柳洞寺の境内で対峙したバーサーカーとアヴェンジャー。緊迫した面持ちで睨み合い、互いに一撃目を放つ機会を窺っていた。
山門より向こう側では、ランサーとアサシンの絶え間ない剣戟音が鳴り響き戦闘の激しさを物語っている。
そんな最中、膠着状態を破ったのはバーサーカーだった。
「初めまして、ジャンヌちゃん。俺ちゃんはバーサーカーのデッドプールってんだ、よろしくな?」
構えを解き両腕を広げて見せれば、話し合おうとでも言いたげに自己紹介を始めた。その姿に訝しむアヴェンジャーではあったが、攻撃の意思はないと分かるも構えは解かずに言葉を返す。
「デッドプール?そんな英霊聞いたことが無いわ。おまけに聖杯戦争であるにも関わらず他のサーヴァントと仲良くお友達ごっこしてるらしいじゃないの、イカれてるんじゃないかしら?」
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「ハッハー、流石はオルタちゃんだ。俺ちゃんを逆上させようって魂胆か?そんなフレポ礼装にも劣る安っぽい挑発になんざ乗る訳ねぇだろ」
と言いつつ両手を眼前に持って来れば中指を立てて見せつける。その仕草にアヴェンジャーはピクリと眉を上げて睨みつける。
「おっと、煽り耐性低いのはどっちだよ?これくらいでキレてたら俺ちゃんと会話できないぜ、堪え性の無い尼さん?」
バーサーカーが追撃のように言葉を投げれば見る見る内にアヴェンジャーの顔は険しさを増していく。そして、尼さん発言の直後バーサーカーの足元から突如として爆炎が吹きあがった。
「殺すわ、骨も肉も魂も残さず焼き殺してあげる!私が
怒号と共に巻き上がる爆炎は更にバーサーカーを飲み込み、アヴェンジャーの怒りに呼応するかのように炎は黒く大きくなってゆく。
そして、手にした剣を振りかざせばバーサーカーの頭上に数本の槍が出現。周りを取り囲むように回転した後に、一斉に燃え盛る炎の中へと奔ればバーサーカーを串刺しにしてゆく。
「ふん、呆気ないわね。面倒だけどあの二人の加勢でもしてあげようかしら」
呆気ない幕切れに拍子抜けだと言わんばかりの態度で鼻を鳴らすと、踵を返して山門へと向かい始めるアヴェンジャー。背後では未だに勢いが衰えない黒い炎が煙を上げている。
だがしかし、突然背後から声を掛けられた。その声は明らかに先程焼き殺した筈の男の声である。
「おいおい、デュヘインされるかと思って尻の穴締めたのにそれで終わり?師匠の時も言ったけどオタクら正体バレてるのに宝具ひた隠しにし過ぎなんだよ、もっと過激なヤツお見舞いするくらいの気概はねーのかっての」
思わず振り返れば其処には、業火の中から悠々と出てくる影が一つ。
黒いライダースジャケットを纏い、体にはチェーンを巻き付けた姿の男。その頭部は剥き出しの頭蓋骨、それが燃え盛る炎に包まれていた。
「さぁて、仕切り直しと行こうぜ?復讐者相手にはお誂え向きの姿だろ」
バーサーカーが宝具により
◇◇◇◇◇
振るわれた大剣がランサーの頬を掠め紅い痕が滲んだ、石段を蹴り背後へと飛べば数段下の踊り場へと着地し僅かばかりの距離を取る。
召喚された土地によりサーヴァントは知名度での能力向上があるとはいえ、地力では確実に此方が勝っている筈である。であるにも関わらず、アサシンとの攻防は僅差ではあるものの彼方の方が押していた。
「解せんな、何故貴様のような魔の者に私が圧されているのだ?」
手にした槍を振るいつつ体勢を整えると、アサシンは不敵な笑みを浮かべて答える。
「寺におるあの黒い娘の力のおかげで随分と力が漲りよるんよねぇ。あそこで喋ってはる娘も同じような事言うとったわ、当人は竜の力がどうこう言うっとったんやけど…うちも原理はわからんさかいに」
アサシンがちら、と視線を向けた先には意気投合した金髪のアサシンとアーチャーの姿があった。二人は『セイバーなんぞ時代遅れ、今は飛び道具こそジャスティス!』『セイバー倒すべし!慈悲は無い!』等と叫び合っている。
此方の味方に引き入れるという作戦は成功?したようだが、不穏な言葉に一抹の不安を覚えるランサー。しかし、その不安も眼前に佇むアサシンに比べれば些細な悩みである。
(殺さずに説得しろとは、随分と無理難題を吹っかけてきおって…)
内心独り言ちるランサーであったが、地を蹴れば鬱蒼と生い茂る木々の中へと駆け出してゆく。それを逃すまいと後を追うように駆け出すアサシン、その口元には変わらぬ笑みが湛えられていた。
ランサーとアサシンが山へと入って行った直後、塀の上に何者かが出現した事は誰一人気付くことは無かった。
◇◇◇◇◇
「ほらほら、どうした?
左右の拳に鎖を巻きつけたバーサーカーは無遠慮にアヴェンジャーへと目掛けて強烈な突きを放ってゆく。それを手にした旗の柄で器用に受け流すと、バーサーカーの背後へと回り旗の先端で胴体を貫く。
そのまま魔力を流し込み黒炎を爆発させれば勢いよくバーサーカーは吹き飛び塀へと激突する。
「るっさいのよ、好き勝手にべらべらと!別にジルなんて居なくても私一人でなんだって出来るっての!それよりアンタ、急に姿が変わったかと思えば…燃える髑髏ですって?ちょっと良いなと思っちゃったじゃないの!」
その姿にほくそ笑むバーサーカーは、逆さまにひっくり返ったまま問いかけた。
「自分の気持ちに素直になっちゃえよ、好きなんだろ?こういうの。俺ちゃんと手を組めば一日眺め放題、なんなら別の姿だって拝ませてやれるんだぜ?」
その言葉にピクリと肩が跳ねるアヴェンジャー、既に陥落寸前の様である。その隙を見逃さなかったバーサーカーは直ぐ様立ち上がり駆け寄って行く。
「決断するなら今の内だぜ?なんたって…ラスボスのお出ましだからな」
アヴェンジャーへと背を向ける形で立ち止まると、直後に飛来する斧を片手で受け止める。視線の先には金髪の美青年が塀の屋根に立っていた。
「下等な道化如きが我の宝物に気安く触れるとは、厳罰を下さねばなるまいて。容易く死ねると思うなよ?」
「ヒュー、王様はトランプをやったことがねぇのか。
握り締めた拳の親指を立てたバーサーカーはその手を自身の首元へと添える、そして真横へと滑らせれば拳を振り下ろして見せる。
塀の上に立つ
「フハハハハハハ!随分と嘯くではないか、道化風情が!この我より強いだと?笑わせるな、どこの馬の骨とも知れぬ貴様如きにこの我が負ける筈が無かろう!だがまぁ、近い内に貴様のその思い上がりを其処な雑種共々へし折ってやろう。精々足掻くがよい、道化よ」
一頻り笑った後にギルガメッシュは一息吐くと、先程撃ち出した斧を別の宝具で回収する。そのまま踵を返すと夜の闇へと溶けるように消えて行ったのだった。
やっとギル様降臨!後ジャンぬチョロインにしても良いですか?(震え声)