Fate/CrazyRed   作:仲人

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話が進まなくて誠に申し訳ございません…!


邂逅、その後

───衛宮邸 浴室

 

湯気が立ち込める浴室内に一つの気配があった。

湯船に浸かり身を清めるその姿は未だ見えず、男か女かすらも判別が難しい。がしかし、その者が不意に窓を開ける。

内部に充満していた湯気は浸入してきた外気と混ざりあい、その濃度を薄めていく。そして、ようやく晴れた視界に映し出された姿は───

 

「やっほー、何人かは期待してたかな?皆の予想通り俺ちゃんでしたー」

 

手にしたアヒルを潰して見せれば、何とも情けない鳴き声が木霊する。

 

「にしても3話も使ってようやく本家のチュートリアル越えたくらいってどーよ?おまけに俺ちゃんの入浴シーンとか、ディスクウォーズでやってたじゃねーか」

 

一人きりという事もあるのか、メタ発言全開で喋るバーサーカーもといデッドプール。風呂に入るのにマスクを外さず、尚且つバスキャップまで被っている。

 

「おい、テメェコラ。人様を遠回しにハゲ扱いすんじゃねぇよ」

 

とまぁ、字の文との会話はこの程度にしておこう。

アーチャーとの初邂逅の後、敵意剥き出しのアーチャーへ凛が同盟についての説明をすればアーチャーからの返答は『変態かと思い撃った、是非もなし』で終わった。バーサーカーからすればとばっちりもいい所ではあったが下手に仲違いを起こせば今後の戦況に響きかねない、との判断により止む無く矛を収めた。

 

にも関わらず、アーチャーがセイバーの姿を見つけるや否や『沖田め此処で会ったが百年目!』と叫び、帯刀していた刀を抜いて切り掛る。咄嗟にセイバーも風王結界(インビジブル・エア)を纏わせた剣で応戦。

剣戟が交わされる度にアーチャーの熱量を孕んだ魔力と、セイバーの風の魔力が混ざり合い怒涛の熱風が辺りに吹き荒れ、周りにいた士郎や凛は思わず後ずさる。

その暴風に煽られイリヤも思わず体勢を崩し、あわや転倒といった所でバーサーカーに支えられた。

 

そのままイリヤを士郎に預けると、バーサーカーは白熱する剣戟の只中へと進んでいく。アーチャーは既にセイバー以外眼中に無くひたすらに刀を振るい、セイバーも並々ならぬ剣筋に捌くのが精一杯である。

そんな中に飛び込んだバーサーカーは、手を伸ばし声を張り上げる。

 

「はーい、ストップ!一旦お前ら冷静にな──」

 

剣戟が乱れ舞う最中眼前に現れたバーサーカーに気が逸れた二人は思わず剣先がブレる。結果としてバーサーカーはまたも頭部が輪切りになった、しかも今回は三枚卸である。

 

「お前ら、人の頭煮卵かなんかと勘違いしてんじゃねーだろうな?」

 

辛うじて首と繋がったままの口が声を発し、その光景に見慣れたイリヤ以外の者は絶句する。サーヴァントとはいえ人間が頭部の大半を失い、尚且つそのまま喋るとは想像もつかない筈である。

しかしバーサーカーはそんな事など微塵も気にせず、アーチャーとセイバーにくどくどと説教を垂れる。頭部からは血がドバドバと垂れる。

やれ刃物を振り回すのは危険だのやれ周りに迷惑をかけるなだのと、バーサーカーの知人が聞けばお前が言うなと叱られること間違い無しの内容であったが、事実アーチャーの勘違いにより起こった争いによりイリヤが怪我をしかけたのは事実である。

アーチャーの謝罪によりその場は治まり、頭部の修復が済んだバーサーカーは士郎に風呂を借りて冒頭に至るというわけである。

 

「どこぞのデビルハンターじゃねぇんだから、不死身さ見せつけるために斬られてたんじゃ割に合わねぇぞ」

 

独りごちるバーサーカーは再度アヒルを掴んでは鳴らし、赤く染った湯船から立ち上がるのであった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

荒れに荒れた初対面の日から二日経ち、サーヴァントの三人は今やそれなりに交流を深めている。

 

「バーサーカー、また子供が産まれました。二百万頂きます」

 

「バーサーカー、儂は事業が成功した。一億もらうぞ」

 

「何でお前ら壮絶な人生送ってた割に人生ゲ〇ムは順風満帆なんだよ!ふざっけんな!」

 

三人はテレビ画面に向かってコントローラーを握ったまま会話をしている。

画面に映し出された映像には、セイバーの操るキャラクターが一位。アーチャーの操るキャラクターが二位。NPCが三位。デッドプールの操るキャラクターが四位と表示されていた。

 

「やはり王として生きた経験の賜物と言えますね」

 

「だって儂ほら、革新の申子じゃからな」

 

「へーへー、流石王様は違いますねー」

 

既にセイバーとアーチャーとの金額の差は到底ひっくり返せるものでは無くなっており、バーサーカーとしては如何に早くこの遊びを切り上げるかを考えていた。

最初の内は、士郎も凛も学業の為昼間は家に居らず、イリヤは安全面を考慮しアインツベルンの城で過ごしている為、暇潰しと交流を兼ねてのゲームであった。

始めのうちは慣れないゲームに四苦八苦する二人だった。だがしかし、次第に操作になれ内容を理解すればそこからは怒涛の勢いで追い抜かれた。

漸く人生ゲ〇ムが終わり、決算の画面に切り替わった所で黙りこくっていたバーサーカーが不意に口を開いた。

 

「俺ちゃん思ったんだがよ、このチームには(おっぱい)が足りない気がする」

 

「「はぁ?」」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

衛宮邸での発言の後、家を飛び出したバーサーカーはキリツグへと姿を変えて街を散策していた。既にセイバーとアーチャーは同盟を結び、ランサーの正体は知れている。

残るキャスターとアサシンは恐らくだが街に出向く可能性は低い、つまり出会う確率が必然的に高くなるのはライダーのみ。

そして、ライダーは原作のままであればあの見目麗しいメデューサである。キリツグの脳裏に浮かぶのはあのグラマラスな肉体、流れる様に艶やかな薄紫色の髪、嗅いだことは無いが絶対に甘いであろう香り。

そのどれもが男の心を鷲掴みにする魔性の女、それが現実に現れればどうするか。勿論言わずもがなである。

 

そんな下卑た妄想とは裏腹に、真面目一辺倒な表情のまま海辺へと出た。些か冷たい潮風が肌に沁みるが、意外とこういった場所にこそお目当ての人物は居たりするものである。

暫く波止場を散策していたところ、遠方からバイクのエンジン音が近付いてきた。ふと気になり傍に寄っていくとワインレッドカラーのライダースーツを纏い、派手ながらもどこか落ち着いた装飾が施された大型バイクに跨る女性が居た。

 

「どうも、随分と派手なバイクですね」

 

バーサーカーはあくまでキリツグとして女性に接触を試みる。するとライダースーツの女性は徐ろにヘルメットを脱ぎ、閉じられたライダースーツの前を下ろす。

その顔には右額から左頬へ掛けて、袈裟に大きな傷跡。その大きく開かれた前部分から覗く谷間は凄いの一言に尽きる。

 

「へぇ、アンタ見る目があるじゃないのさ!名前はなんて言うんだい?」

 

その顔、その声、その胸がバーサーカーの記憶の中のとある人物と合致する。

フランシス・ドレイク、またの名を悪魔(エルドラゴ)と呼ばれ恐れられた人物。第五次聖杯戦争の騎兵(ライダー)である。




ライダーとの初対面。正体がバレずに帰宅する事が出来るのか!
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