第一夜
『巌戸台。本電車は巌戸台に到着しました』
十一時五十五分……予定よりも三十分程遅れて付いた電車から溜息を付きながら、イヤホンを付け小さな鞄を持った少年が駅の改札口を抜ける。
「……ギ…ギリギリだよ……。もう少しで『時間』が来る所だった」
「良かったな~奏夜、あの時間が来る前に着いて」
鞄の中から顔を出した『それ』は少年『
「ん~、そうだね、キバット。一時間も無駄に過ごすのって、退屈だしね」
奏夜が言葉を返すと鞄の中に入っていたヴァイオリン型の巣箱から赤い瞳、額に緑の宝石、黄色と黒の二色の羽を持った少し大きい丸い蝙蝠(?)が出てきて奏夜の周りを飛び回り彼の肩に停まる。
「ふぅ。あ~……やっと外に出られたぜ」
よほど窮屈だったのだろうその蝙蝠『キバットバット三世』は奏夜の肩に降りると同時に安堵の息を吐く。
目的地の駅から出ると、奏夜は転校先の学校で有る『月光館学園』の学園寮までの地図が書かれた紙を見つめる。以前まで暮らしていた街とはいえ、それは既に10年も前の話、地図を頼りにしなければ寮に辿り着くには更に時間がかかりそうだった。
明日は不運にも転入初日なのだ。初日からの遅刻は避けたい所であり、明日に備えて寮に着いたら直に寝てしまおうと考える。幸いにも『一時間』以内に着ければ『まだ十二時には到着出来る』のだ。
そんな事を考えていた瞬間だった。
街が静けさによって支配された感覚が彼等を襲う。周囲の時間が全て凍結したかのような感覚。先程まで自分の耳へとクラシック音楽を流していたオーディオプレーヤーすらも止まっている。
それだけではなく景色は緑色に染まり、地面には怪しい血のような跡が現れる。
そして、何よりも異様を放っているのは、魔が増して全てを吸い込むような魅力を得た月と、『棺』へと変化した人間の姿だった……。
「やれやれ、いい所だったんだけどな」
奏夜はそんな事をぼやきながら音楽を流さなくなったイヤホンを外すと、空を見上げ空に浮かぶ月を見上げる。その、魔が増した魅力を得た月の妖しい美しさに微笑みさえも浮かべている。
「それにしても、ここに帰ってくるのも十年振りか……」
歩き出すと同時に奏夜は感慨深くそんな事を呟いてしまう。
「なんだ、懐かしいのか?」
「……十年前だし……はっきり言ってさ、実感無さ過ぎるね…。キバットは?」
「ああ、オレ様は懐かしいぜ。ここには
「そう」
キバットの言葉に奏夜は黙り込む。自分にとって兄の様な存在で有るキバットから何度も聞かされた父の話、父で有る先代『
「……気を付けろよ、奏夜。奴等が消えた事と、この時間は絶対に何か関係してるはずなんだ。それに……」
「ああ、分かってる。ここには奴等とは別の『敵』も存在してる」
そう呟き奏夜は世界に有る闇を睨み付ける。その瞬間、そこで何かが蠢き自分達から逃げ出していく気配を感じる。
父が戦っていた敵である『奴等』とは違う『敵』……前に住む街でも自分が父から受け継いだ『力』を試す為に戦ってきた敵がここにも存在している。
そして、ここに居る奴等は以前の場所とは違い数も多く自分に隙が有れば直にでも襲い掛かってくるだろう。
そして、奏夜は静寂と妖しき月光、棺桶、そして彼へと向けられる敵意に支配された街を歩き続ける。
「さて、目的地に着いたようだし、オレ様は隠れるとするか」
そう奏夜に言葉を告げ、キバットは鞄の中に潜り込む。その中に有る自分の寝床であるヴァイオリン型の棺桶の中に入ったのだろう。
そう彼等は『目的地』に到着した。『月光館学園 巌戸台分寮』へと…
洋風の館を思わせるその造りに思わず息を吐く。目の前に有るのは自分が想像していたよりも遥かに豪奢な寮だ。多少古臭く見えるがそれが悪くない。学生寮等もっと安っぽい物と想像していたので、これ対して奏夜は驚きを隠せなかった。
「いいね~…いい寮じゃないか。」
鞄の中から顔を出し、感心した声を上げるキバットに対して、奏夜は落ち着いた態度でその造りに違わずしっかりとした扉に手をかけ、開く。
寮の中へと進んだ奏夜の視界に入ってきた内装もまた学生寮とは思えなかった。外と同じくやはり電灯の明かりはなく、僅かに差し込む月明かりに照らされるのみだったが、それが何処か幻想的な雰囲気をかもし出している。
上品な家具の数々や受付カウンターは歴史の有るホテルのラウンジを思わせる。
ソファーにでも座って時間を潰そうと考えながら周囲を見回す。この時間の中で棺桶になっていない人間が自分以外には存在しているとは限らない。この寮にそんな都合のいい人間がいるという可能性の低さからこの時が過ぎるのを待つしかないのだ。
「……遅かったね。」
「ッ!?」
ふいに掛けられたその声に振り向き、奏夜は全身を強張らせる。『受付』…そう書かれたプレートが置かれた確かに受付のように感じられるカウンターを挟んだ向こう側。そこで一人の少年がこちらを見つめていた。
(……この子供は?)
その少年は見るからに幼く、外見で判断するなら小学生くらいだろうか? 彼の姿は高等部の寮には似つかわしくはなかった。
いや、それ以前にラウンジが無人である事は先程確認した筈。そう、この少年はさっきまで確かに存在していなかったはずだ。
「長い間、キミを待っていたよ。」
「………。」
少年の言葉に奏夜は黙り込む。普通に考えればこの時間なのだから、はっきり言って十分に遅い。だが、彼は少年の言葉の意味は違うと判断していた。そして、目を閉じて、自分の判断と言葉の意味を考える。
考えが纏まらぬまま、閉じていた目を開くと少年はカウンター越しではなく、自分の前にやはり笑みを浮かべたまま立っていた。
「さて、それじゃこの先へ進むなら、そこへ署名を。」
「……署名?」
「そう、一応契約だからね。」
言われてカウンターを見ると、そこには宿帳の様な物があった。
(契約? どういう意味なんだろう? それに何で署名が必要なんだ?)
自分が今日入寮することは知られているはずだ。そうであるにも関わらず署名をしろと言う。しかも契約などと言うとんでもない事まで言われている。『自分が寮に入る手続きを忘れていたのか?』等とも考えてしまう。
「怖がらなくてもいいよ。ここから先は自分に責任を持ってもらうっていう、当たり前の内容だから。」
少年の言葉に従う様に宿帳を開く。その中に薄れていたが幾つかの名前が有るのが見えた。
それに気付かず自らの名前を書き記し、少年へと手渡す。
「書けたよ。」
受け取った宿帳らしき物を開き、奏夜の署名を確認すると少年は何処か満足そうにそう頷き、己の持つその宿帳らしき物を閉じた。
「時は、全ての者に結末を運んでくる。例え眼と耳を塞いでいてもね。」
「なにを………。」
その瞬間、奏夜は少年の背後から闇が広がっていることに気付いた。その様子に奏夜は眼光を鋭くし、相棒を呼び出そうとし、その全身に力を込める。
少年の手元から先程署名した宿帳らしき物がかき消えると同時に闇が少年を包み始める。
「キバ…!」
相棒の名を呼ぼうと声を荒げるが、闇に包まれている少年は未だに笑みを浮かべたままだった。そのまま闇が完全に少年を包み込む。
「さぁ、はじまるよ。」
そう告げるのを最後に少年の姿は完全に目の前から消えていた。『異常』そうとしか言えない状況に、奏夜は唖然としていた。
「……なにが…。」
結局、自分はどの部屋を宛がわれたのか? いや、それ以前の問題だ。そもそも本当にここが学園の寮なのかも疑わしくなってくる。
そう思ってポケットから地図を取り出し確認するが場所は間違えてはいない。
慣れている異常ではなく、今までに無い新たな異常、この寮…いや、自分の
(…ここには何かが有るか…。ぼくの知りたい事の全てが…。)
そんな事を考えて、先程まで少年が存在していた空間を見つめる。
「誰!?」
再び聞こえてきた別の声-声の質から判断しておそらく女の子と考えられる-に対して驚きを浮かべながら、その声が聞こえてきた方向を振り向く。
ポーカーフェイスこそ崩していないが、その驚きは今までの人生の中で二番目に位置するだろう。それもその筈…この時間の中で活動できるのは自分が知る限り、自分以外には存在しなかった。先ほどの子供はその異常さから普通の人間ではないと考えていた。
声の聞こえた先にいるのは一人の怯えた様子でこちらを見つめ続けている少女。ショートカットの中々可愛らしい少女で、ピンクのカーディガンを着ているが、どうやらそれは月光館学園の女子制服らしい。
(…この時間の中を生きている…?)
この時間の中で初めて見る『奴等』に引き込まれた者達以外の自分達と『奴等』以外の『生きている』存在…。ともかく、互いの事情も知らない状態では話が進まないと考え、自分が今日この寮に来る予定の者と説明しようと彼女の姿を視界の中に納めた瞬間、もう一つの驚きが浮かんでくる。
(拳銃!? ここって日本だよ、アメリカとかじゃなくてさ。)
心の中で思い切り叫ぶ。彼女の足に付けられたホルスターに収められたそれは、確かに拳銃だった。残念ながら暗い室内では本物か玩具かの判断は付けられないが。
少女は依然としてこちらを怯えた目で見つめ続けている。その様子は冷や汗を流し、呼吸も荒く、震える少女の右手が足のホルスターを彷徨っている。それを見て奏夜はあれが本物と確信する。
(どうする?)
父から受け継いだ力は銃を持った程度の普通の人間等は相手にならないが、普通の人間相手に使う訳には行かず、その為にキバットも呼べない。
判断を誤らぬ様に、相手の僅かな動きも見逃さない様に少女を見つめ続ける。力を使っていない今、背を向けるのははっきり言って自殺行為。だが、自分の力を使う事が出来ないのは分かる。
相手が自分から少しでも意識を逸らした瞬間、何とか取り押さえ様と考えながら、身構えて、彼女を観察し続ける。
「待て、岳羽!」
新たに聞こえたその声は奏夜と少女の二人の動きを完全に止めた。彼等を止めた凛としたその声の持ち主を二人は同時に見る。
少女の後ろから現れたその声の主、その声の主も少女だった。ウェーブのかかった赤く長い髪を揺らしながら、奏夜へと歩み寄る。先に現れた少女と比べると大人っぽく、雰囲気もそれに応じて威厳めいたものを感じる。同じ学校の制服に身を包んでいる様子から、恐らくは上級生なのだろう。
「桐条先輩。」
安心した様に息を吐き、栗色の髪の少女が現れた人物-桐条先輩と呼ばれていた-を見つめる。
(桐条?)
(おお~…いい女じゃないか、『ジャンヌの肖像画』みたいな。)
奏夜はその桐条という名前に覚えがあった。桐条という名は世間でも多く知られる程の家だという事を奏夜も一般常識として知っているというだけの事だ。
彼女を見てどうでもいい感想を思っているキバットは置いてといて、その『桐条先輩』という人間の登場により、場の空気が柔らかいものへと変わる。
すると『あの時間』が過ぎ去ったのだろう、ロビーの中に強く明かりが広がった。天井を見れば、先程まで消えていた電灯が光を放っている。ついでに耳にかけたままだったヘッドフォンからもクラシック音楽が流れ始めていた。
「到着が遅れたようだね。」
桐条の言葉に溜息を吐きながら頷き、
「ええ、乗ってた電車が信号機の故障で立ち往生してました。連絡入れようかと思ったら、携帯のバッテリー切れちゃって。」
予定ではこの時間を警戒してもっと速く着くはずだったのだが…。
「そうか、それは災難だったな。しかし無事に到着して何よりだ。そういえば自己紹介がまだだったな。私は桐条美鶴。この寮に住んでいる者だ」
奏夜が自己紹介を返そうとしたところ、少女がちらりとこちらへ視線を向け「……誰ですか?」と口を挟んできた。少女の質問に美鶴は一つ頷き、言葉を続ける。
「彼は『転入生』だ。ここへの入寮が急に決まってね……。いずれ、男子寮への割り当てが正式にされるだろう。」
「……いいんですか?」
美鶴の言葉に少女が眉根を寄せる。しかし美鶴は瞑目して「……さぁな。」と答えを濁すような感じを見せた。
その様子を見ていた奏夜も眉根を寄せる。自分がこの寮へ入寮することになることは伝わっているようだが……それならばこの反応は一体なんだろうか。
「彼女は岳羽ゆかり。この春から2年生だから、君と同じだな」
美鶴が傍らの少女──ゆかりを紹介する。ゆかりはこちらに向かって「岳羽です。」と言って一礼をした。
「紅奏夜です。よろしく。」
その様子に奏夜も自分の名を告げて頭を下げた。
「今日はもう遅い。部屋は2階の一番奥に用意してある。荷物も届いているはずだ。すぐに休むといい。岳羽、彼を部屋に案内してくれ。」
「は、はい。」
美鶴の言葉にまだ奏夜に対する警戒心を残しながら答えるゆかり。奏夜は部屋へ案内すると言ったゆかりの後を素直についていくことにした。
階段を上がっていき2階へ着くと、廊下を歩きながら辺りを見渡す。かなり部屋数が有るが生活観が感じられない部屋が多く感じてしまう。そんな事を考えていると、やがて奏夜に宛がわれた2階の一番奥の部屋の前へと辿り着く。
「この部屋だね。一番奥だから覚えやすいでしょ?」
「うん、分かり易くて迷わなくてすみそうだよ。」
ゆかりの言葉に対して奏夜は微笑を浮かべながら答える。するとゆかりの表情が少し緩んだように思えた。今まで緊張していたらしい。
(……まあ、いきなり拳銃突きつけられそうになったんだしね。)
すると、こちらも今まで忘れていた事実を思い出す。あの拳銃はなんなのか? まさかとは思うが侵入者に対する自衛の為に手渡されているのだろうか。幾らなんでもそんな事は無いだろうとその考えを否定する。
「あ、鍵は失くさないでね。すごい怒られるから。」
「うん…分かった。」
「えっと、何か訊きたい事ある?」
何かを考えていた事を悟ったのだろう、尋ねてきたゆかりに早速銃の事を訊こうとするが、すぐに考えを変え、
「この寮に子供って居る?」
銃の事ではなく、最初に寮を訪れた際に遭遇した少年の事を尋ねる。ゆかりが銃を所持していることも異常だったが、それよりもいきなり現れ、そして消えたあの少年の方が異常だったからだ。
「え、子供?」
だか、彼の言葉にゆかりは目を丸くして、
「……誰の事? ちょっと、やめてよ、そういうの……。」
恐らく『そういう話』と勘違いしているのだろう、少し怯えを含んだ様子で答える。
「誰…って……。」
この寮に入った時の事を説明しようとも思ったが、奏夜はゆかりの反応を見てそれを止める。彼女の反応ははっきりの言って幽霊のような物に怯える雰囲気に似ている。
その事から嘘を吐いている訳ではなく、彼女は本当にあの少年の事を知らない様子だった。顔色も陰りを見せている事から、間違いなく、その手の物が苦手なのかもしれない。しかも、あの少年と会った時の状況から考えると間違いなくその手の話と間違われる。
「……あっ、ごめん。僕の勘違いみたいだった。」
そんな意図は無かったのだが結果的に彼女を怯えさせてしまった非礼を詫びる。だが、ゆかりはまだ不安なのだろう「……そう。」と言って顔を俯かせた。
だが、奏夜は彼女の反応から考えてあの少年の事が気になっていた。『彼は一体何者だったのだろうか。何故ここに……いや違う……彼は自分を待っていたのだ。彼は何故…自分を待っていたのだろうか……?』そんな考えが奏夜の頭の中に浮かんでは消えて行く。
(……やめておこう。今は情報が少なすぎる。)
軽く頭を振り、考えを霧散させる。今の自分が持っている情報は少なすぎる。それでは、正確な答え所か、満足の行く答えにさえもたどり着く事は出来ない。誤った考えは真実をもっとも曇らせる物なのだ…。故に今はまだ考えるべき時ではなく、情報を集めるべき時なのだ。
「あの……ちょっと訊きたいんだけど。」
「何を?」
「駅からここまで来る間、ずっと平気だったの……?」
彼女の言葉に緊張が走る。
『ずっと平気だったのか?』……その質問の意図は一つ…自分とキバットが体験しているあの『異常な一時間』の事だろう。人々が消え去った街とそこに蠢くモノ達、そして、奴等に餌として引き込まれる者達と無数の棺、彼女も自分達と同様にあの時間を経験しているだけでなく、異常さも認識している。ならば、間違いなくあの時間に存在する『敵』の事も知っている可能性も有る。
自分にとっては平気と言える世界、キバットと一緒に行動している限り自分には危険は無いとは言え無いが、ある程度の安全は確保できる。だが、その事を告げる事は出来ない。故に彼の答えは。
「別に何とも無かったけど。」
自分の考えを表に出さず表情を変えずにそう言いきる。それは何も知らない一般人の反応としては妥当な所だろう。
「そっか。なら、いいんだ。ごめん、気にしないで。」
じゃ、行くねとゆかりがその場を去ろうとした時、彼女の方から立ち止まり、
「あのさ……色々と、分からない事あると思うけど、それはまた今度ね……。」
「分かった。」
それで納得がいった訳はない。だが、今のゆかりに尋ねた所で彼女は間違いなく話してはくれないだろう………少なくとも今は。
それが分かる故に、「おやすみなさい」と言って部屋を出て行くゆかりに「おやすみ」と手を振って返した。
部屋の電気を点けて室内を見ると、その部屋は悪くなかった。広さがあり、家具も一通りは揃っている。部屋の隅には事前に送っていた荷物が届いていた。それを確認すると鞄に顔を近づける。
「キバット…まだ出てこないで。」
『オッケー。しかし、どうなってんだかな。』
届いていた荷物を広げながら、その幾つかを一つ一つ置いていく。最後にヴァイオリンを部屋の一角に飾り大まかな荷物の整理は完了する。後は小物や着替え等の荷物だけだが、それらは全部明日に回す。
そして、壁の一角に片手を置くと鞄の中からヴァイオリン型の棺を取り出してその壁の直傍に置く。
「キバット、ここに最後の一つが仕掛けられているから外に出る時は気をつけて。」
「おう。それにしても、不便だよな。」
奏夜の言葉に答えてヴァイオリン型の棺から飛び出し部屋の中を飛び回り、再び棺に降りる。
「メンド臭。」
「そう言わないでよ、キバット。その内ポスターとか貼って隠すから。」
「おう、任せたぜ、奏夜。」
文句を呟くキバットにそう答えて、奏夜は着ていたジャケットを脱ぎ、部屋の電気を消してベッドへと寝転がる。
今はただ眠るのみ、明日からは学校が有るのだから休息は取るに越した事は無い。全ては明日からだ。
奏夜の意識は目を閉じると直ぐに眠りへと落ちていったのだった。