AqoursとS·Gの物語   作:濁酒三十六

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初めての咆哮…

 静岡県沼津市内浦にある浦の星女学院。全校生徒全員でも百人に満たない学校で別の学校と合併…等廃校の話が出ていたのだが、二ヶ月前のゴジラ襲来により東京からの疎開してくる生徒達を受け入れる為に等廃校の件は無くなり、来年より共学になる事が決定していた。浦の星女学院スクールアイドル部は嘗てラブライブで母校を救ったと云うμ’sを習い母校を救おうとしていたのだが、等廃校の件が流れて肩の荷物が降りた…かの様に思えたのだが、ゴジラとの戦いは東京駅を中心としてかなりの範囲で放射能汚染区域に指定された。秋葉原もまた汚染区域に指定され、何と今回のラブライブの開催が未定になり、事実上の中止となってしまったのである。浦の星女学院公認スクールアイドル“Aqours”はラブライブ予選突破の目標まで無くなり…かなり意気消沈していたのだが、当面はレッスン…町内活動とラブライブネットへの動画投稿に力を入れる事とした。

 

「千歌さんはまだ来ておりませんの?」

 

 スクールアイドル部部室でAqoursメンバーにして学院生徒会長の黒澤ダイヤはメンバーが皆集まっている中で高海千歌の姿が見えないので同じ二年生でクラスメイトである渡辺曜と桜内梨子に尋ねた。

 

「そう言えば…、来てないね千歌ちゃん?」

「教室出る時、家に連絡入れていたみたい。」

 

 二人の話を聞いたダイヤは小さく溜め息を吐き、ダイヤは小さな溜め息を吐いて一年生組の黒澤ルビィ、国木田花丸は苦笑いをする。

 

「まあっ、千歌さんのルーズな所は今に始まった訳じゃないし。」

 

 同じく一年生組の津島善子がちょっとした悪態を吐いて見せる。…と、噂をすれば何とやら。部室のドアが外側からちょっと乱暴に開け放たれ、高海千歌が其処にいた。

 

「やっと来た、遅いよ千歌。」

「フフッ、お家で何かあったのかしら?」

 

 ダイヤと同じ三年生で千歌の幼馴染みの松浦果南と小原鞠莉が千歌を笑顔で迎えた。

 

「うん、まあ…そんなトコ。

それで今日はみんなに家に来て欲しいの、“新しい家族”を紹介したいんだ。」

『新しい家族????????』

 

 メンバー8人がハモって聞き返すが千歌は“お楽しみ”と言わんばかりに含みのある笑顔を作りAqoursは高海千歌の実家…旅館十千万へ行く事となった。

 旅館十千万に着くと千歌はメンバー8人を旅館の玄関に入れて待ってもらい自分は中へ入り志満を呼んだ。

 

「志満姉、“ゴジオ”は!?」

「さっきまでは内庭でしいたけとお昼寝してたわよ。」

 

 そんな会話が聴こえて果南と曜は顔を見合せ“ゴジオ”と云う単語に首を傾げ、梨子はしいたけと聴いての青醒め始めた。

 

「しいたけ…ちゃん、居るの!?」

 

 すると旅館内の奥から千歌の声が聴こえた。

 

「お姉ちゃん、しいたけとゴジオ居ないよ!?」

「あらあら、お外に行っちゃったのかしら?」

「エエエエーッ!?!?」

 

 またもや高海姉妹の会話を聴くや梨子はガタガタと肩を震わせてぎこちなく出入口に視線を向けると其処にはびしょ濡れになった高海家の愛犬しいたけと…、同じくびしょ濡れの小型不明生物であるミニゴジラ…高海千歌命名“ゴジオ”がいた。ゴジオを見た瞬間、Aqoursメンバー7人の目がガッと見開かれ、梨子はしいたけから逃げて距離を離した。

 

『ゴッ、ゴッゴッゴッ、ゴオッ!?!?!?!?!?!?』

 

 メンバー6人がおたついて鞠莉がムンクの叫びさながらに叫んだ。

 

「“ゴッッズイイイラアアアアアアアアアアアアアアアアアアア”ッ!!!!!!」

 

 メンバー7人がゴジオを見て騒ぎ立てる中で桜内梨子は一人…ビショビショのしいたけに飛び付かれて放心状態となっていた。

 …そして皆が千歌の部屋に集まり千歌からゴジオとの出会いの話をを聞いたAqoursメンバーはベッドに座る彼女に抱かれているゴジオを凝視する。因みに梨子は未だ目覚めず千歌の寝間着に着替えさせてベッドに寝かされていた。皆ゴジオの容姿を執拗に観察し、沈黙がずっと流れていた。

 その姿は東京のゴジラをそのまま小さくしたかの様に見えて実は三頭身。両手は短く細い三本指。脚はかなり太く爪は鋭いそうだが志満が作った厚いタオルで専用の即席靴下が履かせてあった。そして何より7人が注目したのが胸でゴジラは此処に核融合を可能とさせる生体炉心を持っていて所謂鳩胸の様になっており全身に赤い“ヒビ”を走らせているのだが、ゴジオの胸は平たく…反対にお腹がポッコリと出ており、身体に赤い部所はなく黒く硬い皮膚をしていた。そして最初にダイヤが口を開いて問題の生体炉心の話を切り出そうとした。

 

「千歌さん貴女…、このゴジラ…」

「ゴジオだよダイヤさん!」

 

 千歌が流れを読まず訂正を求めると善子がポツリと突っ込みを入れる。

 

「今は名前なんてドッチでもいいわよ。」

「ええっ、善子ちゃんひどい~!」

「善子じゃなくて“ヨハネ”よ!!」

 

 名前などドチラでもいいと言っておきながら善子が何時もの抵抗をしてのけるので花丸と曜が冷たい眼差しで見つめる。

 

「そんな眼で見るな!!」

 

 善子はふて腐れてゴロ寝をし、ダイヤは話を折られたままで眉間を寄せて眉毛を両方つり上げていた。果南は先ずはダイヤの言わんとした事を代わりに千歌に尋ねた。

 

「ねぇ、千歌はゴジ……オをコレからどうするつもりなの?」

 

 千歌は真剣な顔付きで果南を見て言った。

 

「一緒に暮らすよ、志満姉も美渡姉も認めてくれたもん!」

 

 コレには果南と同じく幼馴染みである渡辺曜は千歌の二人の姉をよく知っているので驚いてしまう。

 

「エッ、志満さんも美渡さんもこのコを認めたんだ!?」

 

 曜から見れば千歌と比べて姉の二人はまだ論理的に思っていたのだが、やはり姉妹なのか…千歌と同じ様にこの小さな怪物の奇妙な魅力に取り憑かれてしまったのであろうか。

 

「・・・・」

 

 千歌の太股に抱かれながら大人しく座るゴジオを曜はジッと見つめる。ゴジオは曜の視線に気付いた様で彼女に視線を移すと何気なく首を傾げた。…途端に曜は顔を緩ませてゴジオに手を伸ばし撫でまくり始めてしまう。

 

「ダメ、私も今取り憑かれてしまったわ!

可愛いよこのコ、ゴジオかわいい~!!」

 

 千歌に抱っこされて曜に撫でまくられているゴジオの姿に黒澤ルビィと国木田花丸はウズウズし始め、ゴジオに近寄る。

 

「千歌さん…触ってもいい?」

「オラも…触りたいズラ…。」

 

 千歌は二人に笑いかけて頷き、ルビィと花丸は喜んで曜と一緒にゴジオを撫でた。津島善子もゴロ寝のままジ~ッと撫でられているゴジオを見ていた。…故にいち早く気付いた。ゴジオが円らで小さな丸い眼を細めてヒクヒクさせている事に…。

 

(あれはもしかして…?)

 

 そして何時までも曜とルビィと花丸でゴジオを撫で回した結果…。

 

「アンギャアアアアアアアッ!!!!」

 

 ゴジオがその裂けた大きな口を開いて咆哮を上げた。

 

「ひえっ!?」

「ぴぎゃ!?」

「何ズラ!?」

 

 三人は間近でゴジオの声を聞いたので耳を塞ぎ、千歌も目を点にして耳を塞ぎながら驚き、鞠莉とダイヤ、果南も突然の声に驚いた。善子は眉をひそめ、“やっぱり”と言いたげに不敵に笑った。

 ゴジオは千歌の太股から飛び降りて襖の前に立つと円らな眼を細めたまま皆を睨んでフシュウと鼻を鳴らすと長い尾っぽの先で器用に襖を開け閉めして部屋を出て行ってしまった。どうやら余りに撫で回し過ぎたみたいでそのしつこさに怒ってしまった様である。千歌は苦笑いしながらゴジオが閉めた襖に見入る。

 

「あ~、ゴジオの鳴き声…初めて聞いた……。」

 

 千歌の部屋を出た後ゴジオは旅館の厨房へ行き、志満から今夜のおかずのふろふき大根を貰って味見をしていたのであった。

 

「美味しい、ゴジオ?」

「ガッフガッフ♪」

 

 ゴジオは喜んでいる様だ。




ゴジオが鳴いた!
ゴジオが食べた!?
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