ハイスクールD×D ーマルバス家復興記ー   作:ぬがー

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第1話

 吾輩は転生者である。

 名前はバルバソン・バアル。今年で6歳になる。

 

 前世の夢を見るなどは生まれてすぐからあったように思うが、前世の記憶が戻ったのは二年前の事だ。発症したら目覚めることはないとかいう病気にかかり、一週間後に目覚めたら前世の意識が今世の意識を塗りつぶしていた。

 目覚めた当初は色々と混乱し、この体の本来の持ち主を殺してしまったんだろうかと悩んだりもしたが、考えてもどうしようもないのでそのうち気にしなくなった。

 で次に気になったのがこの世界と生まれの事だ。

 記憶を辿って分かる範囲で判断すると、自分は『ハイスクールD×D』世界のバアル家、その三男に転生したようだ。

 といってもバアル家特有の『消滅』の魔力は無し。魔力の量も一般的な上級悪魔の子供と大差なく、後継者候補からは完全に外されている。だがサイラオーグのように冷遇されているかというとそんなこともなく、他の上級悪魔の子供と同じくらいの環境を作って放置されているというのが現状だ。母親も二人目を産むために頑張っているのかそちらと会うこともない状態である。

 まぁオレからすれば今世の親を親と思うことはできないので、放置されている現状はありがたい。

 それに金だけは使いきれないほどくれるし、人間界―――というか日本―――の漫画や小説、ゲームなんかも使用人に買って来てもらえる環境なので快適に過ごさせてもらってる。かなりいい教育も受けさせてもらってるし、いずれ機会があれば恩を返したいと思ってるくらいだ。

 で転生したとなると気になるのが原作の事件だが、これはもう放置一択だと思う。

 まず話が進むにつれてインフレが加速し、普通の上級悪魔と同等の力しか持たないオレなんか介入できるレベルではないって言うのが一つ。

 二つ目は下手に介入することで悪化する可能性も十分にあるって言うものだ。この世界での戦いはテンションとか勢いとかもかなり重要なので、原作で上手く行く流れを知ってしまっているオレがいると良い雰囲気に水を差してしまい悪影響が出かねないと思ている。

 で最後に最も重要な理由だが、オレが関わらないといけない理由は何一つとして無いことだ。モブとして巻き添えで死なないように動けば上級悪魔としていい生活を過ごせるというのに、なんで命を懸けてまで危険なことに首を突っ込まなきゃいけないのか。この状況で原作に関わろうとするやつは間違いなくバカだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな理由でぬくぬくと貴族の生活を満喫していたある日、唐突に父から呼び出された。

 困惑しつつもバアル家当主である父の指示に従わないという選択肢はないので本宅に向かうと、肖像画などでしか見たことのなかった人物が待ち受けていた。

 

「はじめましてゼクラムさま。バアル家三男バルバソンです。いらしていたんですね」

 

「ああ、だがはじめましてではないよ。とはいえ君と会ったのは生まれてすぐだけだから覚えてなどいないだろうが」

 

 初代バアル家当主、ゼクラム・バアル。

 子供がある程度成長した後はさっさと家督を譲り隠居したことになってるが、未だに歴代バアル家当主を傀儡にして悪魔社会を裏から仕切っている大物だ。産まれてすぐに見極めも済ませた子孫の顔を見になんて理由で動く人ではない。

 この人に声をかけられるようなことをしただろうかと必死に思い返してみるが、見当もつかない。

 

「なんでこうなっているのか、と言う顔だね。ならもっとよく思い返してみなさい。風邪気味だと言っていた使用人に君は何をした?」

 

「えっと、もやのようなモノがついていたので払いました。しかしこれくらいならよくあることでは?」

 

 仙術という生命そのものに干渉するような技術もあるし、悪魔でも多少感知能力が高ければ病を感知したり、怪我を直すのと同じ要領で魔力を流して癒したりすることはできる。誰でもできるようなことをしたに過ぎないはずだ。

 

「ただの風邪ならな。だが彼が患っていたのは今では治療手段の失われた病の初期段階だったんだよ。君が治す少し前に医者にかかって

 

いた記録から判明した。それ以外にも不治の病を治した事があったね?」

 

「あっ……!」

 

 そういえば俺自身、眠り続ける不治の病から突然回復したんだった。あれは誤診と判断され医者が責任取らされたが、あれひょっとして誤診じゃなかったのか?

 

「思い出したようだね。ここまで証拠が揃えばもはや疑いの余地はない。バルバソン、君は母方の祖母の血を色濃く継いでいたようだ」

 

「母方の祖母ですか? どの家系か聞いたことがないのですが」

 

「バルバソンが生まれたころには既に断絶していたから知らないのも無理はない。『病』を司る旧序列5位のマルバス大総裁家だ。

 これが今回の本題でな。今後、バルバソンにはマルバス家次期当主(・・・・・・・・・)として家を復興させるべく動いてもらうことになる。覚悟しておけ」

 

「承知しました」

 

 拒否権はないので即答する。それを聞いて満足したのか、ゼクラムさまは転移魔法で帰られた。

 それにしても面倒なことになった。もうこれまでのようなのんびりした生活は出来そうにない。

 せめて命のかかった戦場に放り出されないよう、今は亡き魔王さまに祈っておくとしよう。

 

「まぁ、その、頑張りなさい。私もできる限り支援しよう」

 

「え、あ、はい。ありがとうございます」

 

 父上、いたんだ。完全に忘れてた。

 

 

 

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