ソードアート・オンライン Dragon Fang《リメイク版》   作:グレイブブレイド

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リメイク版のアインクラッド編、最終回になります。


第24話 浮遊城の終焉

ついにスカルリーパーを倒すことに成功した俺たち。だけど、心身ともにかなり疲労が溜まり、俺たちは座り込んだり、倒れこんでいた。歓声を上げる人は誰もいない。

 

「何人やられたんだ……?」

 

ぐったりと座り込むクラインさんがかすれた声で言う。

 

「14人……死んだ……」

 

クラインさんの問いに、キリさんが確認して言う。死んだプレイヤーの人数に俺たちは言葉を失った。ここにいるプレイヤーは攻略組の中でもハイレベルの人たちだ。そんな人たちが14人も死んだということがどうしても信じられなかった。

 

「じゅ、14人も……」

 

「嘘だろ……?」

 

「あと、25層もあるんだぞ……」

 

「俺たちは本当に第100層までたどり着けるのか……」

 

俺に続いて、エギルさん、ザックさん、カイトさんの順に呟く。

 

まだ25層も残っている。いくらここがクォーター・ポイントとはいえ、第75層の時点でフロアボスがここまで強いとは……。

 

攻略組のプレイヤーは全プレイヤーの中で数百人くらいいる。しかし、これから毎回10人以上も死者を出すとなると、第100層にたどり着いた時点で攻略組の9割以上が死ぬことになるだろう。下手したら1人を残して死ぬことだってあり得る。その1人はヒースクリフ団長に違いない。

 

その彼はというと、1人だけ平喘とした顔で立っている。この中でトップクラスの実力を持つキリさんやカイトさん、アスナさんでさえ、まともに立てない状態だというのに。HPもグリーンの状態のままだ。流石、最強のプレイヤーだと言われているだけあるってことか。

 

 

『ヒースクリフが今までどんなに強力なボスを相手にしてもHPバーをイエローまで落としたところを見たことあるか?』

 

 

前にカイトさんが言っていたことを思い出す。そう言えば、ヒースクリフ団長のHPがイエローになったのを1度も見たことがない。

 

そんなことを考えている中、キリさんはヒースクリフ団長に向けて片手剣スキル《レイジスパイク》を放とうとする。

 

「キリさん、何やって……っ!?」

 

言い終える前に俺はあるものを見て驚いて言葉を詰まらせる。ヒースクリフ団長が攻撃を喰らったからではない。キリさんがヒースクリフ団長に放った攻撃が、紫色の障壁に阻まれる。それには紫の文字で【Immortal Object】と表示される。

 

【Immortal Object】は不死を意味する表示だ。これはプレイヤーには絶対に表示されないものだ。

 

「システム的不死……? って、どういうことですか、団長……?」

 

アスナさんをはじめ、この場にいた全員が驚きを隠せないでいる。

 

「この男のHPゲージはどうあろうとイエローにまで落ちないようにシステムに保護されているのさ」

 

システムに保護?いったいどういうことなんだ。キリさんの言っていることがどうしても理解できなかった。

 

「この世界に来てからずっと疑問に思っていたことがあった。あいつは、今どこで俺たちを観察し、世界を調整しているんだろうってな。だが、俺は単純な心理を忘れてたよ。他人のやってるRPGを傍から眺めるほどつまらないものはないってことを……」

 

キリさんの言っていることを聞いているうちに頭の中であることが考えられた。それってまさか……。どうしても信じられない中、キリさんが言いたいことが何なのか確信した時だった。

 

「そうだろ、茅場晶彦」

 

その瞬間、凍り付いたかのように静寂が辺りを包みこんだ。

 

「なぜ気付いたのか、参考までに教えて貰えるかな?」

 

「最初におかしいと思ったのは、デュエルの時だ。最後の一瞬だけあんたの動きがあまりにも速すぎたよ」

 

「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨事だった。君の動きに圧倒されてついシステムのオーバーアシストを使ってしまった」

 

あの時変な違和感があるなと思ったが、そういうことだったのか。

 

「確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君たちを待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」

 

ヒースクリフ団長……茅場は堂々と宣言した。まさか、最強のプレイヤーの正体が、ゲームマスターだけじゃなくてこのゲームのラスボスでもあるってことか。あまりのことに全員がまた驚きを隠せないでいた。

 

「最強のプレイヤーが一転、最悪のラスボスか。趣味がいいとは言えないぜ」

 

「中々いいシナリオだろう?最終的に私の前に立つのは、キリト君と予想していた。全十種存在するユニークスキルのうち《二刀流》スキルは全てのプレイヤーの中で最大の反応速度を持つ者に与えられる。そして、近いうちに現れる……いや、本人には自覚はないがすでに現れているであろう《あるユニークスキル》を持つ者と共に、魔王に対する勇者たちの役割を担うはずだった」

 

《あるユニークスキル》を持つ者?しかも、そのスキルはすでにプレイヤーはいるかもしれないってことなのか。考えられるとすれば、カイトさんかアスナさんのどちらかの可能性が高い。いや、他のプレイヤーだってあり得る。

 

そんなことを考えている間にも茅場は話を続けた。

 

「だがキリト君、君は私の予測を超える力を見せた。まぁ、この想定外の展開もネットワークRPGの醍醐味と言ったところかな」

 

茅場が言い終わると共に、俺は《ドラゴナイト・レガシー》を持って立ち上がる。アビスたち犯罪者プレイヤーのように殺しが目的とはないとはいえ、4千人近くのプレイヤーを死なせる原因を作ったこの男がどうしても許せなかった。

 

「ヒースクリフ団長。俺は1人のプレイヤーとして最強のプレイヤーであるあなたを尊敬していた。そして、ある人はSAO……仮想世界を創り上げた茅場晶彦に憧れていた。だけど、アンタは俺や(あん)ちゃんが思っていた人じゃないことがよくわかったよ……」

 

今にも冷静さを失ってブチギレそうになるが、なんとか抑え込んで最後まで言うことができた。そして、敵を討つかのよう目で茅場を見て斬りかかろうとする。

 

だが、茅場がメニューウインドウを開いて何かを操作すると、身体が動かなくなって倒れ込む。よく見てみると麻痺状態となっていた。

 

茅場は俺の方を見る。

 

「リュウガ君、まさか目をかけていた君に嫌われることになるとは。非常に残念なことだよ。だが、今の君には私と戦う権利はない」

 

そう言い残すと再びメニューウインドウを操作し始める。カイトさんやザックさん、この場にいたプレイヤーたちが次々と麻痺状態になって倒れていく。残ったのはキリさんただ1人だけだった。

 

キリさんはアスナさんを支えながら茅場を見る。

 

「どういうつもりだ?ここで全員を殺して隠蔽する気か?」

 

「まさか、そんな理不尽な真似はしないさ。こうなってしまっては致し方ない。私は最上階の《紅玉宮》にて君たちが来るのを待つことにしよう。ここまで育ててきた《血盟騎士団》、攻略組プレイヤーの諸君を途中で放り出すのは不本意だが、君達の力ならきっと辿り着けるさ。だが、その前に……」

 

茅場は一旦言葉を切ると地面に盾を突き立たせ、キリさんの方を見る。

 

「キリト君、君には私の正体を看破した報酬を与えなくてはな。今ここで私と1対1で戦うチャンスをあげよう。無論、不死属性は解除する。私に勝てばゲームはクリアされ、全プレイヤーがこの世界からログアウトされる。どうかな?」

 

「ダメよ。キリト君、今は引いて」

 

「アスナさんの言う通りです!キリさん、今は引いてください!時間はかかるかもしれませんが、絶対に打つ手はあるはずですっ!」

 

いくらキリさんでもたった1人で、最強のプレイヤーと言われているヒースクリフ団長……ゲームマスターでもある茅場晶彦と戦うのは無理がある。

 

「いいだろう。決着をつけよう」

 

「キリト君!」

 

「ゴメンな。ここで逃げるわけにはいかないんだ。必ず勝ってこの世界を終わらせる」

 

キリさんはアスナさんにそう言い残し、立ち上がる。そして、両手で背中にある鞘から2本の剣を抜き取り、構える。

 

「キリト、やめろぉぉ!!」

 

「キリトーッ!!」

 

エギルさんとクラインさんが必死に身体を起こそうとして叫ぶ。しかし、キリさんは戦いを止めようとはせず、叫ぶ2人の方を見る。

 

「エギル。今まで剣士クラスのサポート、サンキューな。知ってたぜ、お前が儲けのほとんどを中層プレイヤーの育成につぎ込んでたこと。クライン。あの時、お前を置いて行って悪かった……」

 

「て、テメェ、キリト!謝ってんじゃねぇ!今、謝るんじゃねぇよ!!許さねぇぞ、ちゃんと向こうで飯の一つでも奢ってくれねぇと許さねぇぞ!! 絶対許さねぇからな!!」

 

「わかった、向こう側でな」

 

目に涙を浮かべながら叫ぶクラインさんにそう言い残し、カイトさんとザックさんの方を見る。

 

「カイト、ザック。お前たち2人とはベータテスター時代からの付き合いだな。ビーターって呼ばれていた俺にいつも気を使ってくれてありがとな。カイトの決してブレることがない芯の強さ、ザックのフレンドリーな性格にはいつも助けられたぜ」

 

「これから死ぬようなこと言っていると、ぶん殴るぞ……」

 

「オレたち、これまでもこれからもずっと友達だろ……」

 

カイトさんは俯き、ザックさんは涙を堪えながら言う。

 

そして、キリさんは俺の方に顔を向ける。

 

「リュウ。元々は攻略会議とかでお互いの顔を知っている程度だったが、まともに話したのは去年のクリスマスの時だよな。リュウと行動をよくするようになってからお前のことは本当の弟みたいに思っていたよ。リュウならこれからも強くなれるぜ」

 

その言葉に泣きそうになってしまう。しかし、涙を堪え、今から死のうとしている彼に強めの口調で言い返す。

 

「だったら、絶対に生き残って、俺たちの前からいなくならないで下さいっ!死んだら絶対に許しませんよっ!!」

 

「リュウは怒ると怖いから、絶対に死ぬわけにはいかないだろ。だから安心しろ」

 

キリさんは微笑んで俺にそう言う。そしてアスナさんの方を見て、茅場の方を見て口を開く。

 

「悪いが、一つだけ頼みがある」

 

「何かな?」

 

「簡単に負けるつもりはないが、もし俺が死んだらしばらくでいい。アスナが自殺出来ないように計らってほしい」

 

「よかろう」

 

「キリト君、ダメだよ!そんなの、そんなのってないよ!!」

 

涙交じりのアスナさんの絶叫が響く。しかし、キリさんは振り返ることはなかった。

 

茅場はメニューウインドウを操作し、自身の不死属性を解除する。そしてキリさんが床を蹴り、攻撃を仕掛けたことで戦いは始まった。

 

2週間前にやった時の戦いよりも激しい。この戦いはあのときと違って殺し合いだ。キリさんはソードスキルを使わずに剣を振るう。だが、茅場は涼しい顔をして盾でキリさんの攻撃を全て防ぎ、右手に持つ長剣で反撃してくる。

 

「くそっ……!」

 

目の前に転がっている愛剣の《ドラゴナイト・レガシー》に手を伸ばそうとするが、麻痺状態のせいで思うように体が動かない。

 

今戦っている敵はモンスターのようにソードスキルを使えば倒せる敵ではない。ソードスキルは茅場がデザインしたものだ。当然、奴はそれを全て見切っている。システムに頼らず、自分の力だけで奴を倒すしかない。

 

キリさんは攻撃を与えられない焦りや4千人近くの人間を直接ではないが間接的に殺したことへの怒りのあまり、二刀流のソードスキルを発動させてしまう。連撃は《スターバースト・ストリーム》をも超える27連撃。だが、茅場はそれを見切っており、全て盾で防いでいく。そして最後の一撃が盾で防がれると、左手に握られていた《ダークリパルサー》が折れてしまう。

 

マズイ、あれだけの上位のソードスキルを発動させると長い硬直時間が……。

 

「さらばだ、キリト君」

 

「キリさんっ!!」

 

俺の叫びが響く中、キリさんに長剣が振り下ろされようとする。だが、その直前に誰かがキリさんの前に飛び込んできた。その正体はアスナさんだ。

 

アスナさんは茅場の長剣で斬られ、HPを全て失ってしまう。

 

「嘘だろ、アスナ……。こんな……こんなの……」

 

倒れ込むアスナさんをキリさんは抱き締める。

 

「ゴメンね、さよなら……」

 

アスナさんはそう言い残すと光に包まれ、ポリゴン片となって砕け散った。キリさんはショックのあまり膝をついて倒れこんでしまう。

 

「これは驚いた。自力で麻痺から回復する手段はないはずだがな。こんなことも起きるものかな?」

 

茅場が言ったことにキリさんはキレることもなく、アスナさんの細剣を左手に持ち、のろのろと立ち上がる。しかし、完全に戦意を喪失してしまい、力が全く入っていない状態で剣を振るう。当然、それは当たることもなく簡単に避けられてしまう。

 

そんなキリさんに茅場は憐れむような顔をし、ため息をつく。そして、盾でキリさんの右手に握られていた《エリュシデータ》を弾き飛ばすと、キリさんの体に長剣を突き刺した。

 

見る見るうちにキリさんのHPは減っていく。

 

手を伸ばしたのに届かなかった俺の腕、力。アスナさんが死んで、キリさんも死のうとしている。あまりのショックに、何も言葉も出ず、黙って見ていた。

 

だが、脳裏にファーランさんとミラが死んだときのことが浮かび上がった瞬間、動きを封じていた鎖が砕かれ、俺に力をくれた。

 

《ドラゴナイト・レガシー》を左手に持ち、床を蹴った。

 

左手に握られた《ドラゴナイト・レガシー》の刃に紫色の光が纏い、それを茅場に振り下ろそうとする。

 

――目が銀色になっただとっ!?

 

流石の茅場もこれには少し驚いた表情を見せ、急いで盾で防ぐ。《ドラゴナイト・レガシー》が茅場の盾に当たった直後、金属音が部屋中に響き渡る。あまりの衝撃にキリさんを貫いていた長剣は抜け、《ドラゴナイト・レガシー》と茅場の盾は宙を舞う。

 

俺は反動を受けて地面に転がるもすぐに立ち上がってキリさんに向かって叫んだ。

 

「キリさん、あなたはこんなところで終わるんですか……。俺が死のうとした時は止めようとしておいて、自分の大切な人が死んだときは死ぬなんて勝手すぎますよ!俺が知っている《黒の剣士》キリトはそんな人じゃありませんよっ!!」

 

俺の叫びが聞こえたのかキリさんはHPを全て失っていても消滅せずにいて、先ほど弾き飛ばされた《ドラゴナイト・レガシー》を右手でキャッチする。

 

――そうだったな。これじゃあ、アスナの死が無駄になる。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

そして、絶叫しながらアスナさんの細剣と一緒に茅場の体を突き刺す。

 

――アスナ、これでいいかい。リュウ、ありがとな……。

 

この攻撃が決め手となり、茅場のHPを全て削った。そしてHPが0になった2人は同時に光に包まれ、ポリゴン片となって消滅した。

 

その場に《ドラゴナイト・レガシー》がカランッと音を発てて地面に落下する。

 

「なあ、嘘だろ……。キリさん、アスナさん…。うわああああああああっ!!」

 

俺の絶叫が部屋中に響き渡る中、アナウンスの声がする。

 

『11月7日14時55分、ゲームはクリアされました。ゲームはクリアされました……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付いたら辺り一面が暗闇に包まれた空間に浮いていた。出口らしいものはなく、上も下もわからない。

 

ここはSAOの中、それとも死後の世界?

 

孤独よる不安と恐怖が包み込み、必死にどこにあるかわからない出口に手を伸ばそうとする。

 

「誰かここから出してくれ……」

 

ここには誰もいなく、俺の手を掴む人は当然いなかった。

 

「そうか、俺はこのままここから出られないんだな……。それでもいいか。ファーランさんとミラに続いてキリさんとアスナさんも死んだんだ。このことを忘れるためにもここで何もかも終わりにした方がよさそうだな……」

 

孤独よる不安と恐怖が包み込み、更にキリさんとアスナさんが死んだことが重なり、死を覚悟しようとする。

 

その時だった。

 

『『リュウ、こっちだ(だよ)』』

 

懐かしい1人の青年の声と1人の少女の声が聞こえ、何者かが俺の左手を掴む感覚が伝わる。その数は2人だ。そして、俺の左手を掴んで何処かへ手を引いて連れて行く。

 

何者かわからない2人の人物に手を引かれて連れて行かれていると一筋の小さな光が見えた。そこにどんどん近づいていくのがわかる。

 

光りが2人の人物の姿を映し出す。モスグリーンのフード付きマントを羽織った1人の青年と1人の少女だ。俺がよく知る人たちだった。

 

「ファーランさん、ミラ……?」

 

光りまでたどり着くと、ファーランさんとミラは俺の方に振り向いた。

 

『リュウは絶対に生きてくれ。彼らは大丈夫だ。だから頑張れ』

 

『リュウは決して1人じゃないからね。現実にはリュウの帰りを待っている人がいるでしょ』

 

2人が微笑んでそう言った直後、光が俺を包み込む。そして俺の意識はここで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと見知らぬ真っ白な天井が視界に映り込む。異常なほど身体が重い。

 

「「……や……りゅうや……龍哉……」」

 

誰かが俺のことを呼んでいる。ゆっくりと声がする方を見る。そこにいたのは父さんと母さんだった。

 

「よかった……」

 

「生きて帰って来てくれて……」

 

父さんと母さんは泣きながらも俺が生きて帰ってきてくれたことを喜んでくれていた。

 

ファーランさんとミラ、そしてキリさんとアスナさんの死。何も成し遂げることができなくて自分だけが生き残ったことに悔いて、俺もあの世界で死ぬべきだったと思っていた。だけど、俺の帰りを待っていた父さんと母さんを見て、生きて帰ってきたことを喜ぶ。眼からは涙があふれ出てしまう。

 

「父さん、母さん……」

 

重い体を起こし、小さい子供のように母さんに泣き付く。すると、母さんは優しく抱きしめ、父さんは優しく頭を撫でてくれた。2人の手がとても温かい。

 

ここで何もかも放棄したら、(あん)ちゃんが死んだ時と同じことを繰り返してしまう。ファーランさん、ミラの言う通りだよな。そうしないと2人にも、キリさんとアスナさんにも、そして(あん)ちゃんにも怒られてしまうからな。

 

今の俺にできるのは、死んだ人たちと俺が生きていることを喜んでいる人たちのためにも生きないといけないことだ。

 

この考えは正しいかどうかわからない。でも、俺は今を生きることにする。それが辛い選択だったとしても、俺は悔いることはない。決して……。

 

こうして2年も続いたアインクラッドでの死闘はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1ヶ月後……

 

何処の世界に存在するのかわからない研究施設のような場所。そこに1人の人物が何かを作っていた。それが完成し、その人物は手を止める。

 

「ついに完成した……」

 

その人物の眼に映っているのは3枚のメダル。黒、藍色、紫のメダルがそれぞれ1枚ずつあり、縁が金色となっている。3枚のメダルには東洋龍の顔を催した紋章が描かれていた。この3枚のメダルからはただのメダルではない雰囲気が伝わってくる。

 

「あとはあの300人……いや299人の中から適合者を探すだけか。本当は()()にも試してみたいが、そういうわけにはいかないからな……。この《コアメダル》に適合する奴はいるかな?」

 

その人物は作り上げた3枚のメダルを見て不気味な笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

See you Next game…?




旧版は10話もなくすぐに終わってしまいましたが、1年近くもかけてついにリメイク版のアインクラッド編が完結しました。リメイク版はプロローグと番外編を入れて全部で31話となりました。

改めて振り返って見ると、リメイク版は旧版と比べて、ファーランとミラの死、《ナイツオブバロン》の壊滅など皆のトラウマに含まれてもおかしくないなという話がいくつかあるなと思いました。オリキャラも多く登場してますが、主要メンバーとラフコフの2人以外は全員死んでますし……。オリキャラに容赦ない一方で黒猫団は生存して、リズとシリカにはいい相手が見つかるなど原作キャラには結構甘いという……。仮面ライダーネタを所々にいれたのですが、進撃の巨人のネタも多いなと思いました。しかし、旧版ではかなり適当にしてしましましたが、リメイク版ではちゃんとアインクラッド編をやることができてよかったです。

今回の話は、リュウ君が茅場を攻撃した時に使用した技、ラストに登場した謎の人物とメダルなど結構謎を残し、バットエンドみたいな感じで終わりました。しかし、これらは次回から始まるフェアリィ・ダンス編で大きく関わってくることになります。ちなみに最後の「See you Next game…?」はエグゼイドみたいにしてみました(笑)

次回からリメイク版のフェアリィ・ダンス編開始です。旧版と比べて設定や展開が大きく異なるところがいくつもあります。

そして、プロットが完成次第、パラレルストーリーとしてゲーム版の方も進めていきたいと思います。こちらは亀更新になる可能性が高いです。

これからもよろしくお願いします。

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