ドラゴンクエストⅦ エデンに舞い降りた者たち   作:愛及屋烏

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PIECE 04 賭博×賞品

未来 ダーマ地方 旅の宿 地下カジノ

 

 

ざわ……ざわ……

 

 

「……あンた、背中がすすけてるぜ」

 

ヒスイの言葉に対面しているディーラーの表情が蒼白に変わる。

そして、その思考の間隙を狙い撃つようにヒスイは最後のカードを捲る。

 

「『世界樹の葉』……これで、コンプリートだ」

 

妨害カードである『シャッフル』のカードを開く事なく、ゲームは終了。

景品を用意しているカジノのスタッフ達は表面上こそ営業スマイルを浮かべているが、実際の所は恐怖に震えていた。

 

「な、なんて坊主だ! これで何勝目だよ!?」

「……既に二十回は勝ってやがる……化け物だ」

 

たかが五歳の少年が一方的にカジノを喰い物にしている現実を前にギャラリー達は口々に畏怖の感情を吐き出した。

それらを甘美なBGMにしながら、ヒスイはクルミの代わりに景品の『不思議な木の実』を手の中で弄び、密かに嘲笑う。

 

――負ける気がしない、と。

 

今、ヒスイが挑戦しているのはドラクエⅦ独自の要素である『ラッキーパネル』である。

20枚のカードがあって、シャッフルカード1枚とカードを捲る回数が増えるチャンスカード1枚、それとアイテムの書かれたカードが9組18枚。

最初に6枚の中身を確認してからスタート。

神経衰弱の要領でカードを開き、3回外れるとゲームオーバーというシンプルなゲームである。

 

カジノと言えば、ドラクエシリーズの『お約束』とも言えるような要素になりつつある昨今だが、このゲームに関してはⅦにおける最大のプレイヤー援護システムである、と断言しても良いだろう。

何しろ、最低でも5コイン――100ゴールドあれば大量のレアアイテムを入手可能なのだ。それも、たかだか『神経衰弱』で。

 

「(まぁ、普通なら楽勝とは言えないんだけど)」

 

何故なら、ゲームの中で『ラッキーパネル』に挑戦していた時は適当な紙にメモでもしていれば、それだけである程度の勝率が保証されていたが、流石に現実ともなるとディーラーの前でメモを取るのは反則行為に当たる。

つまり、頼れるのは自身の記憶力のみとなるのだが……ここで神に与えられた加護が活きた。そう、ドラクエⅥの主人公の持つ『思い出す』等の記憶に関係する技能である。

元々はヒスイが前世で獲得した原作知識とも言えるドラクエの知識や旅の中で得た情報を忘れない為に要求した加護なのだが、思わぬ所で効力を発揮してしまった。

俗に言う『瞬間記憶能力』や『映像記憶』のように目の前の光景を一瞬で記憶する事が可能になっていたのだ。やろうと思えば、魔法書の類だって軽い流し見程度で完全に把握する事が出来てしまうだろう。

 

それ、なんて魔道書図書館?と思わないでもないが、便利には違いない。

捲ったカードの配置を一度でも見れば忘れない以上、後は初手の六枚捲りで『下段に配置されやすいシャッフルの位置を確認』した上で『出来るだけ揃えずに複数のアイテム』のカードを捲れれば、運が悪くなければ勝利は確実である。

 

そんな訳で気分は一流のギャンブラー、実態は記憶力任せのゴリ押しプレイでヒスイはボロ儲けに成功したのだった。

ただ、あまりの儲けっぷりに厳つい覆面男に「ちょっと裏に来いや」とか言われそうな気がしてならなかったので早々に『コエルーラ』でエスケープ。グランエスタードに帰還してから、いそいそと戦利品を確認する事にした。

 

 

現代 グランエスタード

 

 

「さてと、チェックチェックと」

 

 

戦利品

 

○アイテム

薬草、馬の糞、命の木の実、不思議な木の実、世界樹の葉、美し草

○武器

ブロンズナイフ、聖なるナイフ、アサシンダガー、鋼の剣、のこぎり刀、ゾンビキラー、妖精の剣、炎の爪、大木槌、ウォーハンマー、バトルアックス、眠りの杖

○防具

毛皮のマント、踊り子の服、身躱しの服、魔道士のローブ、鉄の鎧、シルバーメイル、魔法の鎧、ドラゴンメイル、マジカルスカート、ホワイトシールド、ドラゴンシールド、魔法の盾、ターバン、貝殻帽子、毛皮のフード

○アクセサリー

お洒落なバンダナ、疾風のバンダナ、力の指輪、疾風《はやて》のリング

 

軽く選ばれし商人を超える物資チートを発揮してしまった訳だが、それは同時にヒスイに残酷な現実を突き付ける事に繋がってしまった。

 

「(そ、装備可能な武具が少ない!?)」

 

厳密に言えば、ヒスイには『重戦士系』の重量のある武具が装備不可能なのである。上記の戦利品で説明すると武器では『アサシンダガー』や『妖精の剣』は持てるが『ゾンビキラー』や『バトルアックス』は持てない。防具では『魔法の鎧』や『シルバーメイル』は装備可能だが、『鉄の鎧』や『ドラゴンメイル』は不可。

 

「(軽戦士タイプと魔法使いタイプの中間の装備適正か……微妙に厳しいな)」

 

自前の低防御力を装備で補えない、というのは下手をすると致命的だ。

だが、ヒスイの成長方向がスピード重視である事を考えると、それも仕方がないように思える。

 

「(うん、それはいいとして……)」

 

――何故、男なのに踊り子の服やマジカルスカートにも装備適正がある?

 

あれか、まだ子供だから女装もアリとかそういう巫山戯た判定なのか。

 

まぁ、それは置いておいてもレベルこそ変化していないが装備が一新され、多少の不満はあるが、かなりの戦力強化に繋がった。ついでに余った一部の装備品を城下町の武具屋に売りつけて潤沢な資金も確保すれば今回の冒険?は大成功だったと言える。

 

この後、ヒスイが売却した装備がアルス達だけではなく城の兵士達をも救う事になるとは、この時のヒスイは想像だにしてなかった。

 

―――――――

 

ヒスイ

 

性別:男

 

肩書き:風の紋章を持つ者、新米ギャンブラー

 

LV:5

職業:戦士 ☆☆☆☆☆

 

―――――――

装備

 

E妖精の剣

E身躱しの服

E魔法の盾

E毛皮のフード

E毛皮のマント(羽隠蔽用)

E疾風のリング(左腕)

E疾風のバンダナ(右腕)

―――――――

ステータス(標準時)

 

力      12

素早さ    18

身の守り    7

賢さ     17

かっこよさ   9

最大HP   32+15(命の木の実使用)

最大MP   21+12(不思議な木の実使用)

 

―――――――

 

呪文 ルーラ、トベルーラ、バシルーラ、リリルーラ、オクルーラ、コエルーラ

   バギ、バギマ、ピオラ、ホイミ、キアリー、レムオル、マジャスティス

   ギガジャスティス

特技 疾風突き、峰打ち、諸刃斬り、鎌鼬、身躱し脚、気合溜め

   思い出す、もっと思い出す、深く思い出す、忘れる

 

―――――――

 




ヒスイ「(コエルーラがあるから)時の刻みはおれにはない――!」(笑)

※外套(マント)系の装備は防具の上から着ることが出来る。
※アクセサリーは場所を変えれば複数、身につけることが可能。
 例えば、指輪なら最大10個装備できるが、同じ種類の指輪を装備しても効果は重複しない。
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