神の子と生きる   作:ユキノスケ

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明けましておめでとうございます!ユキノスケです!本当は年明けぴったりに投稿したかったんですけどね(笑)
今年は皆さん、どうやってお過ごしになられますか?私は今以上に忙しくなりそうです( ̄▽ ̄;)

今年も何卒、よろしくお願いします!!





ということで、本編、どうぞ!


第5話ー闇の力ー

「ベルガオール様!」

 

深い闇の中で1人の魔族が歓喜を帯びた声音で名前を呼ぶ。

 

「どうした?」

 

「ついに…捕獲いたしました!」

 

「そうか…とりあえず、客室に監禁しておけ。まだ準備が整っていないからな…」

 

リーダー格の魔族は命令を下した。

 

「かしこまりました!」

 

部下の魔族は威勢の良い返事をした。

 

「ククク…あの男の怒り狂う表情が目に浮かぶわ…」

 

と、リーダー格の魔族は静かに笑った。

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

シュイイイイン…

 

眩い光が消えると、そこには魔界が広がっていた。

 

「ここが…魔界…か…」

 

龍雅はどこか懐かしげな表情で呟いた。

 

「『あの時』と違って随分穏やかでしょう?」

 

リースは微笑みながら龍雅に問いかけた。

 

「そうだな…」

 

でも、と迅。

 

「今はそれどころじゃないぜ」

 

「ああ…まずは情報収集だが…」

 

龍雅はリースに目を向ける。

 

「今現在分かっているのは、今回の消滅対象の名前が『ベルガオール・ゼオル』である事と、」

 

一呼吸置いて、

 

「その魔族のアジトがここから南にある『死の森(デス・フォレスト)』にあるという事だけよ」

 

「その『死の森』には行けないのか?」

 

迅は問う。

 

「無理よ。監視結界が張られている上に、魔力による防護結界も張られているわ」

 

「せめて、俺の消滅の力が使えればな…」

 

龍雅は申し訳なさそうな顔で呟いた。

 

「別に龍雅は悪くないさ」

 

「そうよ。大事なのはこれからどうするかね…」

 

リースは少し考えてから、

 

「1度城下町まで行って、聞き込みをしてみましょうか」

 

リースがそう言って、1歩踏み出した瞬間、

 

「──ッ!?」

 

龍雅は反射的にリースを抱くようにした後、地面を転がる。その直後、

 

バガアァァァア!

 

その場で爆発が起きた。

 

「これは…」

 

この爆発の正体は、『地爆発(グランドボム)』。主に土や砂といった大地に関わる物質に爆発属性を付与し、魔法で爆発させる広範囲が対象の爆発魔法だ。事象改変の規模が大きいため、並の人では扱えない魔法だ。

 

「いくぞ、『白雅』!」

 

「来い、『紫電』!」

 

2人はIPSを起動し、索敵を開始する。しかし、

 

「くっ…」

 

次々と『地爆発』が襲いかかってくるため、対処が間に合わない。龍雅はリースを抱いたまま、飛行システムを起動しているため、スピードが落ちてしまう。

 

「リース」

 

「な、何?」

 

自然と至近距離で見つめ合う形になっているが、今は気にしていられない。

 

「離すぞ」

 

「え…きゃああああああああああ!!!」

 

かなりスピードで落下していくリースを

 

「おっと…」

 

紫電を展開していた迅が抱き留める。

 

「任せたぞ」

 

「おうよ!」

 

龍雅はリースを迅に預けた後、

 

「おりゃああああああ!!」

 

全力で茂みに向かって剣の波動を放つ。

 

ドゴォォォォオオオオン…

 

その波動が当たる直前に、黒い影が上へと飛んだ。

 

「やあああああああああ!!」

 

その影へと龍雅は突進し、『銀龍剣』で突きを放つ。しかし、

 

キン!

 

それは相手の魔力障壁で防がれる。

 

「まだだ!」

 

龍雅はそう言うと、突いていた点を中心に回転する。

三条流剣術『風廻斬(ふうかいざん)』。超速で回転することで、周りに竜巻を起こし、相手のバランスを崩し、そのまま突きを当てる、少々強引な技だ。

 

「は!」

 

しかし、その竜巻を相手の魔法で消されてしまう。

事象対抗魔法、『魔解体(バーストゼロ)』。相手による攻撃を無属性の魔力の塊をぶつけて相殺する対抗を目的とした魔法だ。

 

「だったら!」

 

龍雅は単発の大技から、連続技に切り替える。

 

キン!ガギン!バチィ!

 

それを軽く相手があしらうと、

 

「は!」

 

相手の攻撃魔法、『炎の弾丸』がゲルガの時以上のスピードで迫る。

 

「ここだ!」

 

龍雅は魔力障壁と攻撃魔法を同時展開出来ない事を知っていた。だから、この千載一遇のチャンスを逃さない。

 

「はぁ!」

 

もう1本の剣、『蒼碧剣』と共に、斬りかかる。

 

ザシュッ!

 

致命傷とまではいかないが、それなりにダメージを与えた。

 

「くっ…はぁ…」

 

その斬撃のおかげか、相手の飛行魔法が効力を失い、落下していく。

 

「ん?」

 

龍雅はその影が女の子である事に気付いた。

 

「仕方ない…」

 

ヴィン!

 

龍雅は落下点に衝撃を緩和する魔法を行使する。

 

「?!」

 

その女の子は驚きの表情を見せた。

 

シュウウウウン

 

龍雅と迅も飛行システムをキャンセルし、地面に降り立つ。

 

「…なぜ…私を…」

 

敵対していた少女が俯いたまま問う。

 

「可愛い女の子を傷付ける趣味はないからな」

 

「もう攻撃しちゃったじゃないの…」

 

やれやれ、とリースは呆れる。

 

「それで、なんでこんな事したんだ?」

 

龍雅は優しい声音で聞いた。

 

「…」

 

少女は無言で右の手首を見せた。

 

「そ…それは…」

 

そこには、黒い刻印が刻まれていた。

 

「まさか…」

 

龍雅はその刻印を知っていた。

 

「ベルガオール魔装隊の生き残り…なのか?」

 

『ベルガオール魔装隊』。かつて、第二次神魔戦争と呼ばれる戦争があった。原因は魔族が人間界を支配下に入れようとしたため、神族がそれを阻止しようとしたのがきっかけだ。その戦いは徐々に過激化していき、最後は神族が押し切り、魔界での戦闘となった。

 

その調子でいけば神族があっさりと魔族を潰すはずだったのだが、魔族側の最後の魔装隊が驚きの力を見せ、次々と神々を倒していった。その魔装隊がベルガオール魔装隊なのだ。

 

実は、龍雅はその戦争の最前線で戦っていた。神族側の用心棒として、雇われていたのだ。当時の龍雅は『彗星』の二つ名を持つほどの実力者だった。しかし、ベルガオール率いる魔装隊には流石に苦戦した。

 

最後は、龍雅の消滅剣閃がベルガオールを消し去ったはずだった(、 、 、 、 、)

 

「違う…私は…ベルガオール様によって造られし、自立型魔道生命体…」

 

その後、悲しげに目を伏せ、

 

「試作体、No.1、コードネーム『アスレア』…それが私の名前です…」

 

3人は驚きの表情を見せる。

 

「なら…これはベルガオールの指示なのか?」

 

「はい…ですが…」

 

アスレアは瞳に悲愴の色を滲ませ、

 

「この任務がお前にとって最後…だと…ベルガオール様…が…」

 

アスレアは涙を零した。

 

「失敗しても…成功しても…お前の…役目…は終わりだと…」

 

それ以上は喋らなかった。いや、喋られなかった。その代わり、

 

「…っ?!」

 

アスレアはビクッと体を硬直させる。

 

「…」

 

龍雅が無言で抱いていた。

 

「離して…」

 

と、もがくアスレアだったが、力が入らない、入れられない。ただ、変化したのは龍雅がアスレアを抱き締める力だけで、その抱擁は、アスレアの全てを受け入れるかのようで、

 

「うっ…う…」

 

それから、アスレアはもがくのをやめ、ただ、嗚咽を零すだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく、抱き締めた後、

 

「もう…いい…」

 

と言って、アスレアは離れた。その時、初めて顔を上げた。

 

「アスレア…聞きたいことがある」

 

「なんでしょう…」

 

「ベルガオールの…あいつの根城を教えてくれ…」

 

龍雅は真剣な瞳で問う。

 

「…」

 

アスレアは黙り込む。

 

「お願い…アスレアちゃん…」

 

リースが母親のような微笑で回答を促す。

 

「死の森の中の…南東に小さな井戸があります…そこに、あの方の地下帝国が広がっています」

 

龍雅は小さく舌打ちをした。

 

「どうするんだ?龍雅」

 

迅は聞く。

 

「行こう…今すぐ…」

 

龍雅は、そう言うや否や、動き出した。

 

ズオォン!

 

「待て!龍雅!」

 

迅は少し考えてから、

 

「リース…」

 

分かってるよ、とリースはすぐに返答した。

 

「迅…さん…」

 

アスレアが口を開いた。

 

「どうした?」

 

迅は焦りを声音に出さず、聞いた。

 

「ベルガオールの居場所に行くには門番を倒す必要があります…」

 

大丈夫だ、と迅。

 

「俺達は負けないよ」

 

そう言うと、迅も動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍雅!」

 

「迅…」

 

超速飛行をする龍雅も凄いが、それに追いつく迅も凄い。

 

「門番がいるそうだぞ…気をつけろ」

 

「おう…任しとけ」

 

その後、最大出力で飛行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか…」

 

「ぱっと見普通の井戸だな…」

 

だが、と龍雅。

 

「中から微かに魔力を感じる…いくぞ…」

 

「おう」

 

そう言って、井戸の中へ入る。

 

ヒューーーン

 

そのまま落ちることしばし、

 

「っ!?」

 

「な…!?」

 

2人は驚きの余り、飛行を一時停止する。

二人の目の前に広がったのは、魔力を利用した兵器の製造ラインと、巨大な城だ。

 

「薫は…」

 

龍雅は『白雅』による索敵を開始する。

 

「上か!!」

 

それに気づいた途端、城の最上階の窓に向かって『風廻斬』を放つ。

 

バチイィィィン!

 

しかし、魔力障壁により、防がれる。

その激しい音に気づいたのか、中のカーテンが勢いよく開く。

 

「薫!」

 

中にいたのは、らしくない、魔族の服を着せられた薫だった。

ガチャリと窓が開くと、

 

「龍雅君!!」

 

薫は涙目で叫んだ。

 

「今…助けるから!」

 

「来ちゃダメだよ!」

 

「黙ってろ!」

 

龍雅は叫んだ。

 

「俺がしたいと思ったからしたんだ!薫は黙って守られろ!」

 

いつもはそこまで怒鳴らないからか、薫は、すくんだ。

 

しかし、今の龍雅は、あまりいい状態とは言えない。理性を失いかけ、感情に身を任せ、ただただ剣技を放っているだけだった。だから、

 

「龍雅!後ろ!」

 

「龍雅君!!」

 

二人の忠告に我に返った龍雅は後ろを振り返り、防御しようとするが、遅すぎた。振り返った瞬間に脳天から衝撃を受け、そのまま地面へと落ちていく。

 

「龍雅君!!」

 

「かお…る…」

 

「龍雅!!」

 

迅はなんとか龍雅を抱き留めることに成功する。

 

「貴様が…ベルガオール様に片膝をつかせたのか…」

 

敵と思しき魔族は憎しみを湛えた表情で龍雅を見下す。

 

「死ね」

 

その魔族は一瞬で距離を詰め、迅ごと吹き飛ばす。

 

「があああああああああ!!」

 

「ごあああああああああ!!」

 

2人は遠くにある、壁に打ちつけられる。

 

「く…そ…」

 

龍雅はゆらりと立つ。

 

「そこを…どけ…」

 

「なんだ?」

 

魔族は聞き返す。

 

「どけよおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

龍雅は叫ぶと同時に、加速を開始。『銀龍剣』と『蒼碧剣』を具現化し、斬りかかる。

 

「せやあああああああああああああ!!」

 

「おりゃぁあああああああああああ!!」

 

互いの全力の一撃がぶつかり合う。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

龍雅は連続技に威力を乗せ、押し切ろうとするが、

 

バギィ!ガギィ!ゴギィ!

 

全て、硬化魔法をかけられた腕によって受け流される。

 

バチィン!

 

そして、とうとう龍雅が体勢を崩す。

 

「はあ!」

 

そこに火属性格闘魔法、『獄炎拳(ヘルファイアブロー)』が襲いかかってくる。腕全体に業火を纏わせ、相手を殴り飛ばす技だ。

 

ズガァン!

 

それは見事に龍雅の体を捉える。

 

「ご…はぁっ!?」

 

「龍雅君!」

 

龍雅は盛大に吐血した。

 

「出直して来い」

 

そう言って魔族がアッパーを繰り出したとき、

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

龍雅は最後の力を振り絞り、横薙の一閃を放つが、避けられる。

 

「もういいよ!もう…やめて…」

 

薫の悲痛の叫びも虚しく、

 

「終わりだ」

 

その拳は龍雅を捉え、地上まで殴り飛ばした。

 

「龍雅!!」

 

「龍雅…君…」

 

迅はなんとか立ち上がり、『紫電』を展開し、龍雅を追った。薫はその場に泣き崩れた。

 

「龍雅…君…なんで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

「なぜ…どうして…」

 

龍雅が吹き飛ばされたのを見た薫は静かに窓を閉め、泣いた。

 

…来ないでって…書いたのに…

 

自らの危険を顧みず、助けに来てくれたのは嬉しい。しかし、今回の敵は今までとは格が違う。だから、自分が相手の手に落ちれば、龍雅達は助かると、そう思ってここに来たのに、

 

…だめだよ…来ちゃ…

 

そう、1人で泣いていると、

 

ガチャ

 

ふいにドアが開いた。

 

「調子はどうだい?薫君」

 

部屋に入ってきたのは大きな魔族の男、ベルガオールだ。

 

「最悪よ…どうしてあんなことしたの!!」

 

簡単さ、とベルガオール。

 

「攻めてきたから排除したまでさ、それより…」

 

ベルガオールは這うような視線で薫を見て、

 

「やはり、いつ見ても美しい…我が后にうってつけだ…」

 

そう言って、近づいてくるベルガオール。

 

「くっ…」

 

キッとベルガオールを睨む薫。

 

「その恨みに満ちた表情が1番美しいよ…」

 

と、言いながら、薫の頬に指が触れる。その指は唇へ移動し、

 

「フフフ…」

 

2、3回押した後、顎へ行き、首筋を這う。

 

「やめて…」

 

そして、とうとうその手は、胸元の、リボンへと伸びる。薫は目を瞑り、己の終わりを悟る。

 

「ふーはっはっはー!」

 

…龍雅君…!!

 

しかし、そのリボンがほどけることは無かった。

 

「まあ、どの道、僕のものになるし、今食べなくてもいいかな…」

 

それに、とベルガオール。

 

「どうせなら、あの糞ガキの前でゆっくりと食べてやるよ…」

 

ククク…と笑いながらベルガオールは部屋を出ていった。

 

「龍雅君…」

 

薫は不安と絶望でまた涙を零した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍雅!!」

 

迅は地上に出た後、龍雅を探した。

 

「そこか!」

 

龍雅を見つけた迅はすぐに、駆け付ける。

 

「しっかりしろ!!」

 

龍雅はまるで死んでいるかのようだった。『白雅』自体の具現化が絶たれ、生命エネルギーもかなり微弱なものになっていた。

 

「もう少しだけ耐えてくれ!」

 

そう言って、迅は全速力でリース達の元へ向かう。しかし、

 

「グオオオオオウ!!」

 

目の前に立ちふさがったのは、学校で戦った時のものをはるかに凌ぐ大きさのブラッドウルフだった。

 

「邪魔だああああああああああああああ!!」

 

迅は『紫電』を最大出力でフル稼働させる。すると、

 

──第二形態(セカンドフォーム)、『疾風迅雷』起動。

 

そのアナウンスと共に、『紫電』が紫の光を帯びる。

 

第二形態『疾風迅雷』、使用者の体を自動強化し、速度、力の制限を解除。今までを上回る戦闘力、魔法力で相手をねじ伏せるモード。使った後の反動は凄いが、使っている最中は、他を寄せ付けない力を発揮する。

 

「よく分からんが…そこをどけえええええええええええ!!!」

 

迅は『紫電』による突進のみでブラッドウルフを倒し、

 

「間に合え…間に合ってくれ!!」

 

速度を維持したまま、リース達の元へ飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リースさん!」

 

アスレアが声を荒らげた。

 

「どうしたの?アスレアちゃん!!」

 

「物凄いエネルギーの塊が、こちらに!」

 

「なんですって!?」

 

リースはすぐさま解析機を起動させる。

 

「これは…」

 

なんなんですか、とアスレア。

 

「龍雅達よ…」

 

「え…」

 

会話をしているうちに、迅が到着する。

 

「早く!手当を!」

 

龍雅を寝かせながらリースに叫ぶ。

 

「う、うん!」

 

リースはすぐに医療システムを呼び出し、治療を開始する。

 

すると、安心したのか、

 

「間に合ったのか?」

 

迅が武装を解除して聞く。

 

「なんとか…ね…」

 

「よかっ…た…」

 

そう呟くと、迅も第二形態の反動で倒れてしまう。

 

「大丈夫なの?!」

 

リースが聞く。

 

「あぁ…なんか、第二形態とか言うやつに変わってな…」

 

「もう第二形態に?!」

 

リースは驚きの表情を見せる。

 

「なあ、リース…第二形態ってなんなんだ?」

 

リースは少し考え込んでから、

 

「…第二形態は…IPSの使用者の感情の昂り、体力が基準値を下回った時に初めて発動する機能よ…使っている最中はえげつない力を見せるわ…けど、使った後は今みたいに、自分が思っている以上に魔力を消費してしまうの…そもそも、第二形態はAEで働かせることが出来ないから、余程、体力が低下しないと発動しないようになってるの…」

 

「なるほどな…」

 

「あんたは馬鹿なの?!こんなにボロボロになるまで…戦って…確かに、薫ちゃんを守るのは大事だけど…もういいんじゃないの?!今まで…どれだけ辛い思いをしてきたか…私知ってるの!だから…だから…」

 

そこまで言うと、リースは泣き出してしまった。

 

「もう…これ以上…戦わないで…私には、まだ蘇生魔法は扱えない…死んでない状態なら治してみせるわ…でも…もし、死んじゃったら…」

 

ギュッ…

 

「え…?」

 

迅はリースを抱いた。

 

「そうだな…もういいかもしれない…けどな…俺は龍雅に助けられた…あいつが背負ってるのは俺らよりも重い、重すぎるんだ」

 

一呼吸置いて、

 

「俺達の為に、辛くても剣を取って、消滅剣閃を放って…何万もの命を消し去ってきた…あいつがそれをなんとも思ってないなんて有り得ないだろ?」

 

だから、と迅。

 

「せめて…側にいてあげようぜ…一緒に背負うことは出来ないけど、サポートぐらいならできるかもしれないだろ?」

 

「でも…でも…」

 

「安心しろ…俺は死なない…どこにもいかない…俺はリースを守る、アスレアを守る…だけど、誰も龍雅は守れない…あいつがそれを望まない…」

 

なら、と迅。

 

「リースは怪我した俺達を治してくれればいいんだ…大丈夫だ…絶対死なないから…だから、そこまで気にしなくていいんだ…」

 

そう言って、体を離した途端、

 

「迅さん!」

 

「どうした!」

 

アスレアが遠くを指差す。

 

「魔物が…いえ、魔術によって創り出された…『ゴーレム』が!!」

 

ゴーレム。岩の塊が、組み合わさってできた人形の魔獣だ。

 

「くそ…」

 

迅は顔を顰めながら『紫電』を具現化する。しかし、

 

ユラァ…

 

龍雅が、立ち上がった。




如何でしたでしょうか?年明けに合わない暗い話で申し訳ありません…

さて、今回の第5話は1番物語の筋を考えるのに手間がかかってしまいました…

次回はいよいよ救出編です!

それでは、また次回お会いしましょう!
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