第八話、原作のクリスマスイベントですね。
でも重点は過去の話に置いています。
オリジナル展開入りまぁす。
本編どうぞ。
今宵はクリスマス。恋人たちがキャッキャウフフしているのを横目に俺はこの聖なる夜に大きなもみの木の前に現れるというイベントボスの情報を、誰よりも詳しそうなやつに聞いていた。
「いい加減吐いてくれよ」
「え~、自分で探してよ~」
「まあまあ見当は付いてるんだがな」
「じゃあそれで行け」
「確証を得たいんだ」
「ややこしいやっちゃなぁ」
………これがかの有名な"謎の天才"、カーディナルシステム設計者であり、一部のプロデュースを行った男であるとは思えない。だが、そんな彼を本気にさせる一言がある。
「…シオンも連れていくが?」
「35層の『迷いの森』の奥にでかいもみの木を設置してある。それの前に空から橇に乗って降りてくるサンタで名前は『背教者ニコラス』、落とすアイテムは『還魂の聖晶石』、HP全損してから10秒以内に使えば蘇生可能ってやつだ。」
「……そんなに言っていいのか?」
「無論、ダメだ」
「オイオイ」
だが取り敢えず情報は集まった。蘇生に関して残念な点はあるがこの際気にしない方針で行く。
「俺も行くからさ、というか見張り」
「了解」
かなりバラしたけど問題ないよね!悪用は不可能ですから!……多分。
「さ、行こうぜー!」
「「「「「おー!」」」」」
今回出陣するのはあの黄金の6人組の俺、キリト、シオン、アスナ、ユウキ、ラン。
…最近ユウキとランの影が薄い気もするが気にしない。
にわか「メ、メメタァァァ!?ALOで出番ふやすからぁ許してちょ」
………幻聴だ。
気を取り直して一行は目的地に急ぐ。もう少しで到着、というところで来客があった。
「お~、いつ見ても眼福だな!うらやましいぞコンチキショウ」
あいつぁ~クラインさんやないっすか。確かキリトの初フレ。ああなるほど、付けてきたのか。
「お、おう、クライン。相変わらず趣味悪そうだな」
「ひでえなそりゃ!ってあんた誰だ?」
「知らねえよなぁ」
この6人の中で唯一スターじゃないやつ、それが俺だった。皆二つ名を付けられているのは同じなのだがキリトの『黒の剣士』、アスナの『閃光』、ユウキの『絶剣』、ランの『舞姫』、そしてシオンの『刹那』という絶賛中二病の名前が付いたの中で、俺だけ『チーター』なのだ。理不尽の極み!
「ああ、チーターだよ」
「チーター言うなあれはシステム外スキルだ」
「マジか!?じゃあここもチートで?」
「ここはキリトが当てた」
クラインの追撃をさっとかわす。と、その時またプレイヤーの気配があった。
「どうやらお前もつけられてたみたいだぜ?」
「ああ、そうみてえだ」
「あれは、『聖竜連合』だな。あのリーダー俺嫌いなんだよなぁ」
「お前が助けたんだろうが」
ギルド『聖竜連合』。リーダーはディアベル、第一層でLAを取りに行こうとしたイケメンである。レアアイテムの為なら強硬手段を厭わないというある意味攻略組にふさわしい奴らだ。
「ようし、ちゃっちゃと蹴散らすぞ、魔法で」
『魔法?』
「ふぅ、『魔砲"ファイナルスパーク"ッ!!』」
俺の手から極太レーザーがドーン!相手はピチュるッ!
ちなみに殺してはいない。当たった瞬間最後に寝たベッドに飛ばすというやつである。
「ふぃ~、スッとしたぜぇ」
『………』
「さ、行こうぜ?俺以外前衛な?ハイOK!」
拒否権を削除しつつようやっと対峙するに至った『背教者ニコラス』。良く言ってクズ、悪く言ってゴミではあるが。
「うし、この5人には"あれ"があるからな?ピンチになったら使えよ?」
「「「「「!?」」」」」
"あれ"とはつまりユニークスキル。最も強いのはシオンではないだろうか?少し特殊ではあるが。
「行くぞ!」
『おう(うん)(はい)!!!』
6人組(の俺以外)と、クラインのギルド『風林火山』の6人がボスに突っ込んでいき…
「うん、弱すぎたかな」
ボスは何もできずただ声をあげて倒れていった。
「『還魂の聖晶石』、ゲット!」
「おめっとさん」
無事ドロップアイテムを獲得できたようだ。そしたらもう帰るだけ…ん?
「ラン、ちょっとこっち向いて」
「?はい、なんでしょうか?」
「シオン、気付いてた?」
「うん、黙ってたけどね」
「ああ、やっぱり…」
『?』
ラン………俺は小学生の時、"紺野藍子"という女子と仲良くなった。その彼女の整った顔立ちが目の前の淑女に―――
「ま、いっか」
「ジンさん?」
「ああ、うん、また今度な」
そう答えをうやむやにして帰ったのだった。
ジンさん……いや、ジン君。私も気付いてるよ。私が唯一敬語なしで話せる男の子。いつもシオンと私とで『2人とも俺の嫁でいいや』とか言ってたよね。
私は、ジン君のもとへ行ってみることにした。
『―――ン、ね…』
「お邪魔します」
「?おっ、噂をすればなんとやらってか」
居たのはジン君とシオンさん。やっぱり仲が良いいんだろうな…
「覚えてるか?俺が不審者とバトった時とか。あの時すごいうるさかったよな」
「何いってるの!死んじゃうかと思ったんだよ?」
あの時………あぁ、それね。
私は小学生の時の記憶を呼び覚ました。
『校長先生、校長先生、602番にお電話です』
…これは夢だと思いたかった。この放送はつまり、6年2組の教室の前に不審者が居るということ。
「皆固まって…」
静かな声で担任の女の先生が皆に呼び掛ける。が、その瞬間だった。
「おるぁぁ!!」
「ひゃあっ!?」
「うわあっ!?」
不審者はドアを抉じ開けて入ってきたのだ。
「動くな!手を上げろ!動いたら…こいつで撃つ!」
『!?』
不審者が取り出したのは銃だった。
私はそっと目を閉じる。ジン君なお嫁さんになりたかったな、などと考えていた。
と、その時だった。
「笑わせてくれるな。お前に人殺しが出来るのか?」
この声は―――
「じゃあ撃ってみろ。的は動かねえからよ」
ダメよ―――ジン君。あなたは何を………
………その言葉を誰も口には出来なかった。それはきっと恐怖だろう。動いたら殺される、という強迫観念が私たちに襲いかかってきていたのだ。
「くそが!死ねぇ!」
「ダメ………!」
パンッ!!
私たちの中で唯一シオンが声をあげるもそれは届かなかった。銃声を聞いたとき、私たちは思考を止めた。
ジン君が………死んだ?
その瞬間、今までの怯えも忘れてさっと彼を仰ぎ見た。そう、
「うーん、胸の右側か。狙うなら額の中心か心臓がベストだぜ?」
『………!?』
「おいおい、どういうことだよ…!?」
不審者も、私たちも追い付いていけていない。そんなことの渦中に居る彼は。
「もう用はないな。―――くたばれ」
「ぐはぁっ!?」
不審者の鳩尾に一撃。相手はぐったりと倒れ込む。
「俺の名前は神風仁。憶えておけ」
相手に口上を述べると首を掴み廊下に投げた。
と、それで…
「ふぅ、おやすみ…」
意味ありげに、いや、深い意味があると思ってしまう言葉を口にして倒れこんだ。
「ジン!?大丈…夫…?」
「ジン君…!?」
彼は動かなかった。いくら揺すったりしても起きない。
「嘘………だよね、そうだよね、嘘って言ってよ!」
「そんな………嫌だ、嫌だよ!」
私とシオンは2人して声をあげて泣いた。その時。
「だぁ~眠れない!今日授業中寝てないから眠いの!別に死んだりしてないから!あと泣かないで!起きた瞬間睨まれる俺の気持ちを考えて!」
ジン君は飛び起きて足早に叫んだ。
………それはもう乙女を激昂させる言葉を並べて。
「「ジン(君)の…」」
2人ともある種の葛藤に苛まれながらもそれを撃退させて叫ぶ!
「「バカぁぁぁ!!!」」
「ファッ!?」
彼にはとうてい理解できないであろう深い恋情を拳に込めて振り抜いた。その相手は全てが理解できないままで渾身の一撃を受けた。
「痛い!弾丸より痛い!」
「ふん、今日添い寝したら許してあげる」
「!?シオンそれは………出来れば私も」
『!?』
この場での衝撃告白に一同驚愕、そして恋する乙女は王子様に寄って唇を重ねる―――
「…不純異性交流は慎んでください」
「「「ハッ!?」」」
ここで水が差された。先生いたの忘れてた………恥ずかしい、恥ずかしすぎる!
…と、最後のことがあってあまりいい思い出とは言えないのが現実。
ちなみに添い寝は2人ともやった。その時私はシオンが脱ぐのにつられて同じ事をし、ジン君の親に見られるという羞恥事件もあったのだがそれはまた別の話。
「ええ、覚えてるわ」
「やっぱりランだったの!」
「当たりだな。じゃ寝ちゃおうぜ、また3人で、な」
「「うん(ええ)!」」
私たちは横になった。"前"と格好で…
ジン君……強すぎないですか?
まぁ、設定を見れば丸わかりな気もしますが。
次の話も即投稿いたします。
では、ありがとうございました!