神たる少年、人たる少女。   作:にわかな仁

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遅くなりました!すいません!

初の作品なのに閲覧数が予想外に多く、プレッシャーを感じる今日この頃です。しかもお気に入りされてるじゃないですか!プレッシャー二割三割五割増しです。

それでは第2話です。どうぞ。


第2話 天才、堕ちる。

はじまりの街の喧騒を逃れた俺、キリトは、路地裏でコツを教えたクラインにこれからの事を話していた。

 

「茅場の話が本当だとしたら、自己強化に努めなくちゃならない。ならこの辺はポップの取り合いになるはずだ。だから俺はもう、次の街に行く。お前も一緒に来い。」

 

しかし。

 

「すまねぇ、キリトよ。俺、知り合いと一緒に並んでこれ買ったんだ。だからそいつらを見捨てるわけにはいかねえ。」

「そうか………だよな。」

「おめぇに教わった技術でなんとかしてやらぁ。これでも他のMMOじゃギルドの頭張ってたんだ。」

 

後悔なんてしたくない。だが、これはいつか嫌でも思い出してしまうだろう。1人、見捨てたのだ、と。

 

「それじゃあな、クライン。また会おう。」

「ああ!おめぇよぉ、随分と可愛い顔してやがるな。そっちの方が好みだぜ!」

「お前も、その野武士面の方がお似合いだよ!」

 

俺の頬を、一筋の光が伝った。だがそれを見たものは居ない。

 

道中にはモンスターがいた。が、

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

片手剣用突進技『レイジスパイク』を放つ。やがて敵はポリゴンの欠片となって散っていった。

 

「俺は、絶対に生き残る!!」

 

魂の叫びが、フィールドに響いていた。

 

 

今俺、ジンは追われている。その理由は単純。隣の少女だ。一応、フードを目深に被っているのだが…

 

「もう、あの魔法は撃てないの?」

「むやみやたらに撃ったら危ないんだよ、あれ。」

 

走りながら会話を続けるという余裕を見せる俺達2人。それには………

 

「何話してんだ!」

「俺と一緒に来いってその娘のお父さんが言ってたんだぞ!」

 

「ひぃ!?」

 

何バカなこと言ってんだ。シオン怖がってるじゃねえか。

 

「いけすかないガキめ!嬢ちゃん!騙されちゃダメだ!」

「チートを使うほどおかしい奴なんだよ!そいつは!」

 

「ひゃ、ひゃ!?」

 

いい加減にしてくれよ。そもそも一般プレイヤーはチート使えねぇっての。でもまあ、そろそろ潮時かな。

 

「シオン、俺に掴まれ。絶対に離すなよ。」

「え?あ、う、うん。」

「よし!『"世界超越(オーバーワールド)"Lv0』ッ!!」

「へ?う、うわあぁぁぁ!?」

 

現実の身体能力(隠して、ステータス拡張とする)が使えるようになるシステム外スキルの究極形。あらかじめコマンドとして設定しておいたのだ。

 

「くそ!またチートか!」

「あのずる野郎め!」

「絶対に許さねえからな!」

 

ひどいレッテルだ。チートじゃねえよ。ここだと茅場さんの次に偉いんだから!というかそれはチート使った時点で気付けよ。お前ら頭堅すぎじゃねえか。そんな奴にカーディナルを作らせてたまるか。

 

「よっ、ほっ、さっ、ていっ、と。取り敢えずホルンカ到着だ。」

「2番目の街だっけ。」

「ご名答。」

 

くだらない茶番劇をしつつ、疲れたので泊まる場所を探す。

 

「えっとツインで一番良いのは……いや、シングル2つ取るか。」

「ダブルが良い。ジンと同じ部屋でダブルベッドが良い。いや、シングル1つでも良い。後風呂付きで。」

 

なん………だと?まあ好きだとは言ったし、そっちも応えてくれた。だけどさ、いくら天才さんでも思春期は来てしまうんだよ。中2なんてど真ん中じゃないか。それだから思春期の男女が部屋はともかくベッドが一緒はキツイ。風呂付きは基本オプションです。

 

「やだ。一緒の部屋がいいの。もっと関係を深めたい。」

「………。」

 

今、ちょっと卑猥に聞こえたのは気のせいだろう。目の前の少女が14歳とは思えないほどの色気を放ちながら舌舐めずりをしていても気のせいなのだ。

 

だが俺はそれに打ち勝てなかった。大人顔負けの色仕掛けに見事に落とされた。

 

「わかった、そうする。ならあの宿にしよう。」

「うん!」

 

宿を決め、コルの支払いが済んだ後、俺達は少し散歩に出た。

 

「景色が凄い綺麗だね。」

「ああ。これが現実の合間に見られるものだったらどんなに良かったか。」

「んもう、そんな暗い顔しないで。それよりも聞きたいことがあるんだけど。」

 

なんだ?何でもいいぞ?どんとこいや!

 

「さっき、オーバーワールドっていうの使ってたよね。あれってどういう事?」

「ああ、現実での身体能力を使えるようになるってやつだ。」

「つまりジンは現実でもあのくらい足が速いってこと?」

 あ、口を滑らせた。俺の本能が修羅場を予感している!いざ、尋常に勝負!

 

「ああ、そうだ。本気を出せば………少なくとも学年1位は取れるな。」

「へぇ~。そうなんだぁ~。それで喧嘩でボコボコにされる位弱いのかなぁ~?他の人の助太刀位簡単に出来そうだけどなぁ~?」

 

もう修羅場は避けられない模様。

 

「俺のスタンスは『意味が無いならしない』だ。」

「私を助けてくれることも?」

「ぐっ、あれは………底辺にいるのが楽だったから強いイメージを持たれると困るんだ。」

「それは私よりも大事なの?」

 

やめてくれぇぇぇ!!もうやだぁ……おうちかえりたい。

 

「うおっほん!それじゃ宿に戻ろうかな。」

「あっ、逃げた!待て~!」

 

逃ィィげるんだよォォ!ってあいつらは!

 

「ヤバい、偽物軍団だ。」

「偽物軍団って、昼間のストーカーのこと?」

 

シオンの中じゃストーカーになってる。少しだけ同情していた時。

 

「あ、居たぞ!劣悪なチーターめ!」

「あのずる野郎を叩きのめしてやるんだ!」

「あっ!あいつ逃げるぞ!追え!」

 

バレた。ってか劣悪なチーターって酷いな。でも今は逃げることに専念するぞ!

 

そうだ、隣の町の外れに牛乳飲み放題の農家があったな。明日そこに移るか。取り敢えず宿に逃走だ!

 

 

「……疲れた。」

「……そうだね。」

 

宿まで逃げきった俺達は、ぐったりとベッドにもたれ掛かっていた。そこで今度は白銀の美しい髪を惜し気もなく晒したお隣の天使様が爆弾を落とした。

 

「お風呂、一緒に入らない?」

「………は?」

 

風呂?一緒に?

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「ふぇ!?な、何!?」

「入るわけねえだろ!こちとら経験0だわ俺氏ご自慢の理性が吹き飛ぶに決まっとるやろ!」

 

もう理性は吹き飛んでいた。

 

「…ぅぐ、そ、そうだよね。理性が吹き飛ぶ、ね。……でもジンならやられても良いかも……?」

 

もう何この子。本当に14歳?年齢偽称とか?少なくとも色気だけはパッと見100歳越えてます。恐ろしい。

 

「取り敢えず1人で入るから。お先にいただくよ。」

「え、あ、ちょっ。そ、そんなぁ~。」

 

しかし、風呂に入ってから気づいてしまった。それは……

 

「風呂って、鍵閉めらんないじゃん。」

 

そう。それがあのお色気姫に見つかった瞬間…

 

「あ、鍵無いんだ!じゃあ入っちゃおうかな!」

「ぬおわぁぁぁ!!」

 

来たぁぁぁぁ!!!鬼!悪魔!そして運命の時!

 

「お邪魔しま~す。」

 

俺は急いで後ろを向き、目を瞑る。

 

タオルで隠すとか考えてるよね?例えば水着とか。無かったら理性本当に吹き飛ぶぞ?ってダメだ!想像するな!耐えろ、耐えるんだ、俺の理性。じっと耐えろ。そうだ、素数を数えるんだ。2,3,5,7,11,13…

 

「ねぇ、こっち向いてよ。」

「うわっ、やめっ!」

 

思わず目を開いて見た先には………

 

「ジンのこと洗ってあげるから私のことも洗ってね?」

 

一糸纏わぬシオンが居た。例えるならヴィーナスである。それに俺は耐えることができなかったのだろう。そこからの記憶が俺には無かった。

 

次の朝、シオンがどのような顔でこちらを見るか………想像に易いだろう。




第二話、ここで区切ります。

堕ちる、というのはチーターになる、というのと狼になる、という2つの意味でした。

次は、本作品主人公と原作主人公が出会います。さて、どうなるのか?

それでは、つぎは第三話で。

ありがとうございました。
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