RAIL WARS! ~After story~   作:EF81

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もう皆様忘れておられると思いますが、長らくお待たせいたしました。大学受験が終わったので投稿します。短いですが、楽しんでいただければ幸いでございます。


第二話

 機関士、運転士をしている人の心の癒しは沿線や駅で手を振ってくれる子供たちだったりするものです。ある人は子供時代の自分に重ね、またある人は夢を与えているのだと誇りを持ちます。それはこのSSの主人公にも当てはまるのです。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 今日は珍しく明るい時間の運用をこなしている。機関車は寝台列車を牽引したり、朝に目的地に到着する貨物列車を牽引したりするので、必然的にそれを運転する機関士は深夜から早朝にかけての仕事が多いのだ。因みに今運転している機関車は富山機関区所属のEF70だ。このEF70形は北陸本線交流電化に伴い1961年に製造が始まったため、車齢が高いが、いまだに國鉄ではこれを使っている。EF81形の登場、湖西線開通により活躍の場が縮小されたが、60Hz交流区間(敦賀~南今庄間にデッドセクションがあり、架線の交直が切り替わるので、EF70は南今庄までしか入線できない)である南福井~糸魚川間の近距離の貨物列車と早朝に残されている普通客車列車を中心に運用されている。

 越中大門発青海行きの8773列車を運転していると、田んぼの畦道から手を振っている子供が見えた。ノッチに置いていた右手をブレーキハンドルにもっていき、ブレーキハンドルを握っていた左手を使って汽笛を鳴らして、そのまま窓から左手を出して手を振り返す。子供の前を通過したあと「俺もちっちゃい頃ああやって手を振ってたな~」何て考えたりする。あれで夢をもらったから今機関士をやっているのだ。「今度は俺が夢を与える番なんだ」と考えると気が引き締まる。あと、子供が手を振ってくれると素直に嬉しいです。

 

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 この後、無事に青海駅に定時到着して、少しの休憩を挟んで今度はEF81牽引の新潟貨物ターミナル行き8565列車に乗り換える。青海から日本海に沿って走り、糸魚川駅を通過したあとに交直セクションがある。ここでは異電圧冒進(交直切り替えが機械の故障で行われなかったり、運転士が忘れていたりして違う電圧の区間にもとの電圧の設定のまま列車が入ること)しないためにいつも緊張する。因みに異電圧冒進したときにダメージが大きいのは交流→直流に冒進したときで、ヒューズを飛ばして交流回路を守るため、ヒューズの交換を行わないと再び交流の区間に入ることが出来なくなる。一方で直流→交流に冒進したときは、回路保護の方法が違うので、そのまま交直切り替えスイッチを切り替えれば、冒進後も運転に支障は出ない。無事に交直セクションを通過し、程なくして直江津駅に到着する。

 「8565列車定着、列車異常ありません」

 「了解、8565列車定着、列車異常なし」

 直江津で東新潟機関区所属の乗務員と交代する。

 列車の最後尾が駅から出るまで見送ってから駅の詰所に行く。この後は二時間休憩してから信越本線の普通列車に便乗して二本木駅に行くことになっている。

 詰所に入ってから30分程すると『電車運転士』という腕章をした一人の女性が入ってきた。その女性は短めの黒髪で可愛らしい感じの方だった。

 「お疲れ様です」と俺が言うと

 「お疲れ様です」

 と返してくれたが、少し不思議そうな顔をしていた。

 その後、彼女は俺の方をチラチラ見ていた。

 「あ、あの」と彼女に声をかけられる。

 「間違っていたら申し訳ないんですけど、もしかして警四の高山さんですか?」

 「うぇ!?」

 警四の名前が出されて驚いたらすっとんきょうな声が出てしまった。

 前にどこかで会ったことがあっただろうか?と考えていると、4年前のクリスマスの記憶に行き当たった。

「あの、もしかして石巻さんですか?」

「覚えていてくださったんですか?」

「それはこっちのセリフですよ。少しばかり一緒に行動しただけのOJTの高校生を覚えていて下さるなんて。」

「やっぱり高山さんだったんですね。あの時(注:原作12巻参照です)はありがとうございました。高山さんがいなかったら私は死んたかもしれません。」

「あの時はただ必死だっただけですから、そんな大したことはしてないですよ。あと石巻さんは先輩なんですからそんなに畏まらないで下さい。」

「分かりました。では高山君と呼ばせてもらいます。高山君は機関士になったんですね。配属は富山ですか?」

「はい、富山配属で今年のダイヤ改正の日から一人乗務ができるようになりました。石巻さんは長岡運輸区の所属なんですか?」

「ええ。郷が柏崎なので転属願いも出してませんからあの時から変わらず長岡所属です。」

「そうなんですね。」

 腕時計を見ると便乗する列車があと10分で来る時間だった。

「すみません、あと10分くらいで便乗する電車が来る時間なのでお先に失礼しますね。」

 そう言って 詰所から出ようとすると呼び止められた。

「あ、ちょっと待ってください。連絡先を交換しましょう。」

 と石巻さんが言ってくださったので、連絡先を交換した。

「何かあった時はなんでもこれで相談してくださいね。私は高山君の"先輩"ですから」

 と彼女は少し胸を張って言ったので、

「分かりました。何かあったらご相談させていただきますね。それでは失礼します。」

 と敬礼しながら答えると、石巻さんも敬礼を返してくれた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 この後俺は二本木駅からEF64重連牽引の貨物列車に乗務して南長岡駅まで運転し、2時間ばかりの休憩をはさんで南長岡駅から富山貨物駅までEF81に乗務して勤務終了となった。この行路は昼間の運転だが、乗務距離と乗務時間が長く、3種類の電気機関車に乗務するので結構疲れる。

 職員寮に帰って寝る前に携帯を開いて、連絡先に登録された"石巻亜美"という名前を見て少し頬がゆるんでしまった。俺だって男なんですからあんな可愛らしくて優しい先輩の連絡先が登録してあったら、にやけてもしょうがないじゃないですか。

 

 俺の親方日の丸一生安泰國鉄人生は少しのスパイスが加わりましたが、平常運転です。明日からも安全運転で、クビになったりしないように頑張ります。

 

 

 

 




今回は原作登場人物の中でも意外な人を出してみました。会話を書くのって難しいですね。石巻運転士は原作登場ページが数ページしかないので、誠に勝手ながらこちらで設定を作らせていただきました。受験が終わっても亀更新のままになると思いますが、気長にお待ちいただければ幸いです。最後に、お気に入り登録してくださった方ありがとうございます。
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