ナザリックに来たのは良いですがさっそくモモンガさんが限界そうです。   作:三点倒立する椅子

1 / 1
初めまして。三点倒立する椅子と申します。今回初投稿ですので問題等ありましたらお知らせくださると嬉しいです。文章力はあまりないのでやんわりと楽しんでいただければ幸いです。


零話:久しぶりなメンバー

静けさが支配する廊下を周囲を見回しながらゆっくりとゆっくりと歩いていく。あくまでもオブジェクトの一種でしかないためずっときれいなままだ。

重厚な扉に反して音も鳴らさずに扉を開ければ待っていたのであろう律儀なギルドマスターが円卓の間最奥に座っていた。

扉が開いたことに気付いたのであろうスケルトンアバターのギルドマスター、モモンガがこちらを見て息をのんだような気がした。

「お久し、ぶり、です。」

驚きのあまりに言葉を途切れさせつつこちらに向かって言葉を発するモモちゃんに出来る限り緊張を意識しない声色で話しかける。

「久しぶり、モモちゃん。」

「まだその呼び方なんですね。アトナさん。今日来てくれるとは思いませんでした。」

苦笑いとも呆れともとれるアイコンを浮かべ、くすりと笑みをこぼす。数年間ログインすることができなかったために今日来るとは思われていなかったのだろう。

「ん~…まぁ、今日もかなりギリギリだったかな。ここ数年休みなんてなかったから。」

懐かしい電子音を耳にしながら笑顔のアイコンの表示を選ぶ。わずかに今日いつもより早く―就業時間はとっくに過ぎていたし本来ならすでに帰宅していた時間だったが―帰宅を許されたために奇跡的にログインできたのだ。

ログイン時にはすでに22時を示しており今はおそらく22時半ほどだろうとなんとなく検討を付ける。

「…ええと、お疲れ様です。それと来てくれてありがとうございます。」

数分ほど時間が過ぎ静寂を裂いたのはモモちゃんの発言。ゆるりと頭を下げて恨み言を言われても仕方ないのにお礼を言われたことに驚きつつも

モモンガさんは何時まで経っても優しいなぁ…等と思考をそらしていた。

「お礼を言われることなんてしてないよ。んっと…今日来たのって俺ラストかな?」

返す言葉がなかなか見つからずに会話が途切れかけるが何とか会話を繋ぐ。

「今日来てくれたのは、タブラさんにヘロヘロさん、ペロロンチーノさん、ぶくぶく茶釜さん、武人建御雷さん、弐式炎雷さんです。来るって言っていたのは後ウルベルトさんとたっちさんと……るし★ふぁーです。」

「るしーかぁ…」

来ていないメンバーを言う際に、と言うよりはギルドの問題児であったるしーの名前を出した瞬間にモモちゃんはため息をついていた。

気持ちはよくわかる。できれば会いたいがおとなしくしてほしいものだね、と視線でなぜか会話を交わしそろそろ場所を移ろうかと話を出そうとした時に最悪の形で残りのメンバーがログインしてきた。

「アッハッハ!モモンガさ~ぁん?おっひさ★」

「久しぶりですね、モモンガさん」

「お久しぶりです。モモンガさん」

三人の声が同時に響く。次の瞬間にはウルベルトさんとたっちさんが仲良くにらみ合いを始めてるしーが煽りを入れて油を注ぐといった懐かしい景色が見えた。

「おや、お久しぶりです、たっちさん。引退したワールドチャンピオン様がなぜ此処に?」

明らかに敵意しかない声に嘲笑うようなアイコンでウルベルトさんが煽り始める。モモンガさんそっちのけだった。それに反応したようにたっちさんも反撃を始める。

「お久しぶりです。ウルベルトさん。引退なさったのは貴方もでしょう?最終日ですし、来ても問題はないでしょう?」

「ンッフッフフウ!ふったりともォ?お久しぶりィ?あれ?すでに喧嘩始めちゃうの?いい年こいたおっさんが?やっちゃう?やっちゃう?」

自分の言葉が無視されようと意に介さずにやたらと疑問形で作った文に猫なで声で二人に話しかけるるしー。そのころモモちゃんは二人の話に割って入る準備を始め俺は笑っていた。

「アハハ、相変わらずだね……こんなんがギルド最強なんだよな…こんなんでも戦うと息が合うんだよな…」

「たっちさん、ウルベルトさん、最後ぐらい仲良くしてください!最終日ですしギルド長権限使いますからね!?」

笑いながらどうしたものかと思っていればヒートアップしそうな瞬間にうまく入り込んだモモちゃんによって阻止された。

存在を無視されたるしーは鳥肌が立つような声で俺達の名前を呼んでいた。

「あ、モモンガさん。23時半です。そろそろ移動しよっか?」

ふとコンソールを見て見ればすでにサーバーアウトはもう真近でモモンガさんに声をかける。はっとしたようなモモンガさんはギルド武器を持って声をかけて、あえて歩いて行った。

その後ろを追いかけて行ったが五人しかいないにもかかわらず昔に戻ったように騒がしくてなんだか懐かしい、と立ち止まっていた。

「あっれ?どうかした?」

珍しくまともな言葉でるしーが話しかけてきてそれを何でもないと言って追いかけた。一歩進むごとに思い出が流れていく。

きゃんきゃんとわめいている二人を尻目に王座の間に付けば数年ぶりであるが記憶よりも美しくその場にいた全員が静かになった。歩くことを促すモモンガさんの声で我に帰れば堂々と歩みを進め王座の前へと、モモちゃんは王座へ、たっちさんとウルベルトさんが王座の左右についてその横に俺とるしーが付く形でナザリック最後の時を迎えるはずだった。




本作品でのるし★ふぁーさんは常にテンションの高い煩い人です。
ちなみに並びは るし★ふぁー ウルベルト モモンガ たっち アトナ の順です。

9/7呼び方を訂正しました。主人公視点なので呼び方を統一。一部修正。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。