神の子と生きる   作:ユキノスケ

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どうも!小説を初投稿させて頂いたユキノスケです!友達の影響を受けて書き始めました(笑)初めての小説ということで、つたない部分は多々あるとは思いますが暖かい目で見守って下さると幸いです。

それでは本編、どうぞ!


第1話ーハジマリー

春。新しい年を迎え入れてなお、気持ちが改まる時期。笑顔になる人もいれば、意気込みを語り合う人々もそう少なく無いはずだ。そんな中、一人、表情を曇らせている青年がいた。そんな彼の名は『三条龍雅(さんじょうりゅうが)』。高校二年に進級した。彼が通う高校、『白王高校(はくおうこうこう)』は特に賢いというわけでもなく、普通の高校だ。閑静な住宅街を抜け、木々が成す道を進んだ先に威厳ある門を構えている。生徒たちは、下駄箱の前に立つと無言で一礼する。

この高校は礼儀が叩き込まれている。故に新入生は恐ろしい程の真面目になり、その点では、全国でも指折りの高校だ。龍雅もこの風習に習い、一礼する。そして、教室に入る。

 

ガヤガヤガヤ...

 

教室の中は楽しそうなお喋りで溢れている。それをかいくぐり、席につき、何やら難しそうな本を取りだし、目を落とす。そして、深刻な顔になる。

 

「...」

 

人を寄せつけないオーラを出している。そんな彼に、

 

「お...は...ようっ!」

 

と、気さくに声を掛けた青年がいた。彼の名は『雷堂迅(らいどうじん)』。龍雅の唯一の親友だ。

 

「あんまり思い詰めるなよ?」

 

「あぁ...分かってるぜ...でもよ...」

 

二人は何か意味ありげな話をしている。

 

「まあまあ、時間は限られているが、大丈夫だ!」

 

迅は気を使い、励ました。

 

「あぁ...すまねぇ...」

 

と、俯く。そしてほどなくして

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴った。

 

「さっ!授業に集中しろよ!」

 

迅は席に戻った。龍雅はテキストを出した。

 

ー放課後ー

「ばいばーい」

「うん!また明日ねー」

次々とクラブを終えた生徒が学校をあとにして行く。しかし、そんな中、まだ、クラブをしている二人組がいた。

 

「やあああああ!!」

 

「はあああああ!!」

 

バシッ!ビシッ!

 

鳴り響くのは竹刀が触れ合う音。剣道だ。

龍雅と迅は剣道部に所属している。時期キャプテン候補だ。

 

「はぁ...はぁ...はぁ...」

 

「ふう...今日はここまでにするかな...」

 

二人からはやりきった感が滲み出ている。そんな二人に、

 

「お疲れ!!」

 

明るい女性の声がした。その声と共に差し出されたのはスポーツドリンクだ。

 

「おう...すまねぇな」

 

「あんがとさん!」

 

二人は礼を言う。敬語を使用していない所からすると年上ではないだろう。彼女の名は『赤城 薫(あかぎかおる)』。女子主将を務める。そして、龍雅の幼なじみである。

 

「帰らないのか?薫?」

 

龍雅が問う。

 

「うん、あなたたちを見てたら勉強になるかなーって」

 

と、笑顔で薫は応えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迅と龍雅は準備を終え、学校を後にしようとした時、遂に、始まったのだ。

 

ドゴォォォォォン...

 

静かな学校に突如鳴り響いた爆発音。それに連なって聞こえるのは

 

ドス...ドス...ドス...

 

巨大な『なにか』が動くような音。

 

「くそっ...もう来たのかよ?!」

 

龍雅は驚きの声を上げた。

 

「龍雅!薫は任せて先に行け!」

 

迅は声を荒げる。

 

「すまん...」

 

龍雅は申し訳なさそうに一礼した。そんな中、困惑した声を上げる者がいた。

 

「ねぇ!どーいうことなの?!」

 

薫だ。普通の人が聞いたらパニックに陥るのは当然だ。

 

「事情は後でゆっくり説明する。今は俺らの指示を聞いてくれ」

 

冷静に、慌てる薫に対して迅は声をかけた。

 

「龍雅は薫のために走っている。声援の一つ、飛ばしてやれ」

 

迅は薫にそういった。

 

「わ...分かった...」

 

薫は大きく空気を吸い、

 

「頑張れぇぇーーーー!!」

 

叫んだ。龍雅はそれに応えるように右手を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍雅の消滅目標は襲い掛かってきた巨大な『なにか』だ。

 

「間に合え...間に合えよぉ!!」

 

龍雅は心の底から焦りを抱いた。

 

...多分...やばい...

 

龍雅は駆けた。全身全霊で駆けた。すると、ほどなくして、

 

グオゥ?

 

巨大な『なにか』がこちらに気づいた。

 

「まさか...ブラッドウルフ?!」

 

ブラッドウルフ、それは魔界と呼ばれる世界に巣くう魔物だ。鋭い爪を持ち、強靭な牙をも持つ。全身黒い毛皮に覆われており、大きい物では体長15mを優に超える。

 

グオオオオオオオ!!!

 

ブラッドウルフは一声上げて突進する。

龍雅はそれを体で捌く。そして、

 

ヒュイン

 

龍雅の腕が銀色に包まれた。そして手の先には、剣だ。刀身は銀色に統一され、緑と黒が混ざった勾玉が入っている。大きさはさほど大きくはなく、昔の日本の武士が使っていたくらいの大きさだ。しかし、決定的に違っていたのは、刀身の厚さと重さだ。全長は確かに普通だ。だが、刀身は大きく、唯一無二の形をしている。

そんな特殊な剣を龍雅は振りかざし、

 

「行くぜ!!」

 

決意の言葉と共に先程まで体勢を崩していたブラッドウルフに突撃する。

 

「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

気合いの咆哮と共に繰り出すのは全力の一撃。それは吸い込まれるようにブラッドウルフの左横腹に直撃した。

ガギィという耳障りな音が聞こえた後、ブラッドウルフはある攻撃を繰り出そうとした。

 

「くっ...」

 

龍雅は刹那に判断を迷わせた。ブラッドウルフが繰り出そうとしているのは大爆発だったからだ。それも周囲を巻き込み塵一つ残らないような高い威力を持っている。

 

「はぁっ!!」

 

龍雅は爆発の僅か数秒前、一瞬で距離を取り、己の数ある中の技の十八番を使った。その瞬間、

 

ヒュオオ...

 

風が吹き抜ける音と共に爆発は起こらなかった。

爆発を起こすには根源となるものが必要になってくるのだ。そのことを龍雅は『 爆発源』と呼んでいる。その爆発源を消滅させたのだ。この技は龍雅にしかできないこと。特異能力なのだ。

 

ガウッ?!

 

ブラッドウルフは思わず驚きの声を上げる。

 

「やっぱ...フルパワーは...」

 

龍雅は自分の繰り出した技に対して満足を得ていない。しかし、はっきりとした口調で告げる。

 

「チェックメイト」

 

その言葉の直後、ブラッドウルフの姿は跡形も無く消えていた。

 

「...ふう...」

 

龍雅は一息ついたあと、

 

「...戻るかな...」

 

気が重いような感じでそう呟き、激戦地だった運動場を後にした。

 

 

 

ー5分後ー

 

 

「龍雅!!」

 

声を上げたのは迅だ。

 

「どうだった?やっぱレベルは...」

 

「ああ...ただの魔獣がこんな下界に来れるはずがねぇからな...」

 

二人は薫をそっちのけで会話を進めていく。そんな中、とうとう我慢の限界がきたのか、

 

「ちょっと!」

 

薫が声をかけた。

 

「迅君!龍雅君が来たら話すって約束でしょ?!」

 

「あ...あぁ...分かってる」

 

迅も薫に恐れを成したのか身を竦めた。

それに対して龍雅は苦い表情をしていた。

 

「...」

 

僅かな沈黙の後、静かに龍雅は口を開いた。

 

「まだ、すぐには理解できないかもしれない...それでもいいか?薫」

 

「う...うん...」

 

薫は軽く息を呑んだ。

 

「まず、俺達について」

 

龍雅は語りはじめた。

 

「俺、そして、迅は、この世界で言うところの勇者なんだ...だから...ほら」

と、言いながら先程の戦いで使用した、あの銀色の刀を具現化する。

「この通り、こんな凶器をいとも簡単に出せるんだ」

 

驚きの表情を見せる薫をそっちのけで話を進める。

 

「それで、何で勇者である俺や迅がここにいるかっていうと」

 

一呼吸入れた後、薫にとって決定的な言葉を耳にする。

 

「薫は、神の子孫なんだ」

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薫はただ、呆然と龍雅の話を聞いていた。

 

...理解できない...

 

だってそうだろう。今まで普通の幼なじみとして接していた同級生の男の子が、自分は勇者だと宣言したうえに、凶器まで出したのだ。薫の心はかなりのパニック状態だった。そんな中、脳に伝わってきた言葉は、

 

「薫は、神の子孫なんだ」

 

その一言だった。そのあと聞いたのは、

 

「今日の稽古終わりの爆音、聞いただろ?」

 

あれは、と龍雅。

 

「実は薫を狙っていたんだ...だから、俺が撃退したんだ...」

 

と、やや悲しげな声で言った。

 

「今の薫にとっては理解できないかもしれない」

 

前置きをして、

 

「だけど、あえて伝える。薫の中には勇者の俺や迅以上の強大な力があるんだ」

 

確かな声で龍雅は薫に伝えた。薫は、ただ、黙っていた。

 

...私の...せいなんだ...

 

薫は俯いた。

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...すまない...薫...

 

龍雅は心の中で謝りながら説明を続けていった。

 

「その力のせいで薫は狙われてるんだ...」

 

「...そう」

 

じゃあ、と前置きをしてから、

 

「さっき、龍雅が戦う羽目になったのは、私のせいなのね?」

 

薫は完全に落ち込んでいた。

 

「違う...といえば嘘になる...」

 

けれど、と龍雅

 

「俺は自ら望んでお前を守ることを決めたんだ。後悔も、何もしていないさ」

 

龍雅は薫の心を少しでも落ち着かせようとした。

 

「そうだぜ!俺も龍雅もお前の護衛に就けて嬉しいんだぜ!」

 

迅も続けざまに説得に入る。

 

「...分かった...」

 

薫は少しいつもの調子を取り戻した。

 

「さて、そろそろ帰りますか」

 

「そうだね」

 

迅、薫が提案し、その場はこれで終了と思いきや、

 

「…いや、まだだな」

 

龍雅は『紅く』なった空を見上げた。

 

「なっ…!」

 

「え…え?」

 

迅と薫は困惑の表情を見せる

 

「とりあえず、これを鎮めないと帰るのは厳しそうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごきげんよう、三条のお坊ちゃん」

 

現れたのは黒刀を携えたローブを着た男。

 

「黙れ」

 

龍雅は言葉を短くし、突撃する。

 

「はぁ!」

 

バギィ!!

剣が剣に防がれた時に起こる耳障りな金属音が周囲を包んだ。

 

「おいおい...短気なところは変わってないね」

 

と、あっさり龍雅の斬撃を捌いた。

事態が急進行する中、敵と思われる漆黒のローブを纏った男が自己紹介をする。

 

「おっと、遅れて失礼。私の名前は『カルト・アモン』と申します。魔王様の側近を努めております」

 

「挨拶がご丁寧なこったなぁ!?」

 

迅は瞬時に手を鉄器化し、突撃した。しかし、

 

「迅!よせ!」

 

龍雅が叫んだのと、迅が後方に吹き飛ばされたのは同時だった。

 

「ちっ...くそぉ!」

 

「おやおや、この程度で吹き飛ぶとは...」

 

カルトは窘めるように言い放つ。

 

「やあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

気合いの咆哮と共に繰り出したのは大上段からの振り下ろしに見えた──

 

「ふっ...こんな分かりやすい攻撃があるわけ...ガッ...!」

 

龍雅は構えこそ大げさだったが、狙いは肘を入れることだった。そこに生まれた隙を龍雅は容赦なく攻める。

 

「はぁ!やぁ!せぇぇぇやぁぁぁ!」

 

袈裟斬り、逆袈裟、横薙ぎ、逆胴、次々に剣撃を叩き込む。しかし、カルトは笑いながら、からかうように言う。

 

「どーした?あの時の技は使わんのか?ククク...」

 

「うる...さい...」

 

龍雅はこめかみに青筋を浮かべた。

 

「ね、ねぇ...あの時って...?」

 

薫は吹き飛ばされた迅に聞いた。

 

「...言いたいの...は山々だが、あいつに関わる話だ。簡単には言えん」

 

「そう...」

 

薫は引き下がった。

 

「…吹き飛べ」

 

バシュゥゥゥン…

 

薫と迅が話しているうちに、激闘は終焉を迎えていた。

 

「...」

 

龍雅は無言のまま、地に這いつくばるカルトを天から見下ろす。

 

「なん...だよ...はやく...殺せよ...」

 

「冥途の土産に見せてやるよ...」

 

龍雅はいつもは聡明な碧眼をしていたが、突如としてその瞳を漆黒に染め、言い放つ。

 

「貴様が...見たがってた技をな...」

 

「そうだ...それで殺してくれよぉ...」

 

カルトは不気味に微笑む。

 

「...──」

 

龍雅は深呼吸をし、

 

「滅技ー消滅剣閃(しょうめつけんせん)

 

呟くや否や、カルトの姿がかき消えた。

 

「はぁ...はぁ...はぁ...」

 

龍雅は頭に手を当てる。蘇るのは鮮明な過去の記憶。

 

「──ッ」

 

龍雅は己の視界がぐらりと揺らいだのを感じた。と、同時

 

ヒューーン

 

龍雅は空から降下を開始した。

着地の際に少し足元がぐらついた。すると、それに気付いたのか、

 

「だ、大丈夫?」

 

薫が少し控えめな声で聞いた。

 

「あ...あぁ...少し力を出し過ぎたみたいだ...」

 

「そう...」

 

龍雅の呼吸は未だに乱れている。

 

「あり──」

 

...ん?

 

龍雅は薫が何かを言うのが聞こえたような気がした。

 

「さあ、今日はみんなも疲れたろう?そろそろ帰ろうぜ」

 

迅がこの一件はお開きだと言わんばかりに強引に帰らせようとする。

 

「そ...そう...だ...」

 

フラッ

 

龍雅はとうとう限界が来たのか気を失い、倒れかける。

 

「──っ」

 

とっさに抱き留めたとは迅、ではなく薫だった。

 

「お、薫ーナイス」

 

「う、うん」

 

薫の顔は朱色に染まっていた。

 

「...転送!!」

 

迅はそう叫ぶと魔方陣を展開。直後まばゆい光と共にその場から龍雅達の姿が消えた。




どうだったでしょうか第1話。個人的には説明が少し多くなってしまったので、次回からは戦闘や会話メインで書けるといいなと思います(笑)次回は本編の過去の出来事中心に触れていけたらと思っています。

更新ペースはかなり遅いですがそれまで気長に待っていただけると嬉しいです。

それではまた次回、お会いしましょう!
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