Fate/CrazyRed   作:仲人

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投稿が遅くなってしまい申し訳ございません、なかなかセイバーの聖杯に対する思いを上手く変える理由が浮かばず筆が進みませんでした。
おまけにかなりのパワープレイになってしまったので、多少難のある進行かも知れませんが良ければよろしくお願いします。


セカンドエンカウント

 

新都のとある喫茶店に、セイバーとキリツグの姿があった。

何故二人なのかと言えば、単にアーチャーが一人で買い物は済ませると言い始めた為に待ちぼうけを食らったのである。

斯くして二人は手頃な店に入ると、互いに言葉を交わすでも無くただただ暇を持て余し、セイバーは注文したパフェを食べキリツグは携帯端末を弄んでいた。

暫く無言のままで居たセイバーだったが、パフェを食べ終わると唐突に口を開いた。

 

「バーサーカー、少しばかり話があるのですが…宜しいですか?」

 

「何だよ改まって気持ち悪ぃ、金の心配なら要らねぇよ。アハト翁から有難く頂いた軍資金がたんまりあるから好きなだけ食いな。あぁ、デートのお誘いなら士郎にしてやれよ?今ならデザートにチェリーのクリームパイもご馳走してくれるだろうさ」

 

携帯端末から一度も視線を外さずに言葉を返すキリツグの姿に、セイバーは少しばかり第四次聖杯戦争の事を思い出す。

最後の最後まで分かり合えなかったマスターとサーヴァント、それが仮初の姿であり中身も違うとはいえ再度こうして向き合い言葉を交わせている事に、僅かばかりの幸福感を感じていた。

 

「いえ、そういう事ではありません。話というのは私の願いについてです」

 

その言葉を聞いて一度セイバーに視線を向けたものの、すぐ様携帯端末へと戻ってゆく。

言外に続きを促すかのような仕草にセイバーは続け様に語り始めた。

 

「貴方から聖杯が使い物にならないと教えられてから、ずっと考えていました。私の願いは叶わぬ物なのだと…いえ、叶えてはならない願いなのではないかと。嘗て共に戦った友や部下達の想いを無碍にするなと言う神の啓示では無いのかと…」

 

俯きつつ話すセイバーの言葉を聞いていたキリツグはゆっくりと視線を上げる。そのまま暫くセイバーを見つめた後にゆっくりと話し出した。

 

「神の啓示なんて綺麗事抜かしてねぇで素直に間違いだったって認めろよ。とは言え、考えを改めたんなら俺ちゃんがどうこうする必要は無くなったわけだ」

 

「と言うと…何かするつもりだったのですか?」

 

「とりあえず聖杯に未練がある限り…お前を拉致監禁して延々と目の前で士郎の和食を俺ちゃんが食べるだけとかな?」

 

「なんと卑劣な…!血も涙もないのですか!」

 

「お前の前マスターよか有情な方だぜ、つーか変に善人サーヴァント混ぜるからFate/zeroは欝になるんだよ。はなっから情け容赦の無い奴ら出しとけってんだ。バーサーカーがカーネイジにアサシンがパニッシャー、キャスターはDr.Doomだろ?後はランサーのロケットラクーンとセイバーはクッソ臭ぇクズリな、アーチャーが居ない?俺ちゃんだよ!」

 

目の前でベラベラと罵詈雑言と共に意味不明な単語を並べ立てる嘗てマスターであった男の姿に、セイバーが感じていた先程までの幸福感は薄れていく。

そして込み上げてくるのは真面目に悩んでいた馬鹿らしさと目の前の男を少なからず信頼していた自分自身の愚かさだ。

こうしてバーサーカーに対して悩みを打ち明けたのも、今朝方士郎から『バーサーカーのおかげで新しい道が見えた気がする』との言葉を聞かされたからであったのだ、だと言うのにいざ話してみればこれである。

 

「貴方と言う人は…私が真面目に話していると言うのに何ですかその態度は!」

 

「あぁん?いつ俺がお前の悩みを聞いてやるって言ったよ、テメェが勝手にベラベラ話し始めたから相槌打っただけだろうが!調子こいてんじゃねーぞ、似非委員長キャラのMrs.エアーマンが!」

 

喫茶店という事も忘れて互いに声を張り上げる二人の間に、突然紙袋が放り込まれる。意識を逸らされ視線を投げ込まれた方へと向ければ、其処にはアーチャーが立っていた。

 

「アーチャー、買い物は終わったのですか?」

 

「うむ、この通り無事に戻ったぞ。それにしても、お主らいつ見ても諍いばかりしておるの?」

 

「うるせぇんだよスカルガール。まさか地球の裏側まで買い物に行ってたんじゃねぇ…よ、な?」

 

言葉尻が弱まるキリツグの視線の先には、紫髪の少女が驚いた様な顔で突っ立っている。

その少女を見つめたまま固まっていたキリツグの手から落ちた携帯端末の画面には、昨夜戦ったランサーの乳揺れシーンのみを集めた動画が延々とループされていた。

 

 

 

アーチャー曰く『ナンパされていた桜を通りかかった自分が助けたら、礼がしたいと言うので連れてきた』との事だった。

そして、現在キリツグと桜が向き合う形で座りその横ではセイバーとアーチャーが携帯端末の事を秘密にするという約定の下、大量に注文された甘味に舌鼓を打っていた。

 

「あー、久しぶりだね…桜ちゃん。とりあえず俺ちゃんの正体については説明いる?」

 

「いえ、兄さんから聞き及んでいますので…大丈夫です」

 

そんな会話を交わすと互いに再度黙り込む、その光景に業を煮やしたらしいアーチャーから横やりが飛んできた。

 

「何じゃ焦れったい、どうせ同盟を結ぶのであるなら遅かれ早かれ全て話すのであろう?ならば男らしくさっぱと話さんか」

 

「うるせぇな、結構デリケートな問題なんだよ。お前みたいに戦国ボンバーな脳みそじゃねぇんだこっちは」

 

「貴方の場合はボンバーと言うよりカオスでしょうね、理解が追いつきませんから」

 

「一々口挟むんじゃねぇ、黙って食ってろ。まぁ、とりあえずだ…画面の前の皆は多分数回は同じ文面見てっから飽き飽きしてるだろうけど、桜ちゃんは初だから勘弁な?」

 

キリツグの口から語られる話に桜は聞き入りながら頷く、そして粗方説明が終わる頃には既に外は夕暮れ時になっていた。

 

「何か今の内に聞いときたい事ある?無いなら解散するけど」

 

その問いに対して桜は小さく首を振って見せた。それならばとキリツグが立ち上がれば、次いでアーチャーとセイバーも後を追うように席を後にする。

その姿を見送りながらライダーへの説明をどうするか等と考えていたら、不意にキリツグから声を掛けられた。

 

「俺ちゃん達士郎の家に居るから、何かあったら何時でも来な。とびきり美味いパンケーキとチミチャンガご馳走すっから」

 

そう言い残して会計を済ませた三人は店内を後にする。残った桜はと言うと、頭の中で今後の動向について考えを巡らせつつ衛宮邸へ向かう算段を建てていた。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「いやー、タイトル的に何かあんだろうなとか思ってたけど…まだ隠しダネがあったとか。このマシュー・マードックの目を持ってしても見抜けなんだ」

 

衛宮邸に帰り着いたキリツグがボヤく視線の先には、丼飯を掻き込むバゼットとそれを横目で見つめるランサーが居間に居た。

士郎から話を聞くと、バーサーカーばかりに頼っては居られないと思い、凛と共に街を散策していたら知り合ったとの事だった。

 

「士郎よぉ、hollow時空ならまだしもstaynight時空でこんなクソ危ねぇ奴ら拾ってきたらダメでしょ。ジャンケンしたら後出しでぶち殺そうとする様な脳筋と現実じゃ神様ですら相手にならないのにウ=ス異本だと簡単に負けちまうクッ殺さんなんだぜ?」

 

「聞こえているぞ、狂戦士よ。私も止めたのだが、少年がどうしてもと言うものだからな」

 

「良いじゃないか、バーサーカー。食事は大人数でとった方が楽しいだろ?」

 

「そうです、お陰で私は久しぶりにアンパン以外の食事が取れました!所で…貴方がバーサーカーですか?」

 

空になった皿を卓上に置いたバゼットはキリツグへと向き直ると、じっと見つめてきた。

下から上まで舐め回す様に観察した後、暫くの沈黙を挟み紅潮していく顔。

 

「カッコいい方…ですね。同盟の件、受けさせて頂きます!」

 

「え、あぁ…はい」

 

すんなりと決まった同盟関係に戸惑いを隠せないキリツグではあったが、斯くして残す勢力は魔術師(キャスター)暗殺者(アサシン)のみになった事に一先ずは安堵の溜息を吐いた。

この後、バーサーカー本来の素顔を見たバゼットが本気パンチを食らわせたり、ランサーの胸を見て落ち込む二騎士を慰める士郎と凛が居たりしながら、聖杯戦争は終盤へと向かって行くのであった。




自分の書くバゼットさんは堅物具合が軟化しております。
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