ソードアート・オンライン Dragon Fang《リメイク版》   作:グレイブブレイド

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リュウ「GGOで最強ガンナー決定戦の第3回BoBがついに開幕した。俺とキリさんとカイトさんは、大会に参加しているであろう死銃(デス・ガン)たちを探そうとするが、シノンさんと合流した俺が目にしたのは死銃(デス・ガン)による4回目の犯行だった」

ユージオ「なんか大変な状況の中で、スペシャルゲストとしてあらすじ紹介に呼ばれたけど、大丈夫かな?」

リュウ「あ、ユージオさん。今日は来てくれてありがとうございます」

ユージオ「僕もあらすじ紹介だけどこの作品で出られて凄く嬉しいよ。リュウとも会って話をしてみたかったからね」

リュウ「ユージオさん」

ユージオ「ところで、前回の話の原稿を渡されて見てみたけど、リュウも大分苦労しているんだね」

リュウ「前回は本当に最悪でしたよ。キリさんがネカマプレイを楽しんだせいで、俺はGGOプレイヤーたちに変な誤解されましたからね……」

ユージオ「それは悲惨だったね。僕でよければ話し相手になるよ」

リュウ「ありがとうございます。いい店知っているので、終わったらそこに行きましょうか」

ユージオ「それは楽しみだな。あ、忘れるところだった。それではGGO編第11話どうぞ!」



第11話 観戦者達

「リュウ君とお兄ちゃん、なかなか映らないね」

 

あたしがそう呟くと、後ろのカウンター席に座っているザックさんと左隣に座ってピナを膝にのせているシリカちゃんが応じた。

 

「それを言ったらカイトも全然映らないぜ」

 

「戦闘は全て中継されるんですよね。その内、皆さん映ると思いますよ」

 

更にザックさんの隣のカウンター席に座るクラインさんも会話に加わってきた。

 

「アイツら……特にキリトの野郎はああ見えて計算高いからな。参加者が適当に減るまで、どっかに隠れてるかもよ」

 

それを聞いたアスナさんは苦笑いする。

 

「いくらキリト君でもそこまではしないわよ。ねぇ?ユイちゃん」

 

「そうですよ。パパならきっとカメラに映る暇もないほど一瞬で敵の後ろからフイウチしまくりです!」

 

アスナさんの肩に座っているユイちゃんはそう答えながら、格闘番組に熱中してシャドーボクシングをするかのように左右の拳を突き出す。

 

「あっはは、それはありそうだね。しかも、銃ゲーなのに銃じゃなくて剣でね」

 

「キリトさんなら本当にそういう気がしますよね……」

 

笑いながら言うリズさんに続き、オトヤ君も苦笑いしながら話に加わってきた。たちまち朗らかな笑い声が部屋の中に満ち、シリカちゃんの膝の上でくるまっているピナが耳をピクピク動かす。

 

「まあでもキリトはともかく、カイトとリュウは剣も銃も使うイメージがあるからどんな武器を使うのかはあまり予想が付かないわね。ザックはカイトから何か聞いてないの?」

 

「前はアサルトライフルを使っていたみたいだけど、それじゃあ限界があるから最近はガンブレードを使っているみたいだぜ。なんでもそれが一番しっくりくるらしい」

 

「ガンブレードって…銃の世界だっていうのにそんなの使っているのね、カイトもキリトと変わんないじゃない」

 

リズさんとザックさんの会話を聞いて、またしても部屋の中に笑い声に包まれる。

 

「となると、リュウさんはどんな武器を使うんでしょうか……」

 

左隣でそう呟いたシリカちゃんに、真っ先にあたしが答えた。

 

「リュウ君の場合は、武器よりも左利きで青系のフード付きマントを羽織ったプレイヤーを探した方がすぐ見つかると思うよ」

 

リュウ君はALOでは深い青色のフード付きマントを羽織っている。彼曰くSAOの頃から青系統のフード付きマントを愛用しており、これがないと何か物足りないらしい。

 

すると、右隣に座っているズさんがニヤニヤしながら話しかけてきた。

 

「流石、リュウの未来の奥さんね。ちゃんと旦那のことをわかっているなんて。ALOにSAOみたいに結婚システムが導入されたら、いっそのことリュウと結婚してもいいんじゃないの?」

 

「ちょっとリズさん!」

 

リズさんにからかわれ、恥ずかしくなって頬を赤く染めてしまう。でも、本心ではリュウ君の未来の奥さんにはなりたいなとは思っている。

 

前にアスナさんたちから聞いた話だが、SAOには結婚システムがあって、実際にアスナさんはお兄ちゃんと結婚していたらしい。それを聞いた時はALOにも結婚システムが導入されればいいなと思ったりもした。

 

ふと後ろの方を見てみると、何故かクラインさんが涙を流しながらお酒を飲み、ザックさんとオトヤ君に慰められていた。

 

何かあったのかなと思いながらも、再び前を向く。

 

今あたしたちがいるのは、ALOの中だ。そこのワールドマップの中心にある巨大な木《世界樹》の上に位置する空中都市《イグドラシル・シティ》にあるお兄ちゃんとアスナさんが借りている部屋。

 

いつもならイグドラシル・シティの綺麗な景色が一望できる南向きの一面ガラスの壁には、今日は大型スクリーンを兼ねているガラスに、別世界の光景が映される。これはネット放送局《MMOストリーム》が生中継しているGGO……ガンゲイル・オンラインで最強のプレイヤーを決める大会《第3回バレット・オブ・バレッツ》のライブ映像である。

 

女性陣たちは前のソファーに、男性陣たちは後ろのカウンター席に座ってライブ映像を見ている。

 

本当はエギルさんもここで観戦する予定だったけど、現実世界で経営している喫茶店兼酒場《ダイシー・カフェ》がちょうど忙しい時間帯のため、ここにはいない。とはいっても、あたしとアスナさんはエギルさんのお店の二階からダイブさせてもらっている。何故かと言うと、アスナさんと一緒に大会が終わったらリュウ君とお兄ちゃんを速攻で捕まえてあれこれ言うためである。

 

色々なプレイヤーたちの戦いが中継されているが、未だにリュウ君とお兄ちゃんとカイトさんの3人らしい人たちは映っていない。スクリーンの右端にある出場者一覧ではまだ3人とも【ALIVE】となっているから脱落はしてない。

 

「それにしてもキリトだけじゃなくてリュウまでどうして、ALOからコンバートしてまでGGOの大会に出ようって思ったのかしら?」

 

「確かにキリトさんはともかく、リュウさんがALOからコンバートするなんておかしいですよね」

 

飲み物を飲みながら不思議そうに話しているリズさんとシリカちゃん。

 

リュウ君とお兄ちゃんがALOからGGOにコンバートした事実を知っているのは、あたしとアスナさんとユイちゃんだけだ。

 

どうしようと思っていたときにアスナさんと眼が合って、あたしに「私が話すから大丈夫だよ」と言っているかのような表情をして皆に話す。

 

「それがね……、何だかおかしなバイトを引き受けたらしいの。VRMMOの、っていうより《ザ・シード連結体》の現状をリサーチする、みたいな。GGOにはゲームで稼いだお金を現実に還元できるっていう唯一の《通貨還元システム》があるらしくて……」

 

「《通貨還元システム》か。前にカイトが話していたな。あれってグレーゾーンのシステムだから、何か問題がないかって調査しに行ったんだろ」

 

更にカイトさんがGGOをプレイしていることを知っていたザックさんも説明してくれる。この説明にリズさんは納得したかのような表情をする。

 

このことに関してはお兄ちゃんから聞いていた。でも、これが本当の理由ではないということはわかっている。

 

本当の理由を隠してまで、やらなければならないことだと悟り、あたしはお兄ちゃんとリュウ君を送り出した。でも、何か嫌な予感がしてならない。

 

「だけど、リサーチだったらコンバートして大会に出る必要もないと思いますよ。それなら新しいアカウントを作って他のプレイヤーに聞くこともできますし」

 

シリカちゃんが言ったことに皆が首を傾げる。この話を聞いていたオトヤ君が口を開く。

 

「もしかすると大会で優勝して早く大金を稼いで、実際に通貨還元してみるとかじゃないかな?前にネットでチラッと見たことあったけど、還元できる最低金額がかなり高いみたいだからね」

 

オトヤ君の言葉を聞いてユイちゃんが補足説明する。

 

「ネット上の記事によれば還元最低額は、GGOゲーム内の内通貨で10万クレジット、対JPYのレートは100分の1なので、1000円からとなります。この大会の優勝賞金は300万クレジットとなっているので、還元すると3万円となります」

 

「ありがと、ユイちゃん」

 

説明してくれたユイちゃんにアスナさんが指先で頭を撫でる。

 

その間にもいくつもの戦闘シーンが中継され、リズさんがある1つの戦闘が映し出されている映像に注目する。

 

「あの人強いね」

 

「あの青い服の人?」

 

アスナさんはリズさんが注目した映像をモニターの中央に持ってきて拡大する。

 

それはアサルトライフルを連射している人と、青い服を着た人が機動性を活かした戦闘スタイル人による戦闘シーン。青い服で、リュウ君もバランス型のインプでありながらケットシー並の機動性を持っていたため、一瞬リュウ君かなと思った。でも、青系統のフード付きマントを羽織ってなく、左利きでないため、すぐにリュウ君ではないと判断できた。

 

青い服を着た人がショットガンを使って、アサルトライフルの人を倒したところで決着が着いた。

 

「あの人強いね。なんか、こうしてみるとGGOも面白そうだなぁ。銃って剣や槍とかと同様に自分で作れるのかな?」

 

レプラコーンであり、鍛冶屋をしているリズさんはすっかりGGOに興味津々のようだ。

 

「おい、リズまでGGOにコンバートするとか言うなよ」

 

「新アインクラッドの攻略、まだまだこれからなんだよ。もうすぐ20層台解放のアップデートもあるんだからね!」

 

ザックさんとアスナさんに突っ込まれ、リズさんは両手をあげる。

 

3人のやり取りをあたしは苦笑いを浮かべて見ていた。

 

「わかっているわよ。ただ、どんなゲームにも強い人はいるんだなーって思っただけよ。きっとあのプレイヤーがこの大会の優勝候補に違いないわ」

 

リズさんがそう言った直後、その人はばったりと倒れた。

 

「おいおい、ダメじゃねぇか」

 

「まだやられてないわよ!」

 

クラインさんの言ったことにリズさんは反論すると、青い服を着た人が映っている映像を拡大する。

 

青い服を着た人は《ペイルライダー》というキャラネームらしく、倒れはしたがまだ死んではいない。攻撃を受けたと思われる右肩のところを中心に細かいスパークが這い回っている。

 

「あれって、風魔法の《サンダーウェブ》みたい」

 

「言われてみれば……。見たところ、一定時間対象を麻痺させているみたいだしね」

 

シルフであるあたしとオトヤ君はそうコメントする。

 

ペイルライダーというプレイヤーが倒れてから、映像には10秒ほど特に変化はない。突然、画面の左端に黒いボロボロの布きれみたいなものが一瞬映り、映像はその姿を完全に映し出す。

 

映っていたのは、全身を隠すくらい丈の長いボロボロのフード付きマントを身に纏い、マスクを被ったプレイヤーだった。

 

ボロマントのプレイヤーは大きな黒いライフル銃を右肩にかけているが、何故か一丁の黒いハンドガンを取り出した。銃口をペイルライダーに向けると、左手を額にあて、胸に動かし、左肩、右肩へ持っていく。まるで、十字を切ることを示しているかのようだ。

 

突然、ボロマントがいきなり体を大きく後ろに仰け反らせ、そこにフレーム外から巨大なオレンジの光弾が飛んでくる。

 

多分誰かがボロマントを狙い撃ったのだろう。でも、いきなり飛んできた銃弾を避けるなんて相当な技術がないとできないものだ。

 

銃弾をかわしたボロマントは、今度こそ本当に倒れているペイルライダーに銃口を向けてトリガーを引いた。しかし、HPを完全に奪うことはできなかった。

 

スタンから回復したペイルライダーは、起き上がってボロマントにショットガンを向ける。だけど、ショットガンを落とし、胸を掴んで苦しみ倒れた。数秒ほどするとペイルライダーは光に包まれて消滅した。

 

そこには回線切断を意味する【DISCONNECTION】と書かれた文字が現れた。

 

あたしたちが突然のことに状況が読めず固まっていたところ、画面にはボロマントの顔が映し出される。更に画面の外から、2人のプレイヤーが姿を現す。

 

 

そこに黒いニット帽を深く被り、白の布で顔の下半分を隠したプレイヤーと、黒いポンチョで身を隠したプレイヤーも画面の外から姿を現す。

 

1人は黒いニット帽を深く被り、白の布で顔の下半分を隠した姿を、もう1人は黒いポンチョで身を隠している。

 

黒いニット帽をかぶった男は赤と黄色の玉が付いた算盤のようなものを取り出し、赤い玉を1つ動かした。

 

『消滅を確認。これで4人目だ』

 

黒いニット帽をかぶった男は、そう呟いて算盤に付いている赤い球を1つ動かした。

 

すると、ボロマントはライブ中継カメラに向かって銃口を向ける。

 

『俺と、この銃の、真の名は、《死銃》……《デス・ガン》。俺は、いつか、貴様らの前にも、現れる。そして、この銃で、本物の死をもたらす。俺には、その、力がある。忘れるな。まだ、終わっていない。何も、終わって、いない』

 

更にまだ一言も喋ってない黒いポンチョで身を隠したプレイヤーの口が開く。

 

『さあ、地獄を楽しみな』

 

『『イッツ・ショウ・タイム』』

 

ボロマントと黒いニット帽をかぶったプレイヤーが最後にそう言った直後、後ろの方で何かが割れる音が2つ響く。

 

振り向くと、クラインさんとザックさんがグラスを手から落とし、割ってしまっていた。

 

「ちょっと、アンタたち何やってんのよ……」

 

リズさんが文句を言うとしたところ、クラインさんとザックさんの様子がおかしいことに気付く。2人と同じくカウンター席に座っていたオトヤ君は、唖然として2人を見ていた。

 

「う……嘘だろ……あいつ……まさか……」

 

「あのセリフ、間違いない……」

 

クラインさんとザックさんの言葉を聞いた途端、アスナさんはソファーから立ち上って、2人がいるカウンターの方に振り向いて叫ぶ。

 

「クラインさん、ザック君、知ってるの!?アイツらが誰なのか!?」

 

ザックさんが恐怖に彩られた目でアスナさんを見て言った。

 

「あ、ああ……。アイツらは《ラフコフ》のメンバーだ」

 

 

この瞬間、リズさんとシリカちゃんとオトヤ君までも激しく息を吸い込んだ。

 

「ま……まさか……。誰なのかわかるっ!?」

 

アスナさんは恐る恐るザックさんに問いかけた。

 

「殺したプレイヤーを算盤みたいなものでカウントする癖と、あの独特の喋り方から恐らく《ソニー》と《ザザ》だ」

 

「《ソニー》と《ザザ》ってラフコフの幹部のっ!?じゃあ、残る1人ってもしかして……」

 

「アスナが思っている通りだ。ラフコフの中に『さあ、地獄を楽しみな』という決め台詞を言う奴は1人しかいない。ラフコフのサブリーダーで、《深淵の殺戮者》として恐れられたあの男……《アビス》だ!」

 

アスナさんはザックさんが言葉を聞き驚愕する。他の皆もだ。

 

皆は知っているようだけど、ラフコフっていったい何なんだろう?恐る恐る聞いてみた。

 

「あの……ラフコフって何なんですか?」

 

あたしの問いかけにクラインさんが答えてくれた。

 

「そっか。リーファちゃんが知らないのも無理はねえか。ラフコフはSAOで凶悪な殺人ギルドとして恐れられた集団なんだ。SAOではどんなことがあってもHP全損だけはさせないっていう不文律があったんだ。なんせ0になったら本当に死じまうからよ。だがな、ラフコフの連中は大勢のプレイヤーを殺してきたんだよ……」

 

クラインさんが話し終えると、今度はザックさんが話し始めた。だけど、表情はとても暗いものだった。

 

「オレとカイトのギルドメンバーたちも、ラフコフに殺されたんだ……。幹部のジョニー・ブラックとさっき話したザザって奴にな。最終的に攻略組で討伐隊を結成して、奴らを捕獲しようとしたが、あの戦いはかなり酷いものだったぜ……」

 

クラインさんが話したことにザックさんが付け加えるように説明してくれたが、最後辺りは声が震え、表情はとても暗くなっていた。

 

「ザック……」

 

リズさんはザックさんを心配し、彼に寄り添う。

 

「まさか、アイツら……GGOにラフコフの連中がいるんじゃないのかって気が付いて昔の因縁に決着を付けようとしているんじゃ……」

 

「多分間違いない・・キリトは討伐戦でソニーと戦ったし、カイトもザザとはアイツらの仇で因縁がある。それに、リュウにとってアビスは仲間の仇みたいなものなんだからな……」

 

クラインさんとザックさんの会話を聞いている中、あたしは最後にザックさんが言ったことが一番気になった

 

「ちょっと待って下さい!リュウ君の仲間ってファーランさんとミラちゃんのことですよね。でも、仇ってどういうことですか?確か2人はモンスターからリュウ君を庇って死んだって…だから2人が死んだのってそのラフコフっていうのと関係がないことなんじゃ……」

 

SAOでリュウ君の仲間だったファーランさんとミラちゃん。でも、2人は巨人型のモンスターから自分を助けようとして命を落としたんだとそうリュウ君から聞いていた。

 

ならどうして2人の死とラフコフが関係しているのだろうか。

 

するとあたしの近くにいたアスナさんが、ザックさんの話を聞いた途端、何か思い出したような表情をし、気になって彼女に問い詰めた。

 

「アスナさん、何か知っているんですか?」

 

「ええ。でも、私も詳しくは……」

 

「知っていることだけでいいので教えて下さい!」

 

あたしに問い詰められて困ったような表情をするアスナさん。それは前にお兄ちゃんからリュウ君の過去を聞いた時のことを思い出させるような感じだった。

 

「2人が死んだのは、リーファちゃんもリュウ君から聞いているから知っていると思うけど、実は2人の死にはラフコフのアビスが関わっていたの」

 

「関わっていたって……」

 

「アビスは、モンスターPK……モンスターを利用してプレイヤーを殺そうとしていたの。最初は中層プレイヤーを誘い込んで、更には彼らを救助するために向かわせた攻略組のプレイヤーまでもという手段でね。救助に向かったプレイヤーの中にはリュウ君たちもいた。でも、14人ものプレイヤーがなくなってリュウ君1人だけが生き残ったの……」

 

「そういえば、デスゲームが始まってから1年ほど経った時にそんな事件が……」

 

「うん。でも、噂で生き残った1人も自殺して亡くなったって聞いたから、リュウとは全く関係ないことだと思っていたけど、まさか……」

 

「攻略組でも生き残ったのが、リュウだってあまり知られてなかったな……」

 

アスナさんの話を聞いて、シリカちゃん、オトヤ君、クラインさんがそう言う。

 

「リュウ君のことを考えて、キリト君が情報屋に頼んで詳しい事件内容は公にはしなかったの。この中で真相を知っているのは、私以外にキリト君とカイト君とザック君だけなのよ」

 

「まさかリュウ君にそんなことがあったなんて……」

 

ファーランさんとミラちゃんの死の真相。リュウ君たちとラフコフの因縁。更にはラフコフたちがGGOで何かしようとし、リュウ君たちが絡んでいること。

 

「…リュウはSAOで2度アビスと戦ったらしい。1度目は討伐戦が決行する前に、2度目は74層のボス戦が攻略される前に仲間が死んだ層の森の遺跡で。実際、俺とカイトもリュウが一人でアビスに挑みにいったと情報屋から聞いて、キリトと一緒に救援にいったんだ。あれは間一髪だったよ…もう少し遅れてたらリュウはアビスに仕組まれたモンスタートラップによってやられていたかもしれないからな」

 

「え…」

 

「あの時のリュウは、たとえ刺し違えてでもアビスを倒すつもりでいたからな…。ほっといたら本当に死ににいっちまうんじゃないかって程に…。無理もない、大切な仲間が死んだ元凶に遭遇したんだからな」

 

「そんな…リュウ君…」

 

ザックさんの話を聞いてあたしはとてつもない衝撃を受けた。リュウ君がそこまで苦しくて辛い思いをしていたなんて…この短時間に衝撃的なことが連続で降り注いできて、あたしは不安で仕方がなかった。

 

そんなあたしをリズさんとシリカちゃんが落ち着かせようと寄り添ってきた。

 

「私、一度落ちてキリト君たちの依頼主と連絡取って見る」

 

「え!?アスナ知ってるの!?」

 

依頼主が誰かわからないリズさんはアスナさんを引き止め、聞いてみた。

 

「うん、本当はみんなも知ってる人なの。ここに呼び出して問い詰めるわ。2人をGGOに行かせたあの人なら、絶対に何か知ってるはず。ユイちゃん、私がログアウトしている間に、GGO関係の情報をサーチして、さっきのボロマントのプレイヤーに関係するデータがないか調べてくれる?」

 

「了解です、ママ!」

 

ユイちゃんはアスナさんの肩からテーブルに移動し、情報収集を始める。

 

「オレも一旦ログアウトして、親父にGGO関連の事件のことで何か知っていることがないか、連絡して聞いてみる」

 

そう言えば、ザックさんのお父さんは刑事さんだと聞いたことがある。

 

「じゃあ、みんな、ちょっとだけ待ってて!」

 

アスナさんとザックさんはメニューウィンドウを出し、ログアウトした。

 

「リーファ安心して。リュウ達なら絶対大丈夫だって」

 

「そうですよ」

 

「あの3人はSAOでも最強だったからな」

 

「信じて待ってようよ」

 

「リズさん、シリカちゃん、クラインさん、オトヤ君……」

 

皆の言う通り、今はリュウ君たちが無事に帰って来るのを祈ろう。




今回のビルド風あらすじ紹介にはなんとユージオが登場しました。オリキャラの中で特にリュウ君とは気が合うと思いますので、早く本編でも共演させたいと思いました。

話の内容はほとんど旧版と変わりありませんが、リメイク版ではリーファがファーランとミラの死の真相を知るところを追加しました。2人の死は作中でもトップレベルのトラウマですからね。執筆している私自身も書いてて2人の死には胸を痛めました。

そして、アスナとシリカとリズとオトヤ君とクラインを久しぶりに登場させたような気がしました。アスナは原作のヒロインだって言うのに……。次の章では彼女たちの出番を用意しないといけませんね。

ここ最近、リュウ君とリーファのイチャイチャシーンも中々書けてない気がします。もうすぐクリスマスですし、久しぶりにR18版でイチャイチャさせようかな……。

アリシゼーション編のアニメではOPに三女神が追加され、本編のラストではついにアスナが登場しましたね。見ててウォズみたいに「祝え!」となってしまってます(笑)。本作では本当にウォズを登場させようかななんて考えたりもしてます。ただ本作でそこまで行くのにまだまだ長い道のりが……。一応リュウ君のアンダーワールドでのビジュアルは大体できているのに、それを披露するのはいつになるのか(涙)

今朝のゼロワンでは『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』で人気を得た木村/ベルデ役を演じた山口大地さんがゲストとして登場してましたね。しかもまたしても仮面ライダーになるとは。そして不破さんは相変わらず無理やり変身しようというスタイルなんですね(笑)。バルカンの新フォームの頭部分がラビットタンクみたいな気が……。

次回もよろしくお願いします。

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