夏色の回帰   作:SANTA+

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第2話

数分が過ぎただろうか。

僕が冷静さを取り戻すのにかかった時間だ。

 

さっき起きた事を振り返ってみる。

僕は小石を蹴った、するとここに立っていた

それも一瞬の出来事だったため、勢い余って山道から外れ、

別の場所に転げ落ちた、なんて事はないだろう

 

 

まず、この場所はさっきまで居たような自然的な所ではない、建物の中だ。

辺りを見回すと、、、何も無い。

強いて言うならば、薄汚れた壁と扉があるのみである。

窓もなく、室内はとても暗い。

部屋の蛍光灯は壊れているようだ。

「随分古い建物みたいだな」

 

 

迷いはあったが、ここに居てもしょうがないので

僕は扉の向こうに行ってみることにした。

 

ところどころ錆びたその扉は、やはり重く、

踏ん張るとようやく開いた。

扉の向こうも先ほどの部屋と同様に薄汚れている、

廊下だった。

幸い、廊下の灯りは点滅を繰り返しているが、なんとか生きているようだ。

 

この部屋は建物の最も端にあるようで、

右方向は行き止まりだった。

外に出てここが何処なのか把握しよう。

さて、この建物には階段が一つしか設置されていないのか、

近くに階段らしきものは見当たらない。

とりあえずまわれ左して廊下の突き当たりまで歩いていく。

 

ふと、シャツの裾が黒く汚れていることに気づいた。

どうやら部屋を出る時に擦ってしまったようだ。

普段の僕は割と清潔好きなのだが、

今に限ってはそんな事はどうでもいい。

気にする余裕がないのだ。

 

すれ違う部屋には特にめぼしさは感じられないな。

歩いている途中、エレベーターを見かけたが、

動いていない様子なので座念し、階段で降りることにした。

廊下の最奥まで着くと、やはりこちら側には階段が見つかった。

「ここは最上階みたいだな」

下りの階段しかないからだ。

壁に書かれた文字は5F。

建物の看板には当然、この建物の名前が書かれてあるだろう。

看板の文字が潰れていなければいいが。

 

5階から降りるのは、最近運動不足のこの身体には少しきつそうだ。

 

5階……4階……3階………………

 

夏休みという事もあり、最近は特に家から出る事も減っていたこのタイミングでは

たったこれだけの運動でもかなり疲れる。

こんなに疲れた状態では、

なにかあってもすぐには逃げられないだろうな。

 

なにか。なにかとは何だ?

重い犯罪を犯し、この廃墟に逃げ込んだ凶悪犯。

はたまた、工場のガスで汚染され、突然変異してしまったモンスター犬!?

なんてことは流石にないだろう、、

ゲームのやり過ぎか

自分で自分を笑ってしまう。

 

というか現在、モンスター犬なんかよりも、

もっと恐怖心を煽る出来事に遭っているのだが。

事実はゲームよりも奇なりだな。

 

そんなことを考えている間に1階に着いた。

昇降口は開きっぱなしになっている。

ドアのガラスも破れ、かなり悲惨だ。

飛び散った破片に気をつけながら出口へと向かった。

建物の中には窓が無かったので今気づいたのだが

「外が暗い、夜なのか、、、」

僕と太一が合流した時、腕時計の針はちょうど午前9時を指していた。

まぁ、もう大して驚きはしないな。

 

建物を出てすぐ右手に、ここの看板が見つかった。

しかし、周囲に街灯が、、、

見当たるには見当たるが、この看板を照らすには遠すぎる。

そうだ、スマホの明かりで、、

ん?いつもならズボンの右ポケットに、、

いや、左ポケットだったか?無いな。

ならば上着のポケット、、!

 

普段ある筈のない場所を探して

現実逃避をしている事に僕はまだ気づいていない。

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