ソードアート・オンライン Dragon Fang《リメイク版》   作:グレイブブレイド

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お待たせしました。1カ月ぶりの投稿になります。ビルドの挿入歌が発売され、それらを聞きながら頑張って執筆しました。どれもカッコいい曲でした!

9月からはジオウが、10月からはSAOのアニメ第3期がスタート。ジオウは戦兎や万丈、永夢や飛彩など歴代のライダー出演者本人が出てくる豪華っぷり。これやビルドのVシネマも決定することもあってビルドロスとなっていた私には嬉しかったです。SAOは4クールも放送決定とこちらもかなりの豪華っぷり。ついにユージオやアリスをアニメで見られる日が来るなんて。今から放送が待ち遠しいです。

ゲーム版の方もよろしくお願いします。

今回もブラックコーヒーや壁を用意しておくことをお勧めします。



第2話 初デート(現実世界)

「これで大丈夫だな」

 

自室にある鏡で自分の姿を念入りにチェックする。今の服装は白のシャツの上に青いパーカー、紺色のジーンズという格好である。ALOと同様に青系統のものがメインとなってしまったのが多少気になるが。

 

何故いつも以上に自分の服装を念入りに確認しているのかというと、今日はついにスグとリアルで初デートだからだ。ALOではすぐにデートすることができたが、リアルでは中々スケジュールを合わせることができずにいた。そのため、今日という日をとても楽しみにしていた。

 

ちなみに俺とスグが付き合っていることは、クラインさんを除く全員が知っている。どうしてなのかというと、クラインさんは彼女持ちではない俺やカイトさんを「非リア充同盟」の仲間だと言っていることもあって、このことを知ったら絶対に「裏切り者」だと言って暴走しそうだと思ったからだ。皆に教えたのはクラインさんがALOにログインできない日だった。

 

そして、カズさん/キリさんにスグ/リーファと付き合うことになったのを報告する時が、俺にとってはある意味最大の難題だった。スグから聞いたが、カズさんに好きな人がいると話した時に何処かの「天の道を往き、総てを司る男」みたいにシスコンぶりを暴走し、最終的にスグが友達の話だと誤魔化したことがあったらしい。そんなこともあって凄く不安だったが、実際に話した時は「リュウならスグを任せられる」と言ってすぐに承諾してくれた。

 

こんな事を思い出しながら、ふと自室にある時計を見ると時刻は8時30分となっていた。

 

「待ち合わせの時間は9時だから、そろそろ行かないとな」

 

家を出てすぐに待ち合わせ場所となっている駅へと向かった。

 

 

 

 

 

約束の10分前に駅に着き、スグが来るのを待とうと思ったところ、ちょうどスグもやって来た。

 

「リュウ君、待った?」

 

「俺も今来たから全然待ってないよ。その服、似合っているよ」

 

スグの今の服装は、所々に水色の猫のマークが付いた白い服に少し長めの朱色のカーディガン、黒いズボンという格好だ。

 

服のことを褒められたスグは嬉しそうにする。

 

「ホント?ちょっと不安だったけど、リュウ君にそう言われて嬉しいよ。リュウ君はALOと同じく青系の服なんだね」

 

「ま、まあ……やっぱりこの色が一番しっくりくるから…」

 

服選びにいつもより時間はかかったが、最終的にALOと同じ青系の服を選んだ自分が恨めしい。他にも赤や黒もあったのに……。

 

「でも似合っていると思うよ。なんかリュウ君らしくて」

 

「そ、そうかな?俺もそう言われると嬉しいよ」

 

スグにそう言われて俺も嬉しくなる。そして、会って数分しか経たないうちに俺たちの周りは甘い空気が包み込む。

 

「混むと思うから、もう行こうか」

 

「うん」

 

スグと手を繋ぎ、駅の改札口へと向かった。現実世界で初デートに選んだのは今年の春にできたテーマパークだ。場所は他にも水族館や映画館などが候補にあり、前にスグが行ってみたいと話していたこともあってここを選んだのだった。ちなみに水族館や映画はまた今度にしようと決まった。

 

俺たちが乗った駅からテーマパークがある最寄りの駅まで30分くらいかかる。目的地に着くまで電車の中で談笑しながら過ごした。

 

電車に揺られて移動すること30分、目的地のテーマパークに到着した。俺たちは早速入場券を買って中に入る。今日は土曜日だということもあって、テーマパーク内は家族連れやカップル、学生のグループなどで賑わっていた。

 

「やっぱり休日だというだけあって沢山人がいるなぁ」

 

「そうだね。じゃあ、離れないようにしないと」

 

「え?」

 

するとスグがいきなり俺の右腕を自分の胸に抱く。

 

「普通に手握っているのよりこうした方が離れずに済むよ」

 

「そ、そうだな……」

 

確かにこの方が離れずに済むが、腕にはものすごく大きくて柔らかいものが当たっている。気にしないようにするがどうしても気にしてしまう。

 

スグと再会するまでの3年間、スグのとある部分はかなり成長していた。再会したばかりの時は色々あって気にとめていなかったが、ALO事件を解決した後、ふと見た時にかなり成長していたことに気が付いて驚いたほどだった。ちなみにカズさんも同じように驚いたらしい。

 

初めの数分間は気にしないようにと葛藤。そして今はなんとか平常心でいられるようになった。

 

「最初は何に乗ろうか?」

 

「ジェットコースターにしよ!」

 

入場券を買ったときに貰ったパンフレットで場所を確かめる。

 

「ジェットコースターの場所はここだから今いるゲート前からだとこっちだな」

 

さっそくジェットコースターの場所に向かう。着くと列に並び15分ほどで俺たちの番となった。

 

「このジェットコースター、どれくらいの速さかな?」

 

「さっきパンフレットを見たらもの凄く速いらしい」

 

「へぇ〜もの凄く速いんだ。今から楽しみだよ!」

 

スグは「もの凄く速い」という単語を聞くと満面の笑みを浮かべる。

 

そんなスグの表情が可愛いと思いながらも俺はどのくらい早いのかと少し不安だった。何故なら俺たちは一番前の席にいるからだ。ジェットコースターには何度か乗ったことはあるが、一番前だというのは今回が初めてだ。まあ、ALOでは何度も猛スピードで空を飛んでいたからきっと大丈夫だろう。

 

そう思っているとジェットコースターは急降下し、最高速度で進んで行く。

 

「うわっ!!」

 

「やっほ――う!!」

 

俺は予想以上のスピードで驚いたのに対して隣にいるスグは楽しそうに声をあげる。

 

その後もフリーウォールなどの絶叫マシーンを中心に乗り、このテーマパーク内にある絶叫マシーンのほとんどに乗った。連続で絶叫マシーンに乗ったこともあって俺は何処かの研修医みたいに真っ白に燃え尽きてベンチに座っていた。対するスグはまだまだ元気でいる。スグ……リーファはALOでは《スピード・ホリック》と言われているほどのスピード狂だけど、それはリアルでも健在のようだ。

 

時計を見ると午後1時くらいとなっており、昼食をとることにした。俺たちはパーク内にあるハンバーガーショップでハンバーガーのセットをオーダーし、席に着いた。

 

「土曜日でちょうどお昼時だから結構混んでいるけど、何とか席をとることができたね」

 

「休日の遊園地は、アトラクションに乗るのもご飯食べるのも長い列に並ばないといけないからな」

「そうだね。午後も色々アトラクションを周りたいから早く食べちゃおう」

 

「ああ」

 

俺たちは早速先ほどオーダーしたハンバーガーを食べる。その間、談笑しながら食べていると、スグが紙ナプキンを持って手を伸ばして俺の口元を拭いてきた。

 

「い、いきなりどうしたんだっ!?」

 

「口に付いてたからそれで……」

 

「そ、そうだったんだ。でも、なんか恥ずかしいな……」

 

「あたしだって恥ずかしいんだよ……」

 

俺だけじゃなくて、やってきたスグも頬を少し赤く染めて恥ずかしがる。俺は何とか気持ちを落ち着かせようとアイスティーを飲む。まだガムシロップは入れていなかったが、何故か甘い気がした。

 

 

 

 

 

昼食を終え、パーク内を歩いている内にイベント広場に辿り着いた。イベント広場には人だかりができて、ステージ上ではヒーローと怪人が戦っている光景があった。見たところ、ヒーローショーが行われているみたいだ。

 

「ヒーローショーか」

 

「パンフレットにも今日はヒーローショーがあるって書いていたからね」

 

「そういえばパンフレットにそう書かいていたな」

 

ヒーローと怪人の戦闘は勢いを増し、辺りは歓声に包まれる。特に小さい男の子は盛り上がっている。

 

せっかくだから、俺たちも途中からだけど見ていくことにした。それにしてもヒーローショーを見ていると懐かしくなってきた。

 

「懐かしいな。俺も小さいときに父さんや母さんによく連れて行ってもらったよ」

 

「へえ、リュウ君ヒーローショーに行ったことあるんだ。お兄ちゃんもそうだったけど、男の子ってこういうのが好きだよね」

 

「大抵の男の子はそういうものは好きなんだよ」

 

「あたしもお兄ちゃんの影響で一緒に特撮ヒーローもの見てたり、ヒーローショーに行ったこともあったよ」

 

「そうなんだ。男兄弟がいる女の子は魔法少女ものだけじゃなくて特撮ヒーローものも見ていたって聞いていたけど、スグもその1人だったんだな」

 

「うん。お兄ちゃんが一番好きだったのが、戦国武将の鎧とミカンかオレンジをモチーフにしたやつだったかな。確かそのヒーローって二刀流で戦いっていたから、お兄ちゃんも二刀流で戦っていたと思うんだよね」

 

「ハハハ。本当にそうだったら面白いな、それは」

 

こんな感じで談笑しながらヒーローショーを見終わり、次に向かったのはお化け屋敷だった。

 

「ねえ、ここのお化け屋敷ってやっぱり怖いのかな?」

 

「怖いと思うよ。ここのお化け屋敷って日本の中でトップ3に入るほど怖いお化け屋敷で有名だからな。途中でリタイアする人もいるらしい」

 

「そ、そんなに……」

 

俺の話を聞いたスグは入る前から怖がっており、それを見た俺は大丈夫かなと心配になってきた。

 

「嫌だったら、俺は他のにしても大丈夫だけど……」

 

「ううん。リュウ君がいるんだったら大丈夫だよ。行こう!」

 

スグは俺の手を引いてお化け屋敷の受付前に向かって中へと入る。中に入るとスグが「絶対に離さないで」と言わんばかりに俺の手を強く握ってきた。

 

ここのお化け屋敷は廃校となった学校をモデルにしており、中も薄暗くて不気味な雰囲気に包まれていた。

 

初めにやって来たのは学校内にある階段だった。よくある学校の怪談では、夜になると階段が13段となるというやつだ。試しに1段ずつ数えて上ってみたところ、予想通り13段という結果だった。恐らく初めから13段あったんだろう。

 

ここは大丈夫だったが、次に行った理科室は人体模型や標本などがあって、より不気味だった。そして、理科室の奥には準備室の扉があって入ることにした。

 

「リュウ君、先に入ってよ」

 

「えっ!?お、俺が……」

 

「だってリュウ君、メダルで変身する特撮ヒーローの主人公に似てるってよく言われてるでしょ!」

 

「いや、それは今あまり関係ないと思うから!」

 

「いいから先に入って!」

 

スグに強く言われ、まず先に俺から入ることとなった。少なくても蛇の標本がないことを祈りながら入った途端、中から動く人体模型が突然現れた。

 

「キャァァァァっ!!」

 

これにはスグは驚いて俺に勢いよく抱きついてきた。対する俺は首が締まっている苦しさと、背中に当たる柔らかいものを気にしないようにと葛藤していた。この間にも動く人体模型はいなくなる。

 

「よかった、いなくなった」

 

「く、苦しい……」

 

「ゴゴゴメン、リュウ君っ!!」

 

スグは俺の首を絞めていることに気が付いてすぐに手を放す。

 

「だ、大丈夫…。それよりも早く行こうか」

 

そう言って先を進むことにした。この後は音楽室や美術室などに行き、ピアノの霊や動く肖像画などがあったが、途中でリタイアすることもなく、ゴールにたどり着くことができた。

 

外に出ると日の光で明るくなっていた。40分ほどしか暗いところにいなかったが、この明るさが少し懐かしく思えた。

 

「リタイアしないで出られてよかったよ」

 

「リュウ君が傍にいたからあたしも最後まで頑張れたよ」

 

スグが笑顔でそう言ってきて、俺も嬉しくなってきた。

 

「まだまだ時間もあるから次行こうか」

 

「うん!」

 

その後もシューティングなど数多くのアトラクションを巡り、中にはSAOやALOみたいに剣を使うアトラクションもあった。剣を使うアトラクションでは俺とスグのペアで歴代最高得点を出して周囲を驚かせたりもした。

 

こうしている間にも時間はあっという間に過ぎていき、俺たちは最後に観覧車に乗ることにした。時刻は夕方の6時近くとなっており、空は夕日でオレンジ色に染まっていた。

 

「綺麗だね」

 

「ああ。まさかスグとこうやって一緒に見ることができる日が来るなんて思ってもいなかったよ」

 

「あたしもだよ。リュウ君が5年間もあたしに想いを寄せ続けていたなんて知らなかったからね。本当に驚いたよ」

 

「俺だって同じだよ、まさかスグと両思いだったなんて夢にも思わなかったからね」

 

俺はスグへの恋は実ることはないと諦め、その中ALOで出会ったリーファに新たに惹かれていった。でも、スグとリーファは同一人物だということが判明して、俺は二度同じ人に失恋したと思い込んでいたが、実際にはスグと両想いで最終的にスグ/リーファと結ばれた。

 

今思うと本当に長い道のりだったな。

 

そんなことを考えていると、スグが声をかけてきた。

 

「ねえ、リュウ君」

 

「んー?」

 

「キスしない?」

 

「へ!?」

 

スグの提案に思わず慌ててしまい、顔が一気に熱くなる。

 

「い、いきなりどうしたんだっ!?」

 

俺がそう聞くと、スグは頬を赤く染めて恥ずかしそうにして口を開いた。

 

「だ、だって……あたしたちALOだと2回キスしたけど、リアルではまだ1回もしてないじゃん……」

 

確かにスグの言う通り俺たちはまだリアルではキスはしてない。一応スグ/リーファと付き合ってから、何回かリアルで会ったが他の皆がいたからできそうになかったのと心の準備が……。

 

流石に付き合っているのにこれじゃあヤバイなと思い、恐る恐る言う。

 

「じゃ、じゃあ……する?」

 

「う、うん……」

 

スグは恥ずかしそうにして小さく頷く。

 

そして俺は席を立って向かい側の席に移動し、スグの隣に座る。

 

やっぱり今からするって意識すると恥ずかしいな。スグも顔を赤くしているし。それでも覚悟を決めて、そっと自分の唇をスグの唇に重ねる。

 

10秒ほどで終えた軽いキスだったが、俺もスグも頬を赤く染めて俯いていた。

 

「ALOだけじゃなくてリアルでもリュウ君にファーストキスあげちゃったよ……」

 

「俺だって同じだ……」

 

思うように会話が長続きしない。どうやら俺たちはキスするとこうなるみたいだ。

 

ゴンドラが下に着き、スグと手を繋ぐ。

 

「リュウ君?」

 

「お、俺たち……付き合っているんだから、帰る時も手繋いでもいいかなって思って……」

 

「うん、そうだね!」

 

スグは笑顔でそう答えてくれた。




現実世界での初デート。こちらでも2人はイチャイチャして凄くブラックコーヒーが欲しくなるほどでした。

内容的に旧版とあまり変わりませんが、旧版と比べてライダーネタを多く入れてみました。リュウ君はフェアリイ・ダンス編から映司だけじゃなくて永夢の要素も入ってきている気がしました。終盤では紘太っぽいところもあり、アリシゼーション編では万丈みたいになりそうな(笑)

次回もよろしくお願いします。

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