後半は原作沿いになりますので要注意!
「私も一緒に入ってもいいわよね?」
「ぶほっ。ゴホゴホ……」
リアのトンデモ発言を聞き、思わず咳き込んでしまった俺。
今、目の前の彼女は何て言った?
「今日、久しぶりにいい汗掻いたし広いお風呂でノンビリしたいわ」
「まあ、リア様もご一緒に!
姫様もお喜びになられますねー」
「駄目だ、駄目だ、駄目だ!」
きゃあきゃあと喜ぶプリムさんとは対照的に俺は全力で反対した。
ただでさえ、『
リアとの入浴はできないと説得しないと終わる……俺の人生が。
「ふう、熱いわね。もう脱いじゃおう」
「わー、リア辞めろ。脱ぐなー」
リアに近づき服が脱げないように両手で押さえこむ。
「わっ!ちょっとアッシュ。辞めてー」
「辞められるかー」
「やだー!放して」
「放すかー」
服を引っ張り脱げないように押さえこもうと力を入れた______その時。
「な、な、何をしておるかー!
アッシュ・ブレイク!貴様という奴は!」
曇りガラスの扉からヴェロニカ王女の怒声が聞こえてきた。
曇りガラス越しにそのシルエットが浮かんでいる。
「まさか、貴様。余のリアを……許さん!」
怒気と負のオーラを発するヴェロニカの声が脱衣所にまで聞こえてきた。
「誤解ですから!」
ヤバい。何だかわけがわからないけど俺がリアに不埒な真似をした、と誤解をされている。
俺、何もしてないのに。
「リアも服を脱ごうとするの辞めてくれ!」
「嫌よ!脱ぐの!脱ぐったら脱ぐー」
「辞めろ!」
「脱いじゃ……」
リアが力を入れて俺を引き離そうとしている。
ここで放したら俺はリアの生着替えを覗いた挙句、一緒に風呂に入るというエーコや姫様にバレたら確実に殺されそうな展開になってしまう。
ここだけは負けられない!
「させるかー!」
「嫌!辞めてー」
何だか痴漢をしている気分になってきたが……違うぞ。
俺は止めてる方だからな。
抵抗虚しくリアが来ているブラウスのボタンを全て外してしまった。
胸が見えそうになり慌てて視線を逸らす。
カチッと音がしてスカートのホックも外したリアはスカートを下ろそうと手をかけた。
誰か、リアが衣服を脱ぐの止めてくれー!
「……や、やめてくれェーッ……!」
という俺の叫びが、天に通じたのか______
「……んー……やめ……ない……お風呂……入……むにゅ……」
リアの身体が突然俺に倒れかかってきた。
そのまま、すー、すー、と……寝息を立て始めた。
よ、よかった。間一髪で______リアは着替えの最中にも関わらず熟睡してしまった。
た、助かった。
「ちょっと薬の効き目が強すぎましたねー。失敗、失敗」
プリムさんが何やら呟きながらリアの身体を覆うようにバスタオルをかけてくれた。
そして、廊下にいたメイドさんを2人呼びリアを客室まで運ぶように指示を出して俺に向き直るプリムさん。
「ちょっと予定と変わりましたがアッシュ様の面白いお姿を拝見いたせましたのでプリムは満足です!」
「はぁ」
「ちょっと姫様とお話ししてきますのでどうぞ、このままお脱ぎください」
「え?いや、ちょっと……」
俺が断りを入れる間も無くプリムさんはヴェロニカ王女が待つ浴室の方へ行ってしまった。
「早く入るがよい、アッシュ」
入りたくないと躊躇していると浴室からヴェロニカ王女の声が聞こえ、時同じく戻って来たプリムさんが通路に向かって声をかけていた。
「さあ、さあ、皆さん。アッシュ様のお着替えをお手伝しましょう」
「「「「はーい!」」」」
どういうわけか、廊下から脱衣所に四人のメイドさんが入って来た。
「ほらほら、アッシュ様!早くお脱ぎになってください!」
「ちょ、ちょっと待ってください!まだ心の準備が……」
「甘いですわ、アッシュ様!このプリムの脱衣術にかかれば、誰であろうと瞬時にすっぽんぽんなのです!せいやっー!」
プリムさんは微笑みながら着ている服に手をかけた。
自分の、な。
「うわわっ!プリムさんが脱いでどうするんですか!」
ボリューム感たっぷりの乳房を前に硬直してしまう。
「あ、間違えましたぁ……てへっ」
「どうやったら間違えるんですか!」
この人、絶対ワザとやったよ!
「メイドですから!」
メイドという人はみんなこうなんだろうか?(⚠︎違います)
「ああもう!プリムは手を出さないで!」
プリムさんを押しのけると、今度は四人のメイドさん達に囲まれた。
「それでは、アッシュ様。これも姫様のご命令ですので!」
「あの……自分で脱げますから……」
「問答無用でございます!」
四方から手が伸びて、俺の衣服を掴み取り抵抗虚しく、瞬く間に全裸にされてしまった。
「ううっ……」
もう、俺。お婿さんにいけないも……。
「はぁ……」
広々とした浴槽の片隅てまため息を吐く。
「どうした?浮かない顔だな」
「誰のせいだと思ってるんですか……」
「ここは風呂なのだ。もう少し、のんびりしたらどうだ」
「無理です!大体、こんなにのんびりしていて大丈夫なんですか?〈
「愚問だな。貴様は今、自分がアンサリヴァン市内で最も安全な場所にいるという事実にまだ気づいていないのか?」
「ああ……なるほど」
魔導艦シルヴァヌス。
多数の砲門を備え、その装甲は厚い。
いざとなれば空中に避難することもできる。
その上、艦の周囲には七騎の親衛隊。
それに隊長のグレンは、
ヴェロニカ王女が市内の高級ホテルを利用しないのも、艦内が一番安全だと確信しているからなんだろう。
ヴェロニカ王女に感心していると______曇りガラスの向こうから、新たな侍女の声が聞こえてきた。
「失礼致します。ただ今、第四王女殿下が起こしになられました」
「使いをやってから随分と経つが……まあよい。さっさと来るよう、伝えよ」
「了解しました」
ヴェロニカ王女の言葉を受けて、侍女の気配がスッと遠ざかっていった。
曇りガラスの向こう側を見ながら考える。
「第四……?」
その身分の相手に聞き覚えがあるような気がするが、すぐには頭が思い浮かばなかった。
だけど、なんとなく嫌な予感がした。
その予感を感じたその時______曇りガラスが横にスライドして、新たな人影が現れた。
「し、失礼します……姉上」
その声を聞いた途端に、俺は驚きの声を上げてしまった。
「姫様っ⁉︎」
目の前に、姫様……あのシルヴィア王女殿下が、全裸で戸口に佇んでいた。
その光景を見てようやく、第四王女が一体誰のことを指しているのかを思い出した。
「なっ……!その声……アッシュなのかっ?」
どうやら姫様も俺がここにいる事を知らされていなかったようだ。
「ど、どうしてお前がこんなところにっ!」
この続きは小説(原作2巻)で……。