ペルソナ Blood-Soul   作:龍牙

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第十五夜

「とぉいうわけでぇ――――集めた情報の確認会をします。」

(はぁ…。)

ゆかりの号令から始まる確認会の開催に対して思わず溜息を付いてしまう。実際、自分の推測では、行方不明事件が幽霊の仕業では無いのだから、自分が調べるべき事は『被害者の共通点』なのだ。

視界の端でやかりに弓を向けられている順平の事は微かに無視しつつ、奏夜は心の中で溜息を付いた。

「兎も角、今分かっている情報を整理しよう。」

タルタロス探索のメンバーのリーダーだけではなく、最近は二年生トリオの纏め役としての立場も板についている奏夜が立ちあがり、話を戻した。

奏夜が纏める事件の無い様は以下の通りである。

【5月30日初めての事件が発生。その直後、まったく同様の事件が二度も起こる。】

【三人とも同じ状態で見つかった事から何らかの繋がりがあると思われる。】

「怪談と同じシチュエーションで三人とも病院送りになったら、騒がれるのも当然だね。」

その一言で場の注目を集めると、奏夜はゆかりへと視線を向ける。

「されじゃあ、岳羽さん、君が調べてきた情報をどうぞ。」

「あ、うん。例の噂は、やっぱりオンリョウの仕業なんかじゃないよ。」

「…そこからはいるの?」

奏夜の疑問の呟きを聞き流しつつ、ゆかりは話を進めて行く。

「まず、この怪談騒ぎのそもそもの発端からだけど……紅君の言う通り、校門で倒れてた例の子の話は、確かにちょっと怪談の内容と似てし、三人も被害に有ってた。怪談と同じシチュエーションで三人も病院送りじゃ、そりゃ騒がれる訳です。」

ゆかりはそこで一拍置くと頷き話を続ける。

「被害にあった三人はクラスがバラバラで、一見何の関係もないみたいに思えます。でも実は、水面下に共通点があったの。その意外な共通点とは何でしょう?」

「何なんだよ、このノリ。誰のマネなんだよ?」

「多分、君が原因だと思うよ、順平。」

思いっきり、答える様に促されている順平がそんな事を言うが、奏夜が冷静な一言で切り捨てる。

「つか、紅。お前答えろよ。被害にあった三人の共通点。調べたんだろ?」

「まあね。被害に有った三人は、三人ともよく家出していた。しかも、付け加えて言うなら、世間一般ではそれほど好ましく思われていないグループと夜明かし遊びまわっている時に三人とも知り合った。」

「そう! よって、更なる真相に近付くべく、現場取材を決行することにしたからッ!」

「現場取材?」

「被害者の三人が決まって夜明かししてた溜まり場ってのがあるらしいの」

ゆかりの言葉に疑問を込めた奏夜の呟きが零れると、付け加える様に彼女の説明が続けられた。そして、その言葉を聞いた瞬間、順平の顔に怯えの感情が浮かんだ。

「そ…それって、ポートアイランドの路地裏の……。」

「ああ。あそこか。」

「なんだ、二人共知ってるなら話は早いじゃない。」

「そうだね。それで何時「ヤバイって、あそこマジ荒れてんだから! つか、そこまでする必要あんの実際!?」…って、順平…嫌なら来なくても良いよ。」

一度だけちょっした用事で、件の路地裏には入った事も有るが、そもそも今更、人間相手に怖がるほど生易しい人生は送っていないのが、【紅 奏夜】と言う人間だ。まあ、それでも順平には十分怖いのだろう。

「じゃ、決まりね。」

『決まり』とは言われても、奏夜も賛成していないし、順平は思いっきり嫌がっているのだが…ゆかりは無視して話を進めて行く。

「なんで、ユーレイはダメで、こう言うのはアリなんだか。」

「ダメとか言わない! 見えない物は誰だって気味悪いでしょ!?」

「そうかな? 見えないだけなら、害は無いし…。」

「ってか、見える方が怖いでしょうが! バットとか光モンとか!?」

一人文句を言っている順平の方を奏夜がポンと叩く。

「大丈夫、光物もバットもこっちにも有るからさ、それを持っていけば安心だよ。」

サムズアップと共にそう宣言してくださいました、この主人公。確かに様々な武器(物騒な代物)を現役の警官に販売(横流し?)して貰っているのだ。…一般の人間のそれよりも何倍も恐ろしい代物を持っているのだが…。

「「そんな物、持ってける訳ないだろーが(でしょう)!!!」」

順平とゆかりのツッコミが奏夜へと突き刺さる。

そんな街中に…タルタロスに潜るつもりで完全武装して行ったら、間違いなく警察のお世話になってしまう事だろう。

そして、奏夜のボケに対してツッコミを入れた後ゆかりは表情を引き締める。

「私達、今まで先輩に言われたまんま動いてきたでしょ? 『このままでいいのかな?』って、そう言う風に思わない?」

最初から不信感全開ながら、ゆかりにそう言われて思い浮かぶのは、不信感の原因となっているキバに対する発言。

「…確かに…そう思うね。」

「や、そうかも知んないけどさぁ……そこで真顔かよ、ズリィなー。」

話の主導権は今は完全にゆかりの手の中にあり、奏夜も彼女の意見に賛同していた。もはや、順平に逃げ場は無い。

「…順平、嫌なら来なくてもいいけど?」

「そう言う訳にはいかねぇだろ!」

奏夜の言葉にそう返した事で順平の参加も決定してしまった。

(…岳羽さんも何か有るのか…?)

額面通りに捕らえる事も出来るが、彼女の言葉は捕らえ様によってはこう捕らえる事も出来るのだ。………『利用されるままで良いのか?』と。

確実に美鶴達は何かを隠しているのはキバに対する言葉からも明らかだ。考えれば考えるほど思考は悪い方向へと向かって行っている。そう…美鶴達は『何か重大な事を隠しているのではないのか?』と言う考えへと…。

(…しかも、それには間違いなくキバ(父さん)が関係している…。もし…もしそうだとしたら…キバ(紅 奏夜)は貴方達の敵になる。)

何処か暗い決意と共にそんな事を思うのだった。

さて、翌日の夜、先日の話の通り、奏夜達(二年生トリオ)は話しに有った現場へと向かっていた。

実際、奏夜も現場へ向かう事に関しては気が向かなかったのだ。その理由は順平とは違う所に有る。はっきり言って、普通の人間等変身しなくても十分過ぎるほど相手に出来る自信は有るのだから。

だが、そう簡単に話しが進むとは思っていないし、最悪の場合は物理的な手段に訴えて情報を聞き出す危険が有るのだ。護りたくも無い相手とは言っても、無意味な争いは奏夜の望む所ではないのだから。何より最大の理由は別の所に有る。

もっとも、反対2・賛成1となっても、ゆかりが勝手に一人で向かうと言うのは、先日の一件から容易く想像できるのだから、諦めて同行する事にしたと言う訳だ。

(…いや、岳羽さんの事は次狼さんに任せるべきだったかな…? 雰囲気的に似合いそうだし…。って、いや、そう言う訳にも行かないか…やり過ぎちゃいそうだし。)

色んな意味で信頼している四魔騎士(アームズモンスター)達の一人の事を考えながら、無言のまま路地裏を歩いている奏夜でした。

彼にして見れば、重ねて言うがこの程度の雰囲気で怖がる様な生易しい人生など送っていない。

「ヤベェ…これはヤベェ。」

「ヒビんないでよ。」

未だに往生際悪くブツブツと呟いている順平を呆れた様にゆかりが言う。

(…本当に…嫌な“音楽”…いや、雑音だな…。)

『ちょっとオマエらさ遊ぶとこ間違えてんじぁねぇの?』

そんな声が聞こえてきた時、奏夜がそちらへと視線を向けると、ここの常連だろう者の一人が声を掛けてきていた。

「あ…いや、別に…。」

明らかに何処から見ても怯えていると言う事が丸分かりな態度で応える順平に対して思わず、内心頭を抱えてしまう。

その順平の様子を見た常連達が、顔を見合わせてゲラゲラと笑っている。

(…耳障りだな…。…適当に黙らせようかな?)

思わずそんな危険な考えへと至ってしまうが、軽く深呼吸をしてそれを自制する。叩きのめした所で罪悪感など沸かない…この不快な雑音を消せるならばと言う誘惑に負けそうになるが、理性で誘惑を押さえ込む。

「オマエらみたいのくっとシラけんだろ…。帰れよ、ヒゲ男君。」

「っ!?」(…プッ…ヒゲ男…ダメだ…今のは笑いそうになった。…流石に拙いからね、笑ったら…。)

怯えている順平とは逆に必死に笑いを堪えている奏夜だった。…その爆笑の原因が彼が呼ばれた『ヒゲ男君』の一言である。

「ヒゲ男…。あ、あー、オレのことっスね。」

怯えた様子で応えている順平を横目で眺める。明らかに会話の主導権を握られている。そもそも、敬語などを使っている時点で完全に相手より下であると言う事を自分で宣言してしまっているのだ。

(…その感情の1割でいいから、シャドウに向けてくれないかな…本当に。)

思わずそう願ってしまう奏夜だった。ニ回連続の無謀で無意味な特攻を(強敵相手に)続けている順平に頭を悩ませている奏夜としてはある種当然の考えなのだが。

「ここ来るのに、なんで、アンタの許可がいるワケ!?」

「ちょッ、おまッ、バカかよッ! お前あれかッ!? 空気詠み人知らずかッ!?」

「なにそれ……ていうか、こんな連中にビビんないでよッ!」

相手に噛みつくゆかりを止める順平。今回ばかりは順平の行動は間違っていない…もっとも、止めた所で意味もないし、言っている事は意味不明だが。

(…岳羽さん、相手を挑発してどうするのさ?)

「あちゃー、何? このナマイキちゃんは? ヒゲ男君も大変だ、こんなアグレッシブなコと一緒だと…。サッ!」

「ぐ…。」

「順平!!!」

順平の腹に拳が打ち込まれる。それによって、 崩れ落ちるように膝を付く順平に、ゆかりが声をかける。

「オメェーも生意気そうなツラだな…。」

奏夜へとターゲットを向けた男達が三人ほど彼を取り囲む様に集まってくる。

「文句あんなら言えよ!!! ああ? 殺すぞ!?」

奏夜へと詰め寄っていた男の姿が消えた。正しくは完全に意識を失って地面を転がり、倒れていた。

 

「………っ!?」

周囲の驚愕の感情が伝わってくる。奏夜は恐怖さえも感じさせる…美しい笑顔を浮かべながら、初めて口を開く。

「じゃあ、言わせてもらうけどさ…。少し黙っててくれないかな? 不愉快なんだけど。」

理性を総動員して気絶する程度に止めておいた一撃を放った奏夜は微笑みながら、その場に位置する絶対的な上位者として、“王”として宣言する。

「…でないとさ…殺すよ。」

微笑んでいるが、その目は笑っていない。

(…あれは…“誰”?)

そんな奏夜を見てゆかりはそう思ってしまう。その場に立つのは間違いなく、紅奏夜だ。だが、それは本当に奏夜なのだろうかと言う恐怖にも似た疑問。

『その辺でいいだろ…?』

聞き覚えの有る声が聞こえてきた瞬間、奏夜の纏っていた雰囲気が霧散し、彼の意識は正気へと戻る。そこへと視線を向けると、そこには明彦の見舞いに病室を訪れた時に出会った少年の姿が有った。

「知らねぇで来てんだ、俺が追い出す…。いいだろ…そんで。」

「な、なんだテメェーは、荒垣とかいったか! ここの常連のクセして邪魔しようってのか!? ああーっっっ!!!」

意識を取り戻した男が立ちあがって荒垣と呼んだ少年へと殴り掛かるが…

「メンドくせぇ…。」

『ゴッ』と言う音が響くと動じに再び男の体が弾き飛ばされた。余計な痛みを与えず気絶する程度に手加減した奏夜とは違い…それらの配慮がない一撃…確実にそれは痛みと言う点では奏夜のそれよりも大きいだろう。

(…強いな…あの人。)

それを眺めながら奏夜はそう考えてしまう。ケンカでは間違いなく、彼は自分よりも強いと確信する。

「テンメェェェェェエ! 『荒垣 真次郎』とか言ったな…。今三途の川渡ったぞ…。テメェ等、ただで帰れると思ってんのか!?」

「あ?」

「なに?」

睨みつける荒垣と目が笑っていない微笑みを浮かべる奏夜。それを見た男の対応は…

「…いえ、なんでも…。」

尻尾を巻いて逃げ出すしかなかった。荒垣は奏夜達へと向き直り、

「帰れ、おまえらの来るトコじゃねぇだろ。」

「ま…待って!」

「ええ、ぼく達は知りたい事が有ってここに来たんです。えーと、荒垣先輩でいいんですよね?」

ゆかりの言葉を補足する様に付け加えると、荒垣は

「…お前等、アキの病室に居た…。アキに言われてきたのか?」

「いえ、ぼく達は…。」

自分達を見て明彦の事に考えが至った荒垣に奏夜は自分達が自分達の判断だけでここに来た事を告げた。

「…まぁいい。知りたい話ってのは、例の“怪談”とやらか?」

「はい。」

「噂だ。病院送りになった女どもがタムロって話してた…。“山岸”ってヤツを色々イジってるってな。」

「山岸って……E組の『山岸 風花』? あいつ、イジメに遭ってたのか……」

その名前には三人とも聞き覚えが有った。明彦に教えられた新しいペルソナ使いの名前だ。体が弱く、戦闘に参加するのは難しいと聞いていたが…。

「おかげで騒がれてるぜ、犯人は…。その山岸の“怨霊”だとかな。」

「山岸さんの…。」

「…オンリョウ…それって、どう言う意味…。」

「お前等…知らないのか? もう一周間かそこら家に戻ってねぇって話しだ。」

荒垣の言葉を聞きながら、奏夜は自分の推測と彼の言葉を組み合わせて新しい推測を打ち立てていく。

「その山岸ってやつ死んでるかもって。」

「「「っ!?」」」

「ハァッ!? いや、オレぁ病気だとかしか聞いてねっスよ!」

「入院してるとかじゃないんですか? 真田先輩、山岸さんは病院に来てたって…。」

「いや、そんな話は聞いてねぇな。ってか、毎日通ってるお前らがなんで知らねぇ?」

荒垣のその言葉に三人とも思わず驚きを露にしてしまう。荒垣のその言葉は、それ程の衝撃を持っていたのだ。

「どうなってんだ! 山岸って確か病気だって…。ってか、行方不明ってことじゃねぇか!?」

「……妙だ……。」

「これはもう“怪談”なんかじゃないよ。何が…どうして?」

行方不明になって、一周間も家に戻っておらず、入院している訳でもなく、死んでいるかもしれないという噂まで流れている。

だが、奏夜の頭の中に有るのは、同じ学校で情報を調べていた際に何一つ彼女の行方不明に関する情報が入ってきていないという事実。

「…岳羽さん…E組の担任って誰だっけ?」

「確か江古田だよ……。って、まさか!? でも、アイツが隠したって証拠は?」

「大体想像できる。問題を起されるよりも今回のは、自分にとって拙いとでも思ったんじゃないかな? だから、問題を隠蔽していた…『生徒の将来を考えて』とでも言ってね。」

行方不明という事を隠して何事も無いようにしてしまっていた。だから、学校では噂さえも聞かなかった。

「…そうか、アキのヤツ、あの日できなかったことの“代わり”ってか? …ったく過去を切れねぇのはどっちだってんだ?」

「どうしたんですか?」

奏夜が疑問を浮かべ彼にそう問い掛けるが、「なんでもねぇ。」と返す。

「知ってんのはそれだけだ。もういいか?」

「はいっ! お世話になったッス。」

「ありがとうございます。助かりました。」

「ありがとうございました。…荒垣先輩、優しいんですね。」

そう続けた荒垣に三人とも頭を下げて礼を述べる。そして、奏夜が最後にそう付け加えると、睨まれてしまった。

その翌日、行方不明になった山岸風花の件について、奏夜達が江古田と言う教師を問い詰め様と職員室に向かうと、彼等に先んじて美鶴が来ていた。既にそこには江古田と言う教師と、ゆかりが見たイジメを行っていた生徒の一人、『森山 夏紀』もそこにいた。

「さて…大まかな事情は聞いてるが…山岸風花をどうしたんだ?」

「違う!!! …違うのよ、こんな…。こんなことになるなんて…思わなかった…。」

美鶴がそう訪ねると、夏記は顔面を蒼白に染め、体を震え上がらせながら語り始めた。

「ちょっと突っついただけで、いつも世界の終わりみたいな顔をすんだ。すぐわかったよ。コイツ優等生のクセに根っこアタシらと同じ弱い人間だって…。何処踏んづけときゃ立てないか…アタシには丸分かりだった。」

「なるほど、だから遊んで見たか…。君が遊びのつもりでも、相手にはそうじゃない。実際、今はとり返しのつかない事になりかけている…君の責任でね。」

何時もの彼からは想像できない冷たい言葉と視線で奏夜は吐き捨てる様に言いきる。そして、視界に入れる価値も無いとばかりに横目で江古田と言う教師を睨みつける。

先ほどからこの教師はヘラヘラと笑みを浮かべながら、夏記を弁護する事を言い続けている。…自分が山岸風花を行方不明に仕立て上げたと言う事を自白済みだと言うのに。案の定、奏夜の考えの通り、『生徒の将来を考えて』と言う言い訳で。

(…本当に不快だな…。)

少なくともこの教師の音楽も消してしまいたくなる程の不快感を奏でているのだ。奏夜が危険な事を考えていると、夏記は山岸が行方不明になる直前に行った事を話し始めた。

「あの日もほんの遊びのつもりだったの…5月29日…風花を体育館に連れてって、外から鍵かけて……。」

「閉じ込めたっつーことかよ!!」

激昂しながら順平がそう叫ぶ。それを美鶴が押さえる。

「夜中んなって、自殺とかされるとマズいからって、マキが一人で学校行ったんだ。でも、マキ帰って来なくて…翌朝…。」

「校門で倒れてるのが見つかった。…か。」

続けて告げられた言葉にゆかりがそう言いきる。

(…ペルソナ使いで、影時間の学校…。消えたのはタルタロスにか…あのシャドウの巣の中に何日も…。)

影時間以外の時間帯にタルタロスはどうなっているのかと言う疑問も有るが、間違いなく飲まず食わずで人間が生きていられる限界を越えているのではないのかと考え、彼女の生存は絶望的だろう。

(…今夜、キバに変身して体育倉庫で待機しておくか…キバの鎧を纏っているなら、一人でも脱出も可能だし…最悪。)

今回の事件に関する推測は奏夜と美鶴…二人共、タルタロスとシャドウ…この二つを原因として浮かび上げていたのだろう。予想外な点は一周間も山岸風花が行方不明だと言う一点のみ。

「風花をださなきゃって体育館行ったらまだ鍵が掛かったまんまで…。ヤバイって、すぐ開けたんだけど、そしたら風花!!!」

「消えていた?」

「……アタシら、みんなビビって、次の晩から夜な夜なあの子を探しに行ったの……でもその度、行った子が帰って来なくて……みんな次々、マキみたいに……!」

マキと言うのが最初に発見された犠牲者の事だろう。

「あの病院に運ばれた君の友人について何か気付いた事はないか? どんな細かな事でもいい?」

「………。“声”だ。」

「「「“声”?」」」

犠牲になった少女達は全員謎の声を聞いていたと言うのだ。…その謎の声の主は恐らくはシャドウの物。シャドウの声を聞き影時間の中に誘い込まれて…襲われたのだろう。

「「なるほどな(ね)。」」

声を揃えてそう言うと、美鶴と目が合い頷きあう。推測は確証へと至った。そして、まるで何かに操られた様に今日は満月…試練の時だ。

勝負は今夜…『山岸風花救出作戦』決行決定。

キバット「って、今回はオレ様の出番がねぇ!!!」

…すみません…;

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