来月は12月5日、10日頃の更新を予定しています。
______ガガガアァァァン。
「ちょっ、マジかよ⁉︎」
ゴミ箱の影に隠れながら相手の様子を伺おうとしていたがそんな余裕はなかった。
襲いかかってきた男が銃口をこちらに向けてきたのを見て慌てて隠れたからだ。
男が左手にしている銃は先ほど俺を狙って放ってきた
男がその銃のトリガーを引いて乱射してきたので飛んでくる銃弾から身を守る為に一か八か俺もホルダーに入れてあったコルトSAAを抜いてトリガーを引きつつ、応戦しながらゴミ箱の影から飛び出した。
頭を低くするように身を掲げるようにして素早く飛び出しトリガーを引いていく。
ヒステリアモードではない普段の俺が放っているせいか、銃弾は男の方に飛び出してはいるものの、正確な狙いを定めることができずに手ブレを起こして狙っている場所とは全く違う場所に着弾していく。
撃った反動で足元がフラつき前屈みの体制から飛び交う銃弾の中を転がるようにして避けた。
「危ねえ……」
俺の額スレスレを今、銃弾がカスっていった。
額からは血が流れている。
痛いが、痛みによって自分が生きていることを実感できる。
「チッ、外したか」
男は俺に銃口を向けたまま、俺の顔を睨みつけ、右手に持つ
「死ぬまでに3分やる。
3分以内に身辺整理しろ」
「はっ……何言ってんだおっさん?
3分で身辺整理なんてできるわけないだろう。
それとも見逃してくれるのか?
まあ、逃げないけどな。
俺はアンタより強いから戦うのは辞めて大人しく投降した方がいいぜ。
言っとくが俺が本気だしたら、3分あれば城の半分は壊せるぞ?」
嘘だ。
3分じゃ王城は壊せねえ。
そもそも、壊す気ないけど……。
しかし、今の状況は非常にマズイ。
今の俺はヒステリアモードを発動していない、ただの俺だ。
当然、銃を使った戦いなんかできないし、論理的な思考で勝利を得る為の分析とかもできない。
唯一できるのは右手で動物を操ることができる……それだけだ。
マズイ、非常にマズイ。
今の俺は大した力もない一般人と変わらない。
にも関わらずに相手を挑発しているのには理由がある。
一つ目に、近くにイヴがいること。
二つ目、この場所が教会に違いこと。
ここで俺が逃げたしたら下手をするとこのおっさんは教会の方に行きかねない。
もし、万が一にも教会の方に向かえば本当にテロが起きかねなくなる。
今のアッシュやシルヴィアでは教会の方だけで精一杯だろう。
三つ目、ヴェロニカのお怒りを買いたくない。
敵前逃亡とか、あの暴君が許すはず無い!
「どうした?
早くしないと城を半分も壊せなくなるぞ」
俺が言った言葉が強がりだとわかっているのか、挑発してきた男。
仕方ねえ、覚悟決めるか。
俺は手に持つ銃を男に向けて、そのトリガーを引いた。
______パアーン。
銃口から銃弾が飛び出したが当然の如く、男に当たりはせず男の背後にある通りに立つ街灯に向かって飛んでいった。
「ふん、何処を狙っている?」
男が俺に向けて小馬鹿にした態度をとった後、右手に持つ
______キィーン。
金属音が響き、突如男の体がグラついた。
「なっ……⁉︎」
「へ……⁉︎」
驚愕の表情を顔に浮かべた男。
マヌケな驚きの声をあげたのは俺だ。
まさか、適当に撃った弾が街灯の柱に当たって跳ね返った銃弾が男の肩に当たるなんて……狙い通りだ。
うん、嘘だ。
全くの予想外な出来事だ。
男の動きがわずかに止まったので俺はさらに足を狙って撃った。
______パアーン
「ぐっ……」
銃弾は地面の石畳に当たり跳ね返った銃弾は男の腹部に被弾した。
「がはっ」
片膝をついて倒れるのを踏み留まる男。
俺はその男に素早く近づき男の頭部、額に当たるような角度をつけたまま、手に持つコルトSAAを押し当てた。
「誰だよ、アンタ?」
目の前に立つ男に語りかけると、男は俺に銃を突きつけられているのにも関わらず笑いだした。
「ハハハ……っと失礼。
俺の名はセルゲイ。
槍……の使い手、ね。
のわりには槍使ってねえけどな。
「槍なんか使ってないだろうが⁉︎」
「ああ、俺が使うのは槍だけど槍じゃない。
君達が言う、銃だ!
銃こそが俺が使う史上最高の槍なのさ!」
「槍と銃じゃ全然違うだろうが」
「君は槍の事を何もわかってない。
槍と剣の違い。
それは『間合い』の長さだ!
間合いが遠いければ遠い程戦いでは有利になる。
近接戦を除けばな。
そしてその間合いが長い槍を極限まで進化させた物こそ、人類が生み出した史上の武器である銃だ!
俺が
拳より剣は強し!剣より槍は強し!槍より銃は強し!拳は時に銃より強し!」
そう言って男は突然屈みこんでいた体勢から素早く起きだすと俺の右手を自身の長い脚で脚蹴りし、銃を持ったままの俺の右手を上に跳ね上げた。
さらにその長い脚で俺の腹部を蹴飛ばしてくる。
「ぐっ……」
蹴り飛ばされ男との間に僅かに距離ができた。
咄嗟のことで反応が遅れた俺に向けてセルゲイは手に持つ
放たれた複数の銃弾。
回転しながらその弾頭は真っ直ぐ俺の方に向かってくる。
しまった……当たる。
これは……避けられない。
皆……ごめん。
目の前に迫る銃弾。
俺は死を覚悟してそのまま膠着してしまい動くことができなかった、が______その時。
「エクスプローション‼︎!」
突然、誰かの叫び声が聞こえ目の前で小さな爆発が起こり、俺は吹き飛ばされてしまった。
俺が吹き飛ばされた先には婦人服を扱う店のショーウィンドウがあり、爆風の勢いでガラスを突き破る形で店の中に入ってしまった。
______ガシャーン
「ッ⁉︎」
ショーウィンドウを突き破り店内にある棚らしき物に背中を強打した。
爆風により店内のあちらこちらの商品が吹き飛ばさている。
何が起きたんだ?
あの男はどうなった?
俺は何で助かったんだ?
様々な疑問が浮かぶ中、俺は今いる場所がどこなのか辺りを見渡した。
「痛たたた……ここは?」
辺りを見渡すと天井に案内表示が書かれた看板がぶら下がっており、「下着売り場」とあった。
うん?
下着?
起き上がろうとした俺の頭上から何かが降ってきた。
ヒラヒラと、まるで鳥が羽ばたくように白や黄色やピンクなど様々な色合いの物体が舞い散る光景に唖然となってしまう。
何だ、これは?
舞い散るソレを一枚手に取ってみた。
「色とりどりの……布?」
布を広げるとソレは……ぶっ!
「って……し、し、下着じゃねえかー⁉︎」
手の中で広がるソレは布で出来た女性用の下着だった。
しかもやけに細いヒモのような物で……って馬鹿⁉︎
ドク、ドクン……ドクン、ドクン。
自身の血流が激しく流れ出すのがわかる。
おいおい……落ち着け!
静まるんだ、俺よ!
「これは布だ、ただの布だ、普通の布だ!」
ドク、ドク、ドク……止まれ、俺の血流!