蒼白コントラスト   作:猫パン

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今回はまさかの展開!
いや違うな、待望の展開!


そして今シリーズ初の一万文字超え。


第四話

 

 

「織斑君おはよー。ねえねえ、転校生の噂聞いた?」

 

翌日、一夏は教室に入るなりそう言われる。

噂好きの女子達は信憑性のあるものないもの、関係なく大好物らしい。

 

「転校生?この時期にか?まだ4月だぞ。」

 

そう、まだ入学式から1ヶ月も経っていないのだ。そんななか転入というと、かなり難題である転入試験を受けたエリートという事になる。

だが1つ条件があり、それをパスすれば試験は免除となる。それは……

 

「なんでも、中国の代表候補生なんだってさ。」

 

「へぇ、それは興味深い。」

 

 

そう、それは代表候補生であること。

代表候補生とは名の通り国家代表の候補。

厳しい試験等を乗り越えた一部の人間がなれるものである。代表候補生であれば実力も申し分無くそれ相応の経験を学園にも積ませる事ができる、故に小難しい転入試験はパスとなる。

 

代表候補生と言えば一夏の近くにセシリアが居るが、セシリアは別格である。

何しろイギリスの主席代表候補生、代表候補生の中で座学、実技、実力、全てに置いてトップにたつ人物だからだ。

それ故に国家代表が退いたとき、次に任命されるのはセシリアとなる。言わば次期国家代表なのだ。

 

「ですがアイン、代表候補生となると油断なりませんわよ?」

 

「そうだな。まあ油断せず頑張るさ。精々セシルの期待を裏切ら無いようにな。」

 

「そうですわね。フリーパスも掛かっていますし、期待していますわ。」

 

一夏はクラス対抗戦に出る代表。

故にクラスからの期待も大きい、つまりは負けられないということ。

 

「まあ、クラス代表で尚且つ専用機持ちって1組と4組だけだから余裕だよ。」

 

 

「その情報古いよ!」

 

入口から聞こえてくるその声に、クラス中が一斉に振り向いた。

そこに居たのは小柄で可憐な、ツインテールを揺らした少女が居た。

彼女は腰に手を当て、胸を張っていた。

 

「2組も専用機持ちがクラス代表になったの、そう簡単には優勝させないから。」

 

そう言い放った少女に目を見開いて驚く一同。

それもその筈、噂好きの彼女達が掴めなかったのだ。

とそこに口を開く一夏。

 

「ほう……懐かしい顔だ。お前は……鈴か?」

 

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音(ファン・リンイン)。今日は宣戦布告に来た訳よ。久しぶりね、一夏。」

 

そう言った途端に教室中が騒ぎ出す。

噂の転校生が唯一の男性操縦者と知り合い、そうと知れば騒がないわけがない。今にも聞きたくて一夏に特攻を咬まそうとする輩は居た。

居たのだが、全員がスッと席についた。

それは……

 

「……おい」

 

「何よ、今忙しいんだから後にして。それより一夏、元気してた?」

 

転校生……鈴の後ろに居る人物をみて、1組は全員顔を青くしてこう思った。

(こいつ終わった……)と。

そう、後ろに居る人物は1組なら誰しもが、そしてIS操縦者……ひいてはISに関わる者なら誰しもが知っている人物。

 

その名は……

 

「教師に向かってその態度とは恐れ入る。なあ、凰鈴音?」

 

冷や汗がダラダラと流れ始め、彼女は完全に棒立ちとなる。

そしてギチギチと震える首を何とか動かして後ろをみる。そこには米神をピクピク動かし、とてもイイ笑顔を浮かべている1人の女教師が居た。

 

「ち、千冬さん……」

 

ズゴンッ

出席簿が炸裂し、その場に踞る鈴。

今回の千冬は情け容赦を捨て、かなりキレていたらしい。

 

「教師を名前呼び、しかもさん付けとは……随分偉くなったものだな?小娘。」

 

「うぐぅぅ……」

 

痛みで悶絶し、全く喋れない鈴。

だがそれがまた千冬が不機嫌となる事である。

いくら痛みで喋れないとはいえ、問い掛けに対し無視をする形になってしまった。

無視が一番嫌いな千冬は……

 

「まあ良い。山田先生、SHR(ショートホームルーム)は任せる。私はこいつとお話(OHANASI)してくるのでな。」

 

「は、はい。任せてください!」

 

そう言いながら鈴の首根っこを掴み、そのまま引き摺っていく千冬。

その去っていく背中をみて……(織斑先生だけは怒らせないようにしよう)と心に誓った1組生徒であった。

 

 

「ではHRを始めます。今日はーーーー」

 

 

(この状況で平常通り始められる山田先生、マジパネェ。)

 

後日、真耶の株価が鰻登りしたという。

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

「お前のせいだ!」

 

「何がだよ……」

 

時刻は昼休み、一夏は何故か箒に文句を言われていた。

というのもその行動によるところの自業自得なのだが……午前中だけで真耶に5回注意され、ボーっとしていたため3回千冬に叩かれてる。

その時に何があったのか、一夏の知ったことではないのだが。

 

「あら篠ノ之さん。自分の不手際を人のせいにしていては、成長できませんわよ?」

 

「だが!」

 

何かと一夏に絡んでくる箒の事は、セシリアにとって非常に気にいらない事らしかった。

入学当初とは違い、今では箒に対しての受け答えが辛辣になりつつあった。

 

「言いたいことが有るのでしたら、学食で聞きますわよ?まあ…言えれば、ですけどね。」

 

「何だと!? ふん、それほど言うなら良いだろう。来い!」

 

セシリアの一言で憤慨した箒は、1人でそそくさと先に歩いていった。

それがセシリアの狙い通り、何て事は知るよしも無いだろう。

 

「さて、邪魔者は先に行きました。私達はゆっくり行きましょう?ねぇ、アイン?」

 

「そうだな、どうせ急いでもあいつに会うし。何より、飯は逃げないしな。」

 

セシリアが狙った通りに箒は先に行き、現在食堂への廊下には一夏とセシリアしか居なかった。

時間は大丈夫なのか何て野暮なことを聞く人間も居らず、2人並んで歩く。

その後ろ姿は、さながらカップルのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「遅い!!」」

 

食堂に着くなり、一夏とセシリアは洗礼を受けた。

一夏の顔は若干疲れきった魚のようになりかけ、セシリアは溜め息を吐きながらも一夏の分の食券も買う。

手軽に食べられるBLTサンドを。

セシリアとメニューが同じなのはご愛敬。

 

「何してんだ?お前ら」

 

「何って、待ってたに決まってるでしょ!」

 

そういう鈴、そして箒の手には昼食が乗っていた。ご丁寧に着いてから今まで、ずっと待っていたらしい。

一夏もセシリアも、これにはビックリであった。

大抵の場合食べずに待つことはせず、食べてから待つのがこの2人である。

と言うのも……何時如何なる場合でも、何が起きようとも対応できるように。そんな思考回路が故だ。

 

「まあ、良い。セシル、あそこへ。あそこなら座れそうだ。」

 

「はい、では行きましょうか。」

 

そうして、鈴と箒を引き連れた一夏とセシリアは空いてる席へと移動する。

 

 

「さて、いただきます。」

 

「ええ、いただきましょうか。」

 

一夏とセシリアは、早々に食べ始めた。

置いてきぼりになった鈴と箒は抗議しようとするが、みるみる減っていくBLTサンドを前に……これは早く食べないと置いていかれると思い、自身の昼食に手を付けた。

 

「所で一夏、元気してた?」

 

「ん、ああ。」

 

 

食べ終わった鈴が早速質問を投げ掛ける。

それに対し一夏の反応は、若干薄かった。

6年前に転校していった人物の事等、その後の6年間が激動なればあまり記憶に残らなくても仕方がない。

 

「アイン。やはりここは今一度、自己紹介をしたほうが良いんじゃありません?」

 

「そうだな。よし、そうしよう。」

 

セシリアの提案により、鈴と箒、セシリアの自己紹介をする事が決まる。

鈴は箒とセシリアの事を、箒とセシリアは鈴の事を知らないからだ。故に……

 

「ではまず私から。

私はセシリア・オルコット。イギリス代表候補生です。アインとは、少々長い付き合いでしてよ。」

 

確信的な情報を一切開示せずに、無難な紹介で終わる。

そして続いて鈴が……

 

「じゃ、次はあたしね。

あたしは凰鈴音(ファン・リンイン)小3で引っ越すまでは、一夏と同じ地区でつるんでたわ。」

 

「次は私だ。

私は篠ノ之箒。一夏とは小2まで学校が同じだった、幼馴染みだ。」

 

箒がそう言った途端、鈴と箒は睨み合う。

鋭い眼光がバチバチと火花を幻視し、お互い以外は一切見えなくなる。

そんななか一夏とセシリアは……

 

「幼馴染みは私だ!って、目で言ってますわね。」

 

「はぁ、こいつら。勝手に決めんなよ……」

 

呆れていた。

むしろ一夏は疲れた顔を加速させて、まさに疲労度が上がっていく。

 

「で、どうするんですの?この2人。」

 

「面倒だし放置で良いだろ。それにそろそろ行かないと、授業に間に合わない。」

 

「そうですわね。」

 

2人は自身の食べた食器を手に持ち、睨み合う2人を放置して帰って行った。

そしてチャイムが鳴った数分後、やって来た千冬により制裁が確定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

放課後、第2視聴覚室にて。

一夏はセシリアを連れて来ていた。

そこで何をするかと言えば、情報収集に他ならない。

 

「中国代表候補生、凰鈴音。専用機は甲龍(シェンロン)、機体の燃費と安全性を第1に考えられた機体。装備は2つか。」

 

「ええ、双天牙月と呼ばれる二振りの青龍刀。そしてもう1つは、龍咆と呼ばれる衝撃咆ですわね。」

 

新たに入学して、尚且つ専用機持ちだと言えば調べないわけにはいかない。

後々戦うことになろうとも、事前知識があれば案外楽に事を運べる。そういう理由があった。

 

「1番気を付けなければならないのは龍咆ですわね。衝撃咆とも呼ばれているらしいですが、注意すべきはこの点ですわ。」

 

そう言いながらディスプレイを指差す。

そこには、龍咆を撃っている甲龍が……鈴が居た。

そしてセシリアが指差すのは甲龍、その肩に浮いている非固定浮遊部位(アンロックユニット)だった。

 

「問題はこの龍咆、射角の制限がなく砲身が存在しない事ですわ。それに砲弾自体も空気に圧力をかけて打ち出す……威力が高くなった空気咆ですわね。」

 

「割りと面倒な装備だな……鍵は打ち出す寸前のエネルギー集束の感知か。」

 

一夏をしても面倒と言わせる装備。

何しろ砲身も砲弾も目に見えず、射角の制限がない。そう来れば厄介極まりない装備だと言える。

目に見えないのだから弾道予測が出来ず、砲身も無いのだから何時撃つのかすら不明。

これなら普通の銃器の方がよっぽど良いものである。

そして何度も映像を見返しているうちに、セシリアが1つの発見をする。

 

「アイン、ここ。ここをよく見てくださいな。」

 

セシリアが指差したのは先程と変わらない、龍咆を撃つ場面。

だが少し違ったのは、非固定浮遊部位(アンロックユニット)ではなく鈴の目を指していた。

 

「ここですわここ。彼女、龍咆を撃つときに対象物へと必ず視線を向けてますわ。視線の先が必ず着弾点になるように……ですから視線を見れば、自ずと射線もわかりますわ。」

 

「個人の癖か。ま、こりゃありがたい。」

 

たった数度。

映像を見返しただけで弱点を見抜く、それだけでセシリアの技量の高さが伺える。

ISにはハイパーセンサーがあり、目で見なくても360度全体を見渡せる。その機能の他にもズームも存在しており、真後ろの標的を目で見ずズームして確認する事も出来るのだ。

つまりは銃器を撃つ時に見えているのだから、目を向けなくても良いということ。

 

「あ、そうでした。先程貼り出されていましたが、クラス対抗戦。アインは初戦で、相手は凰さんでしたわ。」

 

「……もう少し早く言おうな」

 

戦うつもりで調べていたが、こんなに早く機会が来るとは聞いていない一夏であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

 

 

そして時間は飛んでクラス対抗戦当日。

第2アリーナにて一夏と鈴は向かい合い、試合開始のブザーを待っていた。

そしてその試合を見ようとアリーナの観客席は満員御礼、通路すら埋め尽くしていた。

 

 

『両者、規定の位置に移動してください。』

 

そのアナウンスにより距離を詰める。

その距離5メートル。

瞬時加速なら一瞬にして詰められる距離だ。

 

「ねぇ一夏、一応言っておくけど……ISだって完璧じゃない。絶対防御を……シールドエネルギーを突破する攻撃なら、簡単に操縦者にダメージを貫通させられるのよ。」

 

鈴の言うことは正論ではあるが、一夏が初心者と思っているが故の心配だった。

操縦者の安全の為に存在する絶対防御。

名前に絶対なんて付いてはいるが、衝撃は殺せない。

実体弾やレーザーも、喰らえばその衝撃をもろに受けることとなる。

その為だけに作られた装備も存在し、絶対防御の弱点を突くことは容易いのである。

 

 

『それでは両者、試合を開始してください。』

 

ブーと鳴り響くブザー、それが鳴りやんだ途端一夏と鈴は動いた。

 

ガキンッと一夏の刀と青龍刀が衝突し、鍔迫り合いになる。

バチバチと火花を散らすそれの重量に、一夏の刀は耐えられずに押しきられる。

 

「貰ったぁ!!!!」

 

刀を押しきり、後退した一夏に追撃を仕掛ける鈴。頭は初手の攻撃の事でいっぱい、他に視線は向いていない。だからだろう、一夏の口元が綻んだのを見逃すのだ。

 

「甘い!!」

 

「なっ!?」

 

一夏がわざと作った隙に飛び込んできた鈴は、自身の脇から飛んできた一夏の左足に当たり吹き飛びアリーナのバリアーに激突する。

回し蹴り……何て事はない、ただの蹴りだ。

だがISを纏っての蹴りとなれば、それは十分に凶器となる。

 

「くっ……つぅ!!」

 

「焦るなよ、勝負はまだ始まったばかりだ。それにせっかくの初戦なんだしな。」

 

 

「……言ってくれるわね。」

 

体勢を整えた鈴だが、その表情には余裕は一切無かった。

というのも、隙を突いたと思いきや誘われたもので、反撃と言わんばかりの回し蹴りが正確無比に腹部へと直撃していたのだ。

 

「さて、今度はこっちの番だ。」

 

スラスターの爆発音が2度響き、一夏が文字通り弾丸のごとき速度で鈴へと刀を振るう。

 

「なっ!?」

 

キィンッと、かなり甲高い音が響く。

速度に比例して威力が高い訳ではないらしい。

だが使われた鈴は目を丸くし、驚いていた。

 

「な、何なのよ今のは!?」

 

「別に名前は無いが、俺は便宜上瞬時加速(イグニッション・ブースト)二式と呼んでいる。」

 

一夏が使った瞬時加速二式、仕組みは簡単だ。

まず瞬時加速とは、スラスターからエネルギーを放出し、取り込み圧縮、そして放出のプロセス

で発動する。    

だが二式はそのプロセスをもう一度繰り返すのだ。

ただでさえ瞬時加速で爆発的に加速をするのだ、そのエネルギーを取り込めばさらに速くなるのは必然だろう。

つまりは瞬時加速のエネルギーをそのまま取り込み、瞬時加速に使うのだ。

 

「さて行くぞ鈴。SEの貯蔵は十分か?」

 

「上等!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

「でぇりゃぁぁ!!!」

 

鈴は一夏の体を捉えようと、青龍刀を上段、横薙ぎ、下段と振り下ろす。

だがそのすべてを一夏が振るう刀によって軌道を逸らされる。

 

「くっちょこまかと……いい加減当たりなさいよ!」

 

「なら当ててみな、そのでかいのじゃ厳しいと思うがな。」

 

そう言う通り、鈴の青龍刀はかなり重量があり取り回しに難がある。反面一夏の刀は違う。

その事を理解していても言葉に出されると憤慨するのは性と言うもので、それが分かっているからこそ一夏はわざわざ言うのだ。

 

「言ってくれるじゃない。なら!!」

 

鈴の肩にある非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)の中央部が開く。

そしてエネルギーを感知し、その地面を穿った。

 

「……え?」

 

自身の最大の切り札でもある龍咆。

それが何故かすりもせずに地面を抉っているだけなのか。それが疑問となり頭を駆け巡る。

 

「何故。そう思っているだろうな。」

 

「っ!?」

 

そこに一夏の声が響き、ハッとなり思考を止め一夏を見る。龍咆は砲弾も、ひいては砲身すらも見えない。だから避けられない筈なのに、弾が通った場所から左半身だけ下げて避けていた一夏。

 

「別に驚く事じゃないだろう。砲身も砲弾も見えないのなら、見えるものを見れば良い。」

 

そう言って自身の目を指差し、ツーッと弾痕へと手を持っていく一夏。そしてその行為にハッとなり、驚いた顔で一夏を見る。

 

「ま、まさか……私の視線だけで避けたの!?」

 

「その通り。お前が龍咆を使う場面は、データベースを探せばいくらでも出てきた。だがどの場面でも決まって、お前は標的を必ず目視で見てから撃っていた。」

 

驚愕の事実に、鈴は開いた口が塞がらなかった。

確かにそう考えればどこにどう砲弾が飛んでくるか、ある程度予測は出来る。だがそれを聞いて、実際に出来るかといったらそうでもない。

それに、射撃から着弾まで1秒も無いのだ。

そうそうに出来ることじゃない。

 

「で、タネが割れた訳だが……どうする?」

 

「確かにそう、簡単に避けられた事実は変わらない。だけどね、効かないって決まった訳じゃない!!!」

 

そう言い放った鈴は龍咆へと、エネルギーを送り込む。尋常じゃない量を送り込んだところで……

 

ミシッ

 

ズドォォォォン!!!

 

 

アリーナのシールドを何かが突き破り、ステージ中央へと衝突した。

 

 

Master,(マスター)

was confirmed with the affiliation unknown machine.(所属不明機を確認しました。)

 

No biological reaction, is a drone.(生体反応無し、無人機です。)

 

「何!?」

 

 

ユリのスキャニングによって送られてくる情報により驚愕する一夏。今までどこの国も開発に成功した事の無い無人機、それが今目の前にあるのだから。

 

「鈴!試合は中止だ! すぐにピットにっ!?」

 

Sensing a new heat source,(新たな熱源を感知、)

Confirmation unknown machine five aircraft.(不明機5機確認。)

 

 

鈴へオープンチャンネルを使おうとした途端に、新たな敵影が一夏をロックする。

その数は5機、いずれも一夏をロックしており逃げるに逃げれない状況となった。

 

「冗談きついぜ……」

 

This is when it was a joke,(これが冗談でしたら、) how much I would be happy.(どれだけ嬉しいでしょうね。)

 

「はは、だよな。ッチ、セシルに救援信号だ!すぐにアリーナに来るよう送れ!」

 

roger that!(了解!)

 

 

セシリアへの信号を送り、そのまま驚愕している鈴へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

 

その頃、アリーナのピットにある管制塔では……

 

「織斑君!凰さん!聞こえますか!」

 

真耶が必死に呼び掛けていた。

プライベートチャンネルは声に出す必要は無いのだが、声に出ているところを見るに相当焦っているらしい。

 

「ダメです織斑先生、通信繋がりません。

多分ですが、乱入してきた機体によって妨害されているものだと思います。」

 

「ッチ、非常事態宣言を発令。至急教師部隊を送り込む準備をさせろ!」

 

「はい!」

 

教師2人が大慌てになりながらも指示を飛ばす、システムクラックがある程度進めば突入出来るであろう。

そこにセシリアの専用機(ブルー・ティアーズ)、その緊急回線から通知が来る。

 

『ーーーーザザーー白眼(ホワイトアイ)から蒼眼(ブルーアイ)へ。救援信号、所属不明の無人機6機が襲来。直ちに援護に来られたし。』

 

それを聞いた途端、セシリアの顔が引き締まる。

セシリアの回線には重要度が設定されており、コールサインが使われるのは最重要度の回線ということ。そして送り主は一夏。

 

「織斑先生!私に出撃、及びピットまでの隔壁の破壊許可を!緊急です!」

 

その回線は千冬も聞いていたらしい。

秘匿回線とはいえオープンチャンネルなのだから聞こえるだろうが。

 

「オルコット……全責任は私が持つ。隔壁を破壊し、最短距離でアリーナ内へ潜入せよ!」

 

「了解!セシリア・オルコット、出撃します!!」

 

そう言い残し、セシリアは管制塔を後にする。

向かうはアリーナ。

 

 

「良いんですか?織斑先生。」

 

「構わんさ、始末書ごときで生徒が救えるのだ。安いものだろう。それに、あいつらなら最速で片付けられるさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

 

「くっ!!」

 

「だぁ!!もう!!」

 

1対1での戦闘に長けている鈴も、1対多の戦闘に長けている一夏も。

流石に6体のISの同時攻撃には、回避の一手しか選択肢が無かった。

それにアリーナのバリアーを破った事から、敵機の武器はSEを貫通し絶対防御を強制発動させるに相応しい威力を持っている。故にそう簡単に近付く事も出来ずにいた。

だが避ける事も容易ではなく、こんな場面に遭遇したこと無い鈴は何発か被弾していた。傷は浅いが、攻撃を喰らった事と避ける事。2つの行動がSEをかなり消費していた。

 

「一夏!そろそろあたし、SEが切れそうよ!」

 

「ッチ、持たないか……早くしてくれ、セシル!」

 

一夏も鈴を庇いながらの戦闘に苦戦し、当たってくれない敵機に苛ついていた。

無人機1機なら、速攻終わらせることができる。だが6機も居るのだ、避けるのをやめれば蜂の巣になるだろう。

その事実が一夏をなお苛立たせた。

そのとき……

 

出力制限解除(リミットオフ)。お待たせしました、アイン。』

 

その声と共にアリーナのバリアーを突き破りながらレーザーが、2機の無人機を巻き込む。

一夏にとって何とも頼もしく、ありがたいこの声を待っていたのだ。

 

「セシル!プランBだ!この邪魔物をぶち壊すぞ!」

 

「了解ですわ!」

 

途端一夏もセシリアも己の主力武器を投げた。

その行動に見ていた鈴、そして管制塔の千冬や真耶は驚愕するがどこ吹く風。

互いの武器を受け取り、背中合わせになった。

 

「久し振りだが合わせられるか?」

 

「当然!私を誰だと思ってますの?」

 

一夏はライフルを、セシリアは刀を持ち互いに構える。蒼と白の共闘、こんな時でなければ興奮物なのだろう。

 

「では早速始めるとしようか!」

 

「「Let's rock!」」

 

そう言い放つと、トップスピードで飛翔する。

一夏は狙撃、セシリアは斬撃。

己の得物が変わってもなお、その攻撃は衰えない。

正確無比の援護射撃に、鋭い太刀筋。

 

「やぁ!!!!」

 

横一閃、上段切り。

セシリアの太刀筋は綺麗で、そして重い一撃だった。そこが一夏とは違う点。一夏は鞘ありきの剣技なのだ。

そして一夏も、かなりの腕前の狙撃技術だった。

人形の弱点の1つに関節がある、一夏はそこを正確無比に撃ち抜いていた。

片足、そして両腕を撃ち抜き隙が出来ればセシリアが仕留める。まさに連携の鏡であった。

 

「これでラストだ!あの世で懺悔でもしてな!」

 

そうして一夏が最後の1機を撃ち抜き、状況は終了する。

無事、6機の無人機が破壊され、アリーナ内のシステムロックも解除される。

それが油断を誘ったのだろう。

 

Unknown machine restart,(不明機再起動、) it has been No way...... lock!(まさか……ロックされています!) Subject, Blue Tears!(対象は、ブルー・ティアーズ!)

 

左半身が無くなっていた無人機が動きだした。

刹那、一夏は瞬時加速二式を使用。最高速度でセシリアの元に向かう。

 

「セシル!!」

 

呼んだときにはもう遅い、不明機からレーザーが発射されており、着弾までは時間の問題だった。

幸いなことは、一発撃って不明機が沈黙した事だろう。

その時一夏は、セシリアを突き飛ばすのに一切迷わなかった。

 

「アイン!!!」

 

 

真っ白な光に包まれたアリーナでは、少女の悲鳴が木霊していた。

 

 

 

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

 

「うぐっ……」

 

保健室にて一夏は目を覚ますが、あまりの激痛に顔をしかめる。それもそうだろう、助ける為とはいえ捨て身の特攻を行い、あまつさえその身で高出力のレーザーを受けたのだから。

 

「あのあとどうなって……」

 

「アイン!気が付きましたのね!」

 

その声に振り向くと、ちょうど入室してきたであろうセシリアが居た。

一夏はセシリアが無事だということに安心する。

 

「心配掛けたな。」

 

「本当ですわ!生きていたから良いものを……死んでしまったら……私は何の為に生きれば良いのですか。」

 

「……ごめん」

 

かなり涙目のセシリア。

先程まで泣いていたのだが、また涙が出てきているようだ。

 

「だからもう……私なんかの為に命を張るのはやめーー」

 

その言葉は続かなかった。

何故なら……一夏がセシリアの手を引き、そのまま抱き締めたからだ。

 

「そんなこと言うな。セシルだから命を賭けたんだ、そんなこと言われたら俺は何の為にこんな怪我を負ったんだ?」

 

「それは……」

 

一夏の言葉によって、返答に詰まるセシリア。

ここで一夏は、更なる言葉を口にする。

 

 

「それに好きな女位、俺に守らせろよ。」

 

「……え?」

 

 

若干顔を赤くしながら、照れ臭そうに言う一夏。

一方のセシリアは、混乱しすぎて未だに理解が追い付いていないようだ。

そして一夏は一旦セシリアを離し、対面する形をとる。

 

「じゃあ改めて。俺はお前の事が好きだ、セシリア。俺で良いと言うなら、俺とつkーー」

 

一夏の紡いだその先は、セシリアの唇に塞がれ遮られた。そして長い、長い口付けが終わるとセシリアが今度は口を開く。

 

「やっと、やっと言ってくれた。貴方が、アインザックを名乗ると決めたその日から、私はアインの事が好きでした。」

 

「待たせて悪かったな。」

 

「その責任は、とってもらいますわよ?」

 

そうして、返答の変わりのキスは先程よりも長く続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これじゃあ入れないじゃないの……」

 

保健室の外にはドアにもたれ掛かって涙を流す、1人の少女が居た。

トレードマークのツインテールをほどき、うつむいていた。

 

「ばいばい、あたしの初恋……」

 

 

その表情は、涙を流してもなお笑っていた。

 

 

 




さあ、今回も無事投稿。


投稿ついでにネタを1つ






「その情報古いよ!」

入口から聞こえてくるその声に、クラス中が一斉に振り向いた。
そこに居たのは小柄で可憐な、ツインテールを揺らした少女が居た。
彼女は腰に手を当て、無い胸を張っていた。

「2組も専用機持ちがクラス代表にって誰が貧乳よ!ぶっ殺すわよ!!」

鈴さん鈴さん、本番中。

「はっ!  じょ、冗談よ。」

カット、やり直しですね。


「あー、やっぱり?」




アフレコ現場的なノリのネタでした。





あと、本文中に何個ネタを見つけたかな?

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