神の子と生きる   作:ユキノスケ

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どうも!ユキノスケです!更新ペースあげてみました…(笑)

今回は初めてルビ振りをしてみました!上手くいってるかなぁ…



それでは本編、どうぞ!


第4話ー力と不安ー

「久し振りだね」

 

突然現れた白衣の少女は人懐っこい笑みを浮かべながら再開の言葉を迅へと発する。

 

「お前…リース…なのか…」

 

迅は信じられないという表情で少女に問いかける。

 

「そうよ、私は『リース・アフレディア』」

 

「は、はじめまして…」

 

そうやって簡単な自己紹介を済ませると、

 

「…」

 

無言で龍雅を見詰めていた。

 

「寝ている期間は?」

 

「丸2日ってとこだな」

 

ふむ、と考え込むような仕草の後、

 

「システムを展開。医療プログラム、コードD、起動」

 

リースは1人でブツブツと言い始めた。

 

「医療対象を三条龍雅に設定。施術開始」

 

そう言うと、龍雅の体が淡い金色の光に包まれる。

 

 

 

そして、5分ほど光ると、その光はゆっくりと消えていった。

 

「気分はどうだい?」

 

リースが優しく問いかけると、

 

「…ん……リース…か………ッ?!」

 

どうやら龍雅の傷は治っているらしい、その証拠に、

 

ガバッ!

 

「なんでお前が『人間界(こっち)』に来てるんだよ?!」

 

それは、と前置きしてからリース。

 

「新しい力ができたからさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新しい…力?」

 

迅が不思議そうに聞き返す。

 

「そうだよ」

 

そういうと、おもむろにアタッシュケースから三色の宝石が埋め込まれたブレスレット二つと、ペンダント1個を取り出した。

 

「これの名前は『IPS(Infinity Power Suit)』。人工的に創り出した魔装だよ」

 

魔装とは龍雅の『戦乙女の大剣(ヴァルキューレブレイド)』や迅の『鉄器化(アイアンモード)』の事だ。魔力を利用して、予め手に入れていた契約刀や特殊能力を展開することだ。

つまり、IPSは魔力無しでも武器を振るう事が出来るということになる。

 

「今の龍雅には必要なんじゃないかな?」

 

リースはニヤッと笑いながら龍雅を見る。

 

「ああ…恩に着るぜ、リース」

 

「ちょ、ちょっとどういうことなのよ…」

 

薫の顔には信じたくないという感情が現れていた。

 

「実は、スライヴの戦いの時に俺の持てる全ての魔力を使い果たしてしまってな…んで、それでも足りなかったから、一時期、魔界で最恐と恐れられていた『戦乙女(ヴァルキューレ)』の力さえも全て使えば倒せると思ったんだ」

 

一呼吸置いて、

 

「でもまぁ、結果として薫を守れたからいい…って、薫?」

 

気付いたら、薫は瞳に涙を浮かべていた。

 

「馬鹿…心配したんだぞ…もう…目覚めないんじゃないかって…私のせいで死んじゃったんじゃないかって…」

 

いつしか、薫は龍雅の胸元に顔を埋め、嗚咽を漏らしていた。

 

「ごめんな…心配かけちまったな…」

 

「そ、そう思うなら、次からは絶対無理しないって誓って」

 

「分かったよ」

 

人前で薫が泣くなんて滅多にない事だ。余程心配だったのだろう。

 

「今喋るのは非常に気まずいんだが…一応この兵器について説明するよ…」

 

そう言ってから1通りの説明を終えた。

 

このIPSは『AE(Action Energy)』で動くそうだ。そのAEは元々、機体で最大量が決まっており、AEが切れると、武装が解除されるそうだ。そして、龍雅の機体は剣を主体とした近接戦闘型、迅も同じく、爪を主体とした近接戦闘型、薫は銃器を利用した遠距離射撃型であることも言われた。

龍雅の機体の名前は『白雅(はくが)』、迅は『紫電(しでん)』、薫は『恋華(れんか)』だ。

 

「まあ、ほかにも色々あるけど、ものは試しだ」

 

3人とも、と声をかけるリース。

 

「魔装を展開してくれない?」

 

「それはいいけど…」

 

しかし、と迅

 

「どうやって展開するんだ?」

 

えーと、と少し考え込んでからリースは答えた。

 

「その石に『想い』を込めるんだ、力になれって」

 

3人とも訳分からんと言わんばかりの顔だが、やれるだけのことはした。

 

「来い!白雅!」 「紫電!!」 「恋華、来て!」

 

3人の言葉と魔装の展開は同時だった。

 

シュイイイイイイン!

 

3人は、それぞれの石の色の光に包まれた後、知らず知らずの内に魔装を展開していた。

 

「これが…白雅…」

 

龍雅は手のひらを閉じたり開いたりして感触を確かめる。

 

「どうだい?」

 

リースは興味深いという表情で問う。

 

「軽い、って言うのが正直な感想だ」

 

だって、と龍雅。

 

「この俺が今持ってる剣、『戦乙女の大剣』と厚さは違うが刃渡りはさほど変わらないのに物凄く軽く感じる」

 

「その剣は『銀龍剣(アルギュロス・ブレイド)』と言って、日本刀に近い感覚を生み出しているのが特徴かな」

 

得意げにリースは話す。

 

「さて、無事に展開も終わったことだし、」

 

またリースはシステムを展開すると、

 

「プラクティスフィールドを展開」

 

そう呟くと、その場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

「ここは?」

 

思わず迅が呟く。

 

「ここは、いわば仮想空間、練習用のフィールドだよ」

 

「すごいですね…」

 

薫が賞賛する。

 

「よし!準備完了!」

 

じゃあ、とリース。

 

「まず龍雅と迅、開始線についてくれる?」

 

二人共「おう」と返事をすると、先程まで何も無かった空間が山岳地帯へと変化し、中央には2本の白線が現れていた。

 

「こうして戦うのは何年ぶりかな…」

 

龍雅は『銀龍剣』を鞘から抜き放ちながら話しかける。

 

「悪いが手は抜かないぜ」

 

迅も己の武器『漆黒の爪(シュヴァルツ・クロウ)』を具現化する。

 

「それでは、はじめ!」

 

リースに似合わない大きな声で戦いは幕をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおおおおおおお!」

 

「はあああああああ!」

 

剣撃と拳撃がぶつかり合う。

 

ガギィン!バキン!ギィン!

 

鳴り止まない金属音と、

 

「りゃああああああああ!」

 

「うおおおおおおおおお!」

 

響き渡る2人の咆哮。

 

…たしか…俺の戦闘スタイルは…

 

龍雅は戦いながら自分が持つ武器の一覧を見る。そこに書かれていたのは『銀龍剣』を含む日本刀型が2本、短刀が1本登録されていた。

 

…もう1本の刀を具現化するか…

 

龍雅が転送したのは『蒼碧剣(ヘルブラウ・ソード)』。蒼い刀身に緑の勾玉が特徴だ。

 

龍雅が二刀流、それも刃渡りのある日本刀で繰り出してきたのが意外だったのか、迅の反応が一瞬遅れる。

そこを龍雅は逃がさない。

 

「やぁぁぁあああああ!!」

 

一瞬でかなりの数の斬撃を迅の至る所に叩き込む。

 

「くっそおぉぉぉぉおおおおお!!」

 

対する迅も、己のスピードを最大に引き上げ、反撃を試みる。

 

バチィィィィン!

 

一際甲高い金属音が鳴り響くと、

 

「これで終わりだぁぁぁぁ!!」

 

龍雅が上段から二刀を振り下ろそうとしていた。

龍雅は迅の両爪を1度鞘に納めた『銀龍剣』と『蒼碧剣』を右足の踏み込みを軸に回転運動と共に抜刀することで、威力を引き上げ、弾き飛ばす。しかし、それだけでは終わらず、上方向に振り抜いた二刀をそのまま振り下ろす。

 

「があぁああああああ!!」

 

衝撃が強すぎたのか、迅は20m程吹き飛ばされ、一戦目の模擬戦は龍雅の勝利に終わった。

 

 

 

 

 

 

 

「わ…悪い、やりすぎた…」

 

模擬戦終了後、龍雅は迅に頭を下げた。

 

「やめてくれよ、本気で行くのは一緒だったんだからさ」

 

別に気にしてないよ、と迅は笑った。

 

「いやぁ…流石だねぇ〜」

 

リースは2人に話しかけた。

 

「装着したてでここまで扱えるとは…」

 

さて、とリース

 

「龍雅、体力は大丈夫かい?」

 

「問題ないが?」

 

龍雅の返答を聞いたリースはニヤッと笑うと、

 

「じゃ、次は薫君と龍雅ね」

 

一瞬の静寂。誰もが唖然としていた。

 

「リース…流石にそれは…」

 

龍雅が苦笑いで抗議する。

 

「心配ないよ、ね?」

 

薫の方を見るリース。

 

「や、やってみたい…です…」

 

「まじか…」

 

龍雅は嫌がっていた。

 

「いいね?本気でやらないと意味が無いからね?」

 

「分かってるよ…」 「分かりました」

 

2人は返事をすると開始線について魔装を具現化する。

龍雅は『銀龍剣』を、薫は中距離戦に向いていて、連射力と正確性に優れている『豪炎銃ー怒ー』を具現化する。ちなみに、サイズは割と小さめで、二つ具現化している。

 

「はじめ!」

 

リースが開始を宣言するや否や、その場が爆発音に支配された。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おわっ!?」

 

龍雅は初手で決めるつもりで、1歩でトップスピードまで達し、一気に薫との距離を詰めた。しかし、

 

ドゥルルルル!

 

薫の2丁の銃によって攻撃されてしまう。

 

「くっ…!!」

 

なんとか『銀龍剣』で被弾する分だけは防ぎ、後方へ大きく跳躍、距離を取ることを試みる。だが、

 

「やああああああああ!!」

 

薫の射撃の嵐は止まず、次々と炎を纏った弾丸が龍雅へ迫る。

 

ガギィ!バチィン!ギンッ!ガンッ!

 

その弾丸を龍雅は『蒼碧剣』と共に二刀流で舞うように弾く。すると、

 

ジャッコン!

 

薫の肩に付いているレールガンが龍雅の方へと向けられた。この銃器の名は『紅一閃』。高出力のレーザーを放つものだ。

 

キュイイイイン…

 

静かにチャージを開始する。

 

「まずい?!」

 

龍雅は止めようと前へと出ようとするが、

 

バンバンバンバンバン!!

 

無数の弾丸が龍雅の行く手を阻む。

 

「おりゃああああああ!」

 

それを気合いの連続回転斬りで弾きつつ、距離を詰める。

あと5m詰めれば、斬撃が届く、そう確信した龍雅は、

 

「やああああああああああ!!」

 

機体の移動速度を一気に上げる、薫の武器を全て把握せずに(、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、)

そして、零距離近くになったとき、

 

「はぁ!」

 

龍雅は『銀龍剣』と上から下へと斬り切ろうとするが、

 

ドン!

 

龍雅は咄嗟に己の腹部に着眼した。すると、笑みを浮かべた薫が、

 

「焦りすぎだ」

 

と言った。

薫は2丁の近接用銃器『爆恋』を龍雅の腹部へと当てていた。

 

「やぁぁぁあああああ!」

 

気合いの咆哮と共に撃ち出された炎の弾丸六連発は龍雅の体をしっかりと捉え、吹き飛ばす。しかし、それだけでは終わらない。

先程までチャージしていた『紅一閃』を解き放つ。レーザーは真っ直ぐ龍雅へと伸び、直撃した。

 

「ごはぁっ!?」

 

そのまま地へと落ちた龍雅は見上げるようにして薫を見る。

 

「くらいなさい!!」

 

すると、薫は再び『豪炎銃ー怒ー』を具現化。弾丸の雨が龍雅を襲う。

 

「ぐわぁぁぁああああ!」

 

そのまま龍雅の動きを射撃によって止めながら、薫は上空へと飛行し、武器を『紅銃(フレアバースト)』へと変化させる。これは、いわばスナイパーライフルのようなもので、遠くから実弾、レーザー弾、空圧弾を撃ち分けられる。

 

空圧弾とは、空間を圧縮し、一気に撃ち放つ事で、空気を1箇所に集めたまま、相手へとぶつける弾丸の事だ。原理としては『炎の弾丸』に近い。

 

それをチャージし、

 

「やぁ!!」

 

放つ。放ったのは強力なレーザーだ。

 

バゴォォォオオオ!!

 

それは、物の見事に龍雅の体を捉えた。

 

「くっ…そぉ…」

 

龍雅は呻き声を上げると、魔装は解除されてしまった。

 

「ふぅ…」

 

薫は一息つくと、地上へと下降した。

 

「勝者、薫君!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが…力…」

 

薫は驚きの表情が消えていなかった。

模擬戦は全て終了した。薫は迅にも勝った。

 

「うんうん、流石薫君だね」

 

リースは賞賛の言葉を漏らす。

 

「まさか、戦闘経験皆無の薫君がここまでとは」

 

にしても、とリース。

 

「男共…情けないぞ…」

 

やれやれという表情で2人の男を見る。

 

「「申し訳ございません」」

 

溜息をつく2人。

 

「さて、用も済んだし、時間も時間だし」

 

サッとリースは立ち上がった。

プラクティスフィールドからはもう抜け、今は龍雅の家のリビングで寛いでいた所だった。時計は間もなく5時を指す。

 

「今日はありがとうな」

 

龍雅は例の言葉を口にする。

 

「いえいえ、どういたしまして」

 

リースは笑顔で答えた。

 

「あ、そうだ薫君」

 

「なんでしょう?」

 

薫は首を傾げて聞いた。

 

「頼んだよ」

 

「へ?」

 

それだけ言うとリースは魔法陣を展開し、帰っていった。

 

「薫、飯を、作って、下さい」

 

迅は薫に何故か敬語を遣う。

 

「分かったよ、ていうか、敬語やめてよー」

 

「す、すまん、俺らより遥かに強かったからさ…」

 

やめてよ、と言いながら上機嫌でキッチンへと向かう薫。

その日は、みんなで楽しく夜ご飯を食べ、その後は各自の部屋で過ごし、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、龍雅は鳥のさえずりで目を覚ました。

 

「ふわぁ…ぁぁああ…」

 

龍雅は目覚めた後、朝食を求め、リビングへと降りていく。そこで、ある変化に気付く。

 

「ん?」

 

いつもなら、美味しそうな匂いが1階には充満しているはずなのに、無臭だった。

龍雅はリビングへと繋がる扉を開けた。

そこには、

 

「龍…雅…」

 

肩を震わせる迅の姿と、焦りの色しかない顔を浮かべるリースの姿があった。

 

「どういう事だよ…」

 

そう言いながら迅へ近づくと、机の上に1枚の手紙が置いてあった。

 

 

 

『みんなへ

 

朝、ちゃんと起きられましたか?私がいなくても起きられましたか?

私に何があって、どうなったのかをここに書き記しておきます。

 

朝、いつものように買い出しに行こうとして暫く歩いていた時、突然何者かに口を塞がれ、こう言われました、大人しくついてこい。さもなくば龍雅の命はない、と。どうやらその男は魔界の者だそうです。私は咄嗟に『恋華』を具現化しようとしましたが、男に封じられてしまいました。原因は分かりません。

 

私は、龍雅を失いたくなかった。もうこれ以上、苦しめたくなかった。私は、手紙だけ書かせてくれないかと魔族の人にお願いをし、今、ここに書くことが出来ています。

 

どうか、悲しまないでください、探さないでください。私は、みんなと一緒にずっと、死ぬまで暮らしたかった。けれど、龍雅が死んでしまうのなら、私の存在価値なんて無いに等しい。だから、ついていくことにしました。今まで、どうもありがとう。そして、さようなら。みんなは幸せになってくださいね。

薫』

 

手紙の内容はこれだ。途中から、所々に水が染み込んだ後のようなシミがあった。

 

龍雅は手紙を裏返した。するとそこには、

 

『私は誰よりも三条龍雅を愛していました。どうか、どうかこれからも元気に生きて幸せに、なってくださいね』

 

と、書かれていた。

 

「…ッ!」

 

龍雅は机に拳を叩きつけた。自然と頬を伝うものが拳に落ちる。

 

…また、俺は守れなくなるのか…?また、失うのか…?

 

龍雅は罪悪感で心が埋め尽くされる。ドサッと膝から崩れ落ち、涙を流す。嗚咽を漏らす。

 

「なんで…なんでだよ…」

 

龍雅は暫く泣いた後、

 

「迅、リース」

 

酷く冷たく、重厚な声で2人を呼んだ。

 

「行くのか?」

 

迅は問う。

 

「あぁ…このまま黙って見過ごす訳ないだろ」

 

そう言うと、迅とリースはフッと笑った。

 

「リース、頼む」

 

「まかせて」

 

すると、魔法陣を展開する。

3人は激しい怒りを含んだ瞳で魔法陣の上に立ち、

 

「転送!!」

 

リースの掛け声と共に、魔界へと、薫が囚われている土地へ踏み出した。

 

 




いかがでしょうか第4話。新しい力、IPS…書いていて面白かったですね(笑)
薫がいなくなって、怒りに身を任せる龍雅達、どうなるんでしょうね…

次話では、魔界編となります!また新しい出会いがあるかもしれないですね。

あと、気力があれば今までの話もルビ振りに変えていくかも知れません。

それでは、次回、またお会いしましょう!
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