次話も今週中にはお届けします!
緋弾のアリアから謎のキャラが登場!
果たしてその正体は?
ただ叫ぶことしか出来ない俺が絶叫した時。
______ドクンッ______!
身体の中心、中央に、焼けつけるような感覚が巡った。
これはヒステリアモード?
いや、俺は既にヒステリアモードになっているはずだ。
だけど違う。何かが違う。
今回のこれはいつもとは何かが……違う。
まるで心の中を増悪が支配するかのようなそんな感じがした。
______許すな!
______傷つけた奴を許すな!
心の底からそんな声が聞こえてくる。
落ち着け! 落ち着くんだ、俺よ!
心の中から湧き上がる負の感情を制御しようと俺は湧き上がる感情を抑え込もうと足掻いた。
大丈夫だ!落ち着け!
大丈夫! きっと大丈夫だ!
まずは落ち着いて確認するんだ。
そう、ほんの一瞬だけ冷静な精神状態になったがすぐ様、悲しみや不安感、喪失感、などの認めたくない様々な負の感情が俺を襲う。
もう無理だ。
あの傷じゃ助からない。
イヴはもうダメだ。
嘘だ!嘘だ!嘘だ!
これは嘘だ。
こんなの現実じゃない!
そう思いながら俺はイヴの身体を確認にした。
信じられなかった。
信じたくなかった。
今、俺の目の前で起きた現実を。
イヴの背に刺さる孔雀の矢羽根。
その矢羽根の深さはおそらく心臓を貫くほど深く刺さっている。
俺はイヴに近き確認する。
明らかに致命傷となっているであろう、その傷口を。
さらにイヴに近づき、その身を抱き抱えるとまだ意識があるのか、イヴが小さく呟いた。
「……て」
「バカ、喋るな!」
弱々しく声を出しているがイヴの意識はまだあった。
まだ生きている。
生きているんだ。
よかった。本当によかった。
おそらく
そう思ったのもつかの間、すぐに現実に戻された。
イヴはまだ生きているが、このままだと危険だ。
傷口は深く、今の俺が出来ることは彼女を出来るだけ動かさないようにして傷口を塞ぐことくらいしか思い浮かばない。いくらヒステリアモードの状態でも人の、それも竜族の生態や医療知識にはそれほど詳しくないせいか、碌な知識が出てこない。
ただ、一刻も早く治療をしなければ危ないという事はわかる。
早く治療出来る場所に運ばなければ……。
早く医者に診てもらわなくては。
だが、そんな俺の思いとは裏腹にイヴを抱き抱えて走ろうとした俺の前に立ち塞がる影があった。
「くくくっ、先ほどまでの威勢はどうした? 小僧」
セルゲイだ。
奴は俺の行く手を阻むように立ち塞がった。
「そこを退け!」
もう勝負はついている。
これ以上奴に構っている場合じゃない。
そう思い、イヴを抱き抱えたまま、奴の横を通り過ぎようとしたがセルゲイはあろうことか、俺を直接狙わずに、俺の腕に抱き抱えられているイヴを狙って隠し持っていた銃で発砲してきた。
とっさに身を捻り頭を低くし、弾道がそれる位置に移動して避けたが当たっていれば間違いなくイヴの命はなかった。
「お前……‼︎」
激しい怒りを覚えたが、今は奴よりもイヴの身が大事だと思いイヴを抱き抱えたまま、退避する事にした。
「ふん、遅え」
しかし、俺の行動は読まれていたのか、セルゲイが放った銃弾は俺の右足、大腿部に当たり、俺はバランスを崩して倒れてしまう。
「……くっ⁉︎」
地面に倒れた俺はイヴを抱き締めるように倒れこんだ。
イヴの身を守る為にイヴの身体の下になるように身を捻った直後、俺の背中を強い衝撃が襲った。
「かっ……」
無理に身体を捻って背中を強打したせいか、強い痛みを感じた。
ヒステリアモードとはいえ、さすがに痛みは和らげる事はできない。
俺一人なら衝撃を分散させることは出来るが怪我をしたイヴを抱き抱えたまま技を放つのはイヴの身の安全上したくないからな。
怪我をしているイヴに傷やダメージを負わせる事なんてことは今の俺にはできないからな。
「おうおう、可愛いお姫様を守る騎士のつもりか?
おら、起きろ!」
チンピラみたいな態度をとり近寄ってくるセルゲイ。
イヴの事で頭がいっぱいになっていた為か、動きが鈍り倒れた俺はセルゲイが接近してきても反応する事さえ出来ずにいた。
俺が反応しないとわかったセルゲイは倒れた俺の頭を無理矢理鷲掴みにして立たせ、強烈なボディブローを俺の腹に入れた。ゴスッと鈍い音が鳴るとセルゲイが繰り出した拳が俺の腹にヒットし、俺は奴の一撃を受けて空中に吹き飛ばされてしまった。
「ふん、どうした。お前の力はこんなものか。おら、さっさと起きろ!
まだまだこれからだぞ、お前が絶望するのは……」
「うっ……」
「……遅かったな」
セルゲイが動きを止めて頭上を見上げた。
其方を見るととある商店の屋根の上に、12才くらいの少女がつまらなそうに立っていた。
町を見下ろすその瞳は、コバルト色のジト目。
長いストレートの銀髪。
孔雀の羽をあしらった鍔広の洒落た帽子。
特徴的なのは……左手に携えた、本人の身長よりも長大な
それこそ孔雀の羽根のように矢を広げて収めた、矢筒も携えている。
______弓使い、だ。
「勝手な行動は慎むべき。一人で先走るなら、私は助けない」
「ふん、お前が我らと交わした契約は我らの援護。
監視や付添人ではないはずだが?」
「私が貴方達の族長と交わした契約は、貴方の監視とサポート。
それと『銀麗の騎士と黄金色の戦士』の調査。
この人達がその関係者なら報酬が出る。
ちょうどいいからそこに倒れている竜族は私が連れて行く」
そう言った少女はその場から飛び降りた。
高さ10mはあろう屋根の上から……。
当然の如く、地面に向けて落下していく少女の身体は逆さまになることもなく、足元から地面にふんわりと着地した。
まるで重力の影響を受けていないような動きで。
「傷は深いけどまだ息はある。
急いで連れて帰れば報酬が出る」
少女はイヴの身体を優しく抱きしめ、そして抱き抱えた。
イヴは人間の見た目をしているが紛れもなく幼竜だ。
だが少女はまるで幼児を抱えて歩くように軽々とイヴを抱き抱えて歩き出した。
「待て!
クソ、行かせるかよ!」
俺は起き上がると少女の足を狙いコルトSAAを発砲したが銃弾は少女にたどり着く前に弾がポップし、狙いとは関係ない場所に着弾してしまった。
「なっ⁉︎」
何だ今のは?
まるで銃弾が何かの力で流されたかのように、弾が突然起動を変えたぞ⁉︎
「私は族長のところに戻る。
後は好きにすれば」
「ふん、余計なことは言うんじゃねえぞ」
「ま、待て…がっ……」
少女を追いかけようとしたがセルゲイに阻まれた。
俺が撃つよりも先に銃を握る右肩を撃たれ、さらに腹にボディブローを入れられ、そして膝蹴りまで放たれた。
再度吹き飛ばされたが咄嗟に受け身をとったことで先ほどよりも身体にかかるダメージは弱かった。
右肩は痛いが。
俺が立ち上がったことに驚きセルゲイは一歩、後退した。
しかし、一歩後ろへ下がっただけですぐ様足を止めて俺を睨み、何が可笑しいのか俺の顔を見ながらニヤついた笑みを浮かべた。
そして、そのニヤついた笑みを崩さないまま信じられない暴言を吐いた。
「さっきの銃弾はなかなか効いたぜ。
俺の拳に耐えたのも評価してやろう。
だが、まだまだ甘いな。
たかが竜族がやられて連れさられたくらいで動きが鈍るとは。
死に損ないの竜族なんぞ放っておけばよいものを」
「い ま な ん て い っ た?」
その言葉を聞いた瞬間、俺の内側から溢れ出すドス黒い感情を俺は抑えることが出来なくなっていた。
______許すな______奪い返せ!
そして、その感情が出てきたその時。
______どぉん!
______どぉん!
突如、広場や教会がある方角から爆発音が鳴り響くのをヒステリアモードの俺の耳は捉えていた。