聖天竜騎士は転生者!?   作:トナカイさん

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書き溜め分全部終わりです。
次話はいつになるかはわかりません。



今回のストーリー。
前半はオリジナルです。
《天空の竜騎士物語》って多分こんな感じかな?
といった作者の妄想で書いてます。
読む際は予めご了承してからお読みください。


活動報告でストーリーに関するアンケート取ってます。


第三十五話『天空の竜騎士物語』

「_____て!」

 

う……ん?

何だ?

 

「_____き__い!」

 

誰だ……僕を起こすのは⁉︎

 

「い_____ろ_____‼︎」

 

ああ、もう煩いなー。

まだ眠いんだから寝かせてよー。

 

「こら_____カイン。いい加減起きてよね!」

 

大きな怒鳴り声で目を覚ますと自分が部屋のベッドで寝ていることに気づいた。

 

(そうか、昨夜帰ってきた後はすぐにベッドに入ったんだったな)

 

昨夜、一仕事をしたカインは家に帰るや否やすぐに寝てしまった事を思い出した。

昨夜の事を思い出しながら状況を整理していく。

自分の部屋のベッドで寝ていた事はどこもおかしくはない。

ベッドはそもそも寝る為の寝具だ。

ただ問題なのはいい年をした美少女が自分の部屋に入ってきて我が物顔で机の上を整理整頓したり寝ている自分から剥ぎ取った掛け布団を持っていること現実だ。

 

「……またか」

 

何時もの光景だがついつい溜息を吐いてしまう。

 

「何よ、カインが朝起きないから仕方なく起こしに来てるのにその態度は何よ?」

 

ベッドの横に立つ美少女は鋭い瞳でカインを睨みつけ、その瞳半目にしながらお説教を始めた。

 

「だいたいカインはいつもマイペースすぎるのよ。もっとしかっかりしなさいよね!」

 

「あー、はいはい……」

 

ベッドから起き上がったカインはお説教を聞き流して衣装箪笥《クローゼット》を開け、中から通っている魔法学院の制服を取り出して着替え始めた。

 

「ちょっ……ちょっと、淑女の前で着替えなんかしないでよね!」

 

カインが着ていた肌着を脱ごうとしていたのを横目に見ながら顔を赤く染めた少女は逃げるように部屋を飛び出した。

 

「う〜。わかったよ。朝から煩いなー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い!」

 

朝食を終えたカインが家を出ると彼が通う学院と同じ制服、女子が着るセーラー服と呼ばれる学生服に身を包んだ少女が彼の家の前で待っていた。

 

「あー、悪かったよ……アリーシャ」

 

「本当に悪いと思ってんの?」

 

アリーシャと呼ばれた少女は眉を細めてカインの頬をつねった。

 

「本当に悪いと思ってるのなら行動で示しなさいよね!

そんなんだからカインは学院でも『落ちこぼれ』とか『何の取り柄もない冴えない人』とか呼ばれるのよ」

 

アリーシャはブツブツと文句をいい始めたがカインは全く気にしていなかった。

 

カインにとって学院はただの暇つぶし、学びたい事もない、特に目立ったり、何を成し遂げたいと思うような特別な場所ではとうになくなっいた。

 

「あーあ、幼馴染みがカインなんかじゃなくて〈銀麗の騎士〉《シルバーナイト》様なら良かったのにな……」

 

「シルバーナイト?」

 

その言葉に思わず反応してしまったカイン。

 

「知らない?

今、この国で話題の騎士様よ。

銀麗の騎士様は悪に立ち向かう正義の騎士様なのよ!

夜にならないと現れないみたいだけど……ああ、いつかお会いしたいわ」

 

「そ、そうか……いつか会えるといいな」

 

うっとりした幼馴染みの姿に思わず乾いた笑みを浮かべ、曖昧な返事を返すカイン。

 

「お会いできないかしら?」

 

「ちょっと難しいんじゃないか……精神的に」

 

「なんでよ」

 

会うには勇気がいるんだよ、と小さく呟くカイン。

しかし、彼の呟きは幸か不幸か、アリーシャには聞こえることななかった。

二人はその後も些細な後でいい争いながら、側から見たら仲がよいカップルがイチャつきながら登校しているように見えるような形で学院への道を歩き始めた。

 

 

 

 

 

時は立ち、数日後。

 

アリーシャは学院からの帰り道で人攫いに捕まり誘拐されてしまった。

その日もいつも通り、朝はカインと登校したが帰りは不運にも一人で下校していた。

カインは学院の教師から補習を言い渡され、仲がよい友人は習い事や家の用事で共に帰れず、またそんな日に限って家からの迎えの者が急遽来れなくなるといった不運な日になっていた。

 

「あーあ、最低な日ね……」

 

ガタガタと揺れる竜車の中でアリーシャは呟く。

竜車の中には自分と同じくらいの年齢の子供が一人、年下の子供が数人閉じ込めらている。

全員女子だ。

幼い子達は泣き叫んでいるが防音の効力がある魔法が竜車の中にかかっているのか、外の音は何も聞こえない。

 

「助けは……来るかしら?」

 

来ると信じたいが、此方から連絡する手段は何もない。

普段なら魔法を使えるのだが、閉じ込められた際、必要な道具も魔書も取り上げられてしまっている。せめて竜綺華晶が手元にあれば竜媒魔法《オラクル》が使えるのだが……。

 

「無い物ねだりをしても仕方ないわね……」

 

脱出手段を探そうとするアリーシャに、捕らえらている同い年の少女が声をかけてきた。

 

「……な……に……する……の?」

 

褐色肌のその少女は泣き腫らした顔を手で拭いながら真っ赤に充血している瞳を向けて、アリーシャの顔を見つめてきた。

 

「逃げれないか確かめるのよ」

 

「む……り……だよ」

 

首を左右に振り、竜車に備え付けられている窓(窓といってもガラスなどはなく木でできた逃亡防止の柵がついた物)を指差した。

窓から外を見ると竜車の周りには竜に跨った騎士と思しき男が一人と馬に跨った兵士の格好をした複数人の男達が竜車の周りにいた。

おそらく竜車を囲むように人質(商品)の護衛をしているのだろう。

 

「そんな……」

 

この状況を見てここに連れられてきてから初めてアリーシャは絶望した。

 

いくら学院で魔法を習っているとはいえ、アリーシャはちょっと成績がいいだけの普通の少女だ。

戦闘訓練をやらされてはいるが訓練と実戦は違う。

アリーシャにはまだ相手を傷つける《覚悟》も《度胸》もない。

 

「助けて……カイン」

 

つい幼馴染みの名前を呟いてしまう。

 

普段、あれだけ彼のことになると不満げな態度で接してしまっているのに彼女が助けを求めたのは両親でも、王国の騎士でもなくただの幼馴染みの少年だった。

 

(怖いよ……助けてよ……カイン)

 

彼の名前を口に出した事で多少の恐怖は和らいだが現状はなんら変わりない。

 

「助けて……」

 

彼女が再びそう呟いた時。

 

 

 

 

 

 

_____ドス、トス。

 

「うわあぁぁぁ_____」

 

何かが突き刺さるような音と人の悲鳴が聞こえてきた。

防音の魔法がかかっている筈の竜車の中に。

 

 

_____ガコン。

 

 

 

竜車の扉を開ける音が聞こえ、開かれた扉の先には一人の重厚な甲冑に身を包んだ騎士が立っていた。

その騎士は銀色の甲冑を身に付けており、その右手には一振りの剣を握り締めていた。

 

「大丈夫か?」

 

「素敵……」

 

 

 

それが彼女と〈銀麗の騎士〉《シルバーナイト》との運命的な出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

サイド アッシュ・ブレイク

 

 

____________パタン。

 

読んでいた()を閉じる。

 

 

 

 

「へえ……意外と面白いな」

 

俺は模擬戦の後、ヴェロニカ王女の夕餉が終わった頃、ようやく休憩を許された。

リアと別れ、厨房で夕食を受け取ると、使用人専用の控え室に入り、夕食を食べた。

今日の夕食はくるみパンに、鴨肉と野菜のシチュー。キャベツとコーンのサラダ。

学院の食堂で出されるメニューと、それほど大差はない。

味は決して悪くはないが、感激するほど美味しいわけでもない。

ヴェロニカ王女が食べたメニューと同じ物だが味よりも栄養バランスを重視しているようだ。

 

「うーん……たまには読書もいいもんだな」

 

リアにも勧めらた『天空の竜騎士物語』が部屋の本棚にあったので軽い気持ちで読み始めたがなかなか面白かった。

書棚には一から九巻まで置かれている。

かなりの人気シリーズらしく、表紙には十代の少女が好みそうなイラストが描かれている。

 

物語の序盤、ヒロインのアリーシャは不運にも誘拐事件に巻き込まれるのだが、そこに颯爽と現れた『銀麗の騎士』に一目惚れ。

アリーシャには幼馴染みのカインがいるが彼女は常日頃、なんの取り柄もないカインを情けなく思っていた。

しかし、実はこのカインこそが『銀麗の騎士』で夜な夜な悪に立ち向かっていた。

カインは正体をアリーシャにも秘密にしていたが二人は出会ってしまう。

 

物語が後半部分に入ると、カインの前に謎の竜《ドラゴン》が現れる。

あろうことか、帝国由来の技術によって、肉体を強化された竜だった。

そんな破天荒な相手にどう挑むのか_____ハラハラしながら読み進めると、カインは氷結魔法を駆使して、竜の制御装置を凍らせたのだ。

作動温度領域よりも冷やすことで、装置を強制的に停止させたのだ。

かくして、物語はめでたしめでたしとなる。

 

 

 

「氷結魔法で凍らせるのか……」

 

続きが気になったアッシュは第二巻に手を出してみようかと思ったその時_____。

 

 

 

 

「アッシュ様!こちらでしたか!」

 

プリムさんが身体のあちこちに生傷をこしらえながら、控室に飛び込んできた。

 

「プリムさん?そんなに慌てて、どうしたんです?」

 

「そ、それが……姫様が、アッシュ様をお呼びなのです!」

 

「ようやく解放されたと思ったのに!で……どこに行けばいいんです?」

 

「それが……」

 

「それが?」

 

 

 

 

 

 

 

「浴室なのです!今すぐご案内しますから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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