ハイスクールD×D ーマルバス家復興記ー   作:ぬがー

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第3話

 『王』の駒を使用してから、オレの生活は再度一変した。

 ほとんどの不治になっていた病は簡単に治せるようになり、これなら大丈夫と判断されたのか正式に次期マルバス家当主として公表された。成人したらマルバス家当主を名乗ることになっている。これに伴いバアル家から離れかつてマルバス家が所有していた屋敷で住むようになり、患者(きゃく)がゼクラムさまの紹介で来るようになった。今まで治療が出来ていなかったために患者が溜まっており、割と忙しい。

 その合間に行われる戦闘訓練だが、こっちは逆にきつくなった。『王』の駒で強くなったとはいえ上には上がいるし調子に乗るな、という教育だろう。ゼクラムさまが連れてきたレーティングゲームのトップランカーの眷属たちに毎度のようにボコボコにされている。年季の差か、戦闘にかける意識の差か、地力で勝ろうと技術や戦術で完封されてばかりだ。

 最後に最も変わったことだが、礼儀作法の勉強に力を入れるようになった。マルバス家次期当主を名乗っても誰も文句は言わないレベルの実力はつけたから、人脈を築くために学園に入学する準備だとか。他の人とは入学時期がずれてるんじゃないか、とも思ったがその程度のことは大して問題にならないらしい。

 総合して考えると前よりきついが、近い将来原作の事件が起きたときに後方支援要員として前線から離れ確実に生き延びるためだと思えば頑張れた。

 そんな忙しい日々を送っていたが、厄介事はこちらの都合など無視してやってくるものだ。今回もそうだった。

 

「グレモリーから長女の誕生会の誘いだ? しかもマグダラン兄さまとかは誘ってないだろうに、オレを直接ってどうよ? バアル家に喧嘩売ってるのか?」

 

 こういった書状を見ずに捨てるのは失礼だし、返事もしないわけにはいかないから見るが、これはひどい。マルバス家をバアル家から引き抜こうとしている、と疑われても仕方がない行動だ。最悪の場合はバアル家家臣団が暴走しないようゼクラムさまに援護をお願いしないといけないかもしれない。

 そう思っていたが、読んでみると見過ごせない箇所があった。

 

「差出人がグレモリー家の次男(・・)だと……!?」

 

 原作でいないはずの人物。しかも否応なしに原作に影響を与えるポジション。こいつに好き勝手されて原作の事件が上手く解決されないと現時点でもボロボロの悪魔陣営が本気で滅びかねない。そうなれば連鎖的にオレも没落である。それは避けたい。

 色々と悩んだ末、父上とかに話を通して一度会ってみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、勝手に招待状出したせいでお前自身が参加できないとこだったと。行動が場当たり過ぎじゃね?」

 

「ははは……。その辺は勘弁してくれ。こっちも切羽詰ってるんだよ」

 

 そう言って苦笑いを浮かべているのはグロース・グレモリー。母親はグレモリー家当主ジオティクス・グレモリーの戦友の誰か―――誰だか判明すれば高確率で正妻のヴェネラナ・グレモリーが殺しに行くので未だ不明。グロースが純血悪魔ということのみはグレモリー卿が特殊な『偽りの証言を行わない』という契約魔法で証明している―――で、要は妾腹の子らしい。

 そのくせサーゼクスさまやリアス・グレモリーを上回るほど綺麗な紅色の髪と魔力を持ち、一部の家臣からはグロースにこそグレモリー家を担って欲しい、という意見も出ているのでグレモリー夫人からかなり嫌われているんだとか。

 そして予想通りこいつもオレと同じ原作知識持ちの転生者。ただ原作とは関係のないところで窮地に陥ってるらしく、藁にも縋る思いでオレに招待状を出したんだそうだ。

 その思いはどうにか叶い、原作にいなかった人物の情報に釣られてきたオレと一対一で話をする場を設けることが出来たというのが現状らしい。

 

「で、要件はなんだ? 言っとくがオレがバアル家の操り人形だからたいして行動は出来ねーぞ」

 

「それでも助かる。バアル家にコネなんかまともにやったら作れるわけないからな。こっちの意向を伝えてくれる人がいるだけで大分違うし」

 

 そう前置きして、グロースは直ぐに本題に入った。

 

「リアスをバアル家に嫁がせて、俺がグレモリー家を継ぎたい。バアル家にとっても『消滅』の魔力は回収したいはずだし、協力してくれないか?」

 

「……お家乗っ取りが目的か? 権力目当ての政争に巻き込まれるとか御免なんだが」

 

「いや、目的はそっちじゃねぇ。最低限、俺がバアル家に嫁入り(・・・)しなくて済むんならそれでいいんだ! 頼む、協力してくれッ!!」

 

「……は?」

 

 いまこいつ、なんて言った? 嫁入り? いやこいつは女顔だが男のはず。じゃあなんで嫁入り? 聞き間違えたか?

 

「あー、混乱させちまったみたいだけど、聞き間違いじゃねぇよ。嫁入りであってる」

 

「……なにがどうしたらそんな話になるんだ?」

 

「えーと、バアル家からグレモリー家に『消滅』の魔力返せ、って抗議が来てるのは知ってるよな?」

 

「ああ、バアル家からすれば絶対に譲れないことだからな。自家で失われないよう受け継いできた力。その成果を横取りした連中が自分の上にいるなんて我慢できるわけない」

 

 他の家だと自家の魔力を守り受け継いで、他家の力が発現した場合は婿入り、嫁入りなどで支え合ってる状況だからな。特にバアル家は魔力を受け継ぎにくくて何人も側室を貰ってるような家系だし、抗議くらいは当然のことだ。

 それなのにグレモリー家は感情優先で好き勝手してるし、サーゼクスさまが家族大好きじゃなかったら村八分染みた状態になっていたのは間違いないだろう。本当に酷いものである。

 

「まぁそれで俺の事を追い出したいヴェネラナさまが「グレモリー家とバアル家の相性が良いから優れた子が産まれた。グロースを女にして嫁入りさせよう」って言いだしてさ。このままだとそれが実行されそうなんだ」

 

「なんでそこで男を女にしよう、なんて発想が出るんだ……?」

 

「ほら、原作でも堕天使には性転換させる道具とかあったじゃんか。それに魔法でも一時的に性転換するのはあるし、その状態で『悪魔の駒』使って転生させれば固定できるって話でさ」

 

「ああ、うん、確かにできなくはない、のか? そういえばマグダラン兄さまの『女王』が何故か使用されてなかったような気がする……」

 

「うわっ、勘弁してくれよ!? ひょっとして裏では話進んでるのか? ヴェネラナさま、バアル家飛び出してきた立場だからそもそも交渉できないって思ってたのに……」

 

 グロースが本気で不安そうな顔になる。

 やっと希望が見えたかも、という時に絶望的な情報聞かされりゃこうもなるか。正直、見てられないくらい辛そうだ。

 オレには多少だが余裕はあるし、『消滅』の魔力持ちを取り返せるのもバアル家としては悪い話ではない。原作崩壊が起こる可能性は高いが、オレ達が存在する時点で今さらだし、逆に原作の事件がほぼ起きなくなる可能性だってある。手伝いくらいはしてやろう。

 

「まぁグレモリー家にはもう後を継ぐ男の子供がいるんだから女の方は寄越せって意味の可能性もある。ていうか大抵当主を継ぐのは男だし、そっちの可能性の方が高い。あんまり悲観すんな」

 

 冥界は実力主義がかなり浸透してるし、戦闘能力は個人差が大きすぎて男女の差など大した問題ではない。だが今も昔も悪魔貴族の当主とは配下を率いて戦いに赴く立場であり、子供を産んで血を繋ぐという超重要な役割を担う女性はできれば避ける、という風習があるのだ。そうでなければ「バアル家最強の女性」と言われたヴェネラナ―――女性で最強なのは男性を含めるとゼクラムさまがいるため―――が当主になってただろうし。

 

「……そうだな。ぐずぐずしてたら人生バッドエンド一直線だし、チャンスがありそうなら掴みに行くしかない。リアスを嫁にするつもりでいるんなら、俺にはありがたいことだ」

 

 どうにか持ち直せたようだ。声にも張りが戻ってきている。

 じゃ、とりあえず今できることを確認しよう。お互いにできる事やらコネ、家での味方が分からないと、何をしたらいいかすらわからないからな。

 




 グロースの外見イメージはFGOのラーマです。

 バアル家に嫁入りするのがリアスの場合、消滅の魔力を持っているので当たりはきついですが嫁として扱ってもらえます。
 ですがグロースの場合純粋なグレモリーに近いので、バアル家の血を色濃く継いだ子を作るため間桐家に養子に出された遠坂桜みたいな待遇が待っているのでかなり必死です。

 なのでそれを予想できたオリ主もさすがに見過ごせず協力することになりました。





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