕を掴んでそれを止めた。

 

「べ、別に……、あんたが気にしないならいいのよ、あたしは……」

「……そ、そう? じゃあ、……召し上がれ?」

「い、いただきます……」

 

 差し出されたクレープに顔を近づけ、その際に邪魔になった髪を右手で耳にかける。そして一口。

 

「……あむっ」

 

 顔を上げると、僅かに頰を染めたアクアと目が合う。何か言いたそうにしてるが、何も言わない。それが嫌で睨むと、渋々といった様子で頰を指で指す。

 

「……リズ、ここ」

「えっ? あっ」

 

 アクアに言われた所に指で触れると、そこについていたのはクリーム。言い辛そうにしていたのはそのためか、と納得すると同時に、

 

「まだ取れてないよ。ほら、じっとしてて。取ってあげるから」

 

 そう言って、その男子にしては細い指で、あたしの頰に付いたクリームを掬い取った。そしてそれを自身の口に運んだ。

 

「──ッ!」

「はい、取れたよ」

 

 体温が一気に上がった気がする。色々言ってやりたいが口が上手く動かない。その間もアクアはニコニコと微笑んでいる。もちろん、自分のやった事を恥ずかしがる様子もなく。

 

 全く、この男は……、

 

「……や、やるなら先に言いなさいよねっ!」

「え? な、何だよいきなり……。僕が一体何を……って、痛い痛い。た、叩かないで……」

 

 その澄まし顔が癇に障り、あたしはアクアの胸をポカポカと叩く。何を言われても、もうしばらくはやめてやるもんか。

 

「う、うるさいっ! あんたはそのまま黙ってあたしに叩かれなさいっ!」

「そんな理不尽な……」

 

 理不尽であろうとなかろうとどうでもいい。どうせ照れ隠しなんだ。バレるならバレてしまえ。でもさっきの行動に少なからずキュンとしてしまったのは、あたしの胸の内にしまっておこう。

 

 

 

 時刻は夜の10時前。普段ならば、店を閉めてアクアの武器をメンテし、あたし達プレイヤーの解放のために最前線で戦った彼を労っている頃。あたし達は束の間の休息を終え、ホームのある《リンダース》に帰るために転移門に向かった。

 

「なあ、リズ」

「ん? どうしたの」

「もう一ヶ所、行きたい所があるんだ。いいかな?」

 

 もう一ヶ所と言っているが、おそらくそこがアクアが最も行きたかった場所。それをあたしが断るわけがない。

 

「もちろんよ」

「じゃあ行こうか」

 

 転移門で目的の層に飛び、手を繋いだままゆったりと歩く。楽しかったデートもこれで終わり。明日からはまた、あたしは仕事でアクアは攻略という忙しい()()が戻ってくる。

 もちろん、いつかまたこうしてデートをする機会もあるかもしれない。でもそれがいつだと断言は出来ないし、お互い立場上、そう易々と訪れるものでもない。分かってはいるけど、やっぱり寂しい。

 

「大丈夫、リズ? 聞いてる?」

「……えっ? ご、ごめん……、聞いてなかった……」

「謝んなくていいよ。それに大した事は言ってないから。それよりもほら、着いたよ」

 

 いつの間に目的地に到着していた。目の前には大きな湖。満点の星空が水面に映り、辺りを飛ぶ蛍の光も相まって幻想的な空間を作り出している。

 

「綺麗ね……」

「……でしょ。結構前から、君と一緒にこの景色を見たいと思ってたんだ」

「こんな素敵な所なのに情報屋から聞いた事ないわね、ここ。よく見つけたじゃない」

「まあね、と言いたい所だけど、残念ながら僕じゃないよ」

「へえ、じゃあ誰?」

 

 尋ねながら、あたしは草の上に腰を下ろした。それを見て、アクアもその隣に座る。そして答えた。

 

「レモン。昔からこういう穴場を見つけるのが得意なんだよ、あいつ」

「……そっか。確かにレモンっぽいわね、そういうの。簡単に想像出来るわ。ついでに連れ回されるあんたも」

 

 その時の彼はもうクタクタで、肩で息をしていて、多分レモンに向かって力なく文句や小言を言っているのだろう。そんな疲れ切った彼の姿を想像して、思わず笑ってしまう。

 

「……仰る通りです」

 

 アクアは不貞腐れているような、疲れ切っているような、そんな表情をする。そんな彼を慰めるつもりで、彼に身体を預けるように寄り掛かり、頭を彼の肩に置く。アクアは驚き、恥ずかしがるような素振りを見せたものの、すぐに笑ってあたしをより傍に抱き寄せる。そして、肩に添えていた手を頭に移動させると、優しくあたしの髪を梳かす。それが妙にくすぐったい。

 

「……んっ」

「あ、ごめん。痛かった?」

「ううん、続けて。あたし、あんたに髪触ってもらうの好きなのよ」

 

 アクアに触れられると、あたしの心はポッと暖かくなって、心地良くなって癖になる。そして何よりも安心する。いつまでもこうされていたいと思った。

 

 結局、そのままの状態が5分程続いた。あたし達は何も話さないまま、美しい景色を見ながらこうしてくっついている。そんな静寂を破ったのはアクアだ。

 

「ねえ、リズ。もしも僕が攻略組をやめて、2人でどこか静かな所で暮らそうって言ったらどうする?」

「あたしは構わないわよ。あんたがそうしたいなら、あたしは別に止めないわ」

「……!」

「何驚いてるのよ。あんたが言い出したんでしょ」

「い、いや……。まさか肯定されると思わなくて……」

 

 戸惑うアクアにあたしは更に密着する。そして囁くようにこう言った。

 

「でも、あたしを理由にするのはやめてね。それだと、あたしがアクアにしてあげられる事って何もないから」

「……!」

「怖いならあたしに相談しなさい。出来る限りのサポートをしてあげる。それでも怖いままなら、一緒に逃げましょ。そしてもう一度最前線に向かう決意が固まったら、今のよりもっと強い槍をあたしが鍛えてあげる。どんなモンスターでも一撃で屠れるような最強のやつをね」

 

 あたしは妻として、鍛冶師として、アクアを全力でサポートしたい。アクアがあたしを気遣ってくれるように、あたしも彼の力になりたい。

 あたし自身も死ぬのは怖いし、彼の隣で共に戦う事が出来ない。けれど想いだけは常に傍にあるつもりだ。

 

「……ごめん、情けない事言って。君にリフレッシュしてもらうつもりが、こんな風に励ましてもらうなんてね」

「謝んなくていいわよ。夫のサポートは妻の役目なんだから。夫婦らしい事なんて、向こうに帰ってからでいいわ。まずはお互い、生きて現実に帰りましょう」

「うん、そうだね」

 

 アクアがあたしの髪を触るのをやめ、両手であたしの手を握る。そしてこう言った。

 

「ラスボスを倒すのは僕じゃないけど、必ず君を現実に帰す。もちろん、僕も一緒にね」

「そこはラスボスも倒すぐらいの勢いでいなさいよ!」

 

 せっかく上手くまとまりそうだったのに、アクアの弱気な発言に対してついツッコミを入れてしまう。妻の前でぐらい、もっとカッコつけてもいいだろうに。

 

「いいんだよ。そういうのは相応しい奴がやるべきなの」

「情けないわね」

「地に足をつけてるって言ってくれ」

「物は言いようね」

 

 あたし達は、夫婦や恋人らしい事なんてほとんど出来ていない。精々手を繋いだりキスをしたり、というぐらい。他はほとんど出来ていない。

 ではそれが不満かと聞かれば、あたしは「No」と答える。理由は単純。だって、こんなにも心を温めてくれる人なんて他に考えられないから。軽口を言い合うだけでときめいて、触れ合うだけで緊張して、予想外の事にドキドキする。そんなのはアクアだけ。

 

 宝石のように光る幻想の夜の雰囲気に当てられて、あたしはふと立ち上がった。そして一歩前に出て湖に映る月に狙いを定めた後、両手をラッパのように口に当てた。

 

「アクア──あたしねぇ!」

 

 そしてこの2人きりの星空の下、あたしは思いっきり叫んだ。

 

「あたし、あんたの事好き!」

 

 ヘアピンにそっと触れ、あたしは身を翻した。視線の先には頰を染めて固まるアクアの姿。あたしは小さく首を振り、苦手だった笑顔で──、

 

「ううん。──愛してる!」




 前回に引き続き、リズについて少しだけ語ろうかと思います。

 リズと言えば、キリト達の武器製作やメンテを担当する鍛冶師。彼女曰く、自分のお店を持つのが夢だったそうですが、本当にそれだけなのでしょうか。

 私は、キリトの仲間達の中で最もリズがSAOを生きていたと思っています。SAO晩期には攻略組は500人を下回り、多くのプレイヤーがSAOでの暮らしに馴染んでいました。それでも、キリトやアスナは攻略組としてSAOから脱出するために攻略──つまり抵抗していました。しかし、リズは早い段階から鍛冶師としての道を歩み、文字通り生活していました。悪く言えば逃避していたと言えます。誰よりもデスゲームに怯え、鍛冶師としてSAOで生きて、その恐怖から逃げていたのではないでしょうか。
 逆に現実では、ヒロインであるアスナの良き親友として、あるいはシリカやリーファ達のお姉さん的存在として、頼り甲斐のある姿を見せていました。この仮想世界と現実世界のギャップは、年相応のリアルな女の子らしいと感じました。
 まあ、それがヒロインとしての個性に伸び悩み、出番を減らされている原因なのかもしれませんがw

 最後に、こんな魅力的なリズをヒロインとする作品が増える事を願い、この番外編を締めさせて頂きます。


 さて、ぼちぼちリハビリをしつつ、本編に戻りたいと思います。多分、リハビリがてら他作の適当に書くかもなので、更新時期の明言は出来ません。すいません。出来る限り早い再開を目指します。

 それではっ!

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