ペルソナ Blood-Soul   作:龍牙

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第二十八夜

7月11日…

ホテルでの法王(ハイエロファント)恋人(ラヴァーズ)の大型シャドウと戦った時から四日後の11日の作戦室…奏夜を含めるS.E.E.Sの面々が報告の為にそこに集まっていた。

「以上が七日に行った作戦のあらましです。」

「ふむ。イクサシステムも、上手く機能してくれたお蔭で安心したよ。間に合うかは解らないけど、前回の戦闘データを元に強化も考えておくから、楽しみにしていてくれ。」

そう言った後、幾月は一息入れ、

「さて、これまでの調べでシャドウが12のカテゴリーに分類できるのは前に話したよね。」

美鶴からの報告に頷き幾月はそう告げる。

「確かタロットカードの『Ⅰ』から『ⅩⅡ』…『魔術師(マジシャン)』から『刑死者(ハングドマン)』まででしたよね。…って、そのカテゴリーに無いのが、一体だけ居ませんでしたっけ…恐ろしいのが…;」

幾月の言葉に補足する様に告げた後、奏夜は以前のタルタロス探索で『あるシャドウ』から必死になって逃げた記憶を思い出す。

タルタロスのその階層に存在するシャドウの中で異質なまでに強大な力を持ち、今まで確認されたシャドウのどのカテゴリーにも当てはまらず、前に立つだけで…否、同じ階層に居るだけで『死』を突きつけられた様な恐怖を感じさせられた相手。影時間の中で死を告げる『ⅩⅢ』のカード『(デス)』のカテゴリーに分類された死神の事を思い出してしまった。

見れば、その時タルタロスに居なかった順平を除いて全員の顔色が悪くなっている。

奏夜のポケットの中に居て、その気配を感じたキバットのコメントでは

『奏夜、あいつとだけは絶対に戦うなよ。あいつは、最低でも『チェックメイトフォー』のビショップ…いや、ルーク並だ。』

チェックメイトフォー…チェスの駒である『キング』、『クィーン』、『ビショップ』、『ルーク』の称号を与えられたファンガイア達からなるファンガイアの中に存在する最強のファンガイア達を指す。そのどれもが強大な力を持ち、ルーク…ライオンファンガイアはたった一人で次狼を除きウルフェン族を絶滅させたほどの力を持つのだ。

それが最低ラインの強さと言う事は…それ以上の力を持っていると言える。キバの鎧を持っても勝ち目は浮かんで来ないほど強大な敵だろう。

「ま、まあ…それは例外って言う事で…。」

「そ、そうですね…。」

そして、幾月は沈黙を破る様に一度咳払いし、

「兎に角だ。推測するにこれは満月に出る大型シャドウにも当てはまるみたいなんだ…。…だから。」

「あと六体ですね。」

「…今月の作戦で丁度半数を倒した…って訳か。」

そこまでの言葉から幾月の言おうとしている事を理解し、奏夜と風花はそう呟く。

「いやー、しかし。精神攻撃を仕掛けてくるとは中々興味深いね。よく惑わされず(・・・・・)に任務を遂行してくれたね。…って、どうしたの?」

思いっきり作戦に参加したメンバーが明後日の方向を向いていた。

「さて、今回みんなに集まってもらったのは…。」

「待ってください。」

続けられる言葉を遮りゆかりが手をあげて立ち上がる。

「この際なんで桐条先輩に聞きたい事があります。」

真剣な表情で美鶴を見据えながらゆかりはそう告げた。

「先輩、私達に大事な事を隠してませんか? “影時間”や“タルタロス”の事、分かんないみたいに言ってましたけど、あれって。」

ゆかりはそう言った後一呼吸置き、

「10年前に学園の周りであった“爆発事故”と何か関係があるんじゃないんですか? ちゃんと説明してください!」

『バン』とテーブルを叩き、ゆかりは美鶴を問いただす。

(なるほど…それが岳羽さんの調べていた事か…。爆発事故だったのは知ってたけど…岳羽さんが問い質してくれたのはありがたいかな。)

妙に黒い事を考えてしまう奏夜で有った。

父の死の真相に繋がるであろうと調べていた10年前の事だが、奏夜としてもキバの正体に繋がってしまう…または、気付かれる事に繋がる危険を避けたかったから、直接問い質す事こそ出来なかった。

だが、それらは重要な所で繋がっていない。表には出にくい関係者達しか知らない部分に隠されていると考えていた矢先に、同じ事を調べていたゆかりがその真相に近い人物に問い質しているのだから、聞かないと言う手はないだろう。

「10年前のジコ…なんスか、それ?」

順平がそんな疑問の声を上げる。ゆかりが風花に頼んで10年前の学園での出来事を調べてもらっていたのだ。それによって判明した真相は何も知らない者達には衝撃を与えるには十分過ぎる物だった。

「沢山の死者を出したって…。」

風花がノートパソコンを開きながらそう告げる。それは奏夜も知っている、『先輩』と呼んでいるライダースーツの青年に以前届けてもらった資料に有った爆発事故の内容である。

「私、色々調べたんです。幸い事故で生徒に怪我人は居なかったみたいですけど。でも、何かヘン。」

ゆかりがそう告げる。それは奏夜も疑問に思っていた事だ。その爆発は多数の人々の命を奪った。だが、幸いにも生徒は無事だった。これは当時のニュースや新聞からも知る事が出来る内容でもある。

問題はそこから先に有る内容。奏夜が噂として聞いた一件である。

「ちょうど同じ頃、同時期に何人も急に倒れて、何十人も入院してるんです。似てると思いませんか? 風花のあの時の事と。」

「………。」

ゆかりの問いに対して美鶴は肯定でも否定でもなく、沈黙と言う形で返す。

「…確かに似てますね…山岸さんの時と…。」

今まで沈黙を貫いていた奏夜もゆかりに味方する様に言葉を発した。

一度に何十人も不登校になったのだから、どうしても不登校等と言う言葉で片付けるには怪しすぎる。独自のルートで調べてみると、驚くべき事が発覚した。その生徒達は不登校ではなく、真実は突然倒れて入院したと言う事だった。

後日、風花の調べた情報と交換を兼ねて確認しあったが、間違いなかった。…寧ろ、奏夜としては風花が個人で調べたと言うのだから、驚いたほどである。

(…危なくなったら、次狼さん達の誰かを護衛につけるか、キャッスルドランの中に匿ってあげた方がいいかな?)

そんな事まで考えてしまった事も有った。

そして、そのケースには当てはまる事がつい最近…一ヶ月ほど前に身の回りで起きていた問題なのだ。

風花を苛めていた生徒達が、突然倒れて入院した。真相こそ、シャドウに襲われて、精神を食われ影人間になったのだが、10年前にも同様のケースが発生していた。それはつまり、

「それは、10年前の段階で既にタルタロスも影時間も存在していた。その紛れも無い証拠になるんじゃないですか?」

ゆかりに変わって静かでありながら、強制力のある言葉で奏夜は美鶴をまっすぐに見ながら告げる。

「10年前の事故の日。本当は何が有ったんですか!? 学園は桐条グループが建てたものである以上…桐条先輩も何か知っているんじゃないんですか、答えてもらいますよ!?」

「えっと…紅君?」

『自分達に隠している事をこの場で全て話せ』…奏夜の言葉にはそんな意思が込められていた。

学園の出資者は桐条グループであり、その桐条の娘である美鶴が何も知らない訳が無い。特にこんな荒事に身を投じて無関係な人間までも巻き込んでいるのだから、尚更だ。

そんな奏夜の表情を見て風花は心配そうな表情を浮かべており、ゆかりは奏夜の剣幕の意味が理解できず、順平は奏夜とゆかりが何を言っているのかが理解できずに唖然としている。美鶴と明彦、幾月の三人…その隠し事の共犯者と言えるであろう三人は、奏夜の言葉に気まずそうに沈黙していた。

何処かで頭に血が上ってしまっていたのだろう。奏夜は我に返るとそのまま無言のままソファーへと座り直す。

「………。私、ホントの事が知りたいんです!」

暫く唖然としていたがゆかりが改めてそう告げた。

 

作戦室の中を包むのは暫しの沈黙…。ゆかりの必死な叫びに、幾月と明彦は美鶴の顔色を伺う。二人の表情は『もう限界なのではないのか』と問い掛けている様にも見える。美鶴も一つ息を吐き、沈黙を破り口を開く。

「隠してる訳じゃない。必要の無い事は告げていないというだけだ。」

美鶴の言葉に幾月は頷き。

「…仕方ないさ。君のせいじゃない。」

「…『知る必要が無い』なんて言葉でまだ隠すというなら、ぼくにも考えが有りますよ。」

続くのは幾月の言葉と奏夜の言わないと言うのは許さないという意思の込められた言葉。その言葉に僅かに沈黙するが、やがていを決して話し始めた。

「…わかった…。全て話そう…。」

そう話を始めた。

「シャドウには様々な能力があるのは君たちも知っての通りかと思うが、研究によれば、時間や空間にさえ干渉するものもあるらしい…。私達は普段敵と思っているからあまり意識しないが、もしそれを利用できたら…。どうだ? 何か大きな力になるかもしれないと思わないか?」

「え…?」

「確かに…。」

思わずそう呟いてしまう。確かに本当にそれを利用出来るとすれば、それは大きな力と成るだろう。だが、突然そんな事を問われたとしても、奏夜の様に直に理解が出来るはずが無い。順平も風花も、美鶴を問い質していたゆかりでさえ眼を丸くするだけだ。

「今から14年前、そう考えて実践した人物が居たんだ。桐条グループの先代、桐条鴻悦…私の祖父だ。」

奏夜には聞き覚え載る名前…当然だろう。桐条グループについても調査していたのだから…。その人物がシャドウの研究をしていたとなると、少なくともシャドウは10年よりも昔から存在していた事になる。

「祖父はシャドウの力にひどく魅せられ、それを利用して何か途方も無いものを作ろうとしていたようだ。」

「途方も無いもの…?」

風花が復唱するように呟く。『途方も無いもの』…恐らくはそれが、時間や空間にさえ干渉し、支配してしまうほどの人が持つには過ぎた力ではないのだろうか? …叔父がファイガイアのキングとして過去に行っていた事ではないが、想像しただけでそれが人には過ぎたものだと言う事が理解できる。それを知ったら、かつての叔父でなくとも…自分の知る叔父や父でも止め様としただろう。…例えそれが人の命を奪う事に繋がったとしても…。

それを桐条鴻悦と言う人物がどんな目的で…何を考えて使おうとしていたのかは分からないが、どっちにしても、それが完成してしまえば、大き過ぎる力になる事だけは間違いない。

(…そんな物…人が持って良い力じゃない…。)

時を支配できる力…そんな物は人が…イヤ、何者も持ってはいけない力である。キャッスルドランの扉も精々が過去へ旅する事ができる程度の力…それが時に干渉できる限界だろう。

確かに大きな力であり、使い方次第では間違いなく世界の全てを救える力だろう。同時に世界を破滅させる事も出来る事が、簡単に想像できる。

「祖父は桐条エルゴノミクス研究所、通称“エルゴ研”を立ち上げた。そして、夢の実現の為、特別に研究者を集め、数年がかりで大量のシャドウを集めさせた。」

「シャドウを集めた!? しょ、正気かよ…!?」

思わずその言葉に順平が悲鳴を上げてしまう。その計画がシャドウを利用するのであるのだから、大量のシャドウを必要とするのは当然である。だが、問題は……その大量のシャドウを最後までしっかりと管理する事ができるのかと言う話だ。

「しかし、10年前、実験の最終段階、12にカテゴライズされ、纏められたシャドウを一つにしようとした時、暴走事故が発生。制御を失ったシャドウの力によって、後には忌まわしき痕跡が残る事になってしまった。」

「…それが…影時間と…タルタロス…。」

「その通り…“影時間”と“タルタロス”だ…。」

奏夜の言葉を美鶴が肯定する。最早誰も言葉は無い。タルタロスも影時間も桐条グループ…いや、一人の人間がシャドウの力を利用しようとした挙句に、それが失敗し作り出されてしまった。そう言う事だ。忌まわしき痕跡と言う他ないだろう。

「記録では、集められていた12のシャドウは分かれて飛び散り、“消失”したとある。満月の度にやってくるのは、この時のシャドウだ。」

「待ってください。今の話が本当なら、まさか…。実験をやった場所って…!?」

既にゆかりの声は悲鳴に近いだろう。実験をやった場所…そんな物は考えるまでもなく…

「…月光館学園…。」

「その通りだ。紅の言うとおり、実験の場所は10年前の月光館学園だ。傘下に有って人が集まり、最も好きなように出来る場所…。ポートアイランドは最適だったんだ。」

「じゃあ…ウチの生徒が一気に入院したのも…。…それじゃあ、この部の活動って…。無関係の私達を使ってそのときの後始末ってこと!?」

そう、全てがゆかりのその言葉に収束する。満月の夜…ファンガイアに姿を変えるシャドウも全ては実験の為に集められた物が逃げ出した物…。

(…それじゃあ…父さんが…母さんが死んだのは…全部…。)

その事故と両親の死が関係しているのは今まで調べた事で分かっていた。

「何それ!? これじゃ私達、都合よく利用されてるだけじゃない!?」

「どう取ってくれてもいい…。黙っていたのは確かに私の意志だ。…しかし、筋道よりも君等を確実に引き入れる事の方が私には大切に思えた。」

ゆかりの叫びに美鶴は至って冷静にそう言葉を返す。

そこから先の美鶴の言葉は奏夜には聞こえていない。

「理不尽だろうと戦えるのは私達“ペルソナ使い”だけだからだ。」

「今更…!」

「それに私には…力を得るかどうか選ぶ余地などなかった…。私は…。」

「ふざけるな!!!」

叫び声と共に奏夜の拳がテーブルへと叩きつけられた。

「おわ!?」

「きゃ…ッ!」

順平と風花が悲鳴を上げるが、奏夜は怒りを宿した瞳で美鶴を見据えながら、

「桐条先輩…つまり貴女は、身内の不祥事の後始末の為にぼく達を利用していたって言う訳ですか…?」

「………その通りだ…弁解はしない。」

極めて冷静な美鶴のその態度が余計に奏夜の怒りを煽る。

「ぼくの父さんが…母さんが死んだのも……全部…そのバカな老人の妄執の為だったって言うのか。」

「え…? ちょっと、紅君…それって?」

ゆかりがそう問い掛けるが、奏夜はそれに答えることもなく。

「下らない…笑わせてくれる…。そんな物が貴女の戦う理由ですか…バカらしい…。まあ、これだけは理解しますけどね…身内の不祥事の後始末をするから手を貸してくれなんて、言える訳が無い…。」

そう言って、奏夜は召還器をテーブルの上へと置く。

「待て、紅!」

それが何を意味しているのか理解した明彦は奏夜を止めようとするが、

「…真田先輩…。少なくとも…ぼくにとって、桐条先輩は間接的にしろ、両親の仇の身内である事が分かりました。そんな人と一緒に戦いたくはありませんし、一緒に戦う事も、ましてや、信頼する事なんて出来ません。」

そこまで言った後、一呼吸置き…

「だから、チーム全体のことを考えて、最善の解決方法として、ぼくが抜ける事にしました。貴重品だけは持って行きますけど、大きな荷物は後で取りに来ます。」

そう言って奏夜は作戦室を出ようとする。

「待ってくれ、紅君。それに、岳羽君も。」

部屋を出ようとする奏夜の背中に掛けられた幾月の言葉に奏夜は足を止める。

「罪は“過去の大人達”にある。そして彼等はみんな自らの行いによって命を落とした…。今はもう当事者は居ないんだ。謂れの無い後始末をしているのはみんな同じなのさ。」

「でも…。」

ゆかりは反論しようとしたが、思わず言い及んでしまう。幾月の言葉も確かに正しいと言える。

「事故から10年、シャドウ達がどうして今になって目覚めたかは、本当に分からない。でも目覚めたって事は、見つけて倒せるって事でもある。“すべてのはじまり”でも有る12のシャドウ…ヤツ等を全部倒せば、“すべてが終わる”かもしれない…。」

奏夜以外の全員が、幾月の顔を窺う。奏夜だけは幾月の言葉を聞きながら極めて冷静にその言葉を聞いていた時、一箇所気になる部分が有る。

(…“すべてが終わる”…か。戦いが終わるとは言えなくはないけど…妙に引っかかるな…。)

「さっきは話の腰を折られちゃったけど、どうだい、朗報だろ?」

それは確かに朗報だ。…シンプルに受け止めれば…だが。大型シャドウを倒してからの一時的な収束ではなく、12体のシャドウを全部倒せば戦いを終わらせる事ができる。それは、幾月に対して疑いを持っている奏夜だからそんな風に受け止めてしまっているのか、それとも…。

(…シンプルな受け止め方は止めた方がいいな…。どうしても、この人は信用できない。)

「本当なんですか!?」

風花の問いに幾月が頷き、言葉を続ける。

「確証となる記録もある。事情がどうあれ、人を守るためなのは変わらない。今までやって来たことは決して無駄じゃない。君達は“本当に”よくやってくれている。それにタルタロス自体にも謎は多いからね。事故の起こった場所に何故あんな巨大なものが現れたのか…ぼくらの知らない“答え”がきっとあるはずだ。」

幾月は立ち上がると、全ての者の顔を見つめて、力を込めて続ける。

「ここからが本当の戦いの始まりだね。」

「そうですか…。それじゃあ、ぼくはこれで失礼します。」

「え?」

幾月がその声にきょとんとした様子で見つめている。その声の主は冷たい眼差しで他の面々を見つめている奏夜だった。

「それが真実であったとしても、ぼくの意思には関係有りません…シャドウを倒すべきか否かではなく、ぼくは…貴方達が信用できなくなりました。だから抜けさせていただきます。」

そう、シャドウを倒すだけならキバの鎧が有れば十分…もう一つの仮面(ペルソナ)も必要ない。

幾月達が信用できないにしろ、大型シャドウやファンガイアタイプと戦わなければ成らないのだ。自分は自分でキバとしてシャドウと戦う…それで十分だ。

「…さようなら…。」

拒絶を込めたその言葉を残して、奏夜は作戦室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、オイ、いいのかよ、奏夜!?」

ポケットの中から抜け出したキバットが奏夜の頭の上を飛び回りながらそう告げるが、ヴァイオリンを含めた手荷物を持った奏夜はキバットへと視線を向け、

「…さあね…。少なくとも、今のぼくは桐条先輩を信頼も信用も出来ない…。どんな形にしても、戦う理由が有る以上止めろとは言えない。だったら…ぼくが抜けた方がいい…。それに…キバの力だけでもシャドウは倒せる。」

「いや、あの姉ちゃんの事が信用できないのは分かるけどよ…。」

「…リーダーであるぼくがそんな事じゃチームを危険に晒す…。だったら、今はぼくが抜けるのが最善だよ…。」

「…ったく、お前がそう言うなら、オレはもう止めはしねぇよ。」

「ありがとう…キバット。」

「気にすんなよ。でもな、フーカちゃんには謝っとけよ。」

…キバットの言葉に先ほどの行動を思い出すと…。

「…確かに…。明日謝っておくよ…。」

そう言葉を交わし、奏夜とキバットは寮を出て行ったのだった。

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