二人の話   作:属物

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第三話、三人でTVを診る話(その一)

 ”宇城正太”が自宅のある間島アパートの前に立ったとき、ちょうど羊雲から太陽が顔を覗かせた。本日の空模様は一昨日と同じ晴れ模様。日差しの眩しさからか、正太は睨み殺すような視線を太陽へと向ける。別段、正太がお天道様にガンつけしているわけではない。さほど信心深い方ではないが、罰当たりなことを好んでする人間でもない。ただ単に正太のご面相が悪いだけである。

 ニキビ跡の多い凸凹な顔と形の悪い団子鼻。やぶ睨みに足すことの三白眼の細目で、常に眉間にしわを寄せている。少なくとも女性から人気の出る顔立ちではない。夜中に顔を合わせたならば、きっと黄色く「ない」悲鳴を大いに上げていただけるだろう。

 

 そんな顔立ちの不自由な正太は、アパートの敷地に足を踏み入れるとすぐさま自宅のある一階通路に視線を走らせた。顔立ちからは犯罪後で警察の追っ手を気にしているように見えるが、そうではない。むしろ、待ち伏せを警戒しているのだ。

 誰もいないことを確認すると小さく嘆息して、正太は自宅である一〇三号室の前へと足早に歩を進める。歩きながらポケットを探り、クレーターのような凸凹のある鍵を探り出す。正太は見たことはないが、父の話によれば一昔前はギザギザの刻みの入った鍵が一般的だったそうだ。玄関扉の前につくと、条件反射のようになにも考えることなくドアノブ下にある錠前に鍵を差し込み、扉を開いた。

 

 「ただいま~」

 

 誰もいない家の中に向けて、条件反射じみた挨拶を正太は投げ込む。当然、誰もいないのだから返答もない。しかし、正太は耳をそばだてるように返答を待った。そして、答える声がないことに安心したように、一つ息を吐いた。

 この後は、いつもならば子供部屋に向かい、窮屈な制服を脱ぎ捨てて気楽な普段着へと着替えていることだろう。だが、先ほどからいつもと異なる行動を繰り返す正太は、これまた常と異なり庭に面する居間の方へと足を向けた。

 

 居間につくや否や、正太は庭に正対するソファーへと周り何かを検分し始めた。ソファーのクッションをひっくり返すのは序の口で、束ねたカーテンを開いてみたり、テーブルの下を覗いてみたり、仕舞にはキッチンの調理器置き場の開きまで確かめる始末だった。妹である”宇城清子”あたりなら、「顔だけじゃなくて頭までおかしくなったの?」と言いそうなほどの徹底ぶりだ。数分ほどそうして誰もいないことを確認した正太は、安堵を込めた深い深いため息をついた。

 

 正太が妙な行動をとっていた理由は一つ。昨日一昨日に色々あった事柄の、その原因である”向井蓮乃”が宇城家にいないことを確かめるためであった。昨日はよく叱りつけておいたがあの娘っ子のことだから、こちらの想像の斜め後方四五度を、ロケット推進ですっ飛んでいったとしてもおかしくはない。

 蓮乃への警戒のあまり正太もまたすっ飛んだ行動を展開していたが、ようやく蓮乃がいないことに確信が持てたのか、鞄を床に、腰をソファーに下ろした。そして伸びをしようと両腕を組んで体を捻り……そいつと視線があった。

 

 そいつは、ガラス向こうの庭、隣家との境の植木列から顔を突き出していた。

 そいつは、とても見覚えのある、整った顔ときれいな髪をしていた。

 そいつは、昨日一昨日と騒動を起こしてくださった御仁だった。

 そいつは、正太と視線が合うと、なにがうれしいのか頭上の太陽と同じような笑顔を浮かべた。

 そいつは、いうまでもなく「向井蓮乃」だった。

 

 ――なんでまたここにいる!?

 

 正太は無言で頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 『二度あることは三度ある』

 

 昔からあることわざだ。しかし二度言いつけて尚、同じことをやらかす奴はどう言えばいいのだろうか。確かに一昨日も昨日も「お母さんから許可貰ってこい」と言ったはずだ。それだけならここにいることは別段おかしくはないだろうが、蓮乃の母親である”向井睦美”さんは許可を出すような性格ではない。少なくとも正太からはそう見える人物だ。

 それなのに正太の目の前で、陽光に似た薄黄色のワンピースをまとった蓮乃は、「にへー」とでもいう弛んだ表情で笑っている。昨日一昨日同様に、我が家である宇城家の居間でそうしているのだ。ワンピースの色以外何一つとして違いがない。

 側頭部をガリガリと削り落とすように掻きながら、正太は苦い顔で蓮乃に言葉をぶつけた。蓮乃が言葉を聞き取れないことはわかっている。それでも言わずにはいれなかった。

 

 「あ~~の~~なぁ~~、許可なきゃくんなって昨日も一昨日も言っただろうに何でまた来たんだよオイ!」

 

 聞き取れないなりに何かを察したのだろう。窓際で突っ立ったままの蓮乃は、肩に掛けたウサギのポーチからペンとノートを取り出した。面倒そうに眉根を寄せた正太は、手を突きだしてノートとペンを受け取ろうとする。しかし、その手は空を掴むばかりで何も乗せられてはいない。不可思議そうに眉間のしわを増やした正太は、蓮乃の顔へと視線を向けた。

 だが、正太の目には蓮乃の顔は写らなかった。代わりにあったのは、顔を隠すように開かれたノート。そこにはただ一文、こうあった。

 

 『許可もらった』

 

 その一文を見て、正太はいぶかし気に首を捻った。前にあるように、睦美は簡単に許可を出す人間ではない。少なくとも正太にはそうとしか見えなかった。実際、蓮乃が昨日宇城家に来た時は、許可を貰わずに来てしまった。当人は『後で許可をもらう』とかほざいていたが。

 それなのに昨日一昨日の今日にこれだ。正直言って信用するのは難しいものがある。許可に疑いを抱いた正太は、蓮乃が顔の前に構えているノートとペンを取ると頭の中の疑問を書き付けた。

 

 『本当に許可をもらえたんだな?』

 

 蓮乃は差し出されたノートを引ったくるように受け取ると、短い返答を殴り書いた。その表情は宝石のように硬質で透明な色合いを帯びている。

 

 『もらった』

 

 再び正太の顔の前に開いたノートが突き出された。答えもさっきと同様だ。短い回答を眺めながら、正太は目を糸のように細めた。

 正太は他人の心理を察するのが非常に苦手だ。以前はできると思いこんでいたこともあるが、「前の一件」でそんな下らない過信は打ち壊された。だから、目の前にあるものでしか判断はしないと、そう決めている。

 蓮乃の硬い表情は、「嘘を隠している」様にも見えるし、「嘘だと思われたくない」と考えている様にも見える。正太にはその判別がつかない。

 

 『改めて聞くぞ。おまえは、睦美さんから「今日、うちに来てもいい」という許可をもらえたんだな?』

 

 だから、蓮乃に聞くことにした。

 以前、「ものを考えてから口を開け」と酒を飲んだ父に言われた。曰く、「発言も行動の一つであり、口から出した言葉には責任が伴う」のだと。だから、正太は「蓮乃が自分の意志で答えた」のならばそのまま信じることに決めた。

 

 正太は蓮乃の顔を見つめながら、質問の書かれたノートを手渡した。ノートを見た蓮乃は、正太の強い視線に答えるように、堅い顔のまま小さく肯いた。蓮乃の頭が縦に動いたのを見て、正太もまた一つ首肯する。正太は頭を掻き、無意識の緊張をため息と一緒に吐き出した。

 

 ――これ以上、蓮乃を疑うのは筋が通らんな。あと母さんが帰ってきたら、今後はきっちり窓の鍵かけるように言っとこ。

 

 『本もってくる。あと靴は玄関に置いとけよ』

 

 正太はノートに一文を追加すると、自分と蓮乃が読む小説を見繕うべく居間から足を踏み出した。だから、窓際で蓮乃が何かを堪えるように靴下のつま先をじぃっと見つめる姿を、正太が目にすることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 「だから、今日もまた蓮乃ちゃんがいるって言う訳ね」

 

 一通りの事情を兄である正太から聞いた、清子はこの三日で格段に増えたため息をもらした。母の遺伝子から押しつけられた大きめの臀部を窓際のソファーに埋めて、父から受け継がされた広めの額を支えるように手を当てる。

 

 「ほんとに許可貰ったのかなぁ」

 

 蓮乃が正太に伝えた「睦美からの許可」に、清子の口から疑問の声がこぼれる。蓮乃と睦美に関して、清子も昨日一昨日とある程度の関わりがあった。そのため清子もまた、睦美が簡単に許可を出したということを信用しきれていないのだ。

 

 「疑ってもしょうがないだろ」

 

 自身もまた抱いているその疑問を、頭から削り落とすように頭を強く掻きながら、対角線上のソファーに腰を下ろした正太が答えた。何はともあれ、蓮乃に確認はしたのだ。これ以上疑ったところで、何の利にもなりはしない。だが、「へ」の字にひん曲がった口が示すように、正直に言えば正太もまた信じきれてはいない。

 

 蓮乃の母である向井睦美は、清子にしてみれば自分の隣にいると言うだけである種のいじめになりうるくらいの、正太にしてみれば自分の隣にいると言うだけで行動が挙動不審になるくらいの、それはそれはずいぶんな美人さんだ。蓮乃の母親だけあってその美貌は蓮乃以上のものを持っている。

 しかしながら、蓮乃と睦美はその中身が大きく異なる。単に子供と大人と言うだけではない。基本的に天真爛漫でどことなく緩んだ印象の蓮乃と異なり、睦美は常に張りつめて追いつめられているような雰囲気を周囲に発散している。通常ならばそんな風に感じられると言うだけで、しっかりと大人な対応ができるのだが、蓮乃がらみの事柄だとそれが極端に助長されてしまう。

 一昨日と昨日に、母である睦美に蓮乃の件で正太が連絡をしたときは正にそうだった。涼やかな山奥の清流のようだった睦美の声が、蓮乃の名前を出した瞬間から鉄砲水もかくやのパニックじみた勢いに変わるのだ。おそらくではあるが、その時の睦美は実際にパニック状態になっていたように正太には思えた。

 そんな睦美が隣家とはいえ、他人の家に出入りしてもいい許可を蓮乃に出す。それも昨日一昨日と蓮乃が勝手に入り込んだ宇城家に行く許しを与える、というのは多少なりとも睦美と接触した宇城兄妹には考えづらいことであった。

 

 一方、悩む宇城兄妹を後目に、蓮乃は昨日一昨日と読みふけっているハードカバーの児童小説に今日もまた夢中だった。レモン色のワンピースから突き出た柔らかに白い両足が調子よくカーペットを叩き、蓮乃のご機嫌具合を伝えてくれている。

 昨日一昨日は姿勢が悪いながらもまだテーブルで本を読んでいた。しかし本日はさらに行儀悪く、床で寝ころびながらページをめくっている。流石に昨日たっぷりと正太に叱られただけあって、勝手にお菓子を食べるような真似はしていないが、何というかもう、二人が同じタイミングで頭を抱えてため息を吐くくらいのリラックスっぷりである。

 お気楽蝶々で極楽蜻蛉な蓮乃を横目で見ながら、正太と清子の二人は出涸らし後の茶殻を口一杯に噛みしめたような渋面で互いの顔を見合わせた。

 

 「で、どーすんの?やっぱり睦美さんに連絡取る?」

 

 改めて清子が正太に問いかけた。蓮乃が得た許可に対する疑問はまだ消えてはいない。無駄かもしれないが、睦美に確認を取ることは無意味ではないだろう。

 

 「一応蓮乃に確認したし必要ないだろ。これ以上疑うのも蓮乃に悪いし」

 

 しかし、正太にしてみれば、確かに「許可を得た」と答えた蓮乃をこれ以上疑うのは正直言って嫌だった。それに自分が(少なくとも表面上は)納得した事柄を、妹である清子にほじくり返されるのもいい気はしない。

 

 「そういえばそうだけど」

 

 確かに清子にとっても、蓮乃に対して「貴方を信用していません」と言っているようで気分がよろしくない。それに考えてみれば、兄が蓮乃に確認を取っている以上、蓮乃が許可をもらったと嘘をついていたとしても、少なくとも自分たちが責任を負う羽目にはならないだろう。だから問題はない、はずだ。それでいい、はずなのだ。

 清子は繰り返し言い聞かせるように自分を納得させる。それでも、どことなく納得し切れていない様子で、絡みやすい天然パーマの髪を手で漉いていた。

 幸福そうに読書に熱中する蓮乃と、噛みきれない物を噛み続けている表情で黙りこくる二人。音色の異なる沈黙が、午後の日差しに照らされた居間を満たしていく。

 

 「どーしたもんかね」

 

 沈黙に耐え兼ねたように常の口癖を意味もなくぼやいて、正太が体重を背もたれに預けた。ギシギシとソファーが文句をあげるのを無視して、背筋と両手を伸ばす。

 

 「神経衰弱でもやる?」

 

 強化紙箱に入ったトランプを手で弄びながら清子が答えた。一昨日は三人でババ抜きを大いに楽しんだ。特に正太と蓮乃が。おそらく今日も要るだろう思って、清子は子供部屋から取ってきておいたのだ。

 

 「あれ神経が衰弱しちまうからいやだ」

 

 だが、せっかくの清子の提案に、苦虫を舐めたような表情の正太が文句を付けた。自分の記憶力に自信のない正太にとって、神経衰弱はその名のとおりの結果を生むはめになる。さすがに蓮乃や清子の前で好き好んで格好悪い真似をしたくはない。

 

 「あたしの方が物覚えいいもんネ」

 

 子供のイチャモンじみた文句を、清子が嫌みな笑みで打ち返す。実のところ、正太の張子じみた意地っ張りを、妹である清子はとうの昔に看過していたりする。

 

 「……兄貴をあんまりいじめるんじゃありません」

 

 頬杖をついて唇を尖らせ、憮然とする正太。正太は今まで口達者な清子に口喧嘩で勝てた試しがない。こうやって降伏文章込みの文句を、捨て台詞代わりに投げ捨てるくらいが関の山だ。

 

 「兄貴がいじめられるようなことをするんじゃありません」

 

 しかし、正太の投げ捨てたボールを軽く受け止めて、清子はあっさりと投げ返した。三振ストライクでバッターアウト。反論の言葉も見つからない正太は、小説を読み終わりそうな蓮乃の方へと言い訳るように視線を逸らした。

 

 「じゃあ、大貧民にする?」

 

 ほんと子供っぽいなと胸の内で苦笑いしながら、清子は話題を本題に巻き戻す。ぐるりと視線を戻した正太は、有名なトランプゲームの一つである「大貧民」のルールを思い出しながら答えた。

 

 「蓮乃は大貧民知ってんのか?」

 

 昨日一昨日と蓮乃・清子・正太の三人で「ババ抜き」を遊んだ。しかしながら、始めの内はルールを知らない蓮乃に教えるためにやっていたようなもので、実際にゲームになり始めたのは一昨日も後半からだった。

 

 「知らなかったら教えればいいじゃない」

 

 逆に言うなら、一昨日はルールを知らない蓮乃にやり方を教えて、昨日一昨日とババ抜きを楽しむことができたのだ。大貧民でそれができない道理はないだろう。

 

 「そーすっか」

 

 清子の言うことももっともだ。本日のお楽しみは大貧民に決定して、読書中の蓮乃へと目を向ける。

 蓮乃を見やると、ハードカバーの裏表紙に両手を重ねて何かを感じいるように両目を閉じていた。ちょうどエピローグを読み終えて余韻に浸っているようで、その姿は涼やかで透明な美貌と相まって、祭神より信託を受ける巫女のようにも見える。

 正太はその整った顔をぼんやりと眺めながら、考え込むように目を細めた。この三日間何度と無く見る羽目になった蓮乃の顔だが、何度見たとしても「綺麗だ」という感想が外れることはなかった。

 

 ――なんでこんなんが俺に懐いているんだろうか?

 

 自惚れで思いこみかもしれないがと、自嘲を込めた言い訳を腹の底で呟きつつも、正太は脳裏に疑問を浮かべた。

 正太にとって蓮乃はため息と頭痛と、そして疑問の代名詞のようなものだった。あれだけの美観を持ち合わせているならば、それを利用してどうとでも生きれるに違いない。少なくとも「豚を二足歩行にしてサイズを圧縮したような外観」の自分と顔を合わせる必要性などどこにもないだろう。それでもそうするのは子供だからだろうか。動物園でイノシシの檻でも見るつもりで、我が家に入り浸っているのだろうか。

 少なくとも吐き気と嫌悪感を堪えながら、宇城家に顔を出している訳ではないだろう。それだけの演技力があるならあんなガキ臭い行動は避けるだろうし、そもそもそこまでして自分たちに顔を合わせる必要などない。にもかかわらず蓮乃は、この三日間毎日宇城家やってきているのだ。

 全く持って不可解だ。華厳の滝に紐無しバンジーを考えたくなるくらい不可解だ。

 

 だから、考えてもしょうがない。後頭部の辺りに浮んだ疑問を、正太は脳内ゴミ箱に放り込んで削除ボタンを押した。結局のところ「色々あるんだろう」の一言ですむ話だ。来る必要がなくなれば、蓮乃が我が家に来ることもなくなるだろう。

 

 そう、そのうち来なくなる。

 

 口一杯に頬張った白米の中に、砂粒一粒が混じっていたような違和感。無視できないほどではないし、邪魔になるほどでもない。それでも、その存在を確かに感じ取れる。口の中で粒を転がすようにして、正太はそれが何かを探り当てようととする。

 

 「ほぉ~」

 

 だが、その試みは当事者である蓮乃の声によって中断させられた。正太がぼんやりと考え込んでいるうちに、清子が蓮乃へ大貧民の説明をしていたらしい。対面に座る二人の間には、開かれたノートと並んだトランプが置かれている。床に並べられたトランプの順番とノートに書かれた数字を見るに、どうやら基本ルールである各札の強さを教えていたようだ。

 

 大貧民のルールは至ってシンプルだ。

 一:「場にある札より強い札を手札から出す。できなければ次に回す」

 二:「誰も出せなくなったら場の札をゲームから除いて、最後の札を出した人間が好きな札を場に出す」

 三:「これを繰り返し、先に手札を使いきった人間が勝者となる」

 基本的にはこれだけだ。

 

 今回は初心者の蓮乃を交えてゲームをする関係上、ローカルルールほぼ無しの基本ルール中心だから、おそらく、ババ抜き同様に二~三回ゲームをやれば蓮乃も問題なく遊べるようになるだろう。

 ならば、今回は徹底的に負かして昨日一昨日の鬱憤晴らしでもしてやろうじゃぁないか。正太は器の小さい下劣な笑みを浮かべてほくそ笑む。

 清子は正太の表情を見て、また程度の小さいことを企んでいるなと内心呆れながら、ノートを閉じて蓮乃への説明を終えた。

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