白羊宮の月は去り、世間は金牛宮の月を迎えた。
エーコとイヴをどこに住まわせるかで揉めていた件は結局アンジェラの教師就任によりうやむやになり現在に至る。
エーコはアッシュと共に男子寮のアポロ舎へ、イヴはジュニアス館にそれぞれ住むことに なったが……一部生徒は納得していなかった。
特にノアを狙うとある女生徒は……。
「はぁ~生徒会に呼び出しとか……アイツが関わってるんだろうな……。」
俺は深い溜め息を吐きながら生徒会室に向かっていた。
イヴは部屋で読書中だ……。
最近、コレットさんが絵本を持ってきてくれたので今は夢中になって読んでいる。
「読書中はおとなしいから非常に助かる……。」
イヴをおとなしくさせるには4つの方法がある。
1、読書をさせる。
2、クックベリーを食べさせる。
3、桃まんを食べさせるかもしくは投げる。
4、噛み砕かれる(イン●ックス並みの痛みがあるが……。)
……4を選んだ貴方、是非とも身代わりになってくれ!!
そんなことを考えていると生徒会室にたどり着いた。
―――コンコン
扉をノックして入ると中には一人の女生徒がいた。
「遅いぞ、ノア!!」
そう言い近づいて来たのは、アンサリヴァン市が誇る有名人。
学院のトップ、成績優秀、プロポーションの良い身体、おまけに貴族。
さらには学院の生徒会長で……全竜飼い人の憧れの存在。
聖天竜騎士の称号を持つレベッカ・ランドールその人だ。
「会いたかったぞ!!
……ノア、ずっと二人きりで話をしたかったんだ。」
そう言い紅蓮の髪を揺らすレベッカ。
「ひさしぶりだな、会長。」
「……。
二人きりの時はレベと呼ぶという約束だろ?」
レベッカは頬を膨らませて睨んできた。
「悪い、悪い……レベ」
「うん、それでいい!!」
満面の笑顔を俺に向けるレベッカ。
「それで話ってなんだ?」
大体の予想はついているがあえて尋ねた。
「……イヴの事だ。」
「う!?
……やっぱりそれか……。」
「大変遺憾ながら君の部屋で二人きりの生活を送っている訳だが……変な気は起こしてないよな?」
ゴゴゴゴ……という感じのプレッシャーがかかり俺はすぐさま「コクコク……」と首を立てに振った。
振るしかなかった……。
……ヘタレ?
なんとでも言え!!
彼女に睨まれたらどんな猛者でも立ち尽くすさ……。
「ところで噂で聞いたのだが……ノアとイヴは仲良くクレープ屋に行ったそうだな?(ニコニコ)」
ゴゴゴゴ……。
「ち、違うんだ!!
あれはアッシュやエーコも一緒だったんだ!!」
―――怖ぇ―――――――――!?
何コレ?
顔は笑顔、例えるならスマイル0円なのに目はまったく笑っていない。
「そうか、そうか……Wデートか……。」
「ち、違ぇ―――――――――!!
待って、待て、話を聞いてくれ!!
ただの散歩だ!!
そう犬の散歩と同じだよ?」
「ほ~~~~う~~~犬の散歩、か……なるほど確かに嘘はついていないようだな。
わかった、ひとまず私は納得してやろう……。
(ボソッ)私は、な。」
「よかった、助かった……。」
「ところでノア、誰もいない室内で男女二人きりなんだ。
いつも通りいいことしようではないか?
「はぁ?何を言って…………ガシッ……」
肩を誰かに掴まれた俺はそのまま壁に投げ飛ばされた。
いや、検討はついている。
こんな馬鹿力を持つのは少数の知り合いだけだ。……。
「ア、アア……アンタは、な、なな、何を……しているのよ!!
このハレンチ竜飼い人!!
いっぺん死んできなさい!!」
某ピンク武偵のようにバリツで身体を持ち上げられそのまま後ろに逆さまに叩きつけられた。
――――――ドゴォン
「グフ……。」
「だ、誰が犬の散歩ですって?犬はアンタでしょう!!
この奴隷の分際で……風穴、風穴ったら風穴……風穴火山《かざあなボルケージ》!!
……鞭貸して!!
犬は調教しないと駄目みたいね!!」
「ひ、ひっ――――――た、助けて!!
レベ、レベッカ――――――HelpMe!!」
レベッカに助けを求めるが……。
「プイ……」
目を逸らしてあたかも聞こえていない振りをしている。
「ちょ、ちょっと――――――レベッカ――――――!!」
「なら婚約者として正式に認めるか?」
「ちょっと――――――どういうこと?
説明しなさ――――――い!!
しないと風穴!!
それから……
噛み砕くわよ!!」