「はぁはぁ・・・」
イヴは疲労していた。
ノアを助ける為、反撃の隙を作るために爆発《エクスプロージョン》魔法を超巨大な屍灰竜《ネクロマンシア》に向けて5発程放ったからだ。
偽物、紛い物とはいえ、聖騎甲を作り出したあとでの虚無魔法の連続使用である・・・・・・残りの魔力も爆発魔法《エクスプロージョン》を2、3発放てば撃ち止めになる・・・。
まさに、絶対絶命、追い詰められていた。
だが彼女ともう一人の彼女は戦意を消失させるどころかむしろやる気になっていた。
『ふふふ・・・・・・なんだか、楽しくなってきたわね。』
「セリーヌ・・・アンタ、また出てきたの?」
『あら?いいじゃない・・・せっかく貴女に色々教えてあげたんだから・・・。
ふふふ・・・・・・ついでにノアにも色々教えてあげるわよ!!
・・・・・・・・・そう、いろいろとね・・・・・・・・・・・。』
そんなことを呟くセリーヌ。
「むき~。
あの、肉奴隷は~~~~」
ドゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
凄まじい怒気を出すイヴ・・・・・・・・・・・・。
例えるのなら・・・それは荒れ狂う日本海よりもはるかに高く、厳しい、大地震の後の大津波のように恐ろしい気迫だった・・・。
さて、イヴがどのようにして聖騎甲《アーク》を生み出し、セリーヌとも出会ったか・・・まずはそこから語るとしよう。
――――――――――――――――――――――サイド―――――――――――――――――イヴ
「聖騎甲《アーク》・・・・・・・・・どうすればできるのかな?」
アタシは一人途方にくれていた。
ノアに二つ返事で返したはいいが肝心の聖騎甲の制作方法が解らなかったからだ。
「困った・・・・・・困った・・・・」と呟いていると突然脳内に見知らぬ、アタシは初めて聞く女性の声が響きわたった。
『ふふふ・・・お困りのようかしら?』
どこからともなく聞こえる・・・・・・・女性の声。
「出てきなさい!!」
『いいえ・・・・・・あなたが来るのよ・・・。』
そう言うと私は突然睡魔に襲われた。
『お目覚めかしら、眠り姫?《スリーピング・ビユーティー》』
妖艶な声でささやかれ、イヴは覚醒した。慌てて周囲を見渡す。
「ここ・・・・・・・どこ?」
不思議な部屋だった。
白と黒、正方形のタイルに埋め尽くされた床。
四方の壁際には、作りかけの石膏像が散乱している。
不完全な人体、不完全な鳥獣、城塞や神殿のミニチュア、乗り物の模型まである。
『ここは第二遣竜工房。
私の名は、セリーヌよ・・・・・・・』
真っ赤なドレスを着た女性はそう言うと説明を始めた。
『未熟な貴女を教え、鍛え、導くのが私の役目・・・・・・。』
「教え、鍛え、導く?」
アタシは意味がよくわからずに質問した。
『ええ・・・・・・・貴女専属の家庭教師兼ナビゲーターみたいなものよ?』
・・・・・・・なるほど。
つまりは一人前になるまでのアドバイザー的なかんじね?
『ところで、急がないと彼、死ぬわよ?』
セリーヌの言葉でノアの危機を知ったアタシはセリーヌに聖騎甲の造り方を聞きさっそく製作に取り掛かった。
『う~ん・・・・・・・・残念ながらまだオリジナルの聖騎甲は作れそうにないわね・・・・・・。
まだ、幼竜だし・・・・・・無理もないわね。
聖騎甲は本来心と心・・・絆で結びつかないと上手く顕現しない物だし・・・・・・・さて・・・・・・・・・あ、そうだわ!!
確か・・・・・・・竜種の記憶《ドラグワース》に歴代の竜が残した聖騎甲の設計図があるはずよ?』
「竜種の記憶ね・・・・・・・。
あ、沢山あるわ!!」
アタシは無数にある設計図の中からノアにあいそうな物を適当に選んで最適化していった。
ノアの身体的なデータを何故セリーヌが持っていたのかはあとで二人に問い詰めないと・・・・・・・・。
因みにアタシが選んだ記念べき最初の聖騎甲は・・・・・・・。
製作年月日 聖誕暦001年/天秤宮の月《ライブラ》/三日
製作者 聖竜《マエストロ》 サンライドラゴン
騎士名 アダム・リーシュブル
固有魔装 雷槌 トール
1300年も昔の古代魔装だけど・・・・・・なんとなくノアにはこれがあいそうな予感がしたのよ・・・。
「よし、いくわよ・・・。」
魔力を身体中に纏わせパーツを次々生み出していく・・・・・・。
「兜、首鎧、胸当て・・・・・・・・・背当・・・・・・・」
アタシは、竜種の記憶に蓄積された設計図を全て瞬時に把握した。
「・・・・・・・・・・・・・・腰当・・・・・・・・尻当・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鉄靴・・・・・・・・・・・」
長い詠唱も終わり最後の言葉を口にした。
「―――――――――――――――拍車―――――!」
・・・・・・・・・・その瞬間新たな扉と歴史の扉が開かれた。・・・・・・・・・そして、伝説が始まった。