また投稿が遅れてしまって本当に申し訳ありません…。なかなか時間が作れなくて…。次話は、なるべく早く書けるように努力します!(毎回言ってくる気がする…)
それでは本編、どうぞ!
激戦を終え、龍雅と薫は井戸の下へと歩き出す。
「そういえば…」
ふと、薫が呟いた。
「どうして私を誘拐したんだろう…」
「なんでだろうな…」
龍雅にも分かっていなかった。
一番考えられるのは龍雅への復讐だが、ほかの理由があるかもしれない。
「とりあえず、今は帰ろう」
「そうだね」
龍雅と薫は手を繋ぎ、飛翔する。
すると、突然、
ゴオオオオオオオオオン!!!
凄まじい爆音と揺れが井戸の中を襲う。
「大丈夫か!薫!」
「う、うん…」
幸い、手が離れなかったので薫がどこかへ言ってしまうことはなかった。
「なんなんだ…」
龍雅は一気にスピードを上げ、井戸を抜ける。すると、
「あれは…」
龍雅が目にしたのは、神界に存在するガーディアンのような巨兵『
「なぜだ…」
龍雅は二つの謎に頭を悩ませた。
まず一つは、なぜ魔界に来たのか。今、神界と魔界は停戦している。それを破ることになれば大変なことになりうるだろう。
そして二つ目は誰が操っているのかだ。あの規模だと、召喚する術者がどうしても必要になってくる。
…とりあえず、術者を探しながら迅と合流するか…
龍雅は『
「援護射撃を頼む!」
「分かったわ!」
薫に指示を送った。
薫も、それに応えるように、
「恋華!」
自身のIPSを展開し、『
「おおおおおおおおおおおおおおお!!」
龍雅は『神聖石像』の頭部めがけて振り下ろしを放つ。
バギィ!!
しかし、相手の体表が硬く、剣が入らなかった。
「くっ!」
即座に右手でパンチを繰り出した『神聖石像』は、その拳を龍雅に掠らせた。
すると、
ゴオォ!!
その右腕を中心に豪風が巻き起こり、龍雅は吹き飛ばされてしまう。
「がああああああああああ!!」
それでもなんとか体勢を立て直した龍雅は周囲を見回す。
…迅は…
龍雅は迅を夢中になって探していた。ゆえに『神聖石像』の接近に気づくのが遅すぎた。
「しまっ──」
ドガァァァァァン!!
その拳が直撃する瞬間、『神聖石像』の頭部で爆発が起こる。
「大丈夫?!」
薫は次弾をチャージしながら安否を確認する。
「あぁ…助かったよ」
「よかった…」
すると、『神聖石像』は薫へと視線を向け、
キュイイイイン
エネルギーを溜め始めた。おそらく繰り出されるのは超強力レーザーだろう。それに気づいた龍雅は、
「せやぁ!!」
咄嗟に『
ズガン!!
それは見事に砲台の中心を破壊する。
「2発目!」
ズゴオオオオオ!!
先程よりも強力なレーザーが『神聖石像』を襲う。
「おりゃああああああああああああ!!!」
更に龍雅は『白蒼刃』と共に追い打ちをかけていく。
ザン!ザン!ザン!
2発のレーザーのおかげで随分と防御力が落ちていたのか、次々と剣が入っていく。
「終わりだ!!」
そう言って、龍雅が『銀龍剣』を振り上げた瞬間、
ズオン!!
今までとは比べものにならないスピードで『神聖石像』は拳撃を繰り出してきた。
「がっ!」
それを『白蒼刃』と共に受け止めるが、威力は殺しきれず、地面へと落下する。
それを見下し、踏み潰そうとする『神聖石像』。
「くそ…」
龍雅は必死に飛ぼうとするが、AE切れで飛べなかった。
「やあああああああああああ!!」
その時、薫が『豪炎銃ー怒ー』を二つ具現化して『神聖石像』に襲いかかる。
ドゴン!バゴン!ズドン!
頭部に銃弾を当てることで、視界を奪おうという作戦だった。
煙で周囲を視覚することが出来ない『神聖石像』は必死に煙を払おうとする。
その間に薫は龍雅を抱き上げ、飛翔する。
「大丈夫?!」
「AE切れだ…すまない…」
龍雅は『神聖石像』を見据える。
その時、一つの影が目に入った。
ドゴン!バゴン!
その影は『神聖石像』に近づいて拳を振るっているようだ。
「あれは…」
「迅君よ!」
「おまたせ!」
龍雅が戦えない以上、迅と薫に頼るしかなかった。
「薫、俺をリースのもとへ連れていってくれ」
「分かったわ!」
迅が出てきた所から大体の一番把握している。
薫は全速力で飛ぶ。
「迅!少しだけ耐えてくれ!」
「任せとけ!」
迅は薙ぎ倒した『神聖石像』が起き上がるのを確認すると、
「『疾風迅雷』、起動!」
迅は潜在能力を覚醒させ、『神聖石像』へと突撃する。
ガギィン!!
『神聖石像』も迅の拳に合わせて拳撃を繰り出す。
ドゴン!
「がっ…」
迅は予想を上回る威力に気圧されてしまう。
ズオン!
『神聖石像』が拳を振り上げたその時、
「はっ!!」
薫が援護射撃を放った。それは見事に『神聖石像』の頭を捉える。
「龍雅君!!まだなの!?」
薫も誘拐された身、体力の半分程は既になくなっていた。
「あと少し…」
『神聖石像』は薫が目を離した隙に、迅へと攻撃を仕掛けていた。
流石の薫も対処できないスピードだった。
「くっ!!」
「迅君!!」
二人が焦りの声を上げたその時、
「行くぞ!!」
龍雅がIPSを起動し、突撃していく。
ドゴオオオオン!!
その衝撃で『神聖石像』は倒れてしまう。
「おおおおおおおおおおおお!!」
ザン!ザン!ザン!
次々と斬撃を叩き込んでいく。
ゴオウ!!
しかし、『神聖石像』も黙ってはいない。斬撃を叩き込まれている間にエネルギーを溜めていたのだろう。突如、体全体が光り出す。
「はっ!!」
『神聖石像』は広範囲に自身を中心とする爆発を繰り出そうとしていた。
しかし、龍雅はそれを『消滅剣閃』を使用し、食い止める。
「はああああああああああああああ!!」
龍雅は全力で剣を振るう。それは見事に『神聖石像』の胴体を捉えた。
ガアアアアアアアアアアア!!!
『神聖石像』は呻き声を上げた。
「これで終わりだあああああああああ!!」
叫び声と共に『蒼碧剣』と『銀龍剣』の両方に消滅の力を纏わせ斬りかかる。
グオオオオオオオオウウウウウ!!!!
これまでよりも一際大きな叫び声を上げると、次元の彼方へと消されていった。
しかし、まだ気は抜けない。術者を探さなければならないからだ。
「迅!!」
「分かってる!!」
2人は索敵を開始する。
…どこだ…
どれだけ範囲を広げてもIPSの索敵には引っかからない。
「いたか?!」
「わからない!!」
迅も龍雅も焦りを隠せない。
そんな時、ふいに薫の声が響く。
「迅君!龍雅君!上よ!」
その言葉を聞いて、2人は反射的に上空へとレーザーを放った。
ボオオオオン!!
しかし、2人のレーザーが触れ合っただけで、手応えは無かった。
「気をつけろ!」
龍雅が注意を促す。
…透明化…か…
敵の姿は依然として見えていない。迅も敵が透明化している事を見抜いていた。すると、
「はっ!」
迅は超微弱の電磁波を周囲に放った。迅のIPSは雷属性を得意とする。そして、電磁波を送ることで敵がいる所はその電磁波の同心円を妨げる事になる。
「龍雅!!」
迅はその電磁波を示したモニターを龍雅へと転送し、常時更新を開始する。
「助かるぜ!」
龍雅はそのモニターを頼りに剣を振るう。
ガギィィ!!
剣が触れ合った時、龍雅は違和感を覚えた。
…この感触…前にもどこかで…
龍雅は思考を加速させる。
龍雅の違和感の正体は、相手の剣から発せられるオーラだ。
…こんな強大なオーラ…
龍雅はその違和感を確かめるため、再び剣をぶつける。
ガギィ!バギィ!
何回かの剣戟を繰り返すと、龍雅はその正体を突き止める。
…まさか!
そう思った瞬間、龍雅は薫を見ようとした。
しかし、薫はいなかった。その代わりに、
「やっと気づいたのね」
上空に、1人の少女が現れる。
サラサラとなびく白い髪、白いローブ、透き通るような白い肌。
「あ…ああ…」
龍雅は驚きを隠せなかった。
「久しいな…龍雅…」
そして、今まで剣を交えていた相手の姿も見えるようになる。
「どう…して…」
龍雅はただ呆然と見ることしか出来なかった。
「どうして…ですか?」
簡単ですよ、と微笑む少女。
「貴方を次元の彼方へ消し飛ばす為ですよ!!」
「危ねぇ!!」
迅はぼーっとしている龍雅を抱いて飛行する。
「アスレア!リース!一旦引くぞ!」
「いつでもOKよ!」
リースは手際よくワープ魔法陣を展開。
「転送!!」
そのまま人間界へと戻って行った。
「…」
その現状をどこか悲しげな表情で見ていた少女は、
「行きましょうか」
冷酷な声で告げた。
「少しくらい猶予を与えてやろうじゃないか」
と笑う男。
「そんな時間はないわ」
即答する少女。
「でも、この場を一旦片付けるのが先決じゃないのかい?」
「それは…」
少女は口籠もってしまう。
「決まりだな」
ー人間界ー
「どうして…」
龍雅は悩んでいた。
「まさか…敵に回っていたとは…」
続いて迅も言葉を漏らす。
「あの娘は誰なの?」
リースは聞いてはいけない事だと自覚しながらも問う。
「…」
「…」
二人共黙り込む。
そして数秒の沈黙の後に迅が口を開いた。
「あの少女こそが龍雅が探していた少女、雪だよ」
「なるほどね…」
リースも龍雅達が悩んでいる理由をある程度は理解することができた。
「龍雅…気づいていたか?」
この質問は、今まで薫の正体が雪だったことについてのものだろう。
「気づかなかった…」
龍雅は悔しさのあまり、拳を握りしめる。
…くっ…どうして…
なんで気づかなかったのだろう、どうして襲ってきたんだろう、そんな疑問が頭を巡る。
そんな時、
「あの、お二人共」
アスレアが口を開いた。
「どうしたんだい?」
迅は目一杯の笑顔を作る。
「あの女の子…操られている感じがしました」
「本当か!?」
思わず迅が身を乗り出す。
もし、本当にそうなら薫を、いや、雪を取り戻す手立てがあるかもしれない。そんな期待を抱く。
「はい。恐らくはあの男が持っていた剣が原因かと…」
男が持っていたのは『魔剣ダークネス』。つまり、村に封印されていた剣。
「ならやっぱり雷牙さんなんだな…」
迅は瞳を伏せる。
「…」
龍雅は依然として黙り込んだままだ。
「龍雅、どうする?」
迅は可能な限り龍雅の支えになりたいと心から願っている。親友として、男として。だから、龍雅が悲しんでいるのを見ると耐えきれない。
「これは、俺一人で解決する」
龍雅はついに、自分の意思を口にした。しかし、
「なにを考えているんだよ!」
浴びせられたのは怒号。
「あんな怪物を1人で倒せると思っているのか?!そりゃあ、俺達が力を合わせても無理かもしれない。けれど!」
龍雅は笑っていた。親友がここまで自分を想ってくれていることがたまらなく嬉しかった。
「迅…もうこれ以上巻き込むわけにはいかない」
「バカ言え!俺だってあの現場にいた!なのに!」
「雪を消したのは俺だ。これは変わらない」
龍雅は落ち着いているというより、開き直ったような感じだった。
「それに、もう時間が無い」
「どういうことだよ…!!」
その途端、
「まずいわ!」
リースが警告した。
「あの2人がこっちに来たわ!」
「なっ!?」
迅は焦りの表情を見せる。
「しかも、大量の兵を率いて!!」
もはや現状は危機的なものだった。
そして、
「迅、今までありがとう。お前がいなかったら俺は俺でいられなかったよ。俺の親友でいてくれてありがとう。沢山助けてくれてありがとう。支えてくれてありがとう。守ってくれてありがとう。だから、今度は俺が守る番なんだ。これからも元気でな」
「…」
迅は黙っていた。
「リース、IPS、ありがとうな。俺の『戦乙女の大剣』の異常を見抜ける人が傍にいてくれて安心したよ。この道具は、一生大切にする。リースの魔法陣構築はいつ見ても凄かったよ。それを次は俺じゃなくて、迅の為に使ってやってくれ」
「龍…雅…」
リースは泣いてしまった。
「アスレア…短い間だったな。それでも、楽しかったぞ。アスレアが危機を知らせてくれた時、出会って間もないのに成長したなって感じたよ。これからは迅とアスレアを頼むぞ」
「龍雅あああああああああああ!!!」
アスレアは龍雅に抱きついた。
そのアスレアの頭を龍雅は優しく撫でてやる。
「待ってくれよ…俺は…俺は──」
トン
何かを言いかけたが、それは遮られる。
龍雅が手刀で意識を飛ばしたからだ。それはほかの2人も同じだった。
「今まで、ありがとう。そして、さようなら」
それだけ言うと、龍雅はけじめをつける、最後の戦いに足を進めた。
いかがでしたでしょうか?
いよいよこのシリーズも終わりに差し掛かって来ました。ここまで読んでくださった読者の皆様、本当にありがとうございました。残りも精一杯書かせていただきますので、よろしくお願いします。
【お知らせ】
このシリーズが終わり次第、新しい小説を書く予定でいます!
それでは次回に、お会いしましょう!